2013年02月18日

◆ 天皇制は廃止へ?

 安倍首相が「女性宮家」を白紙にする方針を打ち出した。これは「天皇制廃止」に結びつきかねない。 ──
    ( ※ 本項の実際の掲載日は 2013-02-09 です。)

 
 安倍首相が「女性宮家」を白紙にする方針を打ち出した。
 安倍晋三首相は8日夜のBSフジの番組で、野田前政権が検討した「女性宮家」構想について、「皇統の継承は男系でつないでいくと皇室典範に書いてあり、女性宮家はそういう役割を担うことができない」と指摘した。その上で「もう一度じっくりと見直しをしていかなければならない」と述べ、白紙に戻す考えを示した。
 首相は、女性宮家の検討について「かなり国論を二分する形になった」と批判。一方で「皇室は天皇家だけでは存続できないので宮家の存在は必要」と語った。
( → 時事通信

 これは、「天皇は男子に限る」という方針のようだ。2ちゃんねるあたりでも女性蔑視論者が快哉を叫んでいる。

 だが、待ってほしい。そもそも、「女性宮家」論が生じたのは、男子の数が極端に減ったからだ。特に、浩宮・礼宮の次の世代は、男子は1名しかいない! たったの1名というのは、万一の場合に対する対処が脆弱すぎる。人生というのは何が起こるかわからないのだから、ひょっとしたらひょっとするかもしれない。
 そして、そうなったとき、女性天皇を拒否するとしたら、「天皇制の廃止」に結びつくしかない。

 ま、そのときになって、あわてて「女性天皇を許容しよう」という動きが出るのかもしれないが、その場合には、一定期間の「空白」が生じることになる。いったん天皇の系譜は途絶えて、その後に、新たに新規格によって女性天皇が誕生することになる。
 そんな泥縄なことでいいんですかね? 正当性が疑われてしまう。諸外国からは、 
 「20XX年に新たに定まった規格による天皇で、それ以前の元とは断絶する」
 というふうに見なされる。
 これを避けるには、もともと新規格を作って、ただちに女性天皇を許容するしかない。その場合には、連続性が保たれる。
 
 というわけで、「万一のため」に、「女性天皇」を許容することは、必要なのである。「天皇制の廃止」を避けるためにも。
( ※ 女系天皇は、女性天皇のあとだから、今は話は別だ。)



 [ 付記1 ]
 実は、本項と同趣旨の話を、前にもしたことがある。そちらも参照。
  → 天皇断絶と男系維持


 [ 付記2 ]
 実を言うと、女性宮家の問題が至急であるのは、女性たちがもうすぐお嫁に行って、民間人になってしまうからだ。そうなったら、次の時代の候補は、悠仁・愛子(敬称略)の2名しかいないことになる。
  → 天皇断絶と男系維持
 たった2名しかいないというのは、システムとしてあまりにも脆弱だ。
 こうなると、万一の場合が二つ重なったら、女性天皇の実現さえも無理となり、天皇制の廃止が現実化しそうだね。

( ※ それを避けるとしたら、iPS細胞で精子と卵子を結合するか。あるいは、冷凍精子によって試験管ベビーで天皇を作るか。……そんなことが話題になりそうだ。困ったことだ。)
 
 [ 付記3 ]
 大昔の旧宮家を復活しよう、という動きがあるが、そんな遠縁の人間を招くのは馬鹿げている、というのが、私の立場だ。この件は前に述べた。
  → Y染色体の継承
 本項に反発を感じる人は、この項目を読むといいだろう。「男」であることばかりにこだわるのは、あまりにも馬鹿げたことなのだ。では、何にこだわるべきか? それ以外の全人格だ。

 そもそも、そんなに遠縁の旧宮家でもいいのなら、いっそのこと、さらに前の韓国人あたり(の子孫)を、天皇にすればいい。
 というか、どうせなら、猿(の子孫)を天皇にすればいい。ただし、オスに限る。オスならいいんでしょうから。  (^^);

 [ 付記4 ]
 じゃ、どうすればいいかというと、「万一の場合」には、「女性天皇も女系天皇もみんな認めてしまう」ことにすればいいのだ。どうせ万一の場合の対策なんだから、騒ぐことはない。天皇制廃止に比べれば、ずっとマシだ。
 なお、これは、「男子優先」という原理を妨げるものではない。原則は「男子優先」であり、「女性天皇」はあくまで「万日の場合に備えてのバックアップ体制の確保」にすぎない。
 一般に、「万一の場合に備えてのバックアップ体制の確保」は、是非とも必要なのだ。そのことは、原発事故で身にしみたはずだ。
 


