ウイルスブロッカーという健康用品が話題になっている。例の武雄市長が「武雄市の会社の製品です」と言って、紹介している。
今、僕が注目しているのは、何気なく携帯して、健康に良いもの。武雄市長が推奨する、ということからして、うさんくささ満載である。
そういう意味では、このウイルスブロッカーは白眉と言えるもの。今日、山口淳也さん(株式会社リンク代表取締役)から、武雄市と武雄市議会に対して、この「ウイルス除菌用品」を贈呈していただきました。
インフルエンザが流行するシーズンを迎え、このウイルスブロッカーは、ネームプレート大で、人体に影響ない濃度の二酸化塩素により半径50pの範囲のウイルスや花粉などをブロックします。
( → 武雄市長物語 )
さっそくネット上で、あれこれと話題になった。
→ Togetter (1)
→ Togetter (2)
これは読むのが面倒臭いが、リンク先に、国民生活センターのサイトがある。そこから一部抜粋しよう。
要するに、( → 国民生活センター )
- 二酸化塩素による部屋等の除菌をうたった商品は、さまざまな状況が考えられる生活空間で、どの程度の除菌効果があるのかは現状では分からない。
- 二酸化塩素による部屋等の除菌をうたった商品は、二酸化塩素の放散がほとんど確認できないものがあった一方で、使用開始当初に放散速度が大きくなるものもあり、使用に際しては注意が必要である。
- 商品の表示や広告に特定の感染症の予防効果をうたったものが見られた。薬事法に抵触するおそれがあると考えられるため、監視・指導の徹底を要望する。
・ 効果は不明
・ 安全性に疑義あり(危険かも)
・ 誇大宣伝
という三つがある。
このうち、1番目と3番目は、ホメオパシーと同様だが、2番目はホメオパシーよりも悪い。(同じようにトンデモでも、ホメオパシーのレメディは、ただのデンプン玉だから、人畜無害である。ウイルスブロッカーは、そうではない。)
ウイルスブロッカーの主成分は二酸化塩素だが、これについては Wikipedia に記述がある。引用しよう。
二酸化塩素の安全性は経口摂取では確認されているものの、空気中の二酸化塩素濃度に関する基準は米国産業衛生専門家会議が設定した作業環境に関する基準があるだけで、日本国内にはなく、長期間低濃度での暴露に係る安全性の検証に至っては十分なされているとはいえない状態である。このように、安全性がないだけでなく、危険性がある。
また、独立行政法人国民生活センターが据置芳香剤型の空間除菌をうたった商品に対して行った調査では、二酸化塩素を有効成分とうたっているにも関わらず放出が皆無である製品の存在や、臭気が原因とみられる体調不良者の発生、自社での有効性・安全性確認がなされていない製品がほとんどである実態がみられるなど、今後の研究・改善が求められる。
( → Wikipedia )
──
実は、Wikipedia では、本文よりも右側の欄の方が有益だ。
次の語句がある。
「酸化剤、猛毒、腐食性、環境への危険性」
「半数致死量 292 mg/kg (ラット、経口)」
「酸解離定数 pKa 2.5-3.5」
最後の 酸解離定数 pKa は、酸性の度合いだ。Wikipedia で調べると、「酢酸よりも強く、硫酸よりはやや弱い」とわかる。強酸性というほどではないが、弱酸性というほど弱くもない。そこそこ強い酸性だと言える。
──
以上のことから、私なりに公衆衛生的な判断をするなら、次のようになる。
(1) ウイルスブロッカーの主成分である二酸化塩素は、『弱い塩酸』というぐらいの効果はある。それゆえ、除菌やウイルス除去の効果はある。
(2) それが一時的に肌に触れたり、低濃度のものを経口で接種するぐらいならば、酢に触れたり飲んだりするのと同程度であって、特に有害でもあるまい。
