2013年03月30日

◆ 宇宙はなぜ3次元か?

 我々のいる宇宙は、なぜ3次元か? これに対して答える。(超ヒモ理論による説明とは別のもの。) ──
 
 我々のいる宇宙は、なぜ3次元か? これは物理学最大の謎かもしれない。
 これに対して答えたものとして、超ヒモ理論による説明がある。(ネットで検索するとこればかりが見つかる。)
 次の趣旨だ。(一部転載)
 研究チームは、超弦理論に基づき、宇宙誕生の様子をスーパーコンピュータによってシミュレーションすることに成功した。その結果、宇宙は最初9次元の空間的な広がりを持っていたが、ある時点で3方向だけが膨張し始めることが示された。
 
 超弦理論に現れる9次元空間の様子が、時間とともにどう変化するかを計算した。図は、9方向の空間的な広がりを、時間の経過に対してプロットしたものである。宇宙の始まりに向かって過去に遡ると、確かに空間は9次元的に広がっているが、ある時点を境にして、3次元方向だけが急速に大きくなることが示された。この結果により、超弦理論の予測する9次元空間から、実際に我々の住む3次元空間が出現することが、世界で初めて解明された。
( → 宇宙が3次元で誕生する仕組み、解明へ | KEK
 これは謎に対する回答になっていない。
 ここで示されたのは Why? に対する回答ではなく、How? に対する回答でしかない。
 ここで示されたのは「なぜ3次元か?」への回答ではなく、「いかにして3元になったか?」への回答でしかない。「こういうふうにして3次元になった」という説明はあるが、「これこれの理由で3次元になった」という説明はない。 
 こんな説明じゃ、羊頭狗肉だ。謎は解けていない。

( ※ そもそも、超限理論はもともと「9次元」になるような理論なのだから、それ自体のうちに「3×3」という概念が内包されている。そこから「3次元」を説明しても、ほとんどトートロジーふうであり、何らかの解決にはなっていない。それはいわば、「3次元を前提としたら、3次元であるとわかりました」というようなものだ。あまり意味がない。)

 ──

 そこで、私なりに、説明しよう。簡単に言えば、こうだ。
 「1次元や2次元では、宇宙が成立しないから」

 理由は三つある。

 (1) マクロにおける衝突

 仮に1次元ならば、円運動が不可能なので、等速直線運動をするしかない。そうなると、たくさんの粒子はどこかでぶつかってしまうので、宇宙は成立しない。
 仮に2次元ならば、円運動は可能だが、円の軌道が重なってしまうので、そこそこの時間がたつうちに、粒子と粒子が衝突してしまうので、宇宙は成立しない。(ただし、「止まった宇宙」ならば、かろうじて成立するかもしれない。ここだけで言えば。現実論は別として。)

 (2) 電磁気

 電磁気が働くためには、3次元が必要だ。フレミングの法則には、3次元が必要だからだ。
 もっと根源的には、次のようにして電磁気力が働くことがある。
  → 力とは何か 
 ここでは、電磁気力(電気・磁気・力)の三つが働くには、3次元が必要だ。3次元がなければ、電気が流れても、磁気と力の双方が発生することは不可能となる。(どちらか片方ならば可能かもしれないが、双方が発生することは不可能だ。電磁気力の原理が働かないからだ。)
 したがって、2次元では電磁気力が働かないがゆえに、量子の基本原理が成立せず、宇宙は成立しない。(これはミクロレベルですら成立する。)

 (3) エネルギー保存則

 宇宙の根本原理は、エネルギー保存則である。実際、ニュートンの原理や、量子力学の原理や、電磁気学の原理も、基本的にはエネルギー保存則を書き換えただけだ、とも言える。
 たとえばニュートンの原理は、
  「位置エネルギーと運動エネルギーの和は一定である」 
 という原理を、2階の微分方程式の形にしたものだ、とも言える。
 また、クーロンの法則は、
  「電磁気のエネルギーが空間で消失しない」   
 という原理を、空間の体積のなかで示しただけだ、とも言える。
 また、量子力学の原理としてのシュレーディンガー方程式が、そもそもエネルギー保存則をハミルトニアンの形で示しただけだ、ということも広く知られていることだ。

 このように、宇宙の根本原理は、エネルギー保存則である。とすれば、それが成立するように、空間ができている必要がある。ところが、2次元空間では、それは不可能であろう。そのわけは、ここではうまく示せないが、とにかく、
 「2次元空間では、エネルギー保存則を成立させることが不可能だ」
 ということが、言えるはずだ、と思う。(私の個人的な直感だが。)これについては、(1) の「当速直線運動や円運動」という概念も大切だ。

