鳥の祖先について最新の研究を紹介する記事があった。(読売・夕刊 2013-04-25)
次の趣旨。
鳥の祖先の翼は、4枚から2枚になった。初期は4枚だったが、その後に2枚になった。
・ ミクロラプトル …… 4枚
・ サペオルニス …… 4枚だが、後脚の翼は小さい
・ ヤノルニス …… 2枚(後脚の翼はほとんどない)
年代は、いずれも白亜紀前期。1億2500万年前〜1億2100万年前。ただし、前のものほど、少し古い。
ここから、次のように推定している。
「まずは4枚の翼で飛び始めたが、しだいに後ろの翼は退化して、移動したり止まったりする足としての役割に特化していったのでは?」
──
以上の話は、この三つだけを見るのならば、妥当だろう。
ただし、この三つを「鳥の進化」という全体のなかに置くと、たちまち矛盾が生じる。
まず、同じ記事のなかに、次のことがある。
「約 7000万年前(白亜紀後期)の地層から、オルニトミムスが見つかった。この恐竜は、体長 3.6メートルでかなり大型であり、しかも肩の関節は未発達なので、飛べなかったはずだ」
この話と先の話を合わせると、次の結論が得られる。
「翼の発達した小型の鳥から、翼の発達しない大型の鳥へと進化した」
これは、次のことを意味する。
「翼が退化したことで鳥は進化した」
これでは自己矛盾というものだ。
つまり、「最新の研究」と称するものは、自己矛盾に満ちている。「研究が新しければ正しい」ということはないのだ。
──
では、正しくは? それは、本サイトで以前から示している。
→ 鳥類の進化
→ 恐竜と鳥の系統図

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ここから、次のことがわかる。
・ 鳥類には、二つの系統がある。
・ 第1の系統は、初期には翼が4枚であり、後期には2枚だった。
・ この系統の鳥類は、小型化して、良く発達して、真鳥類になった。
・ しかし恒温性がないので、恐竜の絶滅期にすべて滅びた。
・ 第2の系統は、初期には大型の鳥型恐竜だった。
・ それが、前肢を消失させたあとで、翼を生やした。
・ それがさらに翼を発達させた。しかし飛べなかった。
・ その一部が小型化して、少しずつ飛べるようになった。
・ この系統は、初期は半恒温性があり、のちに恒温性を得た。
・ この系統は、恒温性ゆえ、恐竜の絶滅期を乗り越えた。
このように考えれば、矛盾なくすべては説明される。
簡単に言えば、こうだ。
・ 翼が4枚から2枚になった系統もあるが、それはすべて絶滅した。
・ 前肢2本から前肢0本を経て、翼2枚になった系統がある。それが鳥類へ。
【 関連項目 】
→ サイト内検索 (鳥 恐竜)

紹介の << 恐竜と鳥の系統図>>のヴェロキラプトル (恐竜)のその後は気になるところです。
9000年前、マントル深部からの活発な火山活動が、超大陸パンゲアの分裂とCO2排出を促進
し、非常に温暖な気候になったため、海水準が上昇し北米大陸の広い領域を水没させた。そのとき、
恐竜たちが海の藻屑となり海底地層に埋もれた。氷河期が終ったとき、洪水が起きて地層を抉り取り、
カナダのバッドランドでは、7500年前の白亜紀の地層がむきだしになった(恐竜の化石がゴロゴロ)。
そのバッドランドで、進化論のミッシング・リングにあたる、飛べない羽毛恐竜たちが発見された
という物語は、科学史のドラマで興奮します。
羽などは残らないので発見が遅れた。発見は、ヴェロキラプトルの腕に乳頭突起があることに気づ
いたことに拠り、そこに羽軸のある風切り羽が腕に生えていたことが証拠となったと。
オルニトミムスは、親子で発見され、親の方にしか羽軸の痕跡はなかったため、生後1年以上は、
羽が生えないので、飛翔を目的としたものではなく、求愛行動や抱卵等の繁殖行動に使われていた
という仮説が立てられた。
たぶん、一旦、羽が生えれば、さまざまなバリエーションが展開される(ドーキンス、ブラインド
・ウオッチ・メーカーなど)ので、飛べる恐竜が出現した…
人間にまで進化するには、地球の年齢は短すぎる。隕石が生命の種にあたるものを地球に運んだ
という仮説など、謎に包まれていて、想像をくすぐりますね。
このような鳥型恐竜は、白亜紀後期にたくさんの種類がありました。それらはみんなまとめて、恐竜絶滅期に一挙に滅びたものと思われます。(恒温性がないので。)
絶滅するまでは、鳥型恐竜の範囲で、少しだけ進化などがあったかもしれませんが、たいした変化ではないでしょう。絶滅までに残された期間はあまり長くないので。