2013年06月23日

◆ 辛坊ヨットと鳥人間:事故の共通性

 辛坊のヨット事故が話題になっている。一方、鳥人間の事故も話題になっている。この二つの共通性を探る。 ──

 辛坊のヨット事故が大いに話題になっている。一方、鳥人間の事故も小さく話題になっている。この二つには、共通性が見受けられる。それを知ることで、隠れた本質を探ることができる。

 (1) 辛坊のヨット事故

 辛坊のヨット事故は、世間を大きくにぎわしている。
 まず、話の発端は、これだ。
  → 辛坊キャスター、ヨットで太平洋横断へ
 「全盲男性の夢を叶えるために、タレントが協力して、太平洋横断」
 というお涙頂戴の記事。

 その後、事故が起こって、救助された。これはめでたいように思える。問題は、コストだ。単に自衛隊が出動したぐらいなら、ただの訓練みたいなものだから、いくら人件費がかかっても、たいして問題はない。
 ところが現実には、大被害が発生した。波高3メートル以上という悪環境のなかで強引に着陸したせいで、エンジン1機が破損してしまった。( → 日刊スポーツ
 この修理費は、億円単位になりそうだ。また、機体全体のオーバーホールも必要だろう。

 その後、「イラク人質事件ではさんざん自己責任を唱えたくせに」という批判も湧いた。しかしこれはあまり筋が通らない批判だ。というのは、当時、彼に限らず、日本人の大部分は「自己責任論」を唱えていたからだ。( → http://j.mp/11Sk44Yhttp://j.mp/14oAyot , http://j.mp/109pPyE )

 さらにその後、重要な指摘が出た。「今回の企画は、日本テレビの「24時間テレビ」の番組に合わせた記事ではないか」という疑惑である。次のページで検証されている。
  → 救助された辛坊治郎の「冒険」は日テレ・24時間TVの企画だったとの噂
  → 救出された辛坊治郎さんがブログ全削除で物議
  → 無謀な挑戦は24時間テレビの企画? 辛坊治郎の遭難に批判の声が相次ぐ
  → 辛坊治郎さん 全盲の男性とヨットで太平洋横断へ

 最後の項目には、次の見解がある。
 細かく言うと、「24時間」は、日テレの企画で、大阪読売テレビは、系列局ではあるけど、別会社。
 今回の予定も、順調に行けば、8月10日到着だし、「24時間」がいつになるのか知らないが、下旬だと途中挫折しかない。
 強いて言えば、大阪読売TVが、いま、55周年で「ゴーゴー」をアピールしてるので、
 その一環にと辛坊が、企画を大阪読売に持ち込んだ。
 系列局だから、日テレで放送もあるかもしれないが、あくまで、大阪読売のローカルイベントだから、毎日、ローカル放送の「す・またん」で実況中継してる
 
  ──
 
 そうなんだ。不勉強で吠えてしまってすまなんだ。
 24時間テレビでゴールするとなると、二週間ほど伸びないとダメなのか。
 まぁ、先日アメリカにゴールした辛坊さんでーす! と紹介する一場面くらいはあるかもね。
 この見解からすると、「24時間テレビのためだ」と断言するのは、少し弱い。とはいえ、大阪読売のためであったことは事実であるようだ。
 そしてまた、1番目の記事にあるように、「重大な欠陥が見つかったのに、応急処置だけをして、無謀にも出帆した」という事実があるようだ。
 「どうしても出発を遅らせるわけにはいかない何らかの理由があったと考える他はない」
 とブログ主は述べている。それが「24時間テレビのため」かどうかはわからないし、本当に延期できなかったかもわからない。それでも「ブログ記事を全削除した」ということからして、何らかの後ろめたい事情があったのは事実だろう。そして、それにテレビ局が絡んでいることも事実だろう。