 ──

 ともあれ、以上のような理由で、
 「1次元や2次元では、宇宙は成立しない」
 と言えるだろう。これが「宇宙は3次元であることの理由」である。



 [ 付記1 ]
 反論があるかもしれない。
 「でも、宇宙は4次元や5次元であるかもしれないぞ」
 と。
 なるほど、それは反論として成立する。
 しかしながら、現実には、宇宙が4次元や5次元ではないことは、何とも言えない。ひょっとしたら5次元かもしれない。(リサ・ランドールの言うように。)
 私としては、「宇宙は3次元(プラス微小次元6次元)」という主張を支持するが、「宇宙が4次元や5次元ではないこと」は、実はまだはっきりとは証明されていないのである。だから、何とも言えない。

 冒頭の超ヒモ理論によるシミュレーションは、「宇宙は3次元(プラス微小次元6次元)」という主張を支持する。その意味では、「3次元だ」ということの論拠にはなる。
 とはいえ、そのシミュレーションは、「宇宙は4次元や5次元ではない」とはっきり証明したわけではない。その意味で、十分な説明とはなっていないのだ。

 本項では、「宇宙は1次元や2次元ではない」ということを示した。とはいえ、「宇宙は4次元や5次元ではない」とまでは、はっきりとは言い切れていない段階だ。

 [ 付記2 ]
 上の (1) マクロにおける衝突 については、次の解釈もある。
 よく知られたことだが、2次元の単純ランダムウォークは再帰的であり、3次元以上のランダムウォークは非再帰的である。( →  Wikipedia
 これは次のことを意味しているとも言える。
 「2次元世界でバラバラに動いている2点は、いつか必ず衝突する(衝突する確率が 100%である)が、3次元世界でバラバラに動いている2点は、いつまでたっても衝突しない確率が十分にある」
 したがって、2次元宇宙の粒子はいつか全部衝突して1つに合体しそうだが、3次元宇宙の粒子はいつまでたっても衝突しないで、現実の宇宙のように物質が離散的に存在するような形が可能となる。だから、現実の宇宙は、2次元でなく3次元である。

 [ 付記3 ]
 上の 「2次元空間では、エネルギー保存則を成立させることが不可能だ」 ということは、次のことを意味する。
 「2次元空間では、(正または負の)エネルギーが2次元宇宙の外に漏れてしまう」
 これは、運動エネルギーや位置エネルギーや物質については、特に必須ではない。それらは2次元の世界で閉じた宇宙を構築できる。
 しかしながら、電磁波については、そうではない。先にも述べたように、電磁波には3次元の世界が必要だ。仮に2次元しかなければ、エネルギーが3時限方向に逃げてしまうはずだ。そうなったら、エネルギー保存則は成立しないはずだ。……かくて、宇宙の基本原則が成立しなくなるので、2次元の宇宙はありえない。
 


 【 関連サイト 】
 冒頭で紹介した「超限理論によるシミュレーション」についての解説が、下記サイトにある。
  → スラッシュドット・ジャパン
 一部抜粋。
9次元の空間があって、6方向が自発的に潰れて3次元だけが広がって残るっていうメカニズム自体は昔から提唱されている。
ただ、それが本当に実現するのかどうかは微妙なところがあった。本来なら弦理論でそのまま計算すれば出てくる、と思われているんだけど、そもそも弦理論ではまともに計算できる場合がほとんど無い。
(計算法が確立していない)

で、今回、弦理論に基づく新しい計算法……といってもどんな場合にでも使える厳密解ではなく、ある仮定(条件)のもとでの一種の近似解というか計算法というか、そう言うものを開発、シミュレーションを走らせてみたら確かに6次元が相対的に潰れるという計算結果が出てきたよ、と。
 オマケ。

二次元まで減ってくれたら、容易に画面に入れたのに・・・

 ──
  Re:
  現実が二次元であったなら逃避先が一次元になるだけのような気がします。
  もちろん一次元であったなら0次元に。
  # 点かわいいよ点




 【 関連ページ 】

 宇宙には「3の神秘」がある。
  ・ 空間の次元は3である。
  ・ 超球理論の空間の次元は 3×3 である。
  ・ クォークの世代は 3 である。
  ・ クォークは、3つが結びついて、一つの素粒子(バリオン)となる。

 この件は、下記で述べた。
  → さまざまな3
posted by 管理人 at 18:49| Comment(7) | 物理・天文 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも拝読させていただいております。
興味深い話題なのでコメントさせてもらいます。

