この件については、そのうち事故の詳細な報告が出るだろう。ただ、とりあえず、現時点でわかっている範囲内で、私見を述べる。(いささか情報不足なので、最終的な結論だとは言えないが、とりあえずの判断。)
──
現時点では、次の情報が得られる。
天井板は50〜60メートルにわたり崩落。天井板は1枚あたり横5メートル、奥行き1.2メートル、重さ約1.1トン。横に2枚ずつ並べ、1.2メートルおきにトンネルの天井からぶら下げた長さ5.3メートルの金属製の棒で支えていたという。同社はこの棒が何らかの原因で外れた可能性があるとみて原因を調べる。
( → 読売新聞 )
→ 参考図
落下した天井板は路面から高さ4.7メートルにあり、トンネル上部の空間を左右に仕切り、外部の空気を入れ、トンネル内の排ガスを外部に送り出すために ある。この形式は換気量が多いのが特徴で、笹子トンネルが開通した1977年ごろには一般的だった。一方、最近の主流は天井部に大きなファンをつけ、トン ネルを煙突に見立てて内部の空気を排出する方式だ。これだと圧迫感がなく、コストも抑えられる。
《 図あり 》
天井板はつり金具と両壁の受け台に支えられており、今回は中央からV字形に落下した。谷本親伯・大阪大学名誉教授(トンネル工学)は「つり具と天井板をつないで固定しているネジが、振動などで少しずつゆるんだか、腐食するなどしたのでは」と指摘する。トンネル中央部は排ガスがたまりやすく、 腐食が進んだ可能性があるという。
周辺の地質が影響した可能性を指摘する声もある。石原研而・中央大研究開発機構教授(地盤工学)は「トンネルの外側から内側に向かって力が加 わる。トンネル周辺の岩盤が変形しやすい性質なら、トンネル全体が変形して天井板を支えていたバランスが崩れたという可能性も考えられる」。
( → 朝日新聞・有料版 2012-12-03 )
天井板は、トンネル円形上部のコンクリートにT字鋼を打ち込んだつり金具を使ってつり下げ、両端はトンネルの壁に受け台を設けて固定している。天井板より上の空間は中壁で仕切られ、排気ダクトと送気ダクトに分けてトンネル内を換気する役割を担っている。この方式は、車の進行に対し横方向から空気を送るため「横流換気方式」と呼ばれ、現在では少数。
こうした構造のトンネルは、基準に基づき、つり金具や天井板との接続部分が緩んでいないかなどを5年に1度点検。目視やたたいた音でチェックする方法で、笹子トンネルは9月に点検を終えたばかりだった。
( → zakzak )
図を見るとわかるが、トンネルの断面図の形状は ◯ である。ただしその下側は、曲線でなく、平らである。( ◯ の一部が削られた形。)
◯ の上側 3分の1には、水平状の横線が引かれる。これが天井だ。
天井は、その上から、(断面図の)縦線によってつり下げられている。この縦線が、吊り金具と隔壁だ。
天井と吊り金具は、水平線と縦線をなしており、 ┻ のような形になる。これが ◯ の上側にぴったりと嵌まる。(トンネルの断面図で。)
天井は、コンクリート製の天井板であり、道路の横断方向の長さが5メートルで、道路の直進方向の長さが 1.2メートル。厚さは8センチまたは9センチ。重さは 1.2〜1.4トン。
今回は、この天井板が崩落して、自動車を直撃して、自動車を押しつぶした。ただし、水平状の天井が丸ごと落下したわけではなくて、中央だけが落下した。つまり、
 ̄ ̄ が __ になった
のではなく
 ̄ ̄ が \/ になった
のである。
従って、原因としては、中央部分を支える縦線(つまり、吊り金具と隔壁)が、機能を失ったと考えられる。より正確に言えば、(上下方向の吊り下げ機能をもつ)吊り金具の部分が機能を失ったと考えられる。
とすれば、理由は次のいずれかだろう。
・ 吊り金具そのものが壊れた。
・ 吊り金具と天井板の接合部( ┻ の交点)が壊れた。
・ 吊り金具とトンネルとの接合部( ◯ の頂点)が壊れた。
この三つのうち、疑わしさの度合いは、次の通り。
1番目 < 2番目 < 3番目
つまり、「吊り金具とトンネルの接合部が壊れた」というのが、一番怪しい。(私見)
原因が何であるかは、もうちょっとたって現場を調べれば、判明するだろう。
《 補足 》
こう書いたあとで、上の話を裏付ける続報が出た。
中央自動車道上り線の笹子トンネル(山梨県)の天井崩落事故で、中日本高速道路は3日、崩落した天井板をつる金具をトンネル上部のコンクリートに固定するボルトが崩落現場付近で抜け落ちていたと公表した。
笹子トンネルは、長さ約 5.3メートルのつり金具で天井板をつり下げていた。金具には鋼材が取り付けられ、ボルト(長さ 230ミリ、直径 16ミリ)でトンネル最上部のコンクリートに打ち込まれており、接着剤で固定してあるという。崩落現場では、複数のボルトがコンクリートから抜け落ちていたという。
( → 朝日新聞 2012-12-03 )
→ 参考図 (毎日新聞)
→ 参考図 (読売新聞)
というわけで、上の3番目が原因だと、ほぼ断定していいだろう。
──
では、対策は?
