2013年02月02日

◆ 笹子トンネル事故は設計ミス?

 (前項の続き) 笹子トンネル事故の原因は、施工ミスかと思ったが、設計ミスの可能性がある。
( ※ はっきりしたことは、よくわからない。【 追記 】の箇所を参照。) ──

 前項では、次のように述べた。
 「笹子トンネル事故の原因は、接着剤不足だった。それは施工ミスのせいだろう」

 しかし、よく考えてみると、施工ミスよりは、設計ミスと言えそうだ。その理由は、次の通り。

 ──

 事故の直接の原因は、接着剤不足だった。ではなぜ、接着剤不足が起こったか? 施工でミスしたからだ、と私は思った。しかし、記事を読み直そう。
 接着剤の付いた部分が短くなる要因について、松崎名誉教授は「施工するときはボルトを真上に向かって押し込んでいくので、液体の接着剤が下に漏れ落ちたことなどが考えられる。接着剤が漏れるなら、その分を見込んだ設計にすべきで、施工の状況と合わせて今後の調査のポイントになるのではないか」と話しています。
( → NHK 2013-02-02
 ここでは次のことが重要だ。
 「穴は上向きなので、穴に入れた接着剤がこぼれてしまう」


 このような特性があるがゆえに、「上向きの穴に接着剤を入れる」という工法が、根源的に間違っていたことになる。そのような工法を採用した設計(図面よりは工法)が、根源的に狂っていたのだ。

 もちろん、こういうことはありそうだから、通常は、次のことをする。
 「上向きの穴に接着剤を入れても大丈夫だということを確認するために、試験的にその工法で安全性を確認する」


 これは当然のことだ。そして、もしそのような試験をしていたならば、次のことがわかったはずだ。
  「上向きの穴に接着剤を入れると、穴に入れた接着剤がこぼれてしまう」

 これを確認した時点で、「この工法は駄目だ」とわかったはずだ。
 ところが、わからなかった。とすれば、その試験を省略して、「たぶん大丈夫だろう」と思って、勝手にその工法を採用したことになる。たぶん、「前に別のところでやっても問題は起こらなかったから」という前例主義だったのだろう。そして、その前例でも、試験は採用されなかった。結局、「前に大丈夫だったから」というだけの理由で、不完全な工法が採用された。
 そして、そのすべてにおいて、工法は不完全だった。つまり、
 「設計基準を満たさないので、最初の 20年ぐらいは何とかごまかせるが、30年以上たつと、ネジが落ちて、崩壊してしまう」
 というふうになる。
 とすれば、これはもともとの設計が狂っていたことになる。

 それだけではない。これが国内最初だとは思えないから、たにも同様の例がいくつかあるはずだ。トンネルとは限らず、一般の建物でも、吊り天井はあるはずだ。実際、地震のときに、体育館などの大型施設で、吊り天井が落ちた事例はある。
  → Google 検索
 これらの工法が接着剤によるのかは判明していないが、接着剤による工法は多くあるはずだ。とすれば、それらについても、チェックが必要だろう。
 というか、「接着剤式の吊り天井はすべて不完全だ」と思った方がいい。それらについては全面的に補強工事をするべきだろう。

 結論。

  ・ 笹子トンネルの事故は、思考ミスより設計ミスのようだ。
  ・ 上向きの穴に接着剤を使ったことが根源的な理由だ。
  ・ 同様の吊り天井は、多くの施設で見つかるだろう。
   それらについても対策するべきだ。

 つまり、「トンネルだけ直せばいい」というものじゃない。一般の屋内施設についても対策するべきだ。下手をすると、あなたの頭の上から、天井が落ちてくるかもしれない。
 これは杞憂ではない。
 
 ( うまいこと言ったね!  (^^)v )



 【 追記 】
 コメント欄で次の見解が寄せられた。
 「ケミカルアンカーの上向き施工自体は一般的な工法です。
  なので設計不良と単純に決めつけることではない。」

