北朝鮮のミサイルの問題について、その核心を探る。「真犯人は誰か?」
それは、「最大の利益を得たのは誰か?」を考えればわかる。 ──
北朝鮮がミサイルを発射した。これは一見、奇妙なことである。
・ 日本も米国も利益を得ない。
・ 北朝鮮も(制裁によって)不利益をこうむる。
誰も利益を得ないのだとしたら、なぜ北朝鮮はミサイルを発射したのか?
これはミステリーだ。そして、ミステリーの常道だが、真犯人は「誰が最大の利益を得たか?」を問えばわかる。それは、中国だ。
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中国が怪しいということは、次のことからわかる。
→ 北朝鮮ミサイル:中国は制裁強化決議に反対(毎日新聞)
→ 安保理がミサイル非難声明 制裁協議へ、中国は抵抗
ではなぜ、中国は反対するのか? 単に共産主義国の友情からか? まさか。中国のようにガメツイ国が、打算抜きでやるはずがない。
ここで、次の疑問が湧く。
「北朝鮮は、工業も農業もひどい国なのに、どうしてミサイル発射に成功したのか? 韓国でさえ発射に失敗してばかりだというのに、韓国よりもはるかに劣る北朝鮮がどうして成功したのか?」
これについて、次の推測があるかもしれない。
「他の産業は劣ってはいても、国力を軍事に集中したから、ミサイル発射だけは十分に発達した」
この説はもっともらしいが、成立しない。北朝鮮のミサイル発射技術は、ひどいものだからだ。そのことは、宇宙管理センターを見ればわかる。
→ 北朝鮮の宇宙管理センターが色々と酷い
オモチャとは言わないが、ひどいレベルだとわかる。とうてい発射を実現できるレベルだとは思えない。
ところが実際には、発射に成功した。では、なぜか? そのミステリに、どう答えるか?
これについては、論理的に考えればわかる。
・ 北朝鮮には、ミサイル発射の開発能力はない。
・ 北朝鮮は、実際にミサイル発射に成功した。
この二点から得られる結論は、論理的には次のことでしかない。
「北朝鮮のミサイル開発能力は、自国技術ではなくて、他国技術の導入によるものだ」
では、他国技術とは、どこの国か? 世界広しといえども、北朝鮮の味方をしてくれる国は、一つしかない。中国だ。
とすれば、論理的には、次の結論となる。
「北朝鮮のミサイル開発能力は、中国技術の導入によるものだ」
換言すれば、こうだ。
「中国は北朝鮮に、ミサイル発射技術を供与した」
これが論理的な結論となる。とすれば、次のような方針は、てんでお笑いぐさとなる。
→ 対北朝鮮、中国に厳しい制裁への協調要請 玄葉外相
中国は北朝鮮のミサイル発射の張本人なのに、その張本人に「厳しい制裁をしてくれ」と頼むのだから、お笑いぐさだ。
それはまるで、ヤクザの親分に「そちらの子分の逮捕に協力してくれ」と頼むようなものだ。よりによって、犯人の逮捕に絶対協力してくれない張本人に、「逮捕に協力してくれ」と頼むのだから、漫才でしかない。
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はっきり指摘しておこう。北朝鮮のミサイル発射の張本人(真犯人)は、中国である。なぜか? それは、北朝鮮のミサイル発射によって最大の利益を得るのが、中国であるからだ。
先にも述べたように、日本も米国も北朝鮮も、今回の発射によって利益を得ない。将来とも、利益を得ない。三者のいずれも損をする。
しかしながら、中国だけは、莫大な利益を得るのだ。それは何か?
