少子化のせいで学校が次々と廃校になっている。では、その跡地を、どう利用するべきか?
《 使って、学校跡地 維持重荷、活用探る 》うまく有効利用されている例もあるが、ひどい利用例もある。
文部科学省によると、昨年度までの10年間で、全国で4709校が閉校になった。ほぼ毎年400〜500校規模で閉校している。
このうち跡地に建物が残る4222校の7割超が社会教育、老人福祉、体験交流などの施設として使われているが、約1千校で利用法が決まっていない。
閉校後の施設の維持には、光熱費や管理費などで1校当たり年間200万〜1千万円かかるとされ、給排水工事などの大規模改修には5億円ほど必要だ。
すでに決まったところでは、新たな学校として「第二の人生」を歩み出した例が多い。旧竜ケ峰小には昨年4月、私立帝京大学小学校が移転。市は14億5千万円で跡地を売り、帝京側が校舎を建て直した。旧南落合小でも東京医療学院大学が開校した。お年寄りのデイサービス施設として使ったり、病院誘致の用地に決まったりした例もある。
( → 朝日新聞 2013-02-18 )
→ 廃校活用、野菜の室内栽培「移住者の働く場に」
野菜の室内栽培なんて、ビニールハウスのかわりだ。そのためにコンクリの校舎を使うなんて、ひどい無駄遣い。
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その一方、「建物が不足しているので、設置してほしい」という切実な要望がある。
《 子ども持つなというの? 待機児童 都市部の母、訴え切実 》
赤ちゃんを連れた母親らが、我慢してきたつらい気持ちを涙ながらに吐き出した。妊娠中から保育所探しに歩き回り、育児休暇中も不安にさいなまれた揚げ句、預け先が見つからない。「認可保育所を増やしてほしい。現状のおかしさに気付いて」と訴えた。待機児童の多い都市部共通の、母の願いだ。
( → 東京新聞 2013年2月19日 )
保育所が必要とされているのだから、そのために建物を用意すればいいはずだ。それには、「廃校舎を改造する」という形でうまくゆくはずだ。また、広い校庭は、幼児の遊び場にもなるはずだ。
( ※ ちなみに、私の近所の保育所は、2歳児ぐらいの小さな幼児をまとめて引き連れて、そばのマンション内の公園に連れていって、遊ばせている。しかしこれだと、他人の土地の公園を勝手に使うことになる。また、途中で交通量の多い道路を幼児が歩くので、いくらか危険である。)
なぜ保育所不足がなかなか解決しないのか? その理由はただ一つ。自治体がやる気にならないからだ。
一方、自治体がやる気になると、一挙に状況が好転した例がある。横浜市だ。市長が民間経営者の出身である女性になった。するとたちまち、最悪に近い保育所不足が、一挙に解決に向かった。
《 横浜市、待機児童ゼロ目前 》市長がやる気になるだけで、これほどにも劇的に状況が変わるのだ。次の記事もある。
横浜市の林文子市長(66)が公約に掲げている「保育所の待機児童ゼロ」が目前に迫っている。平成22年4月には全国の自治体で最多の 1552人だった待機児童数は、積極的な施策の推進で24年4月に 179人まで減少。
( → MSN産経 )
→ 横浜市、保育所整備ペース緩和 待機児童ゼロ見越す
一方、自民党は見当違いのことをやろうとしている。
→ 幼児教育無償化:政府・与党連絡協議会を設置へ− (毎日新聞)
民主党の「子供手当」の真似をして、有権者の票を買収しよう、ということらしい。
しかし、大切なことは、保育所や幼稚園に入れた家庭の負担を減らすことじゃない。入れない家庭に対して、入れるようにすることだ。なのに、政策の方向があさっての方向を向いている。
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では、廃校を保育所にすれば、それでいいか? いや、そうは言えない。なぜなら、小学校はあまりにもデカくて、保育所をちょっと作ったぐらいでは、建物が大幅に余ってしまうからだ。
一方、次のような建物不足がある。
・ 終末医療施設 (ホスピス)
・ 老人介護施設
・ 老人ホーム
・ 生活保護世帯の住居
また、次のような不足もある。
・ 生活保護世帯や母子家庭の、職(仕事)
以上を一挙に解決する方法として、次の案を出そう。
「廃校舎に、いくつもの施設を併設する。上に述べたような老人用の施設とか、生活保護世帯の住居とか、保育所とか。さらに、そこで雇用される職員として、生活保護世帯の人々を雇う」
具体的には、次のようなことを想定している。
