2012年12月07日

◆ 米国の LNG 輸出の損得

 米国の LNG 輸出は、米国にとって利益になる、という報告が出た。その意味は? ──

 米国の LNG 輸出についての記事を引用しよう。
《 LNG輸出拡大は経済全般の利益に、米エネルギー省が報告書発表 》
 米エネルギー省は5日、液化天然ガス(LNG)の輸出の経済的影響に関する報告書を発表した。報告書では、輸出拡大はエネルギー価格を押し上げるものの、経済全般の利益になるとの見解が示された。
 ただし、この恩恵は平等に受け取られるわけではないと警告し、光熱費の増加という形で世帯の重しになってくると指摘した。報告書は、一部の世帯での光熱費増加は、輸出高の拡大という利益によって相殺され、家計の実質収入の拡大にもつながるとしている。
 採掘者側は生産の維持には輸出が不可欠だと主張する一方、製造業者は輸出がエネルギー価格を押し上げると懸念、LNGの輸出をめぐる対立構造が生まれていた。
( → 朝日新聞 2012年12月6日
 これまで米国が輸出に慎重だったのは、LNG の国内価格が上昇すると、それを利用した産業にとって不利になるからだ。それよりは、LNG を化学原料などに加工して輸出したり、LNG をエネルギーとして利用した工業製品を輸出する方が、米国全体にとっては利益になる、と考えられていたからだ。
 しかしながら今回の報告書は、そうではないと結論した。LNG を直接輸出することの方が、安価な LNG を利用した他の製品を生産することよりも、有利である、というわけだ。

 ──

 だが、これはどういうことか? 単に LNG を輸出しても、その業界が潤うだけだ。一方、安価な LNG を利用した他の製品を生産すれば、米国全体が潤う。後者の方がはるかに広範である。なのにどうして、前者の方が米国全体にとって有利なのか? 

 その答えを言おう。
 これは単純に「自由競争」や「市場原理」の問題である。政府が何らかの規制をするよりは、市場の自由競争に任せた方が、配分は最適化されて、全体の利益は増えるのだ。
 現状のように LNG の輸出を規制すると、規制した分、配分の最適化が歪む。そのせいで、全体の利益は減る。
 たとえば、LNG を日本が 20ドルで買ってくれるときに、米国の企業が5ドルで買うとする。そのことで、米国の企業は得をするが、生産効率の低い米国企業が LNG を使うので、米国全体の利益は低下してしまう。それくらいだったら、日本に LNG を輸出して、そのかわりに、米国では自分の得意な LNG をたくさん生産すればいいのだ。そのことで世界全体の生産が最適化され、無駄が減るので、無駄が減った分、日本も米国も利益を得る。

 ただしこの際、産業の損得は生じる。安い LNG を使えるはずだった米国企業は損をして、LNG を高く売れる LNG 産業は得をする。そういう「配分の差(損得)」は新たに生じる。
 これを問題視するのであれば、その分は、「課税」によって解消できる。たとえば、LNG 産業について、「 LNG 生産税」を課すれば、LNG 産業が独り占めできたはずの高い利益を国がぶんどることができる。こうして、
   LNG 産業 → 米国全体

 というふうに利益が移転する。かくて、配分の比率を変えることができる。そのことで、他産業の不満を抑制できる。
 さらに言えば、「生産」でなく「輸出」に限定して課税することもできる。「 LNG 輸出税」だ。この場合には、LNG 作業と輸出相手国(日本)とから、利益を奪うことになる。
 いずれにせよ、配分の問題を解消できる。ただし、これらは自由貿易を阻害するから、その分、米国全体の利益はいくらか減少する。とはいえ、政治的な問題もあるから、このような課税は現実的には実現する可能性が高い。

 結論。

 輸出は規制しない方がいい。そのことで国全体の利益は増える。
 その際、産業間の不公平が生じることもある。それは配分の問題であるから、課税によって配分を変えることができる。そのことで「得られるはずだった利益を失う」ことになる産業の不満を抑制できる。
 とにかく、大切なのは、国全体の利益を増やすことだ。産業間の配分は、二の次だ。配分の問題は、別途、他の方法で調整すればいい。
( ※ 比喩的に言えば、「パイを大きくしろ」ということ。そのとき、放置すると、パイの配分が変更されてしまう。そこで、配分をうまく調整すればいいのだ。別途、他の方法で。)
 


