民主党が「事業仕分け」で廃止した「スーパー堤防」が、自民党政権で復活する見込みだ。
《 スーパー堤防、震災受け復活 首都・近畿圏の低地 》つまり、こうだ。
「無駄な公共事業」として白紙になった国の高規格堤防(スーパー堤防)整備事業が、今年度から本格的に再開する。大洪水でも壊れない幅広の堤防を造るとしているが、その効果には依然として疑問の声が絶えない。
東京都の東部を流れる江戸川の堤防沿い、北小岩1丁目の区画約1・4ヘクタール。ここが今年度、川崎市とともに、スーパー堤防事業の新たな着工区画に選ばれた。まずは区画内の建物すべてを撤去。約120メートル×約160メートルにわたって盛り土して巨大な堤防をつくり、その上に街を造り直す計画だ。
堤防を超える大洪水でも決壊しないというスーパー堤防を江戸川に沿って整備できれば、内陸部への浸水を抑えられる――。「避難所としても活用できる」と、区の期待は大きい。
たとえ所々にしか整備できなくても、高台が不足する地域では広域避難場所として活用できる、と位置づけた。
同県栄町の堤防上の公園や野球場も、大震災で液状化し、亀裂が入った。東京都足立区は荒川が氾濫(はんらん)した場合、スーパー堤防に避難しないようハザードマップで呼びかけている。
足立区千住5丁目の堤防は、区立図書館などが入った複合ビルにつながる歩道に使われている。区の防災担当者は「食糧の備蓄やトイレなどがなく、周囲から完全に孤立してしまう所を避難先には選べない」と話す。荒川沿いの住宅密集地に住む男性(56)は、周辺一帯の整備に懐疑的だ。「住民みんなが合意するわけがない。いざとなれば近くのビルに逃げ込んだ方が早いし、絵に描いた餅でしかないんじゃないか」
( → 朝日新聞・朝刊 2013-08-05 )
・ 内陸部を洪水から守るという名目で、巨大堤防が計画された。
・ しかし、その整備には超巨額が必要で、実現不可能。
・ そこで、島みたいな小規模の高台へと、計画を変更。
・ それでは、洪水から内陸を守る「堤防」は名ばかりだ。
・ 高台部は亀裂があり、実用的でない。
・ 島みたいなところは、備蓄もなく、逃げ場所として不適。
・ 人工の高台なんかよりも、ビルに逃げる方が現実的。
・ 結局、超巨額をかけて、効果はゼロ同然。
・ 民主党が事業仕分けで廃止したものを復活した。
要するに、安倍政権による、超巨額の浪費である。ただの浪費だけならまだしも、このせいで被害がかえって拡大してしまう。避難場所として「ビルに逃げよ」というセオリーがあれば迷わないのに、「高台に逃げよ」という変な声を聞いて逃げ出したあげく、高台ごとすべて洪水に呑み込まれて、みんな死んでしまった……というふうになりかねない。
そして、それは、自民党のせいなのである。(たぶん公共事業で袖の下をもらうせいだろう。長年の体質。)
──
実は、これと同じことは、東北でもなされてきた。
→ 防潮堤推進の愚
→ 史上最大の愚行(被災地)
上では、「史上最大の愚行」というふうに述べたが、それをはるかに上回る規模で、首都圏や近畿で浪費が始まるようだ。その規模は何と 12兆円。
スーパー堤防事業は、民主党政権時の事業仕分けで、それまでの事業ペースだと完成までに400年、12兆円かかることがわかり、2010年10月に白紙になった。新規区間の着工はすべてストップした。こういう愚行は、やるべきではないのだ。
( → 朝日新聞(有料版) )
──
では、かわりにどうすればいいか? その件は、前にも述べた。「内陸堤防」にすればいいのだ。
→ 堤防は内陸部に
→ 関連項目
つまり、海の陸の境界に堤防を置いても、その堤防は津波によって破壊されてしまうから、岸辺よりも数十メートル〜数百メートル内側の内陸部に、堤防を作ればいい。津波は、そこに達するまでにエネルギーを失う。だから、内陸部の堤防は小規模であっても、十分に有効である。
