少子化の解決策として、民主党は「子供手当」を掲げていた。ただ、それだけでなく、育休も大切だ。
とはいえ、問題もある。育休には、「まわりの人の負担」という形で、負担がかかるからだ。
育休を取得した人の仕事は、周りの人が肩代わりすることになる。では、どうすればいいか? 記事中で述べられているように、「さっさと復帰する」という方法でいいか? いや、それは問題を緩和するにすぎない。もっと根源的な対策が必要だ。
「休んだ彼女たちの仕事は、誰かが穴埋めしなきゃいけない。だったら、子育てに保育園とかベビーシッターとか、公的な機関も含めて利用して、できる限り早く仕事に復帰すべきです。たとえ自分の稼ぎのほとんどが子供を預けることに使われることになったとしてもです」
( → 日経ビジネス )
──
一方、企業の側から見ると、「育休なんか困る」という立場となる。この立場からすると、「出産年齢に差しかかった女性を雇用しない」という女性差別の方針が合理的だ、ということになる。
出産に伴い休職する確率の高い女性は出来るだけ採用しないか、しても出産を機に退職させるのが企業にとっては合理的となってしまう。要するに、勤続年数に穴の空く女性を排除 → 出産の機会費用が高騰 → 少子化促進という流れだ。なるほど、企業の立場としては、そうだろう。しかし企業が「自己の利益」を増そうとすると、国全体では少子化が進行して、国全体が弱体化してしまう。これは「合成の誤謬」だ。(局所的な最適化が全体の悪化を招く。)
( → アゴラ・城 繁幸 )
では、どうすればいいか?
──
以上の問題の解決策として、私は次のように提案したい。
「国全体が最適解を推奨する。そのために、制度を整備する」
具体的には、こうだ。
「最適解を選んだ企業を優遇するように、税制を整える。つまり、育休優遇税制」
その細目を言えば、こうだ。
「育休を取った社員の割合を調べて、その割合に応じて、法人税(など)を減免する」
例1。製鉄企業のA社では、女性社員がいなかったので、育休を取る社員がいなかった。そのせいで、育休の優遇税制を受けられなかった。法人税はそのまま払う。
例2。女性下着販売のB社では、女性社員が 90%だったので、育休を取る社員が10%いた。この比率が 10%というのは、上から2番目の「クラス2」にあたるので、育休優遇税制により、「クラス2は 50%の法人税減免」となった。かくてこの会社では、法人税が 50%も減免されるという恩恵を受けた。
【 注 】
ここでは「育休社員の比率に応じた法人税減免」だったが、別の案もある。「育休社員の実数に応じた手当て支給」である。たとえば、「育休社員が一人増えるごとに、その社会保険料の企業負担分の全額を国庫が負担する」というふうな。この支給をどれだけにするかは、企業の努力に応じて可変的に変動させてもいい。
──
結論。
育休を普及させたければ、そのための優遇税制を整備すればいい。たとえば、該当企業についいての法人税減税など。
ひるがえって、育休の努力をサボっているような悪徳企業も含めて、一律に「法人税減税」なんて、とんでもない。それは「悪を優遇する」というのも同然だ。
[ 付記 ]
安倍政権は、次のような施策を打ち出した。
・ 若者を雇用した企業への補助金
・ 賃金を上げた企業への法人税減税
しかし、そのいずれも駄目だ。「そういう推進策を採れば、その方向に進むだろう」と狙ってのことだろうが、現実には、その方向には進まない。かわりに、次のようになる。
・ 企業は若者を雇用する分、中高年を解雇する。
・ 法人税減税に釣られて賃金を上げたりはしない
要するに、「無効」である。こういう馬鹿げたことをするくらいだったら、「育休」の普及のために補助金を出す方がずっといい。それは日本という国家を少子化から救うからだ。
