2013年01月27日

◆ 歌舞伎座の改築 2

 歌舞伎座の改築がほぼ完成した。「改悪」と批判されたこともあったが、結果はどうなったか? ──

 歌舞伎座の改築が話題になったが、ほぼ完成したそうだ。
 《 歌舞伎座ほぼ完成 4月2日、いよいよこけら落とし 》
伝統の桃山様式を取り入れた華麗な唐破風(からはふ)の屋根、白壁に映える赤い欄干――。東京・銀座で建設が進む、新しい歌舞伎座の外観がほぼ完成した。背後のビルと無料開放される屋上庭園を除けば、先代そっくりに引き継いだ、できたてぴかぴかの姿を見せている。
 わずかに残る瓦の施工も、月内に終える見込み。植栽や内装工事の仕上げを経て2月28日に竣工(しゅんこう)し、4月2日、いよいよこけら落としの幕が開く。
( → 朝日新聞 2013年1月27日
 この件は、私は前に話題にした。
  → 歌舞伎座の改築 (2009年01月28日)
 それは次の趣旨だった。
 「歌舞伎座が改築されることになったが、慎太郎が『銭湯みたいで好きじゃない』と難癖を付けたせいで、シンプルなデザインに変更された。しかし、そのせいでひどいデザインになった」

 この項目はかなり話題になった。このころ、「歌舞伎座 改築」で検索すると、上記項目がトップになっていた。
 あちこちでさんざん批判されたせいだろうが、歌舞伎座の経営陣は方針を改めて、元の外観に近い案に改めることにしたそうだ。

 ただ、その当時の改定案については、次のように講評した。
 今回の新デザインは、実は、以前のデザインと大きく変わっているわけではないようだ。以前のデザインと比較して、基本構成は大差ないのがわかる。(今回、あまりはっきりとした絵が示されていなくて、ぼんやりとしかわからないのだが、それでも、一応そうだとわかる。)
 つまり、最悪のデザインではないのだが、「当時の現実の歌舞伎座」と「改定案(シンプルな案)」との折衷案みたいなデザインになっていた。
  → 改定案のデザイン

 これでは、いくらかマシだとは言え、ひどいものだと思っていた。
 
 さて。それから3年ぐらいたって、ようやく改築が済んだわけだが、結果はどうなったか? 

 ──

 新旧の写真を比べると、こうだ。

  → 以前の歌舞伎座 (2010-02)
  → 新しい歌舞伎座 (2013-01-19

 ほとんど違いがわからない。そっくりさんだ。
 では、どこが違うか? 間違い探しふうに調べてみると、最大の違いは、次のことだ。
 「白い壁面に、横線があったのだが、今ではなくなっている」

 この横線は、古い建物では顕著だ。
  → 以前の歌舞伎座

 一方、現時点では、つるんとしている。
  → 新しい歌舞伎座

 しかしまあ、主な違いは、このくらいだ。窓の赤い線も少し違っているが、ほとんどわからない。他の細かな装飾はそっくりだ。
 「間違い探しをしないとわからない」
 ぐらいなのだから、従来のデザインがきわめてよく踏襲されたことになる。
 これはすばらしいことだと称賛しておこう。
( ※ 私が前に批判した甲斐があったというものだ。私は口が悪いが、それが世の中のためになることもあるんです。  (^^); )
 


 [ 付記 ]
 初期の改築案は、これ。
  → 歌舞伎座、装飾を抑え現代風に 建て替え計画案提出(朝日新聞)
  → 新しい歌舞伎座の完成予想図(読売新聞の転載)
  → そのデザイン

 その直後の改定案。(前述)
  → 改定案のデザイン

 歌舞伎座の方針変更。
 このたび新しい歌舞伎座の外観図が発表されますことは、私たち俳優にとっても、まことに嬉しいことでございます。
 今回の発表に先立ち、俳優協会の理事会で下見いたしましたが、大変好評でございました。それは私たちが長年親しんできた第四次歌舞伎座をそのまま再現したかのような外観だったからでございます。
( → 歌舞伎座建替え計画 外観デザイン発表会(2011年4月5日)
 これは現実の新しい歌舞伎座のデザインだ。つまり、最終デザイン。先の改定案からは大幅に変更された。
  
 建築家は、隈 研吾。
  → 匠インタビュー:「現代建築家」隈 研吾氏

 現在の歌舞伎座の写真。
  → Google 画像検索
posted by 管理人 at 15:05 | Comment(5) | 一般(雑学)1 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Google のストリートビューで確認すると、以前との大きな違いがわかる。
 ストリートビューは 2009年の画像だが、それと現在を比べると、次の違いがある。
  ・ 歌舞伎座の全体が左に移動している。
  ・ 歌舞伎座の左にあった建物(歌舞伎座茶屋)
   は消失している。
  ・ 歌舞伎座の右にあった付属建築みたいな部分
   は、形状が一変して、拡大している。
  ・ 歌舞伎座の裏(奥)は、歌舞伎座タワー
   という超高層ビルになっている。
  ・ 超高層ビルの出入口は、歌舞伎座の左側の
   通り(昭和通り)である。
  ・ もともとあったビル(焦茶色)は、消えた。
   ただしストリートビューには残っている。

 なお、この超高層ビルについては、下記に画像がある。
  → http://www.shochiku.co.jp/play/kabukiza/office.php
  → http://animeanime.jp/article/2013/01/21/12751.html

 現在の歌舞伎座の全体像は、こちら。
  → http://www.asahi.com/shimen/articles/images/TKY201301260371.jpeg
Posted by 管理人 at 2013年01月27日 20:28
旧歌舞伎座の修復を手がけた吉田五十八の設計図は出身校の東京芸術大学に寄贈されて
国家財産になっているので、設計図の閲覧や利用は可能だと思う
旧歌舞伎座のファサードを残そうと思ったのなら、自己表現をしたい建築家に依頼せずに
大手設計事務所や大手ゼネコンにたのめば、ファサードは変えずにデザインしたと思うよ
オリジナルに戻して、中央にも破風を作ってしまえば、さらに後ろのビルを隠せたように思う
参考サイト
http://www.kabuki-za.co.jp/sya/vol2.html
Posted by 一人の建築設計を生業とするもの at 2013年01月28日 16:20
劇場は建物の最上階につくるもので
神様が天上から舞台をみれるようにするためです。
写真を見ただけですが舞台の真上あたりは
高層ビルになっているみたいで
これでは神様にご覧いただけないですな。

勘三郎が若くしてなくなり、団十郎も危ないのは新しい歌舞伎座の呪いという噂があります。
Posted by ケニア at 2013年01月30日 09:11
歌舞伎座の屋上は、無償公開の和風庭園になっています。「歌舞伎座 屋上」でググれば、画像も得られます。

 高層ビルは、歌舞伎座の奥にあります。少し前のコメントに書いてあるとおり。
Posted by 管理人 at 2013年01月30日 12:23
私どもが1番心配してるのは舞台機構です
朝日新聞の動画見ましたが躯体部分が非常に小さく見えます
それと新橋演舞場であった盆のスリップ事故
この時は役者の気転で舞踊風にしてよろめきを踊りにしてましたがまかり間違えるとすってんころりんあいたたたあもありえたんですよね
それとか小火騒ぎの体様です
演舞場の時はジャニーズの社員と演舞場の社員が頑張りましたがさて歌舞伎座はどうでしょうか?
3階席が異常に少ない両横は席がありません
もう少調査してみますが油断の出来ぬ物出来てしもと思います
Posted by 舞台研究会の者より at 2013年02月14日 10:38
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