「広い校庭では、幼児がいっぱい遊んでいる。幼児のまわりには、お年寄りがいっぱいいて、幼児を見守っている。幼児とお年寄りがいっしょに遊ぶこともある。お年寄りが幼児の世話をするので、保母さんたちの負担は少なくて済む。また、保母さんたちの多くは、母子家庭で生活保護を受けていた母親たちである。彼女たちはここで働くことにより、仕事を得る。他の母親たちは、併設された老人施設でも働いている。これらの母親たちは、自分の子供の心配をする必要はない。なぜなら、併設された保育所に、自分の子供を預けることができるからだ。心置きなく、仕事をすることができる。母親たちは、仕事が終わったら、併設された母子寮(そこは廃校舎だったのを改造した)に移る。完璧な職住近接。したがって子供の心配をする必要もない。仕事が終わったら、保育所から寮に戻るだけだが、その間、子供が外に出ることはないから、完全に安全である。また、ときどき外部に用事があるときには、子供を仲間の母親に預けることもできる。困ったときはお互い様だ、とみんな理解しているからだ」
以上のようにすると、コストはどのくらいかかるか? 実は、コストはマイナスで済む。お金がかかるどころか、お金が浮く。なぜか? これまでは(母子家庭や高齢者の)「生活保護費」として、やたらと大金がかかっていたが、今後は、その費用をまるまる浮かせることができるからだ。
・ 生活保護費の「住居費」→ 廃校舎の改造費
・ 生活保護費の「生活費」→ 仕事への給料
このような形で、無駄にかかっていた生活保護費を削減できる。
それだけでなく、「保育所にかかる経費」「老人施設にかかる経費」なども、この部門でまかなうことができるから、それまでかかっていた経費が削減できる。
簡単に言えば、こうだ。
「これまでは生活保護費をもらうだけで無駄に遊んでいた女性戦力や老人戦力が、きちんと仕事をするようになるので、社会全体の効率が大幅に向上して、無駄な経費がかからなくなる」
そして、そのための起爆剤として、廃校舎を使えばいいのだ。このことによって、廃校舎それ自体の効用を、はるかに上回るほどの効用を、生み出すことができる。
わらしべ長者みたいなものだ。最初は役立たずの廃校舎があるだけだったが、それをあれやこれやと活用することで、いつのまにか、素晴らしい宝物を手に入れることができるようになる。
日本には無駄に眠っているものがたくさんある。廃校舎や、女性戦力や、老人戦力など。これらのものを、眠りから目覚めさせることで、素晴らしい富を生み出すことができるのだ。
それはまた、自分の生きがいを失っていた女性や高齢者に、生きる自信と価値を与えるということでもある。
[ 付記 ]
保育所には、若い女性が向いているだろう。
一方、幼稚園では、高齢者も十分な戦力になる。お絵かきなどの教育をすることもできるだろう。
さらには、小学生向けに、いろいろと家庭教師や塾教師みたいなこともできるはずだ。そのためには、廃校舎の教室がそのまま役立つかもしれない。
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不朽の名作 めぞん一刻
※ 五代くんは、保育園に就職しました。
市役所の住民票発行処理とかの自動機があれば、行政サービスも向上しそうです。
その場合、個別の補助金を重複してもらうことができなくなるので、建物を別にした方が得になることがあります。
今は改善されたかもしれませんが、かつては、複合施設を作るために、出入り口を別にしていたことがあります。
そんな老人ホームがあったら、私も将来入りたい。
親御さんが一斉に反対するでしょう。
痴呆老人が子供に危害を加えるんじゃないかとか
・・・
そんなことを親御さんが気にしなければ良いんですが・・・
その心配はないでしょう。危険性のある痴呆老人はもともと入居していないからです。
以下、引用。
> 多くの有料老人ホームでは事業者からの契約解除要件として 『入居者の行動が、他の入居者の生命に危害を及ぼす恐れがあり、かつ入居者に対する通常の介護方法では、これを防止することができないとき』としています。
http://www.osagashi-kaigo.com/shitsumon/index.php
ま、そこがいやなら、別の保育所にいけばいいだけの話。すべての保育所がそうなるわけじゃない。また、既存の保育所に老人が入り込むわけじゃない。両方いっしょに新設するだけだ。
どうしてもいやだというのなら、「老人ホームだけ作って、保育所を設置するな」という運動になりますが、そんなことする意味がない。いやな人は来なければいいだけの話。