その情報を示す。 ──
棋譜はこれ。
→ http://www.shogiblog.com/denou/210/
結果は、ponanza の勝ち。新聞記事はこちら。
→ http://www.asahi.com/culture/update/0330/TKY201303300179.html
→ http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG3002J_Q3A330C1CR8000/
→ http://news.mynavi.jp/news/2013/03/30/087/
ソフトの事前貸与はなかった。
今回の電王戦全5局中、コンピュータ将棋側から前バージョンの貸し出しがないのはponanzaのみ。佐藤慎一 棋士の経歴。
( → http://shogikisho.blog54.fc2.com/blog-entry-2442.html )
→ Wikipedia
ponanza のスペックは、(前年のスペックでは)今回のシリーズ中で第2位の 70コア、48GB。
→ http://shogikisho.blog54.fc2.com/blog-entry-2431.html
今回のスペックは、さらにそれを上回るそうだ。
Ponanzaは、開発者の自宅にある2台とクラウドの8台、合計10台のPCを使い、1秒に3000万〜4500万局面を読む。自宅と会場の間をリモートデスクトップでつないでいたが、それが切れることがあったとのこと。
( → http://d.hatena.ne.jp/merom686/20130330/1364652753 )
ponanza は、10台のマシンがそれぞれ独自に結論を出したあと、たがいに相談しながら、最善手を決める方式。(たぶん多数決?)
→ http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/136/136212/
ponanza の開発者である山本一成さんは、アマ5段とも言われており、開発者中では最高の棋力を誇るようだ。また、勝負にもこだわっており、貸し出しを拒む。
また、コンピュータ将棋は乱戦に強いという持論がある(出典)ということで、先手を持って乱戦に導いたようだ。
序盤から定跡を外れた進行で一進一退の大熱戦だったが、最後はポナンザが佐藤四段の玉を正確に寄せ切った。最後は、長手数のすえに、時間切れに近くなった模様。
( → 朝日新聞 )
手数は141手で、消費時間は佐藤四段が3時間59分(残り1分)こうなると、人間は不利だ。というか、あえてそうなるように、開発者が仕組んだようだ。(下記参照。)
( → マイナビ )
[ 付記 ]
今回は、人間と機械のガチンコ勝負のように見えたが、それだけでなく、開発者側が機械に入れ知恵して、あえて機械が有利な状況に導いたようだ。事前報道によれば、開発者はこの棋戦に向けて、特別に ponanza をチューニングしたという。結局、
「開発者 + 機械」というペアで、プロ棋士1人に勝った
という感じだ。
とすれば、開発者以外の人が操作したのならば、同じ結果になるとは言えない。
また、棋士の側も、乱戦にならないようにして、かつ、最後の方では時間を十分に残すようにすれば、「最後に時間切れで逆転された」というようなこともないだろう。
今回はちょっと、人間の側に不利な状況が集まっていたようだ。完全なガチンコ勝負とも言い切れない。
ただ、十分にチューニングして、開発者とペアになれば、プロ棋士を打破できる……というところまで来たことは、開発者の側を称賛していいだろう。数年前ならば、とてもそこまでは行かなかった。
[ 余談 ]
これを持って、「機械が人間よりも利口になった」と思う人もいるかもしれないが、さにあらず。
機械は何も考えません。スパコンの京だって、何も考えません。「考えている」のに相当するのは、ソフトである。コンピュータの本体は、ハードではなくて、ソフトである。ハードはただの「ソフト稼働機」であるにすぎない。
そして、ソフトを生み出したものは、人間の頭脳である。
ただ、Bonaza 以降、ソフトの側が「自分で大量のデータを集めて、思考ルーチンを構築する」という形になった。そのせいで、ソフト制作者の能力をはるかに上回る形で、ソフトの棋力が高まった。
「コンピュータが思考する」というような表現は、Bonaza 以前には成立しなかったが、Bonaza 以降では成立するようになった。
そして、以後のソフトの多くが、Bonaza の手法を援用するようになった。Ponanza も、前バージョンでは、Bonaza のライブラリを使用したらしい。( → 出典 )
ともあれ、現状では、将棋ソフトの棋力は非常に高いところに来ていることが確認された。近い将来、名人を破るところまで来るかもしれない……という想像が十分に成立するようになった。
というか、現状のソフトでも、ハードを高めるだけで、相当の高みに行きそうだ。
今回のシリーズの最終戦では、東大の GPS将棋が出現する。そこでは、3224 コアの CPU、3272GB のメモリ、という怪物みたいなマシンが出現しそうだ。
いや、そのスペックは、昨年のスペックだ。東大のサイトで調べてみたら、本番でのスペックは未定らしい。たぶん上記をはるかに上回りそうだ。 10000 コアの CPU、10000GB のメモリ、ぐらいになるかも。
さらに、そのうち、地球全体の休んでいる CPU を借りて戦う、……なんてチームが出てきそうだ。ここまで来ると、詰まらないね。
【 関連映画 】
そう言えば、「コンピュータの反乱」という話題の映画もあったな。
2001年宇宙の旅 [DVD]
──
将棋ソフトなら、Amazon で人気1位はこれ。