  【 注記 】
 勘違いされると困るので注記しておく。
 私が言いたいのは、
 「男性天皇をやめて、女性天皇にせよ」
 ということじゃない。
 「男性天皇がいなくなったときにどうするか」
 ということだ。

 ここで、保守派の人々は、次のように言う。
 「室町時代の伏見家から男性を取ればいい」
 しかしあの系統は、もはや天皇家の系統ではない。「男性」ではあるが、「天皇家」ではない。ゆえに「男性天皇」にはなりえないのだ。
 どうせ天皇家の血筋を無視するのであれば、そこいらの馬の骨でも選んで、新たに「男性天皇」にすればいい。
 誰がいいかというと……ええと、旬なところで、峯岸みなみを捨てた男なんかどうでしょうか? 精力が強そうだし。
posted by 管理人 at 19:01 | Comment(14) | 一般(雑学)1 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
文化的な話のわからない残念な人
Posted by 1h at 2013年02月09日 20:23
じゃ、説得力を増すために、もう一つ書いておきます。次項。
Posted by 管理人 at 2013年02月09日 20:34
万世一系というものを強調するのは、実際には万世一系ではなかったことを糊塗するためだ、という説がある。
 450年ごろに朝鮮半島から逃れてきた男大迹(ヲホト)王が、のちの継体天皇になったのだが、そのままでは自らの出自や正当性が疑われるので、あえて「万世一系」という言葉で(ありもしない架空の)系図をつくりあげて、「私は天皇の系統なんだよ。万世一系を守っているんだよ」と嘘をついて、天皇の座を乗っ取ってしまった、という説。で、それ以後、現在の天皇まで「万世一系」というフィクションを信じてきた……というわけ。
 → http://beaverland.web.fc2.com/oldhist/banse.html

 なるほど。強い言葉で大々的に宣伝する必要がある場合というのは、それが虚偽である場合だ。だいたい、「万世一系」なんて、何の価値もないはずだ。血統を乗っ取った人以外にとっては。

 要するに、「万世一系」というのは、もともと朝鮮系の人である天皇一家を、「実はそうではなかった」と言いくるめるぐらいの意味でしかないんですね。

 とはいえ、今の日本のほとんどすべては、朝鮮系の血が流れているんだから、あまり意味のあることではないが。
Posted by 管理人 at 2013年02月11日 23:51
ニュース。
 ローマ法王が28日に退位 高齢理由「自己意思で」
 → http://sankei.jp.msn.com/world/news/130211/erp13021122180001-n1.htm

 85歳だそうだ。

 今の天皇陛下は、79歳である。定年もなく、老骨に鞭打って酷使されて、本当にお気の毒です。老人虐待にならないんだろうか?
Posted by 管理人 at 2013年02月11日 23:55
>ここで、保守派の人々は、次のように言う。
>「室町時代の伏見家から男性を取ればいい」
>しかしあの系統は、もはや天皇家の系統ではない。
>「男性」ではあるが、「天皇家」ではない。
>ゆえに「男性天皇」にはなりえないのだ。

養子を取って天皇にするなんて言ってませんよね。
宮家を再興するだけです。
その宮家で生まれた男子を皇太子候補にキープする。
現代で考えられるぎりぎりの文化的な折衷案ではないかと。
文化とは公的な歴史であるので、アングラな歴史観は排除されます。
その上で現代の常識との折り合いがつけばよいだけです。

この考え方もお気に召さないでしょうけど。
歴史を無視して強引にやろうとしてもアメリカでさえ出来なかったのですから
日本人自身ができるとは思えません。
Posted by 1h at 2013年02月12日 00:07
> 宮家を再興するだけ

 とっくに消滅したものを再興すなんて無理ですよ。800年もたっているんだから。
 800年間存在している木造建築物が焼失したあとで、新しい木材を使って木造建築物を再建したとして、「木材の血統は 800年前と同じ血統だから、新しい木造建築物も同じ価値がある」とは言えないでしょう。それは新しい建築物です。

