2013年04月21日

◆ 将棋ソフトと景気診断

 コンピュータ将棋のソフト開発の技術は、実生活にも役立つことがある。たとえば、景気診断だ。 ──

 コンピュータ将棋なんて、実用的に何の役に立つのか? ……という疑問が生じることがある。そこで答えよう。
 「コンピュータ将棋のソフト開発では、(チェスソフトの方法から援用した)評価関数という手法がある。これが景気診断に役立つ」

 どういうことかというと、次のことだ。
  → 景気の「今」を把握することは可能か?

 景気指標というのは、通常、タイムラグがある。つまり、リアルタイム性がない。
 景況を数値化して確認できる指標として、日銀短観や国内総生産(GDP)、景気動向指数などが発表されています。
 しかし、これらは確かに景気の判断材料にはなるものの、ある問題点を抱えています。その問題点とは、ズバリ、リアルタイム性。既存の景気動向指数の指標は3カ月に1度の発表であったり、調査から発表まで1〜2カ月かかるなど、リアルタイム性に欠けるのです。つまり景気の「今」を知ることができません。
 これを解決するために、上記サイト(Yahoo)では、次の方法を取った。
 「 Yahooの検索語をたくさん集めて、ビッグデータとして、これをデータ解析することで、景気の指標とする」

 たとえば、「ルイ・ヴィトン」とか「ケリーバッグ」とかいう検索語が良く現れたら、景気上昇との関連性が強い。また、「帝国データバンク」(これは企業倒産の指標となる)のような検索語が現れたら、景気悪化との関連性が強い。
 このような検索語が一つか二つならばあまり意味を持たないが、関連性のある多くの語をひっくるめて処理すると、景気動向がつかめる。
 実際、それに成功しているそうだ。(上記ページ)

 ここで、この手法は、将棋の評価関数の手法そのものだ。
 「将棋の次の一手が良手か悪手かを判定するとき、ある評価関数が妥当であるかどうかを調べるのに、過去のデータベースと照合する。そのことで、より良い評価関数を得る」
 という手法だ。
 たとえば、A,B,C という評価関数があって、それぞれの評価関数の出した良手と悪手とを調べてから、それを過去のデータベースと照合する。データベースで実際に取られた手を予測した評価関数が、最も良い評価関数である。
 こういうふうにして、「より良い評価関数」を得ていく。(評価関数の自動作成)
 これと同じ手法を使って、次のようにする。
 「たくさんの検索語を組み合わせて、評価関数をつくる。さまざまな評価関数のうち、過去のデータから現在の景気動向を予測する。その予測値があとで判明した景気動向と一致するかを調べる。もっとも良く一致した評価関数が、過去から現在を診断するのに適した評価関数である」

 ──
 
 というわけで、将棋の評価関数の手法を使うことで、景気診断ができるわけだ。リアルタイムふうに。

( ※ Yahoo がこのことを思いついたのは、ちょうど電王戦が話題になっているときだったからだろう。「この方法を当社のビッグデータに適用できるのでは?」と思ったのだろう。)
 


 [ 付記 ]
 そこで、私も思いついた。次の手法がある。
 「顧客データを管理して、そのデータからお薦めの商品を推奨する」
 これで売上げがアップするかもしれない。( Amazon はすでにそれっぽいことをやっているのかも。「お薦め商品」というのがあるし。他社でもやるといいでしょう。)

 また、次の手法もある。
 「読者の情報収集データを管理して、そのデータから、お薦めの情報を推奨する」
 これは Gunosy がやっているようだ。ただし、あまり上手ではないようだ。次項を参照。
posted by 管理人 at 20:35| Comment(3) | コンピュータ_03 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>コンピュータ将棋のソフト開発の技術は、実生活にも役立つことがある。

役立つことがあるではなく、それが目標なのでは?
Posted by つりきち at 2013年04月21日 23:59
> 役立つことがあるではなく、それが目標なのでは?

 一般に、学問研究というのは、研究それ自体が目的であって、他の何かが目的であるわけではありません。ボナンザの開発者は、開発したプログラムをすべて無償公開しています。金儲けとか何とかは目的としていない。GPS将棋 も東大が開発して、開発したプログラムをすべて無償公開しています。
 ただ、開発者にとってはそうですけど、開発者を養っている国にとっては、「国が金を出すのは、社会への還元のためだ」と思っているんでしょうね。
 思惑は、人それぞれ。誰にとっての目標(目的)か、というふうになる。

 私が将棋の話を書くのは、私の勝手なおしゃべりのためだが、それを読んで喜んでくれる人もいるので、その効果もある。だけど、それが私の目的であるわけじゃない。とはいえ、本ブログは一般的には、社会貢献を目的としています。(将棋は違うんだけどね。どちらかと言うと、下手の横好きに分類される。)
Posted by 管理人 at 2013年04月22日 00:13
谷川会長の言葉。
 「私自身、特に印象に残ったのは第三局であり、通常は形勢が苦しくなると心が折れてしまう。しかし、苦しくなっても、読み筋に穴が開いても、現時点での最善手を追求していく――コンピュータにとっては自然なことかもしれませんが、なかなか人間には難しい。精神力の重要性をコンピュータに教わるとは思ってもいなかった。」
 「電王戦を通じて、人間、コンピュータそれぞれの長所と短所が明らかとなり、今後に繋げていきたい。コンピュータと人間は共存共栄。将棋を通じて人工知能の進歩・発展に繋げ、広くは医療や災害救助の現場に活かしていただければと思っております」
 → http://news.mynavi.jp/articles/2013/04/21/denousen/
Posted by 管理人 at 2013年04月22日 00:24
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