2013年04月11日

◆ 抗ガン剤と混合診療

 抗ガン剤については、混合診療を大幅に導入するべきだ、と私は思う。 ──

 混合診療については、いろいろと賛否両論があるが、ここでは特に「抗ガン剤の混合診療」に絞って考える。

 私としては、次の二点を取りたい。
  ・ 未承認薬については、混合診療による利用を認める。
  ・ 承認薬については、健保から外して、混合診療に移す。

 
 前者については、「解禁」の方向で政府の政策転換が進むらしい……という記事が前に出たが、その後は続報がないようだ。特にどうにもなっていないらしい。
 後者については、「医療予算削減を狙う財務省の策謀だ」という医師会の反対がある。だが、これについては私は前に否定した。医療予算は、削減されるどころか、大幅に増額される予定だ。
 

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  → 出典 (財務省) 


 財務省は、医療予算削減を狙っているのではなくて、「医療予算の爆発的な急増による国庫破綻」を避けようとしているだけだ。そして、それは正しい、と私は思う。

 「抗ガン剤を使うかどうかは個人の自由だ」
 という立場もある。それはそうだ。しかし、その際、費用は自分の負担でまかなうべきだ。国民全体にその費用を押しつけるべきではない。特にそれが数百万円もの規模になるのであれば。
 「生存期間が1割延びるが、生活の質が1割下がる」
 というのを、選びたければ選んでもいい。しかしそのための費用を、他人に押しつけるべきではない。それはほとんど泥棒にも似ている。どれほど無駄遣いをしようが、それが自分の金であれば自分の勝手だが、国民の金を勝手に無駄遣いするのは、泥棒のようなものだ。
 それでも、医療によって命が救われるならば、健保でまかなうのもいい。しかし、命が救われるわけでもなく、治療の効果がはっきりとあるわけでもなく、「個人の価値判断しだい」というようなことのために、巨額の費用を国民が負担するべきではあるまい。
 だからこそ、「個人の自由に任せられる部分は、個人の負担にするべき」というのが、妥当だろう。
 延命治療を受けるかどうか(1割の延命と1割の生活低下)は、個人の自由で決めていいが、負担もまた、個人の負担に任せるべきだ。……そして、それが、「抗ガン剤についての混合診療」である。入院費ぐらいは健保でまかなっていいが、高額の抗ガン剤については 100%、自己負担とするべきだ。
 なお、自己負担が嫌なのであれば、癌保険に入ってもらえばいい。そうすれば、「費用を負担した人だけが、抗ガン剤の費用を払ってもらえる」というふうになる。それでいいはずだ。
 つまり、抗ガン剤については、現行の健保とは別立てにするべきだ。現行の健保は、このままでは制度が破綻する。このまま高齢化社会が進展すると、医学の発達につれて、癌患者ばかりがやたらと増えるようになる。そうなると、抗ガン剤の負担で、健保が破綻してしまう。


( ※ ただし、若年者の抗ガン剤の使用については、健保でまかなっていい。本項で言うのは、70歳以上の高齢者についての延命治療のみだ、と考えてほしい。)



 [ 付記 ]
 仮に、本項の提案が嫌だというのであれば、仕方ない。代案として、次の制度を取るべきだろう。
 「現行の健保の制度のまま、抗ガン剤の使用を認める。健保のなかに、抗ガン剤の使用を全面的に取り込む。未承認の新薬についても、健保にどんどん取り込む」

 この場合、健保の支払額はどんどん巨額化していく。従って、次のことが必要だ。
 「健保の保険料負担を大幅に引き上げる。当面、5割増し。以後、1年ごとに1割ずつ上げていく」

 次のような感じ。(複利式でなく単利式の増加。)
  ・ 現在  …… 5割増し
  ・ 5年後 …… 10割増し
  ・ 10年後 …… 15割増し

 将来的には、健保の保険料を年 100万円ぐらい徴収するべきだ。
 あるいは、別案として、消費税を 30%〜 40%ぐらいまで上げるべきだ。

 世の中には「抗ガン剤の利用を自由に認めるべきだ」と主張する医療関係者が多い。しかしそれは、「金は天から降ってくる」というような、お気楽な発想である。
 現実には、治療には金がかかる。その金がどこから来るかも考える必要がある。
 金は天から降ってこない。そう理解すれば、「莫大な治療費をもらいたければ、莫大な保険料を払う必要がある」とわかるだろう。

 【 追記 】
 コメント欄で教わったが、治る癌もけっこうあるようだ。とすると、次の案が現実的だろう。
 「抗ガン剤については、一定額までを健保で認めるが、それ以上は自己負担とする」
 たとえば 50万円程度を上限とする。これ以上かかるようだったら、「残る期間の生活の質を上げること」のために金をかける方がマシだろう。「治らない」ということを前提とすれば。



 【 関連項目 】

 本項は、話の前段として、次の二項目が前提となっている。先にそちらを読んでおいてほしい。

 → 混合診療の是非
 → 抗ガン剤の効果は無意味
posted by 管理人 at 19:08| Comment(2) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
南堂さんも書いていますが、この問題は、ケースバイケースとしか言いようがない。

肺の小細胞癌だと抗癌剤がよく効き、癌が急激に縮小し、QOLも保たれます。寝たきりにはならない。

悪性リンパ腫や白血病はもっと抗癌剤がよく聞く。寛解する例も多い。

治療はやってみないとわからない。癌の遺伝子を調べることで、特定の抗癌剤の効果を予測することもできるようになってきたが、まだ完全ではない。
Posted by 井上晃宏 at 2013年04月12日 17:49
さまざまな癌についての情報をありがとうございました。
Posted by 管理人 at 2013年04月12日 18:49
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