人々はそれに気づいていない。そこで、私が指摘しよう。中国の得る利益とは、次のことだ。
(1) 日米がミサイル防衛網を整備することで、通常兵器を減らす。
(2) 中国への民主化圧力を減らす。
以下では順に述べよう。
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(1) 日米がミサイル防衛網を整備することで、通常兵器を減らす。
ミサイル防衛網というのは、そもそも、軍事的には無効である。「飽和攻撃」(ダミーミサイルの発射)によって、数量的に「弾切れ」になってしまうからだ。
これに気づかない阿呆がたくさんいる。たとえば、こうだ。
「北朝鮮のミサイルがグアム基地を攻撃するときには、日本の自衛艦から迎撃ミサイルで撃墜するべきだ。集団的自衛権を行使するべきだ」( → 読売新聞・朝刊 2012-12-13 )
馬鹿じゃなかろうか? 自衛艦がグアム基地を防御するために迎撃ミサイルを使ったら、肝心の日本本土をめがけてミサイルが発射されたときに、弾切れになって、日本本土が北朝鮮のミサイルを浴びてしまう。それじゃ「頭隠して尻隠さず」より、もっとひどい。グアムなんていうどうでもいいところを守るために、肝心要の日本の首都を捨ててしまう、というのだから。愚の骨頂。
それと似たことが、ミサイル防衛網全体に言える。ミサイル防衛網というのは、そもそも、ほとんど効果がない。そんなものに大金を費やせば、肝心の通常戦力がガタ落ちになってしまう。その実例は、こうだ。
→ 中国の空軍に完敗する
日本の航空戦力は、数年後には、中国の空軍に完敗する。理由はこうだ。
・ 日本にはポンコツの F15 と F2 と F4 しかない。
・ 中国には最新型のスホイ35 を導入する。(同項目コメント欄)
結局、中国は、北朝鮮のミサイル発射を見せつけることで、日本に「ミサイル防衛網」という無駄な戦力配備を強いた。それによって、通常戦力をガタ落ちにさせて、数年後には日本の通常戦力を圧倒する軍事力を備えることができるようになった。
( ※ 何という頭の良さ! というか、日本の自衛隊や軍事オタクが馬鹿すぎて、中国の戦略に引っかかってしまった。「ミサイル防衛網、ウハウハ」と喜ぶばかりで、航空戦力はポンコツばかり。)
(2) 中国への民主化圧力を減らす。
日本や米国が北朝鮮の危険性に目を奪われている限り、日本や米国はそちらが第1危険となるので、中国への圧力を減らす。それどころか、北朝鮮への制裁を強めるため、中国の協力が必要となるので、中国に「協力してください」とお願いしながら、どんどん譲歩するようになる。こうして中国は政治的に、日米に対して圧倒的な優位に立つ。……実は、これが最大の目的だ。
仮に、北朝鮮がミサイル発射をしなかったら、どうなるか? ミサイル発射もせず、核開発もしなければ、北朝鮮はちっとも怖くない。自国民をどれほど餓死させようと、日米の知ったことではない。「へえ、そう。アフリカだってそうだよ」と言って、知らんぷりをするだろう。
で、そうなったら、どうするか? 北朝鮮が怖くなければ、次に怖い相手を目標とする。それは、中国だ。中国の共産主義が世界で最大の脅威となるので、中国に対する圧力をどんどん高めるだろう。
・ 民主化しろ
・ チベット弾圧をするな
・ 領土拡張圧力をかけるな(南シナ海や尖閣諸島)
・ もしそれらのことをすると経済制裁するぞ
そういうふうに言い出すはずだ。そして、それこそ、中国にとって最も恐れる事態だ。これを避けるのが、中国の最大の目的だ。
そもそも、中国の党幹部は、ものすごい汚職によって、圧倒的な富を得ているからだ。
→ 中国のジニ係数がとんでもない異常値な件
中国の貧富の格差はものすごい。しかも、その理由は、資本主義ではない。共産党内の汚職による、富の横領だ。
そして、その構造は、北朝鮮の金正恩(の家系)の場合と同様だ。一部の特権階級が、汚職ないし権力の私物化によって、巨万の富を得ているのだ。どっちも同じ穴のムジナ。
というわけで、心情的にも、本質的にも、中国と北朝鮮は同等である。その上で、中国は北朝鮮を「狂犬」にしておく理由がある。狂犬がいればいるほど、日米はそっちにばかり目を奪われるからだ。(しめしめ、というわけ。)
私が思うに、北朝鮮が核開発をしているのも、中国の関与があると思う。だからこそ、中国は決して制裁に賛成しない。自分で火を付けたのだから、自分で火を消すはずがない。そして、狂犬が火をくわえて危険になればなるほど、日米は中国に甘くなるのだ。
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結論。
北朝鮮のミサイル開発や核開発の張本人は、中国である。
とすれば、中国に対して、「北朝鮮への制裁に協力してくれ」と頼むのは、馬鹿げている。
まして、「北朝鮮への制裁に協力するために、中国に譲歩する」というのは、それこそ「中国の思う壺」である。敵の狙った落とし穴に、まんまと嵌まってしまう形。
さらに言えば、「ミサイル防衛網のために多額の出費をして、航空機をオンボロ戦闘機ばかりにする」というのも、これもまたひどい。
数年後には中国の航空戦力が日本の航空戦力を圧倒する。そのときになって、日本は「戦車があるから大丈夫」なんて言っていれば、中国空軍の空からの爆撃を受けて、すべて壊滅するだろう。……それというのも、北朝鮮のミサイルばかりにかまけていたからだ。思う壺に嵌まった形。
[ 付記 ]
Q じゃ、どうすればいいか?