「吊り金具とコンクリの接合部が壊れた」というのが原因だとすれば、この部分を強化すればいいことになる。しかし、ここが壊れたとしたら、コンクリが経年劣化したことになる。この部分を強化するというのは、とても難しい。基本的な構造材そのものをいじることになるからだ。ほとんど不可能。
それよりは、根本を見るといい。
根本的な原因は、部分ではなく、全体だ。つまり、次のことだ。
「1トン以上もある危険な重量物を、人の頭の上に置くこと」
こんな危険な構造を取ること自体に問題がある。
そもそも、この重たい天井によって何を支えているかというと、ただの空気である。 ◯ と ┻ によって区切られた、三角状の空間を、送気ダクトと排気ダクトとして利用しているわけだが、ただの空気を運ぶために1トン以上もある重量物を使うなんて、馬鹿げている。ただの隔壁ならば、もっと軽量な構造材でいいはずだ。
ただ、通常の軽量材というと、プラスチックや木材などが思い浮かぶが、どちらも可燃性であるために、トンネルには使えない。かといって、金属板だと、共振してうるさい音をたてるという問題が生じる。そこで、
「コンクリならば、防振・防音と、構造性の、双方があるから、便利だ」
と思って、コンクリ製の天井を使ったのだろう。しかし、そのせいで、重量物が頭上に置かれるという危険が生じた。その危険がまさしく現実の事故となって、頭の上に降りかかったわけだ。
では、どうすればいいか? もちろん、重量物を頭上に置かなければいい。とすれば、天井板をコンクリート製でなく、別のものにすればいい。とはいえ、別のものというのが、なかなか思い浮かばない。普通の発想では、スレートを使いそうだが、振動の多いところでは、これは適さない。では、どうする?
私としては、次のようにすることを提案したい。
「構造材と隔壁とを、別の材料にする。構造材としては、鉄骨を使う。これを天井の構造として、道路の幅方向に橋のように渡す。その構造材の上に、天井板を載せる。天井板は、ただの薄い板でいい。材質は、発泡コンクリなど。ただし、ひび割れを防ぐために、繊維をすきこむ」
参考: → 繊維補強コンクリート
このようにすれば、上から重たいコンクリが落ちてくるようなことはなくなる。そもそも、鉄骨は「曲がる」ことはあっても「折れる」ことはまずないから、鉄骨が落ちることはあるまい。また、もともと薄くて軽い発泡コンクリしかないのだから、落ちるはずがない。さらに、仮に落ちたとしても、薄くて軽くて小さなコンクリが落ちてくるだけだから、自動車の屋根か窓にぶつかるだけであり、大事故になることはない。
──
結論。
今回の事故の根源は、どこかが腐蝕したというようなことではなく、「重たいコンクリを天井板にしていた」という設計思想そのものにある。そこにはフェイルセーフの発想がもともと欠けていた。
対策は、「重たいコンクリを天井板にしている」という構造を全面的にやめることだ。この種の天井板は、すべて撤去するべきだ。かわりに、鉄骨の構造材と、軽量の薄いコンクリによる天井板に、置き換えるべきだ。
この対策を取った場合、トンネルの最上部に腐蝕があったとしても、関係ない。今後はその部分は使わないからだ。
また、この対策を取った場合、天井板を支える構造材と、その構造材を支えるトンネル部分とは、接合部が「天井の下」という箇所に当たるので、目視できる。従って、今後は、何らかの腐蝕があったとしても、目視して点検できる。その点、安全性は高くなる。
( ※ 一方、トンネルの最上部が腐蝕していたとしたら、[隠れて]目視できないので、点検もできない。)
[ 付記1 ]
トンネルの最上部が腐蝕していたと思える理由は、多くの部分が連鎖的に損壊したからだ。トンネルの最上部が腐蝕していたと考えれば、その理由は説明が付く。(イモヅルふうで、一つのイモを引っこ抜くと、次々と別のイモが引っこ抜かれる形。)
一方、┻ の交点(吊り金具と天井板との接合部)が腐蝕していたとしたら、損壊はその部分だけに留まるはずで、連鎖的に損壊が起こるはずがない。それぞれの天井板は分離しているからだ。
( ※ その後、この部分が原因だと判明した。すぐ上の推測は当たっていたことになる。)
[ 付記2 ]
私の提案した対策では、「水平状の鉄骨」を渡らせることにしている。しかし実際には、この鉄骨は長さ10メートルになるので、これ単独では無理だろう。鉄骨がたわんでしまうからだ。たわむのを阻止しようとすると、鉄骨が太くなってしまい、重くなりすぎる。