 ううむ。そうだとすると、「どうしてそんな失敗が起こったのか?」という疑問が生じる。
 「施工の失敗のせいだ」 
 と決めつけるのは簡単だが、そもそもカプセル式のアンカーは失敗のしようがないからだ。
  → 写真 (該当ページ
 これを穴の奥に入れて、ボルトを入れて、それでトンカチで打ち込んでカプセルを割る。……誰がやっても同じだし、失敗のしようがない。施工ミスが起こるはずがない。
 コメントでは「上向き施工に対応していないケミカルアンカー」の可能性も指摘されていた。もしそうだとすれば、「上向き施工に対応していないケミカルアンカー」のかわりに、「2液式の接着剤を使ったのかもしれない。上記ページによれば、「下穴を入念に清掃して、空気が入らない様に、奥の方から接着剤を注入していきます」ということだが、これならば失敗の可能性はある。
 だが、もしそうだとしたら、本来の「カプセル式のアンカー」という方式に反して、勝手に施工を変えていたことになる。
 そうなのだろうか? 

 謎は大きくなった。  (^^)?
posted by 管理人 at 16:59| Comment(5) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一応念を押しておきますが、ケミカルアンカーの上向き施工自体は一般的な工法です。
(なので設計不良と単純に決めつけることではない。「結論」でまとめていることは誤りです)

但し、上向き施工に対応していないケミカルアンカーを用いたのであれば、それは施工の誤りです。
Posted by 大山椒魚 at 2013年02月02日 17:27
ご指摘を受けて、最後に加筆しておきました。
Posted by 管理人 at 2013年02月02日 19:22
ええと、簡単に言えば上向き施工にはそれに対応した専用の封止ワッシャーを用います。
従い、施工時に指定のワッシャーを使用したかという点が怪しいです。
(それは接着剤が実際に「不足」していたことから推測できます)

本来下に垂れてはいけない物が垂れた=その分内部は未充填箇所が発生する可能性が高い(カプセル内容量には多少は余裕が有ります)と考えます。

この施工業者が当時はまだ新工法に近かった為、不慣れであったのではないでしょうか。
(今は既に日曜大工のレベルにまで定着しています)
Posted by 大山椒魚 at 2013年02月02日 20:04
今も昔もそうですが、「トンネル設計」「トンネル施工」で請け負った「受注者」は、トンネル本体の設計・施工には頭を使い、付属物的な物…例えば今回の天井を釣るアンカーボルトなんか…の設計・施工はついおろそかになります。
 設計したコンサルタント会社は、おそらく「このくらいのケミカルアンカーを使えば持つ」という計算だけして、アンカーの形状まで記載しなかった…道路公団(当時)の担当も、「使用実績があるからいいや」と、そこまで気がつかなかった…工事受注者もまた図面どおり「普通の」ケミカルアンカーを使った(契約上は問題がない)という「不作為の連鎖」があったのではないかと思います。
Posted by あるみさん at 2013年02月02日 22:50
そもそもコンクリート構造物自体がトンネルのように長期間使用するものは、定期的にメンテナンスが欠かせません。問題のトンネルについて考えて見ましょう。トンネルの中央に高い隔壁がありそれが片側4キロあわせて8キロになります。人間の手による打音検査が行われていなかったと指摘されていますが、実際現場でその作業が可能でしょうか。現場で作業される人は中日本高速の社員ではないでしょう。下請けに出される予算の範囲でトンネルの上部に上りまたくらい場所ではしごに登り、(一人ははしごを支える2人組み)かなづちでボルトを叩いても左右1メートルほどしか検査できません。予算の範囲内で8キロの長さのものを検査することは事実上。不可能に近いものがあります。まず長期間使用するようなものは、メンテナンスが容易にできやすい構造にするべきです。笹子トンネルは設計段階でメンテナンスが事実上できないような構造になっているため、そういった事故が起きたと思います。
Posted by としちゃん at 2013年05月15日 21:50
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