 結論としては、こう言える。
 「テレビ局の都合により、欠陥を放置して、あえて危険な冒険に出向いた。そうしたら、案の定、事故になってしまった」

 これは、「偶然に起こった事故」ではない。「起こるべくして起こった事故」だと言える。

 
 (2) 鳥人間の事故

 鳥人間の事故は、あまり大きく話題になっていないが、一部では話題になっている。
  → 鳥人間コンテストを提訴「落下の衝撃で動けない身体に…」
  → 鳥人間コンテストで負傷し提訴した女性、ブログで詳細を説明
  → 鳥人間コンテストの事故について、鳥人間の立場から考える

 最後の記事を読めばわかるが、これは、「偶然に起こった事故」ではない。「起こるべくして起こった事故」だと言える。なぜなら、あまりにもずさんな過程を取ったからだ。
  ・ 飛行機の制作者は、飛行試験さえもしないひどさ。
  ・ 番組の制作者は、ろくに書類チェックもしない。


 コメントに次の見解があった。
 「仮装 紐なしバンジーをゲラゲラ笑いながら見る 危険で悪趣味な番組」
 かなり適確な表現だ。かなり高いところから水面にいきなり落下させる。しかもまわりには危険な材木などがある。相当、危険度は高い。私は見るたびに、「何と危険な」と思っていたものだ。
 こういう危険を長年 放置してきたことからして、テレビ局の責任は、きわめて大きい。
( ※ しかも、出演料などはまったく払っていないらしい。上位に入賞した人には何らかの賞金か何かが出るらしいが、入賞しなかった大多数の人には運搬費ぐらいしか出ないようだ。)


 というわけで、これもまた、テレビ局のずさんな「危険を放置する体質」が根源であったことになる。
 ちなみに、これも大阪の読売テレビだ。(1) と同じ。

 ──

 まとめ。

 二つの事故には、共通点がある。
  ・ 読売テレビ(and/or 日本テレビ)の番組が根源。
  ・ 危険を放置したせいで事故が発生した。
  ・ 危険放置の理由は、番組制作のいい加減さ。


 簡単に言えば、「気違いに刃物」ならぬ「素人に真剣」である。真剣というのは、人を殺す殺傷力があるのだから、素人がいじるべきものじゃない。いじるならば、入念な注意が必要だ。なのに、勝手に素人がいじれば、そこいらで人を殺す事故が発生するのも不可避だろう。
 それと同様のことが起こった。太平洋横断であれ、鳥人間であれ、人の生命に関わるほどの危険性をもつ。当然、入念な注意を尽くす必要がある。にもかかわらず、きわめてずさんな方針で、その危険に踏み込んだ。
( ※ しかも、あとで非難されないように、いろいろと事実を隠したり、証拠湮滅をしたりした。)

 日本のテレビ局は、視聴率優先のあまり、危険なことに安直に踏み込みすぎている。
 実は、事例は、この二つではない。先に、次の事故もあった。
  → 「菊間アナ 転落事故」 - Google 検索
  → その画像(一覧)
 これは日本テレビでなく、フジテレビの例だ。会社は違うが、いずれにせよ、「危険を無視して視聴率狙い」という体質は同様だ。
 
 こういう危険を放置するのは、好ましくない。実際、辛坊ヨット事件では、命は奪われなくとも、飛行艇のエンジンが破損して、日本国民に損害が生じた。テレビ局がわずかな利益を狙ったせいで、日本人全体に巨額の損失が発生した。
 このようなことは放置するべきではない。



 [ 付記 ]
 実を言えば、これは、東電の体質とまったく同じなのだ。「原発の安全対策の費用を浮かせて、利益が出たぞ。しめしめ」と思ったあげく、原発事故を発生させて、日本中に大被害をもたらした。
 テレビ局も、東電も、同じ穴のムジナ。……ここに気づくべきだ。
 


 【 関連項目 】
 とにかく、日本の安全意識は、いい加減すぎる。だからこそ私は「安全」というカテゴリで、このブログにしばしば記事を書く。
  → カテゴリ「災害・安全」 (記事一覧)





