ダルビッシュが完全試合を逸した。
→ ダル あと1人で完全試合ならず
本人はツイッターでぼやいた。
→ ダル 試合後つぶやく「あと一人て なんでやねん!!」
なんでやねん、という疑問に私が答えよう。
まずは、ビデオを見る。
→ 打たれた場面
→ 他の場面
見ればわかるが、次の対比がある。
・ 打たれた場面の球筋 …… 直球系で、真ん中。
・ 他の場面の球筋 …… 変化球で、きわどいコース。
打たれた場面では、バッターは9番で、今期無安打の「守備の人」だった。
→ ダルの大記録阻んだ“守備の人”は今季初安打
これから推測するに、ダルビッシュは最後にこう思っていたのだろう。
「こいつは9番だし、ちっとも打てていないな。最後は楽々とアウトにできるな。どうせ完全試合なら、最後は直球で三球三振を取ってやろう」
つまり、舐めていたわけだ。だからこそ、「直球で真ん中になげる」なんてことをしているわけだ。
この人は、打率がすごく低いんだから、直球しか打てないはずだ。だったら、慎重に慎重を期して、変化球でアウトを取るべきだった。なのに、見くびっていたんですね。
──
ここで、格言となるような有名な話を教えよう。
→ 高名の木登り
ダルビッシュがこの話を理解していれば、完全試合を達成できたはずだ。
古典をちゃんと学んでいないと、こういうことになるわけだ。高校時代にサボっていたツケが出たのだろう。
( ※ ダルビッシュだけじゃないよ。皆さんも、この話を良く覚えておきましょう。)
( ※ 実は、完全試合を逸するのは、9回2アウトとなる例が多い。これは偶然とは思えない。高名の木登りの話を理解しない人が多いせいだ。)
[ 付記 ]
「直球系」と書いたが、単純なツーシームやフォーシームではなく、カットボールである。これは直球とはちょっとだけ違う。直球との違いは少ない。ここでは単に「直球系」と書いた。
普通は「当たり損ない」を狙うボールだが、あたることはあたる。打者が下手な打者ならば、もともと下手なスイングなので、「少しはずれ」と「少しはずれ」が相殺し合って、ぴたりと当たってしまうこともある。
本来ならば、三振を狙って、落ちる球を使うべきだった。他の打者と対戦したときのようにね。
最後の最後に、気の緩みが出ましたね。
【 追記1 】
Wikipedia によると、西口文也(西武ライオンズ)は、
「完全試合またはノーヒットノーラン達成まであと一歩」のところで安打を打たれて完封・完投どまりになった事が3度ある。とのことだ。こういう気質だから、こういう失敗を三度も繰り返す。
本人曰く「僕はどうしても点差が開くと気が抜けて、投球が雑になってしまうタイプ」「投手戦の方が、気が張っていい結果が出る」
古典を読んでおけばよかったのにね。
【 追記2 】
朝日新聞の記事の紹介。
日本大学大学院の林成之教授(脳神経外科学)によれば、人間の脳は「もうすぐ終わり」と思った時点で本能的に能力が落ちるという。「本人に聞いてみなければ分からないが、『あと1人』という意識が出ていたら、それまでと同じボールは投げられず打たれる可能性が増す」
私たちの日常にも「ここ一番」という重圧が襲いかかる場面はある。
捕手がマウンドに向かうように、適切な間を空けてあげるといい。
呼吸の大切さ…(中略)…にっこり笑って呼吸します。怒りや緊張の連鎖を外す技術。
( → 朝日新聞 2013年4月4日 )
という見解もある。
ただ、私の見解は、次の通り。
「コントロールミスをすることは確率的に必ずどこかで起こる。だからコントロールミスをしても大丈夫なように、落ちる球を使うべきだった。それならばコントロールミスをしても大丈夫だったはず」
ただ、球数が多くてひどく疲れていたそうだし、また、マメもつぶれていたそうだ。だからいろいろと悪条件も重なっただろう。
http://news.biglobe.ne.jp/sports/0404/spn_130404_6921303768.html
それでもやはり、落ちる球を使うべきだった、と思う。マメで投げられなかったんだろうか? それなら仕方ないが。
あと、マメの話は、本日朝に知った話。昨夜にはその情報はなかったから、昨夜にはその言及がないのは仕方ない。体調抜群だと思っていた。
ま、根源的には、捕手の責任がかなり大きいと思うが。最後に捕手が息抜きさせると良かったですね。
1968年、江夏豊は、1961年の稲尾和久の奪三振記録353個の記録更新に挑んでいた。かねてより、記録は王貞治さんから奪うと公言していた。そして、見事の王から記録更新の三振を奪った(はずだった)。意気揚々とマウンドから戻ってきた江夏に、捕手が困った顔をしてささやいた。「数え間違いや! 後ひとつや。どうする?」と。そこで、次の王の打席まで三振をとらず、ヒットにもさせない投球をした。特に困ったのは相手投手の高橋一三。難しい球を投げると簡単に三振してしまう。「頼む、当ててくれ」と祈る気持ちで、程ほどの球を投げるなどして、やっと王の打席を迎える。変化球を投げると三振獲れると分かっていても真っ向勝負。直球で三振を奪った。王も当てにいくようなことをせず渾身のスイングをした。名勝負だった。
管理人さんの「打者が下手な打者ならば、もともと下手なスイングなので、「少しはずれ」と「少しはずれ」が相殺し合って、ぴたりと当たってしまうこともある」は、思わず微笑むような深い指摘ですね。もう少しマシな打者だったら、完全試合になっていたでしょうね。