ジアンチャンゴサウルスという新種の恐竜の化石が見つかった。
北海道大の小林快次准教授(古脊椎動物学)と中国の研究者の共同チームは、中国で発見された恐竜の化石について、肉食恐竜の骨格ながら草食用の歯やあごを持つ新種であることがわかったと、30日付の米科学誌プロスワンで発表する。草食系の恐竜から鳥類への進化の可能性を示す貴重な資料になるとみている。これらは、先の始祖鳥に似た小型鳥類(アウロルニス)と、どう関係するだろうか?
小林准教授によると、鳥類は、肉食恐竜で小型獣脚類のコエルロサウルス類から進化したとの見方が有力とされている。今回、白亜紀前期(約1億2500万年前)の地層から見つかった新種は体長約2メートルで、コエルロサウルス類に含まれるテリジノサウルス類の一種だが、くちばしが発達。のこぎり型の歯のギザギザや、歯のかみ合わせのカーブが植物繊維を切る構造を持っていた。「ジアンチャンゴサウルス」と名付けた。
( → 朝日新聞 2013年5月30日 :画像あり )
それを知るには、Wikipedia の分類図を見るといい。
━コエルロサウルス類
┣トゥグルサウルスTugulusaurus
┣ティラノサウルス類(tyranosauroidare)
┃┣ディロング
┃┣ティラノサウルス
┃┗アルバートサウルス
┗マニラプトル形類 (maniraptoriformes)
┗オルニトミモサウルス類 (Ornithomimosauria)
┃┗オルニトミムス類
┃┃ ┣オルニトミムス
┃┃ ┣ストルティオミムス
┃┃ ┗ガリミムス
┃┗アルヴァレスサウルス類 (Alvarezsauridae)
┃ ┣モノニクス Mononykus
┃ ┗アルヴァレスサウルス Alvarezsaurus
┗コンプソグナトゥス類 (Compsognathidae)
┃┣コンプソグナトゥス
┃┗シノサウロプテリクス
┣オルニトレステス類 (Ornitholestidae)
┃┣?コエルルス
┃┗オルニトレステス
┗マニラプトル類 (Maniraptora)
┣┳テリジノサウルス類 (Therizinosauridae)
┃┃┣テリジノサウルス
┃┃┗セグノサウルス Segnosaurus
┃┗オヴィラプトル類 (Oviraptoridae)
┃ ┣オヴィラプトル
┃ ┗プロターケオプテリクス
┗エウマニラプトル類
┣デイノニコサウルス類 (Deinonychosauria)
┃┣トロオドン類 (Troodontidae)..
┃┃┣トロオドン
┃┃┗メイ
┃┗ドロマエオサウルス類 (dromaeosauridae)
┃ ┣デイノニクス
┃ ┣ヴェロキラプトル
┃ ┗ミクロラプトル
┗鳥類(綱) (Aves)
┃┣始祖鳥( Archaeopteryx)
┃┣孔子鳥 (Confuciusornis)
┃┗エナンティオルニス類 (Enantiornithes)
┗オルニテュラエ類(Ornithurae)
今回の恐竜は、テリジノサウルス類に含まれる。それは、始祖鳥などが含まれるエウマニラプトル類からは大きく隔たっている。むしろ、オビラプトルを含む仲間だ。
一方、オビラプトルは、
オビラプトル類 → 恐鳥類 → 走鳥類 → 現在の鳥類
という系統の最初のあたりに属する。
今回のテリジノサウルス類は、オビラプトルとは、系統の上では並列的に位置する。
ただ、テリジノサウルス類は、オビラプトルよりも一段古い時代に属する。その意味で、今回の化石種を「鳥類の祖先」と見なすのは、ほぼ正しい。時期的にも、1億2500万年前という時代は、オビラプトルの時代(約9,900万年前〜約6,500万年前)よりも古いから、妥当である。
( ※ この件は、次項で詳しく述べる。)
──
ただし、注意すべきことがある。
テリジノサウルス類は、エウマニラプトル類とは別の系統に属する。その意味で、エウマニラプトル類から分岐した(らしい)始祖鳥などは、テリジノサウルス類とは別の系統である。
つまり、テリジノサウルス類は、始祖鳥などの古鳥類の祖先ではない。ただし、テリジノサウルス類は、現生の鳥類(新鳥類)の祖先であるオビラプトル類と近縁である。
簡単に図を示すと、次の通り。
エウマニラプトル類 ──
└┬─ 始祖鳥
└── 古鳥類 ──
……─┬─ テリジノサウルス類
└┬─ オビラプトル類
└┬─ 恐鳥類
└┬─ 走鳥類
└─ 現在の鳥類(走鳥類以外)
結論。
今回の新種は、「オビラプトル類の祖先」という位置づけである。その意味で、おおまかには、「現生の鳥類の祖先」と見なしていい。
なお、今回の新種を、「始祖鳥の祖先」と見なすことはできない。そもそも、始祖鳥の時代は、今回の新種の時代よりも、ずっと古い。この新種を始祖鳥の祖先と見なすのは、時期的に不整合である。
( ※ エウマニラプトル類の仲間は、かなり早期に翼をもって滑空し、古鳥類として発達した。一方、オビラプトル類の仲間は、まずは恐鳥類として発達した。それらが翼を備えて空を飛べるようになったのは、白亜紀の最後のころである。……この両者は、どちらも鳥の形態をもつようになったが、そういう進化が起こった時期は大きく異なる。)
【 関連項目 】
→ 恐竜と鳥の系統図
【 関連サイト 】
英文情報を求めたが、たいした情報は見つからなかった。
→ Jianchangosaurus - Wikipedia 英語版
→ The Asahi Shimbun
→ DinoChecker's dinosaur archive
※ 北大の発表なので、日本語情報が一番詳しいようだ。
──
日本語情報では、下記が最も詳しいようだ。
→ マイナビニュース
これを見ると、原論文(英語)が見つかる。
→ 原論文(英語)
テリジノサウルス類であることの化石証拠や位置づけの話が多い。鳥類との関係は、あまり記してない。あくまで恐竜の一種としての研究だろう。あまり面白くない。

結論。
の箇所を、読み直してください。
修正のタイムスタンプは 下記 ↓
(弁解にもならないけど。すみません。)
タイムスタンプは 下記 ↓
理由は、次項で示します。