2013年04月03日

◆ ダルビッシュが完全試合を逸したわけ

 ダルビッシュが完全試合を逸したわけは? それは、ビデオを見るとわかる。 ──

 ダルビッシュが完全試合を逸した。
  → ダル あと1人で完全試合ならず

 本人はツイッターでぼやいた。
  → ダル 試合後つぶやく「あと一人て なんでやねん!!」

 なんでやねん、という疑問に私が答えよう。

 まずは、ビデオを見る。
  → 打たれた場面
  → 他の場面

 見ればわかるが、次の対比がある。
  ・ 打たれた場面の球筋 …… 直球系で、真ん中。
  ・ 他の場面の球筋 …… 変化球で、きわどいコース。


 打たれた場面では、バッターは9番で、今期無安打の「守備の人」だった。
  → ダルの大記録阻んだ“守備の人”は今季初安打

 これから推測するに、ダルビッシュは最後にこう思っていたのだろう。
 「こいつは9番だし、ちっとも打てていないな。最後は楽々とアウトにできるな。どうせ完全試合なら、最後は直球で三球三振を取ってやろう」
 つまり、舐めていたわけだ。だからこそ、「直球で真ん中になげる」なんてことをしているわけだ。
 この人は、打率がすごく低いんだから、直球しか打てないはずだ。だったら、慎重に慎重を期して、変化球でアウトを取るべきだった。なのに、見くびっていたんですね。

 ──

 ここで、格言となるような有名な話を教えよう。
  → 高名の木登り

 ダルビッシュがこの話を理解していれば、完全試合を達成できたはずだ。
 古典をちゃんと学んでいないと、こういうことになるわけだ。高校時代にサボっていたツケが出たのだろう。
 
( ※ ダルビッシュだけじゃないよ。皆さんも、この話を良く覚えておきましょう。)

( ※ 実は、完全試合を逸するのは、9回2アウトとなる例が多い。これは偶然とは思えない。高名の木登りの話を理解しない人が多いせいだ。) 
 


 [ 付記 ]
 「直球系」と書いたが、単純なツーシームやフォーシームではなく、カットボールである。これは直球とはちょっとだけ違う。直球との違いは少ない。ここでは単に「直球系」と書いた。
 普通は「当たり損ない」を狙うボールだが、あたることはあたる。打者が下手な打者ならば、もともと下手なスイングなので、「少しはずれ」と「少しはずれ」が相殺し合って、ぴたりと当たってしまうこともある。
 本来ならば、三振を狙って、落ちる球を使うべきだった。他の打者と対戦したときのようにね。
 最後の最後に、気の緩みが出ましたね。



 【 追記1 】
 Wikipedia によると、西口文也(西武ライオンズ)は、
  「完全試合またはノーヒットノーラン達成まであと一歩」のところで安打を打たれて完封・完投どまりになった事が3度ある。

 本人曰く「僕はどうしても点差が開くと気が抜けて、投球が雑になってしまうタイプ」「投手戦の方が、気が張っていい結果が出る」
 とのことだ。こういう気質だから、こういう失敗を三度も繰り返す。
 古典を読んでおけばよかったのにね。

 【 追記2 】
 朝日新聞の記事の紹介。
 日本大学大学院の林成之教授(脳神経外科学)によれば、人間の脳は「もうすぐ終わり」と思った時点で本能的に能力が落ちるという。「本人に聞いてみなければ分からないが、『あと1人』という意識が出ていたら、それまでと同じボールは投げられず打たれる可能性が増す」
 私たちの日常にも「ここ一番」という重圧が襲いかかる場面はある。
 捕手がマウンドに向かうように、適切な間を空けてあげるといい。
 呼吸の大切さ…(中略)…にっこり笑って呼吸します。怒りや緊張の連鎖を外す技術。

( → 朝日新聞 2013年4月4日
posted by 管理人 at 21:57 | Comment(2) | 一般(雑学)1 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「インコースに狙った球がシュート回転して甘い所に行っただけ」
 という見解もある。
 ただ、私の見解は、次の通り。
 「コントロールミスをすることは確率的に必ずどこかで起こる。だからコントロールミスをしても大丈夫なように、落ちる球を使うべきだった。それならばコントロールミスをしても大丈夫だったはず」

 ただ、球数が多くてひどく疲れていたそうだし、また、マメもつぶれていたそうだ。だからいろいろと悪条件も重なっただろう。
 http://news.biglobe.ne.jp/sports/0404/spn_130404_6921303768.html

 それでもやはり、落ちる球を使うべきだった、と思う。マメで投げられなかったんだろうか? それなら仕方ないが。

 あと、マメの話は、本日朝に知った話。昨夜にはその情報はなかったから、昨夜にはその言及がないのは仕方ない。体調抜群だと思っていた。

 ま、根源的には、捕手の責任がかなり大きいと思うが。最後に捕手が息抜きさせると良かったですね。
Posted by 管理人 at 2013年04月04日 12:41
いいんじゃない! 江夏豊のような男気のある気概は愉快です。

 1968年、江夏豊は、1961年の稲尾和久の奪三振記録353個の記録更新に挑んでいた。かねてより、記録は王貞治さんから奪うと公言していた。そして、見事の王から記録更新の三振を奪った(はずだった)。意気揚々とマウンドから戻ってきた江夏に、捕手が困った顔をしてささやいた。「数え間違いや! 後ひとつや。どうする?」と。そこで、次の王の打席まで三振をとらず、ヒットにもさせない投球をした。特に困ったのは相手投手の高橋一三。難しい球を投げると簡単に三振してしまう。「頼む、当ててくれ」と祈る気持ちで、程ほどの球を投げるなどして、やっと王の打席を迎える。変化球を投げると三振獲れると分かっていても真っ向勝負。直球で三振を奪った。王も当てにいくようなことをせず渾身のスイングをした。名勝負だった。

 管理人さんの「打者が下手な打者ならば、もともと下手なスイングなので、「少しはずれ」と「少しはずれ」が相殺し合って、ぴたりと当たってしまうこともある」は、思わず微笑むような深い指摘ですね。もう少しマシな打者だったら、完全試合になっていたでしょうね。
Posted by 男気 at 2013年04月05日 19:43
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