その例証は、仙台東部道路だ。この道路は、土手の上を走っている。この土手が内陸堤防と同等の効果を発揮した。海岸部から押し寄せた津波は、この土手に達して、阻止された。土手の内側の内陸部は、津波から守られたのである。詳しくは下記。
→ 堤防は内陸部に
具体的な画像は、Google のストリートビューで見られる。
→ 仙台高速道路の土手(一例)
( ※ ところどころに、道路が通るトンネル部があって、穴があいている感じだが、たいして問題はない。どうせ津波は数十分で引いてしまうのだから、それまで持てばいい。)
【 追記 】
現地の人は、堤防建設よりも、高台への移転を望んでいる。その記事を下記に転載する。
津波の被害が大きかった宮城県気仙沼市。1キロにわたる海岸には、2年半後をめどに県内で最も高い 14.7メートルの防潮堤ができる予定だ。もう一つ、すでに書いた項目(2011年10月19日)から、一部を抜粋する。これは、田老地区の話。
近くを流れる川の堤防を含め、総事業費は約200億円になる。ところが、背後には震災前にあった民家は一つもない。津波ですべて流され、被災者の多くは高台へ移るからだ。
男性は言う。「だれのために巨額の費用を使うのだろうか。むしろ津波が来た時の避難道が整備されていない地区も多い。命を守るなら、まずそういうところに使うべきじゃないか」
同じ仮設住宅に暮らす60代の女性は「防潮堤より先に一秒でも早く高台に住宅を再建してほしい」と願う。
( → 朝日新聞 2013年7月10日 )
田老地区の人々は、もっと賢明だ。「防潮堤は無力だ」と判断して、高台などに移転する案を決めている。
X型の防潮堤(海抜10メートル)で山側と海側を囲まれた野原、野中の両地域は、四つのパターン案全てで非居住地域に設定された。
つまり、市および地元住民のプランでは、該当領域は非居住地域となった。とすれば、防潮堤は必要ない。結果的に、防潮堤は、誰もいない空地を守るために建設されることになる。
( → 田老地区の防潮堤の再建 )
>岸辺よりも数十メートル〜数百メートル内側の内陸部に、
>堤防を作ればいい。津波は、そこに達するまでにエネルギーを失う。
>だから、内陸部の堤防は小規模であっても、十分に有効である。
言っていることはとても合理的だと思うけど、
岸辺から数百メートルの部分については見捨てることになるんだよね?
住民からの賛同を得られるのかな?
見捨てるんじゃなくて、居住禁止にします。(倉庫などの利用はOK。公園もOK。)
その幅がどのくらいかは、場所ごとに違います。
いずれにしても、堤防建設費(1200億円)ほどの価値がないのは確実です。1200億円を費やして、10億円ぐらいの価値のある土地を利用できるようにする、というのは、あまりにも馬鹿げている。
ただ、1200億円を払うのは日本人全体で、10億円の土地をもらうのは現地住民ですから、そういう無駄が成立する。
もちろん一番儲かるのは、袖の下を 100億円ぐらいもらう自民党です。
国民は食い物にされて、一部の人だけがボロ儲け。
だけど政府が強引にその意見を押しつぶしているんです。「駄目だ。今の海岸沿いに住め。堤防を作ってやるから、堤防のそばに住め」
というふうに、堤防を無理強いしている。
住民は疑問に思う。
「その堤防、大丈夫なの? 16メートルとか言っているけど、それより大きな津波が来たらどうするの?」
政府は答える。
「大丈夫。それは何百年も先のことさ。そのときにはあんたはもう寿命が来ている」
「だったら、堤防の建設だって必要ないだろ? 堤防、やめれば? どうせ何百年後までは、持たないんだし」
「いや、堤防建設は私にとって必要なのさ。袖の下をもらうのに」
>(倉庫などの利用はOK。公園もOK。)
> その幅がどのくらいかは、場所ごとに違います。
> いずれにしても、堤防建設費(1200億円)ほどの価値がないのは確実です。
>1200億円を費やして、10億円ぐらいの価値のある土地を利用できるようにする、
>というのは、あまりにも馬鹿げている。
これをやろうとしたら、今住んでいる人たちの立ち退きを行う必要があるんでしょ?