(3) しかしながら、それが長時間にわたって空中に漂っているとしたら、呼吸器系に有害な影響をもたらす。特に、鼻腔や口腔や気管支や肺において、細胞の活性が低下して、免疫力の低下をもたらすだろう。これすなわち、インフルエンザに罹患しやすくなる、ということだ。
──
結論。
ウイルスブロッカーの主成分である二酸化塩素は、弱い毒性と酸性を持つ。それゆえ、除菌やウイルス防護の効果は少しあるだろうが、それ以上に、人間の細胞を攻撃して、人間の免疫力を低下させるはずだ。結果的には、インフルエンザに罹患しやすくさせる効果がある。つまり、有害。
これは、「百害あって一利なし」というものではなくて、「百害あって一利あり」というものである。そこにはたしかに「利」つまり「益なる効果」がある。しかし同時に、「害」もまたたくさんあるのだ。そこを見失ってはならない。
そして、その「害」があるがゆえに、ホメオパシーよりもはるかに危険なのである。
また、「害」の部分を隠して、「益」の部分だけを課題に宣伝することは、詐欺的ですらある。さらに、公的に認められていない衛生効果を標榜することは、薬事法違反という犯罪行為になる。
[ 付記1 ]
ウイルスブロッカーは、単に金をだまし取る詐欺だというだけでなく、利用した人や、その周囲の人を巻き込んで、健康を悪化させる。その意味で、ホメオパシーよりも、有害だ。
さらに言えば、ほしのあきのステマ事件よりも、圧倒的に有害だ。ほしのあきは、誰かの健康を悪化させたわけではない。単に詐欺師の片棒を担いでしまっただけであり、最悪でも金銭的な被害をもたらしただけ。一方、ウイルスブロッカーは人の健康を悪化させるのだ。下手をすれば、生死に関わる。
世間の人々は、ほしのあきについては、大々的に批判した。しかし、それよりは、ウイルスブロッカーを推奨する武雄市長をこそ、批判するべきだろう。
イメージ的に言えば、ウイルスブロッカーとは、「薄められたサリン」みたいなものだ。そんな感じ。「これでウイルスを撲滅しますよ」と宣伝するのだが、実際には、ウイルスよりも人間を傷つけるのだ。
[ 付記2 ]
もう一つ比較すると、放射線がある。
「福島の放射線が怖い」
なんて騒いでいる人もいるが、二酸化塩素の方がよっぽど怖い。死亡率だって、二酸化塩素の方がずっと高いはずだ。
【 関連項目 】
→ 空間除菌ブロッカー/ウイルスプロテクター

【 関連サイト 】
→ 二酸化塩素を使った「見えないマスク『ウイルスブロッカー』」の資料を読んでみた
→ 星野監督 インフル対策の秘密兵器を大量注文
※ だまされて大量購入した例。
→ 楽天・星野監督が『ウイルスブロッカー』なる怪しい商品の宣伝に一役買っている件について
※ いろいろと解説がある。本項にちょっと似ている。
→ ウイルスブロッカー オフィシャルページ
※ 本家。
→ Amazon ウィルスブロッカー
→ http://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/20130219_588288.html
もっと参考になるような内容を出して下さい。
結論が情けない。
断定していませんよ。下記の通り。
> 私なりに公衆衛生的な判断をするなら、
つまり、私見です。日本語、読めないの?
なお、断定部分は、Wikipedia と国民生活センターの記述です。文句を言うなら、そちらに言ってください。
私見にも関わらずこのような書き方をするのはどうかと思いますよ。
だいたい濃度が濃ければ酸素だろうが二酸化炭素だろうが非常に危険なものになりますがあなたはそが長期間に渡って存在していると悪影響があると考えるのですか?
「酸化剤、猛毒、腐食性、環境への危険性」
があります。
これを酸素や二酸化炭素と同様のものだと考えるのなら、あなたの頭は普通じゃない。
二酸化塩素の溶液をガブ飲みしてから、再投稿してください。もし生きていればね。
ちなみに、私は炭酸ガスのたっぷり入った溶液を飲みましたよ。ビールうまい。私はビールを飲んだのだから、あなたは二酸化塩素の溶液をガブ飲みしてね。