スマホ向け放送局の NOTTV が大赤字を出した、と話題になっている。
→ スマートフォン向け放送局「NOTTV」215億円の赤字
BeeTV が大儲けしているのに、NTTドコモの NOTTV が大赤字なのは不思議だ、という謎が話題になっている。
だが、これは別に、謎でもない。というのは、 NOTTV はまだ本格的に事業展開していないからだ。
→ Wikipedia
放送開始は去年から。スマホもようやく今年の4月ごろから充実してきた、という程度。一番肝心の録画機能は、まだ用意されておらず、今年の夏から。
つまり、本格的な事業開始は、今年の夏からである。まだ売上げが出ていないのは、当然のことだ。
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一方、池田信夫は、否定的な見解を出している。
もう債務超過だ。ドコモの設備コストは当初の申請でも438億円だったから、赤字はまだまだふくらむだろう。しかしこれは、勘違いだ。
これからNOTTVが放送打ち切りになったとき……
貴重なVHF帯は永遠に空いたままだろう。
( → 池田信夫 blog : NOTTVの謎 )
「事業の開始当初は大赤字が当然」(売上げが僅少なのに投資ばかりがあるから)
という基本的事実を理解できていないせいだ。
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では、今後はどうなるだろうか? それを知るには、過去の決算表を見ても、仕方ない。現物を見るしかない。現物を見ないで論じても無駄だ。
まず、これを見るといい。
→ NOTTV の番組表
バラエティやニュースもあるが、そんなものを喜んで見る人がいるとは思えない。ドラマや歌番組もあるが、魅力はあまりない。「暇つぶしにはなるか」という程度だろう。
一方、強い訴求力を持つものがある。アニメだ。上記の番組表を見ても、「攻殻機動隊」など、魅力度の高いアニメ番組がいくつかある。これが見放題で、月額 420円。十分に商売になる。というか、NTT のスマホをもつ人は、大部分が加入して、見続けるだろう。
したがって、将来の電車内の情景は、こうなる。
「電車の乗客は、みんなスマホでアニメを見ている」
将来的にはこれが普通になるはずだ。今は、メールや Web サイトをスマホで見ている人がほとんどだが、将来的には、アニメの動画を見る人がほとんどとなるだろう。(少なくとも若い男性は。)
というわけで、商売が成功するのは、まず確実だ。
( ※ またしても池田信夫の予言は はずれるだろう。)
[ 付記1 ]
このようなことが可能になるのは、NOTTV には録画機能があるからだ。「攻殻機動隊」などを録画して、翌日、好きなときにアニメ番組を見るわけだ。
機器の性能を見ると、25GB の記憶容量なので、普通の映画で2時間ぐらいか。アニメだと、容量を食わないので、4時間ぐらい録画できるかもしれない。
実は、アニメというのは、デジタル録画に適したコンテンツだ。細かい情報がなくて、容量を食わないからだ。この意味でも、アニメ番組は成功するだろう。
[ 付記2 ]
アニメのほかにエロもあるそうだ。
→ 「NOTTV」エロ番組の“意外な充実ぶり”
エロ番組は、さすがに電車内で見るわけには行かないから、どこまで成功するかはわからない。解像度は低いし。ただ、夜間に見るなら、いくらかの需要はあるだろうから、そこそこの成功は見込めそうだ。
[ 付記3 ]
アニメはたいていが男性向けだ。女性向けの番組を充実しないと、商売は成功しにくい。女性向けのアニメも増やした方がよさそうだ。「けいおん」や「君に届け」なんかだとぴったり。他には、次のものがある。
→ 「女子向け恋愛アニメ」一覧
これと比べると、現状は男性向けに偏りすぎている。(SFの宇宙ものが多い。……ひょっとして、今週の番組表だけかもしれないが。)
[ 付記4 ]
顧客の伸びについては、次のグラフがある。
→ NOTTVの契約者数推移 (記事)
[ 余談 ]
本日の教訓。
「アニメは スマホ放送局 を救う」
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2013年春アニメ&TVドラマ