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posted by 管理人 at 23:29| Comment(5) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
どこかの土埋め新幹線と同じ体質ですね。
事故やトラブルが発生したときの対処法を突き詰めると現存する不具合で前へ進めない。ゆえにその様なものが発生しないように運営しろと綱渡り。前例踏襲保守的思考が助長します
Posted by 京都の人 at 2013年06月24日 07:08
ヨット歴は長くとも、抜群のヨットマンではない人が、全盲の人を乗せて太平洋をヨットで横断する企画自体、無謀でしょう。
 大自然の中の長期間の航海。暴風雨等、過酷な事態に必ず遭遇する。何が起きているか、起きようとしているかを見て、対応しなければならない。
事前にリスクを予測し、対策したヨットを用意しなければならない。航路の選択も重要。
 全盲の人を有能なヨットマンといっていたが、平穏な天候のときなら、ある程度やれるかもしれないが、最悪の状況で視角情報が非常に重要な場合
は厳しい。自然は誰にでも公平で手加減しない。

 無理な目立つことを敢えてしたのは、業界での商品価値を上げる必要があったのか? あるいは政界へ出ようとする布石だったのか? 不明ですが、
この人は、自分は国家の指導者級の人間ではないと、公に示したように思えます。
 しかし、荒れた海で二人を無事に救助した関係者には敬意を表します。

 鳥人間コンテストは、個人的には、有意義な企画だと思います。
過去のビデオを見れば、参加者は、どのような機体が飛行に適しているかは推測できる。安全性に関しては、管理人さんの指摘のように、より一層の
改善はやるべきだし、望まれます。
1)全く飛行に適さない機体には、ダメだしがあってもよい。おちゃらけはなくても十分成り立つ企画。
2)不運に落下する場合も考えて、近辺に障害物がないようにしておく。
3)着水地点で、迅速に救出する態勢にしておく。
Posted by 思いやり at 2013年06月24日 22:35
何の安全装備もない生身の人間が100km/h以上のスピードで走れるオートバイに乗ることは無謀ではないのか。
社会が容認している?
なぜ?

GPSや衛星携帯が無かったら出航しなかったのか
飛行艇が行けないほど遠かったらどうだったのだろう
ハワイの米軍に救援依頼?

冒険しずらい世の中になったな という感想。

鳥人間の事故は知らなかったが、事故と聞いて人力部門だろうと思ったらやっぱりそうだった。滑空機より頑丈で重い機体に乗って落下することを危険と思わないことが怖い。
管理人さんの言うとおり 原発の安全管理と同じ体質に陥っている
Posted by P助 at 2013年06月25日 07:22
辛坊さんの件と鳥人間コンテストの件、新しいけれど、夢多い素晴らしい企画と私は考えています。これからの日本はどうあるべきかと云う観点で眺めました。私は欧米諸国が日本が入る前にやっていた方法を取るべきだと考えます。何か危険な事、最初に船や航空機に乗るような、夢多き冒険を企画した時、それによって起る被害はそれを企画した人たちが払うのは当然と考えます。世界には優れた保険会社が存在するので、保険をかけてから夢多い冒険に参加する事です。この両方の事件で辛坊さんと鳥人間コンテスト主催者は当然保険をかけ、それによって必要な金額を払うべきです。今後こんな夢多き企画を日本からなくしないで下さい。私の孫たち、15才以下、が楽しく興奮しながら見ています。これがなくなったような日本はつまらない国です。
Posted by 進藤幸太郎 at 2014年02月06日 17:00
本項の論点は、冒険をやるかどうかではなくて、冒険をやるなら安全対策をしっかりやれ、ということです。
 保険をかければ安全対策はますますなおざりにされて、死者が出ます。
 あなたの対策だと、死者には保険金が出ますが、「金を払えば死者を出してもいい」というテレビ局の方針をますます増長させます。
 それでいいのですか? それとも安全対策をしっかりやって死者を出さないようにするべきでしょうか? よく考えてください。

 ところで、あなたの命は、いくらで売りますか? 死後に保険会社から1億円もらえれば、死んでもいいですか?
Posted by 管理人 at 2014年02月06日 19:32
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