2013年01月19日

◆ 年金殺人事件

 祖父が孫を殺害した事件があった。これは年金制度による殺人事件だと見なせる。 ──

 祖父が孫を殺害した事件があった。
 東京・町田市で15日朝、9歳の女の子が自宅で死亡しているのが見つかった事件で、警視庁は15日午後、66歳の祖父を殺人の疑いで逮捕した。
 15日夕方、殺人の疑いで逮捕された太田嘉行容疑者(66)は、「生活が苦しく、自分が殺した。首を絞めた」と供述している。
( → FNNニュース
 嘉行容疑者は、新聞販売店に勤める30歳代の父親の代わりに、優花さんの世話をしていた。
 学童保育で遊ぶ優花さんを迎えに行ったり、近くのプールのスイミングスクールに送迎する姿をみており、「仲が良く、優花さんもなついていた」という。事件を知り、この主婦は「かわいい子だった。とてもショック」と話す。
( → 読売新聞 2013-01-17
 警視庁の調べに、嘉行容疑者は次のように語った。
 どんど焼きに行った次の日の朝、7時のニュースが始まったころ、孫の眠る2階寝室へ行った。仰向けの顔に布団をかぶせ、馬乗りになって布団の上から首を絞めた。
 「後ですぐに行くからな」。念じながら絞め続けた。孫はもがき、手をほどこうとした。「おじいちゃん」。いつも一緒に眠る自分を呼んで助けを求めたが、それを最後に動かなくなった――。
 嘉行容疑者は風呂場で手首を切ったが死にきれず、帰宅した次男(35)の通報で駆けつけた警察官の前で首をつろうとしたが、殺人容疑で逮捕された。
 次男夫婦、3人の孫との6人暮らし。目立って「おじいちゃん子」だったのが優花さんだ。
 近くに住む主婦(71)は「放課後の学童保育のお迎えの時間、優花ちゃんは『おじいちゃんが来た』と駆け寄っていた。手をつなぎ、いつもにこにこしていた」。
 しかし、嘉行容疑者の心の中は違ったようだ。
 「次男の勤めの収入だけでは足りず、貯金も底をついた。もう生きていけない。そう思ったが、かわいい優花をひとりぼっちにできない。だから連れて行こうとした」。無理心中を図った動機についての供述だ。
( → 朝日新聞 2013-01-19
 ── 

 悲惨な事件である。では、どうしてこういうことが起こったのか?
 もちろん、理由は「生活苦」、つまり、金がなかったことだ。ではなぜ、金がなかったか? 記事には次の一文がある。
 営んでいた印刷業は採算が取れなくなり同じころやめた。年金保険料の納付期間を満たしていなかったため年金も受給できない。
 年金を受給できなかった。では、それは、「納付期間を満たしていなかった」という本人のせいか? まあ、そうだろう。ただし、「年金をもらえなかった」のは本人のせいだとしても、「払った年金料を返してもらえなかった」のは本人のせいではない。この場合、つぎのようになっている。
 「年金料を払うこともできなかったほどの貧困者に対しては、国が金を与えるのではなく、逆に、国が金を奪う
 つまり、最も貧しい人に対しては、救うどころか、虐待するのである。
 で、その結果は? 「野垂れ死に」しかない。従って、自殺しようとする。そして、今回は、自殺する前に、孫娘を殺した。
 もちろんそれは許されることではない。当然、死刑にしてもいい。しかし、死刑にするのは、もともと本人が望んでいることだ。本人の望みを叶えることになる。
 では、本人がそう望んだのがいけないのか? いや、違う。本人はもともと死にたいとは望まなかった。孫娘と楽しく生きたかった。しかるに、生きたいと望んだ彼に、国は金を与えるかわりに、金を奪ったのだ。だから彼は自殺を望んだのだし、そのせいで孫娘は殺されてしまった。

 やりきれない話だ。
 だが、ここで一番の問題は、「こうやって金を奪って得をしたのは国である」ということだ。最も貧しい者から金を奪って、国の財布を豊かにしようとしている。それが日本という国なのだ。
 それでいて、あこぎなタレントや在日韓国人に対しては、生活保護費の金をたっぷりと支給している。
 殺された優花さんが可哀想でならない。


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 [ 付記 ]
 一般に、民間の保険ならば、途中解約したならば、一定の金額が戻ってくる。
 しかるに国の年金制度に限っては、一定の支払期間という条件を満たさないと、払った金をまるまる奪われてしまう。その犠牲となるのは、払えない時期のあるような、最も貧しい人々である。
 社会保障制度というものは、困窮者を救うためにあるはずだが、日本の年金制度というものは、困窮者をことさら虐待する制度となっている。
 そのせいで、本人が死ぬだけでなく、そのそばにいる孫娘が殺される。
 彼女が殺されることになった理由は、日本の年金制度なのだ。

( ※ 生活保護は? たぶん、無理でしょう。次男は働いていたから、たぶんもらえない。最近は生活保護の認定も厳しくなっているし。)
posted by 管理人 at 19:01 | Comment(1) | 一般(雑学)1 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
働いていようが無職だろうが、所得が基準以下なら生活保護です。福祉担当者が、申請を受け付けないことは、法律上は不可能です。審査は外形的な基準を満たしていれば通る。

水際作戦で邪魔をされるってこともあるでしょうが、餓死したり、健康を害するところまでいった事件の追跡調査を読むと、大抵は、福祉制度を知らないってことが大きな原因になってます。

自分も、身近で、連れ合いが病気で介護が必要な状況にあったのに、介護保険を知らず(保険料は払ってるのに!)、10年くらい、私的介護を続けていた事例を知ってます。
Posted by 井上晃宏 at 2013年01月20日 07:27
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