これを防ぐには、別の鉄骨と併用すればいい。それは
∩
のような形の鉄骨だ。(断面図で)……これを、
−
のような形の鉄骨と組み合わせるといい。下図の青線のような形になる。

「重量が、特定の一箇所に集中するのでなく、鉄骨の全体に分散される。最も集中する箇所は、構造材の最下部だが、そこが壊れたとしても、そこから下には落ちようがない。ゆえに、ひどい事故は起こらない」
上の案では、「重量が特定の一箇所に集中しない」というふうになっている。このことが重要だ。これは事故や故障を防ぐための鉄則だ。
一方、今回の事例では、「断面図の最上部」という箇所に、集中的に力がかかる構造となっている。ここでは、設計思想そのものが、根本的に狂っている。もともと崩壊を起こしやすい構造だったのだ。(構造力学の観点から。)
図の出典:Wikipedia

なお、今回の構造物は、広い意味で、「橋」に相当する。そして、橋というものは、右図のような形状をしていることが多い。
これらの構造は、構造力学から決まった形状だ。このように構造力学を考慮して「橋」(のようなもの)を作っておけば、問題はなかったはずだ。
なのに、「コンクリ製の天井から金具で吊り下げればいいさ」という安易な発想を取ったせいで、力が一箇所に集中して、容易に壊れる構造を取ってしまったのである。

画像の出典:Wikipedia
[ 余談1 ]
ともあれ、専門家だから、専門領域のことをよく知っているとは限らない。建築の専門家ですら、構造力学をまるきり無視した構造物を設計することがあるのだ。
そしてそれを、素人である私が指摘する。
そのあとで、トンデモマニアが「素人が専門家を批判するのはトンデモだ!」と喚き出す。
だが、トンデモマニアの声が強まると、ふたたび同じような事故が続発する。なぜなら、全国の各地のトンネルのひどい現状も、改められないままとなるからだ。 (^^);
( ※ 続報で示したとおり、原因はボルトがはずれたことであるようだ。それにしても、ボルトで「トン」レベルの重量物を支えるとはね。そういうデタラメ設計こそ、トンデモと言えるだろう。)
[ 余談2 ]
今回の事故を受けて、「安倍総裁の言うように、公共事業を増やそう。そうすれば事故を減らせる」という見解がある。
ボルトなどの部品交換はしていなかった状態で35年も放置したわけですから、起こるべくして起きたともいえるのかもしれません。これが日本語になっていないのはさておき。(^^); こういうふうに「公共事業を増やそう」という見解が出るのは、予想されたことだった。
今回の事故のように何もなくても大災害に繋がるインフラのメンテナンスの弱さというのは、日本の古くなりつつあるインフラの大規模補修、補強、ないし作り変えなどを通じてある程度の財源確保と予算化を進め日本の資産を守るという意味で、必要な出費ではないかと考えています。
( → ブロゴス )
しかし、原因も突き止めないまま、やたらとあちこちを建て替えても、問題の解決にはならない。今回の事例で言えば、ボルトを交換しても駄目だし、該当箇所を補修しても駄目だ。金ばかり食って、効果はろくにない。
それより「設計思想が根本的に狂っていた」と認めた上で、新たな設計思想で、正しい構築物を設置するべきだ。それが本項の提案だ。
どこが悪いかもわからないまま、やみくもに「元通りに補修しよう」としても、それは知恵が足りなすぎる。何かをする前に、きちんと頭を働かせるべきだ。「走ってから考える」のではなく、「考えてから走る」べきだ。さもないと、見当違いの方向に走るばかりだ。
上記の記事には、こういう話もある。
どういう状態の時にどういうことが起きるというのは専門家ならばある程度想定できるはずなのです。本当にそうなら、今回の事故は起こらなかったはずだ。現実には、専門家というものは、当てにならないのである。それが今回の事故からもわかったはずだ。
「専門家ならば正しい」
と思うよりは、
「専門家だって間違うことは多々ある」
と考えた上で、過去の失敗を探るべきだ。そういう態度でなくては、これからも続々と事故は起こるだろう。しょせんは人間というのは、誤りをなす存在なのである。
To err is human, to forgive divine.
