ユニクロは「世界同一賃金」という方針を出した。
「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、店長候補として採用した全世界で働く正社員すべてと役員の賃金体系を統一する「世界同一賃金」を導入する考えを明らかにした。海外で採用した社員も国内と同じ基準で評価し、成果が同じなら賃金も同水準にする。これはもちろん、問題がある。
上位7段階に入る執行役員や上級部長は、どの国でも同じ評価なら報酬や給与を同額にした。対象は約50人(海外採用は10人)で、年収は最低でも平均約2千万円。
そのほかの「グローバル総合職」のうち、上位8〜14段階にあたるスター店長ら約1千人(海外採用は約300人)についても「実質同一賃金」にする。
( → 2013年4月23日 )
・ 各国の物価水準の差
・ 各国の所得水準の差
簡単に言えば、「各国の通貨レートの差」である。
こういう問題があるのだから、「世界同一賃金」なんて、できるはずがない。
このことは、ネットでもあちこちで指摘されている。私も上のことを書こうかなとも思ったが、あまりにも当たり前すぎる。いちいち書くまでもなさそうだ……と感じた。
そこで、記事に戻って読み直すと、次の記述があった。
国によって名目の額は違うが、それぞれの国の物価水準などを考慮し、実質的にはどの国でも同じ生活ができる水準にする。少なくとも各国の同業の上位企業の賃金水準までは引き上げる。調整が複雑なため、具体的な制度づくりには時間がかかる見通しという。上記で明らかなように、問題点はすでに説明されている。
役員らと同じように賃金を名目で同一額にしないのは、対象人数が多いからだ。各国間の賃金の差は大きく、先進国の水準に合わせると新興国の賃金が大幅に上がり、収益を圧迫する。逆に新興国の水準に合わせれば、先進国で優秀な人材を集められなくなる。
ただ、当面は「実質同一賃金」にしない社員も含め、「グローバル総合職」の約4900人(同約2200人)はすべて、評価基準を一本化した。国境を越えた人事異動をやりやすくするためで、職歴や将来目標など社員のデータも一括管理し、同じ基準で競わせる。
( → 上記ページ )
「各国間の賃金の差は大きく、先進国の水準に合わせると新興国の賃金が大幅に上がり、収益を圧迫する。逆に新興国の水準に合わせれば、先進国で優秀な人材を集められなくなる」
というふうに。わかってりゃ、世話ないね。
結局、ユニクロの方針は、こうだ。
・ 名目賃金は同一にしない
・ 評価基準を一本化する
これだけだ。大山鳴動、ネズミ一匹。たいしたことじゃない。ごく当たり前のことだとも言える。
騒ぐほどのことじゃないね。
「世界同一賃金」なんて、タイトル詐欺みたいなものだ。新聞の見出しに釣られないようにしよう。それだけの話。
( ※ 「ユニクロはブラックだ」というような話は、ここでは不要だ。)