なお、少子化がいかにまずいことであるかは、別項で示した。
→ nando ブログ : 高齢化社会と少子化社会
[ 蛇足 ]
※ 読まなくてよい。お暇な人向け。
こういう「悪の推進」をする人の一人に、池田信夫などの古典派経済学者がいる。彼らは「企業を優遇すれば日本経済は伸びる」と言うが、善も悪もひっくるめて優遇すれば、悪の企業がやたらと伸びる結果になる。
彼らの主張する「自由主義経済」「規制緩和」のもとでは、悪のなかの悪とも言える詐欺企業が跋扈するようになった。その例が、「年金 2000億円消失」の債権投資会社であり、「数百億円消失の粉飾」のオリンパスだ。似た例に、「カジノで巨額損失の補填で横領」という大王製紙もある。
やたらと自由ばかりを進めれば、社会は歪んでしまう。悪をのさばらせないためには、何らかの矯正が必要だ。
女性の下着にも、「矯正下着」というものがある。それによってスタイルを良くする。「何も制限しないで自由気ままに」なんていう方針では、食い過ぎで、太った醜いスタイルになるだけだ。
物事をまともにするには、「好き勝手」ではなくて、もっと厳しい方針が必要だ。そして、そのために、政府というものが存在する。「規制なんか少なければ少ないほどいい」という極端な自由信仰は、無政府主義に等しい。それは無知な子供の発想である。
「僕はお菓子を好きなだけ食べたい! それが一番幸せなんだ! そうすればきっと僕は素晴らしい人間になる!」
いや、わがままな人間になって、社会の鼻つまみになるだけです。ついでに自分は虫歯になる。
企業にお金が届いたとしても、お金が仕事をしてくれるわけでもないと思うのですが。
常識的に考えれば、次のいずれかでしょう。
・ 外部から臨時社員を導入する。
・ 会社内で配転する。
学校の例で言うと、次のようになる。
・ 代理の臨時教師を導入する。
・ その学校内での配転。例。校長や教頭が教える。(短期間のみ。)
コストアップが起こりますが、その分は、国がお金を上げればいい。
すぐ熱を出す子供、学校行事、子育て中のママさんは10年ぐらい出社そのものが不安定。すぐ休み、何かあったらすぐ帰るので会議の約束も出来ず責任のある仕事につけさせられません。
育休は本人が完全休みですし妊娠期間があるので人員計画が立てやすく、代替要員もあてがいやすいのですが、復帰後はおなじ「一人」と数えられても実際の働きは50%なので、復帰してからの方が周りが負担。
むしろ「育休とるのはいいけど復帰しないで」と思われているのが現実かも・・。
それちょっと大げさでは? たしかに「すぐ熱を出す子供、学校行事」というのはありますが、週にいっぺんもないと思います。二週間にいっぺんぐらいあると、ことさら目立つだけ、という感じじゃないかな。
会議にしても、25〜35歳ぐらいなら、重役じゃないから、そんなに騒ぐこともないと思うが。
結論だけ言えば、先進国の経験では、少子化対策なんてほとんど無駄なので(出生数が増加した事例もあるが、原因はよくわかっていない)、少子化は放置して、育児支援だけやった方が、政策コストを低く抑えられるでしょう。
少子化対策なんていう、達成不可能な政策目標を設定すると、無制限に金がつぎ込まれ、財政が破綻するでしょう。
別にコストじゃありませんよ。たとえば 10兆円かけるとして、その 10兆円はどこかにコストとして消えてしまうわけではなく、国民の財布に入ります。
子供のいる家庭と、そうでない家庭との間で、所得の配分を変えるだけです。どこかでマイナスが生じても、同額、どこかでプラスが生じる。差し引きして、損得なし。国民全体にとってはコストはゼロです。
これによって子育てのインセンティブになるのは、自明です。実際、フランスでは効果が出たし。