( 過つは人、許すは神。)
専門家は驕(おご)ることなく、「人は過ちをなすものだ」と自認するべきだ。そういう謙虚な態度がないと、「素人はトンデモだ!」と非難したあげく、自分の手によって大失敗を犯すことになる。
To err is human.
【 追記 】
コメント欄で、「通風のパイプ」という案をいただいた。それを得て、新たに、うまい案を考えた。こうだ。
「本文の通りにするが、さらに天井裏の部分に、パイプを通す。パイプは送気用が一本あるだけだ。ここには空気が加圧される。一方、パイプ以外の天井裏の部分は、そのまま使う。ここは排出用であり、空気が減圧される」

その意味は? こうだ。
「天井裏の全体が減圧されるので、天井部分は、下方からの空気によって支えられる。従って、特に構造材がなくても、自動的に上方に引っ張られる」
これは次のことを意味する。
「鉄骨やコンクリによって天井を支えるのではなく、空気によって天井を支える」
どうです? 名案でしょう? (^^)v
実際には、構造材を皆無にすることはできないだろうが、いくらか簡略化できるはずだ。
《 オマケ 》
なお、次の疑問があるかもしれない。
「気密性が問題だ。隙間があったら、空気が漏れて、天井をうまく支えられない」
いやいや、その心配はいらない。そもそも、ここは排気用のダクトなんだから、もともと通風用の穴はいっぱい空いているのだ。気密性なんか、もともとないのだ。減圧しているといっても、ちょっと減圧しているだけである。……つまり、天井を空気で支えるといっても、ちょっと助太刀しているだけだ。
それじゃ何の意味があるかというと、減圧部分じゃなくて、加圧部分だ。加圧部分のダクトを、円筒型の薄い金属パイプを使うことで、軽量化できる。重くて厚いコンクリのかわりに。……ここでは「円筒型の金属」という構造が有益となる。ついでにオマケふうに、「空気で支える」というシステムがあるわけだ。
( ※ 排気用もパイプにするのはどうか? それだと、天井裏のスペースが無駄になってしまうので、適さない。)
──
検査をしたばかりなのになぜ事故が起きるのかが疑問だったが
今朝のスッキリでは当時笹子トンネルを工事したひとが
地層が横に走っている地点があり、其の地点では工事中から
崩落があったことをはっきりと覚えているそうだ。
http://yamahiro8.biz/News/sasago999665412.html
トンネル内なので30年間の温度変化は多分小さく、接着剤とコンクリ、または接着剤とボルトの熱膨張係数の違いに基づく界面剥離は小さい様な気がします。よって接着剤のバルク破壊、もしくはコンクリのバルク破壊が考えられます。
おそらく後者でしょう。前者は接着剤テンコ盛りでよく生じますが、それはないでしょう。
コンクリは引っぱり応力に弱い。
ボルトが抜け落ちる方向の応力は接着剤を介してコンクリに常時作用。つまりコンクリ表層は引っぱり応力が作用しています。コンクリ/接着剤界面剥離ではなく、コンクリの表層が接着剤にくっつく感じで破壊したのでしょう。
これを解決するには接着剤の変更ではなく、もとの天井板を軽くて剛性のあるものに換える必要があります。
もともとは換気用に高圧?空気が送り込まれているらしいですが、安くて剛性があるものに変更すべきでしょう。
見栄えが悪いかも知れませんがダクトパイプを壁面に設置すれば良い話としか思えませんね。
設計ミスかもしれません。
自分もこの事故を見たとき、直ぐに危険な構造だと感じました。いっそトンネルの中ではなく、出口にバカでかい換気扇を付けたらどうでしょうか?
