2012年12月07日

◆ ホンダが空洞化を進める?

 ホンダが生産を国内から北米に移管する、と発表した。このせいで日本全体の空洞化が進むか? ──
   
 ホンダが生産を国内から北米に移管する、と発表した。
 《 北米でホンダ「輸出超」へ…日本の車メーカー初 》
 ホンダ米国法人は6日、生産工場が進出している米国とカナダ、メキシコの北米3か国から全世界向けの新車輸出台数が、2年以内に日本からの輸入台数を上回る見通しになったと発表した。
 北米の生産拠点からの輸出が、日本からの輸入を上回って「輸出超」となるのは、日本の自動車メーカーで初めてという。
 歴史的な円高を受けて北米を主要輸出拠点に位置づけ、日本国内の輸出向け生産分を移管するためだ。
( → 2012年12月7日10時18分 読売新聞
 では、このせいで日本全体の空洞化が進むか? ホンダだけを見れば、確かに空洞化が進むように見える。したがって、これを見て、「空洞化だ! 大変だあ!」と騒ぐ人もいるだろう。だが、騒ぐほどのことはない。
 
 そもそも、空洞化などは起こっていない。そのことは、日本の輸出入を見ればわかる。
 日本の輸出入はほぼ均衡している。短期的には、原発停止で原油や LNG の輸入が増えているが、中長期的には黒字基調にある。その意味で、空洞化などは起こっていない。(空洞化が起こっていれば、大幅な輸入超過になるからだ。)

 逆に言えば、こうなる。
 「輸出入は原則として、均衡する。輸出が減れば輸入も減る。輸出が増えれば、輸入も増える。逆もまたしかり。従って、輸出を増やしたければ、輸入を増やせばいい」


 結論は、こうだ。
 「自動車の輸出を増やしたければ、TPP によって農産物の輸入を増やせばいい。そうすれば、円安の効果が生じて、自動的に輸出は増える。農業で職場を失った人々は、都会に出て、輸出産業で働けばいい」

 それだけのことだ。

 ──

 もう少し述べよう。工場が閉鎖する例は、ホンダだけに留まらない。実にたくさんある。たいていは地方の工場だ。検索すれば、たくさんヒットする。
  → 「工場 閉鎖」 - Google 検索

 このような事例がある中で、それぞれの工場ごとに「閉鎖するな」と考えても、意味がない。どっちみちたくさんの工場が閉鎖するという傾向があるのだから、個別に対処して済む問題ではない。
 それらの事例を一括して解決するには、次の方法しかない。

 「国全体で総需要を増やす」

 それは、次の二つを意味する。
  ・ 輸出企業のためには、輸出総額を増やすため、輸入総額を増やす。(農産物の開放)
  ・ 国内企業のためには、景気回復をする。


 このように国全体で経済政策の措置を取ることが大切だ。個別企業のレベルで「閉鎖するな」という努力をしても、ほとんど意味がない。

 結局、次の二つが王道だ。
  ・ TPP の推進 (農業から工業へ)
  ・ 景気回復策 (総需要の拡大)

 いずれも私が前から述べているとおり。「泉の波立ち」や「 nando ブログ」を参照。



 [ 付記 ]
 「輸出入は原則として、均衡する」

 というのは、変動相場制の下ではそうなる、ということだ。
 ただし、ギリシャでは、これは成立しない。ギリシャはユーロを使っているので、独自通貨をもたず、変動相場制ではないからだ。ギリシャが輸出入を均衡させるには、独自通貨に移行して、変動相場制を採用する必要がある。
 


 【 関連サイト 】
 そもそも、空洞化というのは、ちっとも困ったことではない。なぜならそれは、「日本が空っぽになること」という「ドーナツ化」みたいなことを意味するのではなくて、「中央が高くなりすぎているので、高くなりすぎた分だけ、外に出て行くだけことだ」(平坦化があるだけだ)と言えるからだ。

    誤:   ̄  →  凹
    正:  凸  →  ─
  

 その証拠は、円高である。これは日本の輸出力が高いことを意味する。仮に空洞化が起こっているとすれば、輸出力が減少するせいで、円安になっているはずだ。実際には、そうではない。
 つまり、自動車産業などの一部では輸出が減っているようだが、そのかわり、他のもの(自動車部品とか、電機部品とか、製造装置とか)は、どんどん輸出が増えている。だから日本是全体の黒字は止まらず、円高も止まらない。
 日本が基本的に黒字体質で、円高状況である限りは、「空洞化」などは起こっていないのだ。
 
