このことによって「ミサイル防衛網の有効性が証明された」と騒いでいる人もいる。「だから日本にも配備せよ」と主張する人もいる。
だが、結論から言えば、今回の事例により、ミサイル防衛網というものはほとんど無効だ、と判明したことになる。まったく無効なのではなく、有効なこともあるが、その効力はあまりにも限定されている。
以下で説明しよう。
cf. 見事な発射写真
──
まず、次の報道がある。
《 飛来ロケット9割迎撃、イ軍対空防衛の威力 》これだけ読むと、大きな効果があったように見える。だが、そうではない。
パレスチナ武装組織がガザから撃ち込むロケット弾を迎撃するため、イスラエル軍が設置している対空防衛システム「アイアン・ドーム」が威力を発揮している。
14日の空爆開始以降、人口密集地域に飛来したロケット弾の約9割近くを撃ち落としたとされる。
イスラエル軍によると、今回の空爆開始後、ガザから発射されたロケット弾は1160発。このうち約670発がイスラエル領に到達したが、360発を撃ち落とした。イスラエル側は、実際に発射された迎撃ミサイルの数を明らかにしていないが、87%が標的としたロケット弾を撃ち落としたとしている。
18日にテルアビブに向けて発射されたロケット弾も迎撃され、市街地への着弾は回避された。イスラエル側の死者は3人にとどまっている。
( → 読売新聞 2012年11月21日 )
(1) 9割?
記事のタイトルは「飛来ロケット9割迎撃」と記しているが、これは間違いである。記事にもあるように、発射数が 1160発で、撃墜数が 360であるから、とても9割には達しない。9割を撃墜したわけではない。
「670発がイスラエル領に到達したが、360発を撃ち落とした」
ということだから、310発は着弾していることになる。到達数に対する撃墜率は 54%にすぎない。
では 87%とは何か? 「イスラエルが発射したミサイルのうちで 87%が目標を撃墜した」ということだ。ちなみに、発射した数は計算上、
360/0.87 = 414
だから、414発を発射したことになる。差し引きして、54発が撃墜ミスだ。
結局、46%は撃墜目標とされずに着弾した。(これはたぶん郊外に落ちたもの。市街地ではないところ。)
また、13%の 54発は、撃墜ミスにより、市街地に着弾している。
だから、発射数が 1160発という大量になると、「撃墜した数」よりも「撃墜しそこなった数」が問題となる。それは決して無視できる数ではない。「十分な効果があった」とは言えない。
(2) 限定的な効果
それでも次の反論があるだろう。
記事によれば、「イスラエル側の死者は3人にとどまった」ということなのだから、死者数をこれほどにも限定したことには、大きな効果があったのだ、と。
だが、よく考えてみよう。もともと (1) のように大量の着弾があったのだ。特に、市街地には 54発も着弾した。それでいて、死者が3人にとどまったというのは、何を意味するか? 次のことだ。
「たとえミサイルを撃墜しなくても、その被害は僅少である」
要するに、ミサイルというのは、軍事的な効果は小さいのだ。たとえ着弾しても、その効果は非常に限定されている。このことは、前にも述べた。
V2ロケットの場合も同様だった。心理的には大騒ぎがあったが、 V2ロケットの被害はたいしたことがなかった。第二次大戦の連合国の戦死者において、 V2ロケットによる死者数はごくわずかだ。このように、ミサイルというものの軍事的な効果は、きわめて限定的だ。
( → 迎撃ミサイルは有効か? )
(3) コストと効果
さらに、コストとの比較がある。
アイアン・ドームのコストは、4万ドルから 10万ドルである。( → 出典 )
一方、パレスチナのロケットによる被害は、たとえ着弾しても4万ドルを下回るそうだ。
Most of the rockets won't do $40,000 worth of damage even if they land in populated areas.つまり、何もしなければ被害は4万ドル以下で済むのに、なまじ迎撃ミサイルを発射したせいで、被害が4万ドルから 10万ドルへと激増してしまうのだ。「迎撃ミサイルを発射すれば発射するほど、被害が減るどころか、被害が増える」ということになる。