仮にこれに意味が見出せないのであれば、あらゆる補助金を廃止してしまえばいい。さらには、あらゆる税金を廃止してしまえばいい。税金をかけてもかけなくても同じだ、ということになるんだから。(現実にはそれはありえない。補助金や税金には何らかの推進や抑制の効果があります。原因やメカニズムの解明は必要ない。相関関係が見出せればいいだけ。それは見出される。)
> 無制限に金がつぎ込まれ、財政が破綻するでしょう。
フランスでも欧州諸国でも、無制限ではない一定限度の金を投入することで、一定の成果が出ています。
そもそも財政が破綻するはずがない。国民間の所得配分を変えたとしても、コストはゼロだから、財政には影響しない。
また、当初の目的である、徴兵年齢の人口を増やすことはできたが、すでに、戦争は人間の数では決まらなくなっていたのです。まったく無駄だったわけだ。
>国民間の所得配分を変えたとしても、コストはゼロだから、財政には影響しない。
軍事費をいくら増やしても、それは一種の公共事業だから問題ないという理屈もありますけど、それについては?軍備増強が、国家間の軍事緊張を高めるという問題は無視するにしても、資源配分を非生産的な分野にシフトさせると、成長率は低下します。再分配する資源がなくなるから、福祉だって縮小せざるをえない。
少子化対策の経済効果がもし出るとしても、タイムラグが最低でも20年以上あって、その間は、むしろ、教育や育児に資源が使われるので、成長率は低下します(人口オーナス)。
育児支援により、婦人の労働力化率を高める政策を実行した方が、短期的にはよほどましです。長期的には?そもそも国家が消滅していて、人間が出入り自由になっていて、一国の人口なんて無意味になってるかもしれない。
> 普仏戦争
フランスの少子化対策の例は、そんな昔のことじゃない。ここ 10〜20年のことです。即効で効果が出ています。
→ http://j.mp/VE6m6b
→ http://fban.blog9.fc2.com/blog-entry-46.html
→ http://mamapicks.jp/archives/51865429.html
> 軍事費をいくら増やしても、それは一種の公共事業だから問題ないという理屈もありますけど
軍事費は公共事業と同じで、コストがかかるから、全然ダメです。アベノミクスも駄目。クルーグマンも駄目。財政政策にかかるコストを忘れている。
一方、減税や子供手当のような現金給付ならば、コストはゼロです。
減税(所得配分変更)と公共事業(軍事費を含む)との違いに留意してください。後者は無駄が発生するが、前者は無駄がゼロです。所得配分の変更だけがある。
> 資源配分を非生産的な分野にシフトさせると、成長率は低下します。
公共事業(軍事費を含む)ならね。
所得配分と資源配分は違うので、注意のこと。
所得配分変更では、単に資金の移動があるだけ。結果的には、出生率が上昇する、という変化だけが起こる。産業構造としては、幼稚園や子供服工場が増える、というぐらいの違いしか生じない。
少子化対策とは、実質的には結婚と出産の強制であり、非婚女性にたいする社会的差別であるという主張が、香山リカ「結婚がこわい」にあります。
レーベンスボルンほど露骨でなくても、非婚女性、非出産女性に対する社会的差別は、強烈なものがあるのです。
例示的に言えば、誰かが結婚するたびに、「非モテに対する社会的差別だ!」と騒ぐのと同様。狂気の沙汰だ。
正しくは「社会的差別」ではなくて、「優遇してもらえない」だけ。何かをされるわけではなく、何もされないだけ。用語を正しく使いましょう。
なお、優遇されないのは、当然です。自分は親に育ててもらったのに、その対価を払わない(子育てをしない)からです。生物の基本システムに、タダ乗りするからです。下記項目の「先に受け取り、後で与える」という箇所を参照。
