ユニクロは労働者を酷使するブラック企業だ、という問題がある。先に述べた通り。
→ ユニクロ社長の詭弁
ここで示したように、ユニクロの社長は、次のように述べている。
「グローバル化の時代だから、賃金もグローバル化するべきだ。賃金を世界で統一するので、日本の賃金は途上国の賃金にまで下げるべきだ」
具体的には、次の発言がある。
「将来は、年収1億円か100万円に分かれて、中間層が減っていく。仕事を通じて付加価値がつけられないと、低賃金で働く途上国の人の賃金にフラット化するので、年収100万円のほうになっていくのは仕方がない」このような話を聞いて、それをそのまま信じたあげく、「ユニクロはグローバル化をめざしているんだな」と思う人が多いようだ。
( → 朝日新聞 )
しかし、それは正しくない。ユニクロの社長が狙っているのは、グローバル化なんかではない。では、何か? その真実を探ろう。
──
推理小説でもそうだが、犯罪の真相を探るには、
「誰が利益を得たか?」
を考えると、真実がつかみやすい。そこで、利益を得たのが誰かを考えると、あっさりわかる。ユニクロの社長だ。
2012年は推定資産100億米ドル(約8100億円)、世界ランク88位の日本富豪ランク1位。日本一の大金持ちである。その資産はどこから来たか?
2013年にも推定資産133億米ドル(約1兆2369億円)で世界66位の日本1位となっている。
( → Wikipedia )
2010年8月時点での株主構成を見ると一家四人といっても、息子や妻がものすごく有能であるわけではないから、単に柳井正が自分の財産を生前贈与したようなものだろう。実質的には、45.8%のすべてが柳井正のものだ。(名義はどうであっても。)
「柳井正 26.7% 長男・一海 4.5% 次男・康治 7.9% 妻・照代 6.7%となり、一家四人で 45.8%」
これには驚きました。株の大半を一族で押えているのです。
( → 「ユニクロ帝国の光と影」の解説 )
現時点ではどうかというと、次の数値がある。
柳井正 21.67% ( → 株式の状況 )比率で見る限りは、少し減っているようだ。合計では、一家四人で 40%程度だろう。
ここで、ユニクロの時価総額を見ると、下記の数値だ。( → 出典 )
3,617,112百万円
3兆6千億円だ。その 40%は、1兆4千億円だ。これが柳井正の資産である。(先に述べた Wikipedia の推定値にほぼ等しい。)
【 追記 】
40%と書いたが、これは不正確だったようだ。
実は、株式の一部は減少したのではなくて、海外に資産を移転させただけだった。名義を(家族でなく)ダミー会社の所有に書き換えている。その理由は? 相続税の課税を免除されるようにするため。
→ 531万株を海外へ売却 ユニクロ柳井社長の「狙い」
つまり実際には、45.8%という比率はほとんど変化していないのだろう。
──
さて。ここで、次の情報がある。
「ユニクロの社長の報酬は年4億円である」 ( → 朝日新聞 )
年4億円の年俸なのに、1兆4千億円の資産を持つとは、どういうことか? 次のことだ。
「柳井社長にとって、年俸などは、スズメの涙にすぎない。それよりも重要なのは、会社の株式総額(時価総額)を増やすことだ」
ここで、「株式総額を増やす」ということは、「1株あたりの利益率を高める」ということと等価である。
そして、「1株あたりの利益率を高める」ということは、次の二つから成立する。
・ 品質を向上させる(売価を高める) ……(1)
・ コストを下げる ……(2)
後者の「コストを下げる」というのは、次のことで成立する。
・ 途上国で生産して生産コストを下げる ……(2a)
・ 販売国で販売の人件費を下げる ……(2b)
これらのうち、(1) と (2a) は問題ない。問題は(2b) だ。
販売の人件費というものは、本来ならば、どの企業でも同程度であるはずだ。ところが、ユニクロでは「従業員の大半が耐えきれずにやめてしまう」というような過酷な労働環境を強いる。払う金は他社と同程度でも、働かせる時間が他社を圧倒するほどの長時間である。(つまりブラックである。)……こういう形で、人件費を下げる。
──
結局、以上のすべてをまとめると、次のようになる。
「ユニクロは、ブラック企業になって、(違法な長時間労働を強いる形で)人件費を徹底的に切り詰める。そのことで、多大な利益を上げる。そして、その巨額の利益によって増やした資産の 40%を、柳井正がほぼ独り占めする」
こうしてわかっただろう。
ユニクロの真実とは、グローバル化による高収益ではない。長時間労働を通じた人件費の切り詰めによって利益を増やし、その利益をまわりまわって柳井正のポケットに入れることだ。
こうして彼は、労働者を酷使することで得た巨額の金を、自分のポケットに入れてしまうことができた。だから彼は日本一の大金持ちになれたのだ。
( ※ これはイメージ的には、鵜飼いに似ている。たくさんの鵜を利用して、鵜に魚を捕らせる。だが、鵜には魚を与えず、鵜飼いが魚を独り占めする。)

──
以上のことは、実は、ずっと昔から一言で要約されている。こうだ。
「搾取」
つまり、マルクスの指摘した「資本家による、労働者の富の搾取」である。
「搾取」なんていう言葉は、とっくに時代遅れになったかと思えた。ところがどっこい、今の日本では堂々とまかり通っているのだ。「デフレ社会における労働者の虐待」というような形で。
ここに、ユニクロの問題の真実がある。ここに着目するべきだ。
[ 付記 ]
真実に着目したあとは、解決の方法もわかる。
「労基署や警察がしっかり摘発しろ」
なんていう意見もあるが、そんな他人任せの方法よりも、直接的な方法がある。
それは、マルクス(およびエンゲルス)が指摘した通りだ。
「労働組合の結成」
これである。これによって組合をつくったあとは、スト権で対抗できる。
具体的には、全国の店長がみんなで団結して、組合を結成して、ストを決行すればいいのだ。
( ※ 管理職だから労組を作れない、ということはない。 → 検索 )
( ※ 「労組を作れ」という話は、別項でも示したことがる。 → 該当項目 )
なお、どうやって労組を結成するかについては、次項 で示した。
→ 法人税、35%から中韓なみの「20%台」に 自民党が参院選公約
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130425/fnc13042509470004-n1.htm
法人税率が下がれば、企業利益が上昇し、株価はますます上がって、資本家の資産価値は大幅増。ユニクロの社長の資産は2兆円になるな。
で、その分、税収が減るから、消費税増税で、大衆から金をかき集める。
野田が消費税増税して、自民党が法人税減税。そのすべてを合わせると、
一般国民 → 資産家
という富の流れができる。ますます鵜飼いふう。
こんどは間違えないようにしなくてはいけない か!
最良の世界がシステムが ひとつしかないとしたら 其処への最短距離を進むべきですよね
私の生きている内に また時代が 人間の苦しみととも 変わっていくんですね
管理人さん
従業員にも配慮した米国のコストコや日本のトリドールのような会社が多く輩出してほしいものだ。
ユニクロにかぎらず上場をめざす全ての株式会社は
そこから始まってます。
非上場の同族会社よりはよほど風通しがまともだと思いますね。
古本は1円から売っているようです。
これは読む価値無しだね
…その要件に足る者がそれだけいるという経営者の期待
これこそが一番の甘え
経営を論ずる前に売場に立て。
顧客の望む物がそんなにあるのか?