 この件は、別サイトで述べた。
  → nando ブログ(一覧)
 


 [ 余談1 ]
 じゃ、なぜ、一部の企業は倒産して、工場がどんどん閉鎖されるのか? それは、産業構造の変化にすぎない。かつて、繊維産業がどんどん倒産して、電器産業や自動車産業がどんどん伸びた。それと同様のことが起こっているだけだ。ここで「繊維産業の倒産を阻止せよ」などと言いだしたら、産業構造の転換が遅れるで、日本の国力はかえって低下する。

 [ 余談2 ]
 「それでも失業が出るのが問題だ」
 という声もあるだろう。しかしそれは、空洞化が理由ではなくて、日本の不況が理由だ。その根本原因は「内需不足」だ。そもそも、日本の輸出依存度は GDP の 10〜16% ()にすぎない。ほとんどは内需なのだ。その内需が縮小しているのが問題だ。
 「内需の不足を輸出で補おう」
 と考えているとしたら、その方針が根本的に間違っている、と言える。そんな方針を各国が取り出したら、「ブロック経済」みたいになって、世界恐慌を招きかねない。かつてそうだったように。

  出典:
  → 世界各国の輸出依存度
posted by 管理人 at 23:51| Comment(5) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TPPで プログ検索中です。TPP問題 多くの種類の問題が あると思うんだけれど
TPPを 細分化して 話しあわないと なんか変だなぁ
今回の選挙は もう時間が無いけれど 未来に向けて 重要になる選挙ですね。
恐ろしい選挙とも いうべきでしょうか?
消費税増税も TPPも 失業者を 作りますね。原発怖いですね。
第3極といわれる党は票割れするかなぁ。弱い者同士の票が 終結した時〜
政策は 政権を 握らないと できない。
衆議院選挙まで後5日 政治研究会(名前検討中
比例で 1議席 30万票から40万票 今回は それ以上かもしれない と ウェブで 読みました。
国防軍も 恐ろしく 聞こえます。選挙結果は 誰のせい でもない〜
Posted by 村石太ダー&コピペマン at 2012年12月11日 23:13
南堂さんのブログいつも拝見しています。
TPPについて苫米地英人さんが「日本人の貯金・医療・行政サービスを民営化するための
トロイの木馬である」という話をされています。
どう思われますか?
http://www.youtube.com/watch?client=mv-google&gl=JP&hl=ja&v=OafKfj5OX2Q&nomobile=1
Posted by 屋島ロンシチ at 2013年01月23日 16:10
TPPについては、nandoブログ で、 TPP という語でサイト内検索してください。
 → http://nando.seesaa.net/

医療については本サイト内でも記述しています。TPP という語でサイト内検索してください。

TPPで大事なのは、日本ばかりにかかる関税を引き下げることです。自動車だって日本車ばかりに関税がかかって大損だ。そっちをどうしてくれるんだ?
もっと大事なのは、食品の関税を下げることだ。小麦や乳製品やチョコレートの馬鹿高い関税を何とかしてほしいね。関税を下げれば、パンやラーメンやうどんなども大幅に安くなります。また、それで農家が特に困るわけでもない。農家の所得は以前と同様の水準が保証されます。単に無駄が消えるだけ。
Posted by 管理人 at 2013年01月23日 18:51
コメントありがとうございます。TPPの記事は拝見しており、賛同しております。原則的に日本の狭い国土で人手ばかりかけて食品を作ることは無駄が多く産業の転換が必要ですね。リンクの動画では消費税アップで値上がりした医療機器代を治療費に転嫁できない病院の経営が傾き、その時に外資が入ってくるといった内容でした。今回のTPPは実質アメリカ1国の利益のために動いているように見えます。交渉の内容次第という事に尽きますね。
Posted by 屋島ロンシチ at 2013年01月27日 20:03
日本の自動車工場が海外移転したら、日本独特の高品質の製品作りが難しくなったり、独自のノウハウが海外流出するんじゃないかと少し不安になります。この辺は大丈夫でしょうか?
Posted by やまさん at 2020年10月30日 11:37
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