どのくらいの人が立ち退きの対象になって、
立ち退きにかかる金額ってどれくらいの試算になるの?
それがないと、1200億円の予算が馬鹿げているかどうかは
判断できないんじゃない?
だから書いてあるでしょ。もともと住民が逃げ出したがっている水没地です。また、もともと居住禁止になりそうな土地です。
いちいち質問しないで、リンク先の項目を読んでください。
また、調べればわかることなので、私に質問しないで自分でググってください。私はあなたのおかあさんじゃない。いちいち手取り足取りはできません。自分の頭で考えて調べてください。
> 別物だと思うのですが。
もともと別物なんですけど、どさくさにまぎれて、震災対策の名目で土木工事を始めようとしているんです。
そもそも洪水にも津波にも、効果はありません。それがわかってやっている。袖の下のために。
「どちらの効果があるか」は無意味。どちらの効果もないのだから。
ただ、どちらの効果もあるように政府が偽って、金を無駄遣いしているだけ。
昔の人が「これより海側に家を造るべからず」って石碑を残してくれていたのに、現状ですから。
堤防がある場合。
Wikipedia 2010年5月24日
「現在、田老町には1982年までに高さ10メートル、総延長2433メートルの巨大な防潮堤が築かれた。 1958年に完成した1期工事の防潮堤は、1960年5月23日に発生・来襲したチリ地震津波の被害を最小限に食い止める事に成功した。 これにより、田老町の巨大防潮堤は全世界に知れ渡った。
この巨大防潮堤は、昭和三陸地震の大津波によって更地同然の姿になった田老町の防災の象徴となっている。」
http://j.mp/196z3SF
現在の Wikipedia
「この巨大防潮堤は田老の防災の象徴となっていたが、2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)による大津波はこの防潮堤を越えて町内を襲い、全域が壊滅状態となった。」
http://j.mp/15DJjPP
堤防があると、人は慢心する。
> 「これより海側に家を造るべからず」って石碑
それを真似て、公園に石碑を建てるといい。
「この土地の下に放射性廃棄物が眠っています」
これで放射性ガレキの捨て場所が決まるね。
妄想を根拠にしてる(ように見える)箇所があるなあ
逃げ出したがってるのかなあ
福一の避難区域が解除されて戻って住んでる人を見る限り、半数くらいは元いた土地で生活したいのでは?
ましてや、残留放射性物質の問題がないときたら、それこそ逃げだす理由がない
台風レベルなら防げる堤防は作れる、
でも津波が来たら防げないからなにもしませんよ、
だから津波が来たら水浸しですよ、
そんなところ住みたくないでしょう?
↑
正直にこういう論理展開です! とぶっちゃけちゃやいいのに
家がちゃんと残っているし、家の思い出も残っているんだから、そこに住みたがるのは当然です。「高齢者限定」で、私も居住を許容しています。(禁止に反対している。)
一方、津波で水没した地域は、家が何も残っていません。現地に戻ったときに見るのは、悪夢だけです。あたりでは多数が死んで、かろうじて自分は生き残った、というだけ。……地獄ですよ。
そんな地獄に遭う危険を、ふたたび冒したいと思いますか? もう一度そこに住めば、家族の半分が死ぬかもしれないし、自分が死ぬかもしれない。放射線で死んだ人は一人もいないけれど、津波では何万人も死んだんです。
私の言っているのは、論理展開や想像じゃありません。現実に起こったことです。テレビや新聞で何度も報道されました。何万人も死んだのは事実なんです。……その事実を知らない人がいるというのは、驚きですね。
もちろん「そこに住みたくない」という声も、たびたび報道されました。ネットばかり見ている人は、新聞記事を読まないんでしょうけど。
新聞記事を読んでいない人が多いようなので、該当の記事を一部抜粋して、転載しておきました。
タイムスタンプは 下記 ↓
それとも私の勘違いで、福島にスーパー堤防を作る話をしている?
