2013年05月30日

◆ アウロルニス(最古の鳥類?)

 始祖鳥よりも古い鳥類とされるアウロルニスという新種の化石が発見された。 ──
  
 まずは記事を紹介しよう。
 中国遼寧省の1億6500万〜1億5300万年前(ジュラ紀中期〜後期)の地層から見つかった。研究チームは、「あけぼのの鳥」を意味する「アウロルニス」と名付けた。
 ほぼ全身の化石が見つかり、羽毛の痕跡も確認できた。全長は51センチ。骨格を分析した結果、始祖鳥よりも恐竜に近く、これまでの鳥の化石のなかで最も原始的であることがわかった。
( → 2013年5月30日 読売新聞

 研究員によると、この恐竜の化石は1億5000万年前の地層の中に良好な状態で保存されているのが見つかった。体長は約51センチで、前足の位置に2枚、両脚に沿って2枚の合わせて4枚の翼を持っていた。風に乗って滑空することはできたものの、地上から飛び立つことはできなかったとみられる。餌として昆虫を食べていたようだという。
 この恐竜は、ラテン語で「夜明け」を意味する「Aurora」と、ギリシャ語で「鳥」を意味する「Ornis」を合わせて「アウロルニス」と命名された。
 これまでの学説では、やはり1億5000万年前に生息していた別の始祖鳥が、最も原始的な鳥類と考えられていた。しかし今回発見された恐竜は、始祖鳥よりもさらに古く、原始的な鳥類と考えられるという。
( → CNN ニュース

 アウロルニスの化石は全長約51センチで、成体とみられる。骨格はほぼ完全だが、羽毛や翼の状態はあまり分からない。
( → 時事通信 2013/05/30


aurornis1.jpg
出典:CNN


aurornis2.jpg
出典:redorbit


 ──

 上記の点について解説しておこう。

 (1) ここでは記述されていないが、アウロルニスと同様のものとして、次の二つが知られていた。
  ・ アンキオルニス
  ・ トロオドン類

 どちらもアウロルニスとほぼ同時期である。ただ、アウロルニスの方がちょっとだけ古い。
 その意味で、今回の発見は、「画期的な新発見」というわけではない。これまでの記録を、ほんのちょっと古い方に更新しただけだ。
 記事を読むと、「始祖鳥よりもかなり古い」というふうな記述があるが、これは比べるものを間違えている。「始祖鳥よりもかなり古い」というだけなら、すでにアンキオルニスとトロオドン類が知られていた。
  → 恐竜と鳥の系統図 ( 2013-05-30 更新)

 (2) さらに、ペドペンナというものも知られていた。これは時代が不詳で、1億8000万年から1億4400万年前ということだから、他の三つよりは、古いかもしれず、新しいかもしれない。いちおう参考に留めておくぐらいでいいだろう。
 
 (3)「ほぼ全身の化石が見つかり」という点が重要だ。これまで知られていたトロオドン類は、あまりはっきりした化石ではなかったからだ。下記のページを参照。
  → メイ Mei long (化石の画像あり)
  → メイ・ロン - Wikipedia
 
 (4) 後脚に羽毛があることが判明したようだ。(復元図参照。)
 後脚に羽毛があると判明したとしたら、「羽毛の根っこが間接的にくっついていたことの証拠」みたいなものが化石に見つかったからだろう。(ただし、時事通信の記事によれば、はっきりとしていないらしいが。)

 (5) 二翼恐竜の前に四翼恐竜がいた、ということは、すでにアンキオルニスなどから判明していた。
  → アンキオルニス
  → ナショナルジオグラフィック
 
 参考までに、「二翼と四翼」という話題については、前に論じたことがある。
  → 鳥の祖先の翼:4枚 → 2枚?

 ──

 以上をすべてまとめたあとで、次のように結論できる。
 1.今回の発見は、特に目立つものではない。アンキオルニスや、メイ・ロンの記録を、少し古くしただけだ。時間的にはほとんど無視していいぐらいの差しかない。ほぼ同時期と見なしていい。
 2.形態的にも、アンキオルニスとほとんど差がない。その意味で、騒ぐようなことは何もない。
 3.四翼恐竜がいくつも見つかったことで、この時期に四翼恐竜がかなり繁栄していたようだとわかる。
 4.これらはいずれも恐竜の一種だが、原始的な鳥類とも見なせる。恐竜から鳥類への過渡的な変化がいっそう明らかになった、と言える。



 [ 付記 ]
 ただし、ここで言う「鳥類」は、「古鳥類」のことであり、現在の鳥類(新鳥類)とはまったく関係がない。単に「翼をもって空中を飛べる」という意味の「鳥類」であるにすぎない。この系統の生物は、白亜紀末に、すべて絶滅した。
 一方、現在の鳥類につらなる系列は、恐鳥類が小型化する形で、ずっと後の時代に生じた。こちらは、恒温性をもつがゆえに、白亜紀末の寒冷期を生き延びて、今日にまでつながる系列となった。
 要するに、「鳥類」は、二つの系列があり、それらが収斂進化したのである。ちょうど、哺乳類のクジラが、魚類と同様な形態に収斂進化したように。
 クジラは魚類に似ているが、魚類ではない。「どちらも水中に棲息する」からといって、「どちらも同じ仲間だ」とは言えない。
 鳥類も同様だ。「どちらも空中を飛ぶ」からといって、古鳥類と新鳥類を「どちらも同じ仲間だ」とは言えない。アウロルニスやアンキオルニスは、古鳥類に属するがゆえに、現在の鳥類とは関係がないのである。
 このことは、次の項目でも説明した。
  → 鳥の祖先の翼:4枚 → 2枚?

 また、恐竜から鳥類へ至る系統樹は、下記ページに記した。
  → 恐竜と鳥の系統図
 


 【 関連サイト 】

 (1)
 英文記事では、次の記事がいい。
  → World’s Earliest Bird Uncovered

 本項の内容と重なる記述が見つかる。
 ただ、本項(Openブログ)よりは、情報量が少ない。本項を読めば、特に読む必要もないだろう。「Openブログの言っていることは間違いじゃないな」と確認するぐらいの意味。
 
 (2) 
 別途、英語版 Wikipedia が早くもまとまっている。
  → Aurornis - 英語版 Wikipedia
 特に見るべき情報があるわけではないが、「始祖鳥はげん材の鳥類の先祖ではない」という見解が見つかるのが、興味深い。ここでも、私の見解が補強されている。
posted by 管理人 at 22:20| Comment(2) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
興味深い情報です。中国は貴重な化石が出るところがうらやましい。住みたい国ではありませんが。
 飛翔に使わないとしても、羽を持つに至った環境圧力に想いを馳せますね。
 ジュラ紀末期ころ、全球平均気温が25℃から17℃まで下がった(2000万年間)説があり、であれば、恐竜たちは、寒さに震え上がった? それ以上に、子供を孵化させるのが大変になった? 進化戦略が機能した? 面白いですね。
Posted by 羽が欲しい at 2013年05月31日 20:21
始祖鳥およびそれ以前の原始的な鳥類は、竜骨突起がないことから、羽ばたく力を持たないと推定されています。
 しかしムササビのように空中を滑空したと見なされています。地上で無駄に翼や羽根をもっていたのとは違って。

 → http://openblog.meblog.biz/article/3380587.html
 
 一方、白亜紀末の鳥型恐竜(オビラプトル類)は、大型であることから滑空もできず、単に保温のためにだけ羽毛があったと推定されています。
Posted by 管理人 at 2013年05月31日 20:56
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