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【 関連項目 】
→ 将棋電王戦 第1局
「阿部光瑠四段 vs 習甦」
なんか、この時点で、勝敗が決してしまった感じだ。つまらん。凡戦。
ま、私の個人的な感想だから、ピンぼけかもしれないけどね。とりあえず、他の人が同じことを書かないうちに、私の感想を書いておきました。
>いや、そのスペックは、昨年のスペックだ。東大のサイトで調べてみたら、本番でのスペックは未定らしい。たぶん上記をはるかに上回りそうだ。 10000 コアの CPU、10000GB のメモリ、ぐらいになるかも。
この数字は、東大の教養にある学生用のiMacを並列につないだ上での数字になります。
昨年の数字はiMac798台と研究室のサーバを合わせた数字でした。
これは、ゴールデンウィーク中でPCが全台使えたからです。
今回の電王戦は土曜日の開催なので全台は使えず、1実習室の108台分は学生用に開放しなければなりません。
なので、iMac680台分の構成となります。
(コンピュータ将棋選手権では788台に戻ると思いますが)
東大教養のPCは4年に一度しか更新されず、昨年がその更新の年でしたので、GPS将棋が今のままの体制で開発を続けるとして、ハードウェアの能力の向上は2016年までないことになります。
もっともその間でもソフトウェアの向上と、並列化の安定と効率の向上はあると思いますが。
チューニングの話に関しても、今のソフトは特定の相手に対策してチューニングできるような構造ではないそうなので、純粋にソフトの能力を上げるしかないようでした。開発者は確かにソフトを作っていますが、どうもソフトと連携してチューニングしてプロに勝つというような都合の良い事は中々難しいように見えました。
強さと勝敗に関しても、今のコンピュータ相手ならば早指し や1発勝負ならどの棋士でも負ける可能性はあると思います。10戦ほど指せばプロが十分勝ちこせるとしても、1発だと偶々負ける試合がくる可能性というのはあるので、電王戦の残りの3局も可能性としてはまだ負けが増える可能性はあると思います。負けたからといってもまだ1発勝負なので、実力は良く分かりませんが、勝ったり負けたりする伯仲した実力となれば、次は数戦で勝ち越しするかしないかという風になってくるのではないでしょうかね。
遠山プロによれば、形勢は佐藤プロ→ポナ→佐藤プロ→ポナと、揺れ動いていたそうです。
ずっとリアルタイムで観ていて、中央を押し返して駒得したときはプロが逆転したと解説され興奮しました。
しかしその後は時間に追われてしまって残念な結果になってしまったのはご承知の通りです。
通して観戦し、終局後の記者会見までも観た私にとっては、とても一言では言い表せない一局でした。
http://satosin667.blog77.fc2.com/
視聴された方のコメントが多数寄せられていますね。
4八馬はともかく、3八馬はまずすぎる。これが敗着だろう。3八馬でなく、8四に引けば、馬を4四に転じて、自陣を強化し、かつ、敵王を直射できた。
馬は自陣に引け、という格言を守らなかった全体構想がまずかった、と思える。逆にコンピュータがその方針を取り、馬の直撃で、プロ側を撃破した。清水・あから戦に似ている。
それにしても、コンピュータは細い攻めをつなげるのがうまい。感心した。
これへの対策としては、「コマの効率」を常に意識して、自陣を整備することが大切だろう。コンピュータ将棋への対策法をはっきりと示した役割が、今回の棋戦にはあった。
先鋒が犠牲になって、敵の情勢を知ることができた、と言えるだろう。次回以降は、上記の方針を取ることを期待したい。
なるのでしょうか。私の棋力が弱いせいなのでしょうが、
どなたか解説いただけませんか。
以下△同龍、▲同銀、△同銀で、
以下例えば▲2一金なら△同玉、▲同馬、△3二金で
まだまだやれそうに思えるのですが。
ソフト(将皇)にやらせたら、46手もかかった。どうも緩手が多すぎる。
そこで、ソフトを相手に私が対決したら、38手で詰みました。以下、棋譜。
53竜,53銀,53銀,36歩,79銀,98王,44馬,54歩,66馬,66銀,68飛,69金,66竜,79金,54銀,42銀,34金,35歩,55角,34歩,41桂,41銀,43銀,25桂,21桂,35飛,32歩,42金,26竜,33と,33角,33桂成,33歩,31角,12王,32成銀,35竜,22成銀,(詰み)
4手目に43金だと、コースは比較的単純になるが、手数はかえって増える。42手かかった。
どっちみち、投了時点からまだまだ続くようです。
ただ、ソフトは終盤に強いし、すでにポイントで大差が付いているので、勝敗そのものは揺るがなかったでしょう。
それでも、最後まで(詰みまで)やってほしかったですね。投げるのが早すぎた。観客へのサービス不足ですね。
(補足)
あとでコンピュータに切り替えて調べたら、16手目の42銀で、もう詰んでいます。このあと何をやっても、2手後から頓死になります。
△8四馬と引くと一気に先手Ponanza優勢に傾きます。
△4八馬は15億局面62手読ませて最善。
△3八馬も11億局面62手読ませて最善。
この時点ではまだやや後手佐藤四段優勢です。
実際の1度目の転換点は102手目△4二金だったようです。
ここでこれまで佐藤四段優勢だったのが、一気に互角からやや先手Ponanza優勢に傾きます。
ただその後109手目、Ponanzaが4四桂と指したことにより、佐藤四段優勢となります。
しかし、さらに119手目Ponanzaの▲3三金に佐藤四段が同桂と取ったことで先手Ponanza優勢となります。
ここは同金ととるべきだったようです。
その後も佐藤四段は最善をたびたび外しながら上がり目なく投了となりました。