こちらで提案されている(1)〜(3)に対しては以下のような難点があるのではないかと思います。
(1)マクロにおける衝突では、
1・2次元では粒子同士が衝突してしまうが3次元ではその確率が「十分に」少ないとされていますが、それはスケールの問題でしかない可能性があります。尺度(大きさ・時間など)がまったく違うだけであり、1,2次元と3次元と本質的に区別する理由としては難があると感じます。
しかし、付記2に示されるランダムウォークの再帰性においては、明確に1・2次元に対して3次元の特異性が示唆されており、興味深いと思いました。
ただし、ここでは2次元を格子空間として、粒子の動きは「縦」か「横」に限定したモデルを用いているのがひっかかります。
2次元は「縦×横」なので本質的に「斜め」の動きも許容されるはずです。
「斜め」の動きを許容すると再帰性がなくなるのではないかと予想します。(数学素人のため自分で検証できず恐縮ですが)
するとランダムウォークの再帰性は、3次元で特異な変化があるわけではなく、むしろ1次元+αの狭い条件でのみ発現するという解釈のほうが正しいかもしれません。
(2)及び(3)に対しては、電磁気力が三次元方向に働くこと、及びそれによるエネルギー保存則を根拠にされておりますが、これらは「三次元の宇宙だから三次元に働く電磁気力が発生する」「三次元の宇宙だから3次元で保存されるようなエネルギー形態が存在する」というトートロジーのような説明に陥らないでしょうか?
もし2次元の宇宙だったら、2次元でエネルギー保存するような力やエネルギー形態のみが存在していたはずだという可能性が否定できず、2次元でもよかったことになってしまいます。

ここまで考えたところで、私はこの疑問に対して
「この宇宙は(実数空間では3次元である)超球で構成されているから三次元である」
という回答を提案します。

「なぜ超球で構成されているのか?」という疑問に対しては、「この宇宙ではたまたまそうなっているだけで、受け入れるしかない」としか言えません。
同時に、「たまたま超円で構成された宇宙ができたら、2次元の宇宙であるし、超線で構成された宇宙があったら、1次元の宇宙も存在しうる。」ということを直感的に予想します。
私たちが生きているこの宇宙は、まさしく3次元の超球によって構成されているから、すべての事象は3次元なくしては成立しないようになっているのだと考えます。

「こうだから、こうなんだ」ふうの回答かもしれませんが、いかがでしょうか?
Posted by W.B at 2013年04月02日 21:17
> 「この宇宙は(実数空間では3次元である)超球で構成されているから三次元である」

 それは問題の書き換えにすぎないと思います。問題が次の形に書き換えられるだけです。

 「超球はなぜ三次元であるか?」

 同じことを別の形で表現しているだけであって、回答にはなっていないでしょう。
 数学で言うと、問題の式を、等価な別の式にちょっとだけ書き換えただけであって、(公理から導く)証明にはなっていません。
Posted by 管理人 at 2013年04月02日 23:21
あー、ひさびさに物理学ですねw

では、ひゃまのwhy?
3次元でないと紐は結べない
つまり物質のことですが、結んだあとに粒子スピンが始まるっていうのはいかがでしょうか?
Posted by ひゃま at 2013年04月19日 03:10
結び目や絡み目が空間を作っていると仮定します。
4次元以上では、結び目は交差移動が出来て、結び目が解けてしまいまして、無くなり、自明な輪になります。
2次元では、結べず、やはり自明な輪になります。1次元では、点になります。
結び目が残る事で、空間が縮退しないで存在していると考えると、空間は3次元になります。
ただし、2次元の輪が3次元の結び目と、絡み目を作り、3次元の絡み目に成る事はあります。
また、非常に小さな絡まない空間として、2次元の輪や1次元の点も、ダークマターやダークエネルギーの様に、結ばれずに存在する事が考えられます。
Posted by 地下水 at 2013年05月23日 16:35
おっと、なかなかの仮定ですね。

その2次元の輪が3次元の結び目が、磁気の輪と電気の輪の結合なら、つじつまが合うのですけどねw
Posted by ひゃま at 2013年05月27日 18:56
最後に 【 関連ページ 】 を加筆しました。
 空間の次元だけでなく、クォークの世代なども 3 という数字をもつ、という話。
Posted by 管理人 at 2013年09月16日 22:18
>>現実が二次元であったなら逃避先が一次元になるだけのような気がします

アニメでここぞという時に映像ではなく物語に集中してほしいのであれば
動画のままではなく一時的に静画化(静止画像化)するべきであり、
物語そのものをみてほしいのであればそもそも紙芝居で充分と。
Posted by ヒルネスキー at 2014年05月14日 08:01
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