自治体が古新聞などの古紙回収をしている。これを「エコのため」と思っている人が多いようだ。しかし、そうではない。そのことは自治体のページでも記述している。
資源を回収してリサイクル。とてもいいことをしているような気がします。確かに、ごみとして出してしまうよりも、資源としてリサイクルしたほうが環境にもいいところがあります。
( → 狛江市 (PDF) )

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文中の数字を見ればわかるように、回収の経費と、回収物の売上げは、次の通り。
《 経費 》 《 売上げ 》
75718 千円(平成18年) 8750 千円(H 17.4〜18.3)
91545 千円(平成19年) 10107 千円(H 18.4〜19.3)
時期がいくらかずれているが、ざっと見て、売上げの
民間業者に任せれば、市民にロールペーパーを渡しても、なおも利益を上げることができる。なのに、自治体が回収すると、利益を上げるどころか、莫大な税金を投入することになる!
──
ここで、自治体の回収の是非を見ると、次のようになる。
(1) 自治体による回収をする場合
・ 自治体は、多額の損失が出る。
・ 市民の側は、何も利益がない。
・ 市民の側には、古新聞を運ぶ手間という、多大な負担がかかる。
(2) 自治体による回収をしない場合
・ 自治体は、多額の損失を出さずに済む。
・ 市民の側は、ロールペーパーをもらえる。
・ 市民の側は、古新聞を運ぶ手間がない。(戸別回収)
このうち、最後の点が最も大きい。個別回収ならば、自宅の入口に新聞紙を置くだけで済む。一方、自治体回収の場合には、遠くの回収場所まで、重い新聞紙を運ぶ手間がかかる。老人には、大変だ。
となると、「古新聞を出せなくなるので、新聞の購読をやめます」という家庭が増えそうだ。これでは、新聞社の商売があがったりだ。そこで、新聞社が自発的に「戸別回収」をするようになる。
→ 新聞販売店古紙回収サービス
すると、どうなるか? 古紙回収は、最低でも、次の三本立てとなる。
・ 読売新聞による古紙回収
・ 朝日新聞による古紙回収
・ 自 治 体 による古紙回収
こうして、同じ地域に、古紙回収のシステムが三つも乱立する。ものすごい無駄だ。回収効率は大幅に低下する。つまり、エコに反する。(たとえば、自動車のガソリン消費量が3倍になる。人件費も大幅にかかる。)
実際、私の自宅のある地域では、上記の3本立てだ。まったく無駄だ。
では、以前は、どうだったか? 自治体は何もしなかった。すると、次の1通りだけだった。
「古紙回収業者がちり紙交換に来る。月に2回ぐらい」
これで何も問題がなかった。効率も良かった。
──
結論。
古紙回収は、自治体が何もやらないのが、一番いい。そうすれば、民間の業者が自発的に回収する。その場合、市民は戸別回収してもらえるし、ちり紙ももらえる。
一方、現状では、自治体が回収している。この場合、戸別回収はないので、市民には負担がかかる。また、ちり紙交換がないので、市民の利益が減る。その一方で、市民が損した分だけ、自治体がちり紙代に相当する代金(ごく小額だが)をかすめ取っている。
自治体は、市民に大迷惑をかけると同時に、自治体自体も多額の損失を出している。まったく割に合わない。しかも、それを隠すために、「古紙回収で多額の売上げが出ています」という顔をする。そのとき、かかった費用を隠している。
結果的には、自動車が何度も往復することで、ガソリン消費という資源の無駄遣いが生じる。また、「再生紙でできたロールペーパー」を配布しなくなることで、再生紙の利用比率が低下してしまう。パルプが浪費され、資源の再利用が低下してしまう。
自治体による古紙回収というのは、エコキャップと同様だ。「エコをしています」という宣伝をすることで、人々に多大な迷惑をかけて、自分だけが少額の利益を盗み取る。一種の泥棒だ。
[ 付記 ]
次の記事もある。