あるいは、福島以外の日本の沿岸部でも立ち退きの手間を考慮する必要が無いほど、
逃げ出す人が続出してる?
まずは、どこに堤防を作る話をしているのか、ハッキリして下さい。
それは私も感じたので、さっき読み返しておきましたけど、別に混乱はしないはずですよ。
テーマはスーパー堤防だけど、den さんと他1名程度が、別の話題に持ち込もうとしていたので、そっちについても(ついでに)返答しただけです。
「堤防がどうして無意味か」というのは、別項の話題なので、そっちについてもついでに解説しましたが、その件はその件。別に混乱はしないでしょう。一つの項目に二つの話題が混じっているけど、それぞれの話題ごとに結論はきちんと出ています。
話が入り組んでいるので、読みにくくなっていますが、それは den さんたちが別項の話題を本項に持ち込んだからです。私のせいじゃないし。仕方ない。
わかりにくかったら、den さんたちの話題はすっぱり切り捨てるといいでしょう。本項の話題はスーパー堤防だけです。
あとは、別項の話題が混じり込んでいるだけ。それは私のせいじゃない。混じり込むのが厭なんだったら、本項には別項の話題について質問しないでください。別項についての質問は、別項のコメント欄に書いてください。たとえば、
→ 防潮堤推進の愚
→ 史上最大の愚行(被災地)
というリンクを示したんだから、そっちの項目を読んでから、そっちの項目に書けばよかったのに。なのに、きちんと別項を読みもしないで、本項のコメント欄に書こうとする ものぐさな人がいるから、本項に上記項目の話題がまぎれこんじゃうんです。
質問するときは、リンク先を読んでからにしてください。
内陸部に作る私の案の方が有効だ」
と主張している記事に
「でも、その案だと沿岸部の住民の立ち退きが必要だよね? それいくら掛かるの?」
という突込みがどうして別の話題なのですか?
私は、実現可能性やコストも含めて案の有効性は判断されるものと思っていましたが。
福島以外ならば、立ち退きは必要ありません。そのまま現地に留まっていていい。津波が来たら水没して死にそうですが、それは別に政府のせいじゃない。単なる現状維持です。危険な土地に住むことを決めたのは、政府じゃなくて、自分自身です。
内陸堤防よりも内側について守るだけです。内陸堤防よりも外側は、単に見捨てられるだけです。立ち退く必要はありません。危険だと思ったら、自発的に立ち退けばいいだけ。
立ち退く必要はありません。危険だと思ったら、自発的に立ち退けばいいだけ。
基本的には、そうですが、東北沿岸であっても、安全性を高めて、外側に住む方法もあります。
1)津波は長波で、伝播速度は√gHです。gは重力加速度、Hは水深。
http://www.srm-bcp.com/lecture01/images/20120704135730_1.pdf
2)海岸に達するときには、波頭の列は海岸線に並行に、進行は海岸線に垂直になります。
3)なので、海岸線に垂直方向で、海側が船首の形状の縦長の鉄筋コンクリート7階建等を建てればよい。
4)地盤はしっかり基礎工事する。
5)柱にはしっかり鉄筋を入れる。
6)住居部は3階から上。一番上は会議室、談話室、保育園など。災害時に活用できるようにする。
丈夫な建物、津波に逆らわない形状、水没しない高さなら、大津波でも死なない、住居も失われない。
7)高層化すれば、オープンスペースができるので、共同経営の農場、公園、イベント広場等に活用できる。
大津波は20分後に到達するとすれば、戸外にいる人が、15分で、それらのどれかに避難できるような
密度で立てればよいですね。