→ http://openblog.meblog.biz/article/255389.html
ま、税金を払わないようなものです。その分、冷遇されても、仕方ない。電車にタダ乗りするように、社会システムにタダ乗りしているんですからね。子供のころに教育費をもらうとか。もらうだけもらって、払うのはいやだ、なんて、ただのエゴです。
例示すると、医学教育には莫大な国費が投じられていますが、その恩恵を受けながら、ろくに税金を払わないでいる医者のようなもの。
ついでですが、「結婚と出産の強制(優遇)」じゃないですよ。出産だけです。結婚はしなくてもいい。出産だけする未婚の母でも構いません。
元レガシーな製造業の開発部に勤務していた経験からして、確かにその通りだと思います。
ただ、これは日本の会社の多くが抱えている根本的問題が関係します。
仕事を実行する仕組みがまったくシステム化されていない(≒IT化されていない)ため、
・同じ場所に集まっていないと仕事が進まない
・違う人に人を引き継ぐのがとても大変
という問題が発生しやすいのです。
これにより、子育て中の女性が敬遠されてしまう原因になりますし、休暇が取りづらい原因ともなります。
実は、子育て中の女性が働きやすい職場を作ること(場所にとらわれず働けるようにすること、仕事の引継ぎや補完がすぐにできるよう業務管理をIT化しておくこと)は、ホワイトカラーの生産性を上げることに直結します。
週に1度や2度程度、職場より優先させて早く帰らなきゃいけないことがあったり、月に1回くらい休まなきゃいけないことがあるくらいで、仕事が滞ったり、周りの人がストレスを感じる職場環境そのものが間違っている、と多くの人が悟べきです。
自分の仕事を抱えて外に出さす、自分がいないと皆が困る、という状況にして初めて安心できる。こんなマインドセットを変えて、相互に情報シェアして仕事を補完するのを当たり前にしないと、ホワイトカラーの生産性は絶対上がらないです。
もっと根本的な問題として、仕事の仕組みを変えよう、とか、生産効率を上げて楽に仕事ができるようにしよう、というモチベーションを持った人が日本の職場では極端に少ないってことがあるんですが、話がずれてしまうのでこのくらいにしておきます。
長文失礼しました。
これは被害妄想だと思いますが、それとは別の話として、生き方として結婚も出産もしないという人生は否定されるものではないと思います。
であればこそ、結婚と出産という選択をした人には、その人の分もたくさんの子供を産んで育ててもらわなくてはならず、支援は厚くするべきと言えます。
卓見ですね。感心しました。実に本質を突いている。
生産年齢人口の比率が減ると、福祉が維持できない、だから生産年齢人口を増やして、バランスを取らねばならないという話がありますが、それなら20年以上前に、実効性のある少子化対策をすべきだった。もはや、手遅れです。
「何もしないよりはましだろう」
いや、何もしない「よりも悪い」。生産年齢人口割合が増えるまでには長い時間がかかり、その間、育児負担と高齢者福祉との二重負担になります。
そんな迂遠なことをするよりも、就業者の人口割合を増やす政策を採った方がいい。それはすなわち、育児支援であり、賃下げによる高齢者雇用の促進であり、高等教育の縮小です。
第1に、地球規模でしょうしか対策をするのではなく、日本でだけ少子化対策をする。
第2に、人口の増加は平均寿命の増加が理由であり、出生率の増加(2以上になること)が理由ではない。
第3に、少子化対策は人口増加のためにやるのではなく、人口の急減を避けるためにやる。出生率を2以上にしようとしているわけじゃない。せめて2に近づけようとしているだけだ。(比喩的に言うと、借金漬けの人が借金を返済するのは、大金持ちになるためにやるんじゃなくて、自己破産をしないためにやる。その区別はわかりますね?)