A 将を射んと欲すれば、まず馬を射よ。北朝鮮のミサイルを止めようとするならば、まず北朝鮮を支える土台を崩せ。
つまり、中国の北朝鮮支援(ミサイル・核の開発支援)を、阻止すればいいのだ。といっても、中国はそれを認めないだろうから、かわりに、次のようにすればいい。
「北朝鮮への制裁に賛同せよ。さもなくば、中国に対して制裁を発する」
つまり、「テロ国家支援をする国家」を制裁するわけだ。テロ国家(北朝鮮)自体に制裁をするのではなく、テロ国家の支援国家(中国)に制裁をするのだ。
とりあえずは、日米欧の先進国で、中国に対して経済制裁を発動するといいだろう。理由は「テロ国家の支援国家だから」である。
このことをきっかけとして、南シナ海や尖閣諸島やチベット問題についても、同様の制裁を発動するといい。
なお、制裁の発動については、条件がある。次のことだ。
「米国などの国家が単独で発動するのではなく、日米欧が一致協力して発動する。できれば、ロシアも協力させる。ロシアが協力しないのならば、ロシアに対しても制裁を加える」
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この方針で、北朝鮮のミサイルや核開発は、事実上のストップになるはずだ。何しろ、北朝鮮のミサイルや核開発は、自力でできるはずがないからだ。必ず中国が関与している。その関与を止めれば、北朝鮮のミサイルや核開発は、事実上のストップになるはずだ。
なお、この方法は、政治的な方法だから、軍事的なコストは1円もかからない。コストゼロで済む。
( ※ それに比べて、ミサイル防衛網なんて、莫大な軍事コストがかかる割に、効果は皆無に等しい。まあ、グアムの基地を守るぐらいの効果はあるかもしれないが、それをやった時点で、弾切れになって、日本の本土はミサイルをいっぱい浴びてしまう。)
【 関連項目 】
→ 中国の空軍に完敗する
→ 迎撃ミサイルは有効か?
→ 敵ミサイルを 100%阻止する方法
→ ミサイル防衛網の敗北(イスラエル)
→ 敵ミサイルを 100%阻止する方法
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→ 中国を民主化せよ: nando ブログ
→ 中国にどう対処するべきか?: nando ブログ
→ 中国問題の本質: nando ブログ
2012年12月13日
過去ログ
ダミーといわれているものを根拠にされても。
>中国は、北朝鮮のミサイル発射を見せつけることで、日本に「ミサイル防衛網」という無駄な戦力配備を強いた
中国自身もミサイル防衛をやろうとしているの?
http://obiekt.seesaa.net/article/146890655.html
>北朝鮮のミサイルを止めようとするならば、まず北朝鮮を支える土台を崩せ。
つまり、中国の北朝鮮支援(ミサイル・核の開発支援)を、阻止すればいいのだ
中国だけじゃ不十分
http://www.cistec.or.jp/jaist/event/kenkyuutaikai/kenkyu13/4-goto.pdf
ダミーなら、なおさら現実以上に、格好良くするべきなんだが。それすらもできない、ということか。お里が知れる。
> 中国自身もミサイル防衛網
ミサイル防衛網は、技術開発だけなら、問題ありません。また、少数の配備なら、かえって好ましい。というのは、偶発核戦争の発生を予防できるから。20発ぐらいの配備ならば、しないよりは、した方がいいかも。たいして高額でもないし。
だけど、「全面的な配備」は、巨額がかかる割には効果が見込めない、というのが私の判断。
> 中国だけじゃ不十分
イランは、北朝鮮のミサイルの輸出先であって、技術の輸入先ではありません。
また、イランにはすでに経済制裁が課されているので、「不十分」ということはなく、「十分」です。
世界中の意味不明の出来事の黒幕ではないかと思ってしまいます。
大東亜戦争時のB29は、大量で爆撃をし、翌日1機か2機で、戦果の撮影に来るので、空襲警報は出ませんでした。ですから、広島も無警戒だった。ですから、平城の40キロ沖にガムからのミサイルが常態化すれば、悪ガキも強がって顔を見せるでしょう。其の時故意の偶然で叩けば良い。カダフィーの息子も、クルーズに依るピンポイントで殺したでは有りませんか。