車イスの前輪が小さいせいで、いろいろと問題が生じている。特に重要なのは、次の事故だ。
→ 車いす男性、踏切で電車にひかれ死亡 東京・西武池袋線
朝日新聞・投書欄(声欄)2012-12-05 によると、車イスの前輪が線路の間に引っかかって、抜け出せなくなっていたように見えた、と報道されているそうだ。
さもありなん。そうでなければ、現場を離れないはずがない。
また、当初者によると、自分もまた同様の経験があったそうだ。車イスの前輪は小さいので、線路の間に引っかかりやすいそうだ。
実際、このような事故は、多発している。検索すれば、たくさん見つかる。
→ 「線路 車イス 事故」 - Google 検索
だったら、「前輪を大きくすればいいのでは?」というのが普通の発想だ。当初者もそう提案している。
その効果は、どうか? 前輪の前に「第5の車輪」を取り付けた例がある。前輪よりもかなり大きいものだ。これを取り付けると、かなり効果があるそうだ。わだちに嵌まることもないし、段差を乗り越えることもできる。
→ 特殊市販品
とはいえ、これは特注品なので、かなり高価らしい。たぶん車イス本体よりも高価だろう。この特注品は数万円になるはずだ。一方、普通の車イスは1万5000円ぐらいだ。
→ 普通の車イス
一方、屋外では、それほど小回りをすることはない。一方、段差はある。
だから、対策としては、
「屋内用と屋外用とを、別にする」
というのがいい。次のように。
・ 屋内用では、前輪は小さい。
・ 屋外用では、前輪は大きい。
このように区別すれば、問題はなくなるはずだ。価格にしても、1万5000円ぐらいだから、たいしたことはない。(福祉で補助金を出せば、さらに安くなる。)
ただし、現実には、それはできない。上のような発想がないからだ。ネットで「車イス」の販売を見ても、すべては同種である。「屋外用に前輪の大きな車イス」というものは売っていない。だから当初者は、困って、提案しているわけだ。
それゆえ、本項では、「屋内用と屋外用途を区別せよ」という提案をしている。その提案は有効であるはずだ。
まずはこの区別を社会で広く共有するべきだ。そして、新たに「屋外用の車イス」というのを開発して、それを安価で購入できるようにするといいだろう。そうすれば、冒頭の当初者の望みは実現する。
──
さらにもう一つ。
先の Google 検索を見ればわかるように、事故に遭うのは電動車イスが多い。
これは理由がある。屋外に出る人は、電動車イスを使うことが多いからだ。屋外を進むならば、手で漕いで進むのでは疲れてしまうので、電動車イスを使うわけだ。
ところが、電動車イスもまた、屋内用を前提としているので、車輪はたいてい小さい。後輪は大きめであることもあるが、前輪はたいてい小さい。たいてい小さいというより、必ず小さい。前輪が大きいものはない。
しかし、先に述べたように、屋外用は大きな車輪であるべきなのだ。わだちに嵌まらないためにも、段差を乗り越えるためにも。
ゆえに、電動車イスについては、「必ず車輪を大きめにする」というふうにするべきだ。というのも、電動車イスの主用途は、屋外用であるからだ。(屋内でも電動車イスを使う必要があるほどの重症者ならば、一人では屋外には出られないはずだ。)
──
結論。
手動の車イスについては、次の二種類を用意するべきだ。
・ 屋内用では、前輪は小さい。
・ 屋外用では、前輪は大きい。
現状では、屋内用ばかりなので、新たに屋外用を開発するべきだ。また、人々は、この両者を区別して、双方を購入するべきだ。
電動車イスについては、基本的に、屋外用専用として、前輪を大きめにするべきだ。
( ※ 現状では、そうなっていない。だから事故が多発する。)
[ 付記 ]
笹子トンネルで死んだ人のことばかりが大騒ぎになっているが、線路で死んだ人もいるんですよ。こっちにも目を向けてくださいね。
あなただって、年を取ったら、車イスになるかもしれない。そしてあなたが線路を渡ったときに、車イスが動かなくなる。「困った。動かない。どうしよう!」……そこへ電車が押し寄せる。 ゴォー ……恐怖のシーン。
【 追記 】