タイムスタンプは 下記 ↓
必要なんでしょうか?35年前の設計思想がそのまま続いているとすれば、
その頃から排気ガスの排出量や有害物質の構成は自動車自体の燃焼システム
の改善等で(以前NHKの新電子立国で解説していましたが)80年代以降
飛躍的に改善した訳ですし、その気になれば現在トンネル内でよく見かける
巨大扇風機レベルの装置で充分行けるのではないかと素人目には考えてしま
います。案外それを手がける法人が天下りの出先機関で、歴代のトップが自
分の任期を越える案件を先送りし続けた結果なのではないかと邪推してしま
いました。
アンカーなんてありえないですね
恵那山トンネルよく通るんですが もう怖くて走れません
♪ロンドン橋落ちた・・・
今の天井を底辺とした三角形を鋼材で作って その頂点から天井を吊り下げるようにしてはどうかと思います
専門家がはっきりしたことを言いませんね
原発事故とおんなじです
消費者が気にする性能試験や、問題が起きて初めて消費者が気付く(気にする)耐久試験など、
市場に出す前に社内で様々な評価方法を用いて製品設計しています。
いつもそこで感じることが、
それら試験方法は実際の市場に見合ったものかどうなのか、です。
なぜならば製品不具合として返品される情報を見ていると、まだまだ製品の改善点が見受けられるからです。
(改善方法をどうするのか、はまた別の議論です)
今回の事故を見ていて思ったことがあります。
当時は高度経済成長期で、メンテより新規事業にリソースが割かれていたのは容易に想像つきます。
その結果、設計したは良いが、その後のメンテナンス等による市場での耐久性能評価のフィードバックがなかったのではないか、の点です。
そしてそれが常態化してしまい、今日に至ったのではないかと。
事実、新東名にも同方式が採用されているトンネルがあると聞きます。(多少なりとも改善されているかもしれませんが)
専門家の知識はその時点での最新かも知れません。
しかしその知識から得られる製品は、必ずしも機能、耐久性などの市場要求を満たしていると限りません。
むしろ疑うべきで、その限定された領域の知識は、時間とともに得られる経験、市場実績、新技術で強化されるべきです。
そうすれば、過去に出した製品の耐久性や欠陥にも気付くことができ、未然に事故を防げていたかも知れません。
亡くなられた方や怪我を負われた方、巻き込まれた方には申し訳ないですが、
ちょっともったいない事故だったように思います。
そのボルトが抜けたとなるとコンクリートのせん断強度不足か接着剤のせん断強度不足、もしくは接着不良です。抜けたボルトの表面を見れば原因はすぐに特定できます。
ケミカルアンカーでボルトが腐食なんてほぼありませんし、もし腐食するような状態になればすでに接着剤の強度が不足し先に抜けてしまいます。
ではなぜ強度が不足したか。通常の経年変化なら強度不足に陥るには大きなばらつきがあり一度に数百箇所も抜けることはありえません。となるとコンクリート、または接着剤の不良による変質。施工の不良など同じ条件がそろった場合のみ起こったはずです。検証には時間はかからないはずです。いずれにしてもアンカーの引き抜き強度にすべての荷重をゆだねる設計上の責任は免れないでしょう。
元の文章だと、文意が通りませんでしたね。済みません。
勝手に脳内補正して読んでいたので、間違いに気づかずにいました。読者にはご迷惑をおかけして申し訳ありません。
誤
・ 吊り金具そのものが壊れた。
・ 吊り金具とトンネルとの接合部( ◯ の頂点)が壊れた。
・ 吊り金具と天井板の接合部( ┻ の交点)が壊れた。
正
・ 吊り金具そのものが壊れた。
・ 吊り金具と天井板の接合部( ┻ の交点)が壊れた。
・ 吊り金具とトンネルとの接合部( ◯ の頂点)が壊れた。
現在は修正済み。
──
現場付近を通行していた NHK甲府 後藤喜男記者
「私から見て左側の方から剥がれ初めて、次に右も剥がれて、ずっと一気に二列あるものがすっと落ちてくる感じで、生き物みたいに蛇がうねるよう。
大きい一枚板がドーンと落ちるのでない。
バラバラと落ちるのではなくて、本当に流れるように落ちていく。」
後藤記者はトンネルから抜け出そうとアクセルを踏み続けますが思うように進めなくなりました。
現場付近を通行していた NHK甲府 後藤喜男記者