 [ 付記 ]
 このことは、実は、(輸出でなく)輸入についても当てはまる。つまり、「輸入自由化」( TPP や FTA )の問題だ。
 これについても、同様の結論を出せる。下記だ。
 輸入は規制しない方がいい。そのことで国全体の利益は増える。
 その際、産業間の不公平が生じることもある。それは配分の問題であるから、補助金によって配分を変えることができる。そのことで「得られるはずだった利益を失う」ことになる産業の不満を抑制できる。

 具体的には、バター(360%)や砂糖(328%)の関税率が高すぎる。( → 出典 ) これらについては、せいぜい 20%ぐらいまでの関税率にまで引き下げる。その分、現在の農家には、何らかの補助金を出す。
  ・ 乳産業 …… バター生産はやめてもらい、補助金を出す。
  ・ 砂糖産業 …… テンサイやサトウキビの生産はやめてもらい、補助金を出す。


 ここで、補助金は、所得補償でもいいし、転作奨励金でもいい。
 (1) 乳産業ならば、バターは作れなくても、生乳を作れば、それでいいはずだ。(生乳の輸入はできない。LL ならばできるが。)
 (2) 砂糖産業は、もともとやめた方がいい。また、ジャガイモ 67%、小麦 72%、大豆 60%、テンサイ 40%は、関税が高すぎるので、国内生産をやめてしまっていい。他に米でも野菜でも作ればいい。普通の野菜ならば、十分に競争力はある。
  → TPP とジャガイモ(北海道)
 そのための補助金は、かなり多額になるが、それは、輸入品による価格引き下げによって、国民全体が利益を得るのだから、税金を原資として補助金を出しても、国全体ではかえって利益が出る。
 例:農家に対する補助金が 2兆円
   国全体の値下げ利益が 10兆円

 
 最近、つくづく思うのは、乳製品の高さだ。バターが 400円だなんて、高すぎる。関税率が 360% もあるんだから当然だが。
 同様に、チーズも高すぎるし、アイスクリームも高すぎる。
 輸入自由化がなされれば、これらは半額以下に大幅値下げされるはずなんだが。



 [ 余談 ]
 チーズ料理を二つ

 (1) チーズあんかけ

 チーズは、和食の料理に使うと、味が広がる。
 お勧めは、「チーズあんかけ」だ。めんつゆと片栗粉で「あん」をつくったあとに、チーズを載せて、加熱して、溶かす。これが味付け。
 その下には、主品目を置く。主品目は、豆腐や、鶏肉など。お勧めは、豆腐ハンバーグだ。

 「豆腐ハンバーグのチーズあんかけ」

 チーズと和風のあんかけとが、絶妙のマッチ。「和風料理にチーズが合うのか」という驚きの味わい。
 
 ※ チーズは「溶けるチーズ」を使って、加熱して、溶かす。
   ピザ用のチーズがお薦め。

 (2) パンの耳ピザ

 パンの耳を、食パンの袋に入れて、そこに牛乳を注いで、柔らかくする。(牛乳はあまり多すぎないように。)
 この柔らかくなった耳を、アルミホイルの上に敷き詰める。その上に、ピザの具を乗せる。ケチャップ、バター、タマネギ、ハム、バジル。最後にピザチーズを載せる。あとはオーブントースターで焼く。
 チーズをたっぷり載せるのがコツ。味の決め手はチーズなので、おいしいチーズを探して買う。出来合いのピザなんかと違って、2000円ぐらいのピザみたいな味がする。(パンの耳じゃなくて、普通の食パンを使えば、もっとおいしくなる。この場合は、牛乳は使わない。)
 難点は、チーズ代がかかることだ。できたピザを買うよりははるかに安いが、それでもチーズをたっぷりと使うと、チーズ代がかかる。日本ではチーズが高すぎる。
posted by 管理人 at 23:33| Comment(1) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おっしゃることごもっともで、現在、生産している農家や業者に、向こう10年とか20年くらいの年金を出して生活保障する代わりに、関税なんて撤廃すればいいんです。未来永劫維持しようと思うから金がかかる。

「食料安保?」金さえあれば、いつでも食料は買えるよ。
Posted by 井上晃宏 at 2012年12月09日 05:54
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