拙訳:たとえ人口密集地帯に着弾したとしても、大半のロケット弾は、被害額が4万ドルに及ばないだろう。
( → 上記サイト )
「それでも人命が大切だ」という見解もあるだろう。しかし、人命のためであれば、防空壕にこもっているのが一番だ。今回も防空壕にこもっていたせいで、被害者数は3人にすぎなかったのだろう。死者数を決定的に減らしたのは、防空ミサイルではなくて、防空壕だったのである。
「たとえ3人でも人命は大切だ」という見解もあるだろう。しかし、今回のイスラエルの攻撃では、ガザの死者は 130人以上となったのだ。
→ ガザの死者130人超
人命のことを考えるなら、そっちの 130人を考える方がいい。
「ガザの命なんか関係ない。イスラエル人の命だけが大切だ」という見解もあるだろう。しかしそれは、殺人犯の見解にすぎない。「おれは他人を殺してもいい、他人はおれを殺してはいけない」という見解。そんなことを言う奴は、死刑がふさわしい。さっさと死ね。その意味でも、「防空ミサイルは大切だ」という主張は成立しない。そんな主張は「気違いに刃物」「狂人に殺人兵器」という発想だ。認めれば認めるほど、ガザの死者が増えてしまう。道理が通らない。道理が通ると思っているのは、殺人狂だけだ。
( ※ 軍備というものは、攻めてくる相手から自分の命を守るためにあるのであって、自分の命を守りながら他人を虐殺するためにあるのではない。そこのところを、勘違いしないように。)
(4) 比較コスト
以上からして、防空ミサイルの効果は限定的だとわかる。ただし、発射するよりは、発射しないで着弾させた方がマシだ。
ただし、これは一般に成立するわけとは言えない。相手が高額のミサイルを発射するならば、こちらの被害も甚大になるので、こちらから高額のミサイルを発射する意義もある。
では、今回はどうか?
第1に、すでに見たように、被害額は防空ミサイルのコストに見合わない。(少額の被害をなくすために高額の防空網を使っている。本末転倒。)
第2に、相手のロケット弾はあまりにも小額すぎる。その額はたったの 500ドルだ。単位をそろえると、 0.05万ドルだ。
→ ロケット弾は一発約500ドル
つまり、0.05万ドルのロケット弾を撃墜するために、4〜10万ドルもの大金をかけて、迎撃ミサイルを飛ばしている。まったく割に合わない。迎撃ミサイルを飛ばすたびに、4〜10万ドルもの大金がすっとぷ。大損だ。だったら、何もしないで我慢している方が、よほどマシだ。
(5) 総数
発射装置(出典:Wikipedia )

ハマスは 0.05万ドルのロケット弾を使う。その意味は、「払う金が少なくて済む」ということではなくて、「同じ金ならば数量が多い」ということだ。結果的に、数は数万になっているらしい。
→ ハマスは数万発のロケット弾を保有している
これに対して、イスラエルが数万発の迎撃ミサイルを準備することは、財政的に不可能だ。そもそも、ミサイル自体は 4〜10万ドルだとしても、他に発射装置(右図)の金が多額にかかる。結果的にすでに $560 million (370億円)という額が使われている。
→ Israel already has spent $560 million on Iron Dome
イスラエルのような小国(人口 717万人)にとって、この額はとうてい無視できない。
仮にハマスの数万発のロケット弾に対して、イスラエルが数万発の迎撃ミサイルを準備するとしたら、国家財政が破綻する。

しかも、である。イスラエルが準備しておく迎撃ミサイルの数は、ハマスと同数ではなく、ハマスの数倍である必要があるのだ。なぜか? その理由は次に示す。
(6) 命中率
迎撃ミサイルの命中率は 87%だ……というふうに今回は報道されている。この命中率が保証されたものだと考えたら、大間違いだ。
右図(出典:外務省) のテルアビブ( ● )の位置を確認してほしい。ここから見て、ガザの方向は限られている。ゆえに、テルアビブに飛来するロケット弾の方向は限られているのだ。ほぼ正面から来るものばかりだ。だから、角度をそろえて、迎撃することが可能となる。高い命中率の理由は、これだ。
一般に、飛来するミサイルの方向がわかっていれば命中率が高くなる。
一方、飛来するミサイルの方向がわかっていなければ、命中率が低くなる。

今回は、目標がテルアビブだったから、ガザからの方向が限定されていた。