以上のすべてで、根源的に勘違いしていますね。もうちょっと勉強しましょう。
> 20年以上前に、実効性のある少子化対策をすべきだった
だから、今から20年後のための話をしているんですよ。別に「今日赤ん坊を増やしたら、来年には赤ん坊が成人する」なんて、誰も思っていません。
> その間、育児負担と高齢者福祉との二重負担になります。
そうです。
> そんな迂遠なことをするよりも、
日本という国は先人が迂遠な積み重ねをした末に、今日の発展を得たのです。1年でできたわけではない。何十年もの積み重ねの末に、この発展した社会ができました。
池田信夫みたいにエゴイストだと、他人への感謝の念がないから、先人の貢献をすべて無視して、「高齢者を虐待しろ」と言います。
そういう偏った発想のエゴイズムを是正するといいですよ。そのためには、nando ブログで「高齢者」という語で検索するといい。あるいは、他の語で検索してもいい。
http://nando.seesaa.net/article/291160944.html
> 賃下げによる高齢者雇用の促進
そういう市場原理万能の発想はいい加減に捨てた方がいいですよ。
現状は労働市場は供給過剰であり、若者でさえろくに雇用されない(失業率が高い)状態です。つまり、不均衡。不均衡状態では、市場原理は成立しません。
→ http://nando.seesaa.net/article/124463486.html
いくら賃下げしようと、不均衡状態では、需給は均衡しません。必要なのは、賃金低下ではなくて、労働需要の拡大、つまり、景気回復です。
> 就業者の人口割合を増やす政策
現状でさえ供給過剰なのに、供給ばかりを増やしても、雇用は増えません。こんなイロハもわからないんだから、いい加減、池田信夫の傘下を離れた方がいいですよ。彼はマクロ経済学を全然理解できていないんだから。
どうせ読むなら、クルーグマンかスティグリッツにすれば? 池田信夫を読むと、馬鹿の発想に洗脳されるだけです。
だいたい、池田信夫って、英語原文を誤読してばかりいる。最近でも物笑いのタネになっていたが。英語も読めないで援護論文を読んでいるようだが、彼はGoogle の翻訳機能でも使っているんじゃないの? 誤読がひどすぎる。
> それはすなわち、育児支援であり
だから育児支援をすればいい、というのが私の見解。それが少子化対策になる。何度言えばわかるんだか。
 ̄ ̄
> 保育所に入所できない「待機児童」の解消に向けた取り組みで、自治体によって差が出ている。神奈川県横浜市では最大で1500人を超えていたが、2年間で200人を切るまでに減少させ、2013年4月までに「ゼロ」を達成する勢いだ。
http://www.j-cast.com/2013/01/14160571.html
という発想がありながら、
『育休を取った社員の割合を調べて、その割合に応じて、法人税(など)を減免する』
ことが育休を普及させることになると考えるのはなぜでしょうか?
私は『そういう推進策を採れば、その方向に進むだろう』と思いますが。
また、『 若者を雇用した企業への補助金』を出すことで『企業は若者を雇用する分、中高年を解雇する』となるのになったとして、安倍政権の施策が無効になるとは思えません。
施策の目的はそもそも若者の雇用でしょうから、その目的は達成されています。
さらにいえば、労働法の関係で雇用者を企業の勝手で解雇することは簡単にはできません(不可能ではありません)。
ですので、管理人さまのおっしゃるように『企業は若者を雇用する分、中高年を解雇する』ということはなく、余裕のある企業は若者を雇い、そうでない企業は雇用を増やさない方向に行くのではないでしょうか。
「きみが僕に 100円くれたら、僕はきみにお礼として 10円あげるよ。きみは 10円もらえて得をするよ。だから僕に 100円ちょうだい」
これにつられて 100円渡す阿呆がいるでしょうか?