「ドシン、ガシャンという音とともに加速が鈍くなって、車体の左側をこう天井板がばっと落ちてきたのかなと。
(アクセルを)踏み込んで無理矢理、落ちて重なってくる天井板を押しのけてなんとかギリギリ走り抜けることができた。
車内を見渡したら、本来あった助手席の中が全部、潰れてしまっていて、妻が押し込まれるようにして運転席側に倒れ込んでいた様子が見えました。」
→ http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3282_all.html
設計ミスが第一原因、経年劣化、地震、不十分な保守点検が第二原因、点検作業が第三原因、当日の何らかの負荷が最終要因ではないでしょうか。
点検作業そのものも、けっこう危険(安全度の低下を招く恐れがある)と思います。普段開けない扉を開けて圧力が不均等に掛かったり、作業員や機材の動加重も掛かりますから。
12月8日下り線の点検が終わったと報じられていますが、多分、目視と打音検査のことでしょう。
広域脱落の原因を劣化に押し付けて開通させることは無いと思いますが、最低でも十分な強度があることを保証できなければ、開通はあり得ないでしょう。
現時点迄の公表情報から12/3「どかちん」さんのコメントに賛同します。広範囲の脱落は連鎖反応もありますが、その区域に同じ条件が揃った場合に起こると考える方が大きいと思います。
さらに加えて誤用ミス、これを止む無しとしてもその異常強度設計と強度確認ミスを指摘したいと思います。そもそも常時荷重の掛かっているものを上向きのアンカーで吊ろうとすることに誤用がありますが、やむを得ない採用とか、技術革新や工期、VEとかで採用と判断したのなら、それなりの高い精度と安全率、耐久性、維持方法を確保していないといけないと思います。また、上向きグラウトの均一な施工精度確保が難しいのではないでしょうか。
また、設計上の疑問ですが、φ16mmのボルトを130mmだけ埋め込んで2本で吊っている新聞図ならば確実に施工できたとしても、有効長110mmとしてボルトの付着強度を異形鉄筋並みとして
吊り金具1本当りの荷重=(底板2枚)/2+隔壁=2.7t
ボルトの引抜力=コンクリートの付着強度xボルト表面積=1/10x300x1.6x3.14x11/1000=1.66t(極限)
2本とすれば均等に掛かっても3.3tonで抜けることになります。即ち、3.3/2.7=1.2しか安全率はありません。通常は常時引張荷重が掛かるのであれば、J型かナット付埋め込みをしても、抵抗力低下を見込んで3倍以上を確保するでしょう。この計算が概ね言えるのであれば広域脱落はおこりうると思います。この計算が間違っていて欲しいです。何故ならもし正解なら直ちに補強しないと危ないからです。
ちなみに異形鉄筋の定着長は、コンクリート強度によっても若干違いますが、全強定着長さ=35d (φ16mmの場合35x16=560mm)と教えられてきた常識と大きく異なるのではないでしょうか。
報道では、盛んに打音検査を言っていますが、車両検査などの僅かの荷重時に実施するものは別として、吊り天井のアンカーが抜けるかどうかについては、強い張力の掛かった状態を叩いても判らないですし、増して強度が判る訳がありません。ナットの緩みを指摘していますが、力が掛かっていないので、もう1本に集中していることになり、均等に分担させる意味から重要で有効かと思いますが、前述のようにトータルで不足しているのであれば、強度検査が不可欠です。犠牲者が多数いらっしゃいますので、その筋はなんとか人災にして打音検査の不実施をキーポイントに置くのもわからなくはないですが・・・・
真の原因追究をして確実な対策をされ、安心して通行利用できることを念願します。
少々知識のある方でも分かる事ですが、
マスコミや政府関係者は、この事故を
どうも弱者(点検者)に、責任をなすりつけ
濁してもみ消そうとしています。
構造的問題は専門家も、指摘しているにもかかわらず、焦点をずらし続けている。
お金や貰えると我率先〜
責任が絡むと卑怯者は知らぬふりです。
管理人さんが述べる様な、構造なら
この事故は置きにくかった、或いは起きなかった
そう思います、亡くなられた方の為にも
関係者は真実を方って欲しい、そう思います。