東京・西東京市は、リサイクル資源になる古紙が勝手に持ち去られるケースが相次いでいることから、古紙にGPS装置を取り付けて、持ち去る業者を特定する、全国でも珍しい取り組みを行うことになり、11日、運用テストが実施されました。こんな馬鹿げたことにまでコストをかける。つまり、税金の無駄遣い。それを見て、「エコの推進だ」と勘違いする阿呆が続出する始末。
この取り組みは西東京市と古紙の回収業者などで作る業界団体が新たに始めるもので、11日は本格的な実施を前に運用テストが行われました。
市内2か所のごみの集積所に位置と時間を発信するGPS装置を取り付けた古紙を置き、離れた車の中からタブレット型の端末で古紙の場所をチェックしていました。
( → NHK )
一番のエコは、「自治体による古紙回収をやめること」だ。そして、それによって一番利益を得るのは、重たい古新聞を持ち運ばないで済む高齢者だ。
高齢者の気持ちをもっと考えてもらいたいものだ。高齢者じゃなくたって、腰痛持ちの人はけっこう多いしね。
( ※ 私の地域は、一時は大変だったが、読売新聞が古紙を戸別回収に来てくれるようになってから、とても助かった。その後、朝日も追随した。)
【 関連項目 】
同じ話題で、過去記事も書いた。
→ 古紙回収はエコでない
→ 古紙リサイクルと自治体
→ 古紙リサイクルと利権
→ 古紙リサイクルと新聞社
というわけで、本項は、定点観測ふうですね。
赤字の8千万円分で生活できている人がいて、資源再生で生活している人がいるので、仕方がない面もありますが、管理人さんの主張は、一理も二理もあります。
日本で消費されるトイレットペーパーの量も物凄く、熱帯雨林等の森林を消費しています。よく考えると、日本では世界一の温水洗浄便座が普及している。使用後に温風が吹くようにすれば、トイレットペーパーは不要になります(潔癖症の人以外は)。
しかし、それをやると製紙企業が反対する。仕事が減り収益が悪化する。マカオにも行けなくなると。人口が多いと、いろいろな無駄を温存しないと困る。
適正人口へ近づけつつ、失業者を出さないように、無駄な資源浪費を減らしていくことが地球環境を持続させるためには望ましいのでしょう。将来を考えると、適正人口の経済学は必要です。
> 売上げの9割程度の経費がかかっていると見ていいだろう。
というのは、間違いですね。あとで訂正しておきます。
http://www.jcpra.or.jp/association/financial/19/flow.html
ここの収支だけを見ると、収入と支出がつりあっているようにみえますが、収入の大半が、補助金(政府支出)です。それを除くと、総費用500億円に対して、売却益は50億円でしかありません。
容器プラなんて、不純物が多くて、まともなプラ原料にはなりません。
容器プラは、分別せず、燃やしてしまった方がいい。手間がかからなくなる分だけプラスです。
・「毎度おなじみの・・・」がうるさい。
・見知らぬ人が住宅街をウロウロするのが怖い。
・相場が判らないので損しているかもしれない。
自治体だとうるさくない、公務だ、相場は一定。と「おかみ」なら何でもOKという概念があるようです。
自治体でなくてもいいが、自治会が業者を入札せよという強固なじいさんもいました。
複数の回収業者の本店に連絡して、回収曜日と時間帯を固定することで解決しました。
どうせ捨てるものを回収してくれているんだから交換物の多寡で文句を言うな、それでもどうこういうなら貴様が入札を仕切れ!という自治会長の怒声で入札は消えました。
うちの近所の容器プラは分別回収されていますが、投下燃料として熱量を調整し易くする為の分別回収だそうです。
生ゴミと混合していると投入量と熱量を見積もれないそうで。
売却・・・せずに埋めてますね。
「ゴミの持ち去りは犯罪です!」と大書きしてあることがあります。
空き缶拾いで生計を立ててるような人を大目に見ることすらできないのか・・・