ただ、よく考えると、車輪の幅だけが問題なのかも。狭い溝に嵌まってしまったのだとすると、車輪の口径を大きくしただけでは駄目かもね。幅を何とかしないと。
しかし、幅を大きくすればいいというものでもない。今度は大きな幅に嵌まってしまうかもしれない。
事故の原因について、よく調査した方がよさそうだ。
溝に嵌まったのだとしたら、嵌まらないように、何らかのストッパーみたいなものが必要かも。それは、車輪に付けるものではなくて、最低地上高を低くするような形となりそうだ。
【 追加情報 】
「電動車イスには、前輪の大きなものがある」
という情報が寄せられた。そこで、調べてみた。詳しくは、コメント欄 「at 2012年12月08日」 を参照。
【 関連商品 】
踏切事故で終わる映画
円盤形の車輪だと、横方向には抵抗力が働くので、 動きたい方向に車輪が傾く。たとえば、左に行きたいときには
| | が \ \ になる。
球形だと、抵抗力が働かないので、車輪がいつまでも同じままとなり、前輪の方向を変えることができない。ゆえに、小回りが利かない。
タイムスタンプは 下記 ↓
おしゃれなバギーなどでは、大きな車輪のものもあり、バギーの場合は選択しが提供されてるといえるかもしれませんが。
けっこうよさそうですね。
ただ、あまり偏平だと抵抗が増えそうなので、上下に細長くして、
▲
▼
みたいな形になりそうです。
しかしそれだと、やはり、溝にはまり込んでしまう危険がちょっと出る。あちらが立てば、こちらが立たず。
普通の車輪の両脇にストッパーみたいなのを付けて、落っこちないようにする、という案もあるが、それもやはり、少しは溝には嵌まりそうだ。
万事OKというのはなさそうだが、いずれにしても、現状の車輪よりはいいでしょう。少なくとも改善になっています。
どれがいいかは、メーカーが実験で決めると良さそうですね。
あとはメーカーに決めてもらいたい。基本概念は本項のコメント欄で結構出た。
さすがにセグウェイというのはコストがかかりすぎるが。
ドイツ製のアドベンチャー、スズキのTM−30Cなど、色々あります。
非電動車椅子とベビーカー。小型車輪の理由は収納時省スペースと軽量化です。
車椅子はあまり縁がありませんでしたので、実例紹介できませんが、ベビーカーは母親が子供を片手で抱きかかえ、もう片手で折畳んだベビーカーを持って階段を昇ったりする時に
コンパクトにならないと・・・です。
あることはあるが、次のいずれかのようです。
(1) コンセプトモデルであり、発売されていない。
(2) 量産品でないカスタムモデルで、超高価。
以下、列挙。
(1) コンセプトモデルであり、発売されていない。
→ http://www.suzuki.co.jp/release/c/c040521.htm
→ http://www.suzuki.co.jp/release/c/2008/0919/index.html
(2) 量産品でないカスタムモデルで、超高価。
→ http://www.kishieng.co.jp/seihin_lifty.html
→ http://www.alber.jp/product/e_wc/index.html
→ http://blog.livedoor.jp/mediaterrace/archives/8271151.html
やはり、室内用と兼用であるため、屋外用という概念のモデルは、ほとんどないようです。あることはあるが、カスタムモデル。つまり、需要がないから、作らない。
購入者が「屋内用と屋外用を別にする」という発想をしてくれるのが一番いいんだが。たとえば、次のように。
・ 屋内用は手動。
・ 屋外用は電動。
これなら、屋外用は前輪が大きいタイプが増える。
もし前輪が前方だけを向いていれば、線路の溝にたいして垂直だから、嵌まるはずがない。しかし前輪が左右向きになると、線路の溝に嵌まってしまう。
とすれば、事故を起こさないための最大の方法は、「前輪の首振り防止機構」のようなものかもしれない。
ただ、それはそれとして、やはり車輪は大きめの方が安全だ。小さいと、容易に首振りが起こりやすい。小回りが利くということが、逆効果になっている。