ここでは、差し引きが問題です。10円もらえるからといって 100円を渡すことにはなりません。
育休の場合は、それをやるかやらないかは、企業が決めるんじゃなくて、社員が決めます。企業が勝手に「おまえ育休を取れ」と命じるわけじゃない。企業はもともと育休を取ってもらいたくない。
ただ、現状では、育休を取った社員への虐待が多い。その虐待を少なくする(法律を遵守させる)という効果のために、「アメとムチ」の「ムチ」だけじゃなくて「アメ」も与えるわけ。具体的には次の形。
・ 社員を退職に追い込まない。
・ 福利厚生の充実で人材確保。
かなり迂遠な経路です。直接的な経路じゃない。
法人税減税などの措置を取っても、企業が社員に「みなさん育休を取りましょう」と音頭を取ることはありえませんね。せいぜい妨害が減る程度。その妨害をなくすことが狙い。
> 若者を雇用した企業への補助金
そんな不公平なことをしても税金の乱用だ。若者というのは恵まれた環境にあるのだから、賃下げでも何でも受け入れて雇用してもらえばいい。明らかに高齢の失業者よりは有利な位置にいる。それでいて中年の家族持ちの失業者よりは困窮度は低い。
雇用補助金を出すなら次の順序です。
・ 身体障害者、知的障害者
・ 母子家庭
・ 病気持ち
・ 子持ち
・ 高齢者(生活保護受給者)
これらの困窮者の順で雇用補助金を出すべきです。これらの人々がすべて雇用されたあとで、若者が来ます。
「若者に雇用補助金を出す」というのは、「シルバーシートを若者優先席にしろ.老人や妊婦は立たせてしまえ」というのと同じぐらい馬鹿げた方針です。雇用において最も有利な立場にいる人のためにあえて補助金を出す必要はない。
たとえば、求人倍率は1倍を大きく上回っています。
→ 「中小企業の有効求人倍率は3倍以上」
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130117/prl13011715290063-n1.htm
一方、中高年の求人倍率は、1倍を下回っています。
──
ま、傾向としては、「補助金を出せばその方向に進む」という傾向はいくらかはあるでしょう。しかし、出した金の分だけ効果があるとはとても言えない。しかも、その金の出す方向が全然狂っている。
国がやるべきことは、「国全体の労働需要を増やすこと」です。椅子の総数を変えないまま、「中高年の椅子を奪って、若者に与える」というようなことをしても、無意味です。
> 『企業は若者を雇用する分、中高年を解雇する』ということはなく、余裕のある企業は若者を雇い、そうでない企業は雇用を増やさない方向に行くのではないでしょうか。
たとえ個別の企業がそうだとしても、国全体の労働需要が増えなければ、次のようになります。
・ どこかの企業が倒産して中高年が解雇される。
・ 別の企業で若者が優先して雇用される。
結果的に、中高年の椅子が奪われて、若者がその椅子を奪うだけです。(ミクロ的な交替。)
このように椅子の奪いっこをするための税金投入は馬鹿げています。税金の投入は、国全体の椅子の総数を増やすために使うべきです。(マクロ的政策。)
また、「困窮者を困らせ、恵まれた人を救う」という方向は、不正義です。どうせなら、「若者を解雇して、身体障害者や母子家庭の母親を雇用した」という企業に補助金を出すべきでしょう。それならまだ正義にかなう。(生活保護費が減る効果もあるから、国にとっても有利かもね。)
若者は働く気があればいくらでも働く場はあるんだから、補助金とは関係なくさっさと働けばいいだけ。
若者の失業率が高いことの一番の理由は、「就職できないこと」ではなくて、「就職したあとで、こらえ性がなくて、すぐやめてしまうこと」です。我慢や気力の問題。それは補助金ではどうしようもない。
結婚したくない女性に結婚を強いるのは問題外ですが、結婚したくても出来ない女性(男性)が結婚出来るように手助けするのは良い事なのでは?
育児支援というのは既にご飯をお腹いっぱい食べた人に更にデザートをあげるようなものです。そんな事をしてもご飯すら食べられない人がいる事実は変わらないのです。つまり育児支援は全く少子化対策にはならない。寧ろ今現在独身の人々に皺寄せがいって結婚できなくしている分、少子化推進策であると言えます。
まあ私は少子化万歳ですけどね。