 だいたい、(天皇家でなく民間人の)800年間の血統をどうやって証明するの? 途中で間男による交替だって十分にあったはずです。戸籍では嫡出子だとしても、実際には妻が夫以外の子供を産んだ、という例は5%〜10%もあります。800年間の間には、間男のY染色体が入った可能性は多大にあります。
 間男の子孫を天皇にすることにしていいの? 愛子様ならほぼ確実に天皇家ですけど、宮家再興の場合には90%ぐらいの確率で間男の子孫です。
Posted by 管理人 at 2013年02月12日 00:26
だから文化は公的な歴史だと・・・
アングラな歴史は学問で勝手にやってればよいのです。
Posted by 1h at 2013年02月12日 00:52
論理的には管理人さんが全面的に正しい。
私も共感します。
ただ、現実的に系統が途絶える危機に対してどう対処するのが国民の納得を得やすいか、と考えると、宮家を再興するという方法の方が受け入れられやすい可能性はありますね。
本質的に近いものより、張りぼてでもなんでも「男系維持」と『公的に言える(強弁できる)』ということを重要視する人は多そうです。

そんな論理的には破たんしている方法を取るより、女性天皇を(どうしてもしょうがなければ女系天皇も)受け入れた方がいいといいと、私も思うのですが。

論理的に考えようとしない人たち(特にマスコミ)に論理的に明確な筋道を示すのが管理人の立場だから、1h さんと意見がかみ合わないのはあたりまえですね。
Posted by T.M. at 2013年02月12日 13:28
戦後皇籍離脱した宮様は昭和天皇から数えたら30親等は離れていますので
血筋の問題と正統性が保たれているのか、
そして国民的合意が得られるかどうかの問題ですね。

無くしてしまうのは惜しいというような価値観は言いたくありません。
文化を無くしたくないのは誰でも当たり前です。
でもそれを管理人様がおっしゃるのは公平と言えば公平ですね。

ただこちらでも言わせて頂ければですね。
文化の継承にはどんなものでも廃絶する危険があるものです。
それを無理やりに継ぎ足してもどうにも仕方が無いときがきます。
そのときにどうするのか。
遺伝子保存でもしますかね?
佐渡の最後の朱鷺の遺伝子をどうして冷凍保存しなかったのでしょう。
当時の日本人に先を見る力が無かったのでしょうか?
いやいや、そうではなく、そこまでしなくても良いとほとんどの人が思って居た事でしょう。

のちの日本人はあれだけ希少な天皇の遺伝子を残さなかった当時の日本人(われわれ)をあざ笑うでしょうか?
わたしたちが朱鷺に対してそう思わないようにそんなことはきっと無いでしょう。

いろいろすみませんでした。失礼をお詫びします。
Posted by 1h at 2013年02月12日 23:00
1h さんの質問のおかげで、私もいろいろ調べました。たとえば、これ。

 → http://www.eonet.ne.jp/~yanaken/miyasama/keizu2.htm
 → http://www.eonet.ne.jp/~yanaken/miyasama/keizu1.htm

 私もいろいろと勉強になりました。よい質問に感謝します。
Posted by 管理人 at 2013年02月12日 23:27
管理人さんの示したアドレスの元が
http://www.eonet.ne.jp/~yanaken/miyasama/index.htm

そのうち『女系天皇に反対』の項目がお勧めでないかと思われ

余計なことをごめんなさい。
Posted by 通りがかり at 2013年02月13日 00:28
管理人様
通りががり様ありがとうございます。

私は知りませんでしたが、「女帝について 3」は
これは相当にきもい内容ですね。まだ未成年の内親王の
結婚相手を決めようとしているのではありませんか。

とても気持ちが悪いです。

人間がやっていいのは朱鷺までですよね。

これはひどいです。
Posted by 1h at 2013年02月13日 01:48
今時になってもまだ天皇をありがたがってるのは理解に苦しみますね。
後継云々ではなく、必要性の話なのではないでしょうか?
ご意見お聞かせください。
Posted by 若輩者 at 2013年02月27日 15:18
日本国民による一家系に対する虐待行為です。言論の自由、職業選択の自由...なし。天皇は人間であることを宣言したのに、日本国民は、天皇家の人々に人間が享受すべき自然な権利を与えようとはしていないのです。日本国民が成熟すればこの特別扱いはなくなるでしょう。天皇家からも声を上げてほしいものです。日本国の象徴は日本国民の態度です。彼らを非人としてはいけません。
Posted by ぴゅあん at 2014年08月08日 23:07
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