一方、他の都市(たとえばイスラエル南部のベエルシェバ)ならば、細長いガザのどこから来るかで、角度が変わるので、正面から迎撃することは難しくなる。
もっと大きな問題は、別にある。どの都市であれ、その都市をめざして飛来するミサイルを撃墜することはできても、他の都市をめざして飛来するミサイルを撃墜することはできない、ということだ。(上記の角度の図から明らか。)
このことは、次のことを意味する。
「各都市ごとに、ハマスのもつ数万発ものミサイルをすべて撃墜する迎撃ミサイル数を用意しなくてはならない。都市数が 10都市だとすれば、それぞれの都市ごとにその数のミサイルを用意しなくてはならないので、合計で 10倍の数を必要とする」
これだけの数が必要となるのだ。
では、その必要数を、用意できなかったら? 当然、弾切れになる。たとえば、全体で1500発を用意しておいて、テルアビブには 400発だけを配備していたとすれば、テルアビブでは 400発を撃ち尽くした時点で、弾切れとなる。
そのあとは? 防空ミサイルはなくなってしまうので、あとはハマスのやり放題である。手の打ちようがない。殴られ放題という状況だ。
ま、たとえ殴られ放題となっても、先に述べた理由で、被害はきわめて限定的だろう。しかしながら、「弾切れになった」という事実が判明するのは、威嚇効果がなくなるので、きわめてまずい。張り子の虎を「強力な武器だ」と見せかけていたのに、「実は張り子の虎でした」とバレてしまうことになるからだ。
(7) 停戦の理由
実を言うと、すぐ上に述べたことが、今回の急激な停戦の理由であろう。
戦況を見る限り、イスラエルが圧倒的に有利だった。(非ミサイルの)通常戦では圧勝して 130人も大量虐殺した。また、防空ミサイルは命中率 87%を達成して、ハマスの攻撃を打破したと見えた。……こういうふうに見えていたのである。
しかしながら、実際には、この時点で「弾切れ」になってしまった。それがバレてしまうのは、何よりも怖い。
だからこそ、それがバレないように、何が何でも「停戦」するしかなかったのだ。
逆に言えば、圧倒的に有利な状況でいきなり「停戦」に応じたことから、「イスラエルの防空システムは弾切れになった」と推定が付く。
結局、イスラエルの防空システムは、無効だったのである。それがなし遂げたことは、大被害の開始を1週間ほど遅らせることぐらいの効果しかなかった。効果は皆無ではなかったし、1週間ほど遅らせるだけのことはあったのだが、それは戦術的な問題にすぎない。戦略的には、イスラエルの防空システムは、あってもなくてもほとんど違いはなかったのである。
いや、むしろ、それは弱点となった。「弾切れがバレる」という弱点だ。この弱点がバレないようにするために、イスラエルは地上戦を早期に終結しなくてはならなくなった。仮に、防空システムがなければ、地上戦でさらに虐殺を続けて、130人どころか、300人、500人、1000人、いや、それどころか、パレスチナ人のすべてを虐殺することができたかもしれない。ところが、実際には、防空システムがあった。そのせいで「限界がバレる」という弱点をかかえた。かくて、地上戦には、大幅な制約がかかり、短期間で停戦せざるを得なくなった。
以上が、イスラエルの防空システムの真相だ。
( ※ なお、今回の命中率を先例として、ハマスは次回は対策を取るだろう。テルアビブやエルサレムではなくて、中小都市を狙って、集中的にロケット弾を発射するだろう。その中小都市には、もともとアイアンドームはろくに配備されていない。かくてその中小都市で、迎撃不能なまま、被害が出る。……というわけで、次回の攻撃は、かなり小さな都市が目標となるだろう。致命的にはならないだろうが、大きな恐怖を与える結果となる。そしてまた、アイアン・ドームが無効だったと判明することになり、イスラエルの威信はずたずたとなる。)
[ 付記1 ]
では、日本ではどうか? 日本では、もっと状況が厳しい。国土は広いので、その広い国土のすべてを、北朝鮮のミサイルから防衛することは難しい。角度の問題があるからだ。
また、たとえ迎撃できても、激安の相手ミサイルを、超高価な迎撃ミサイルで迎撃するのでは、「迎撃するほど損をする」という結果になる。
そもそも、相手の速度が全然違う。今回のロケット弾は、マッハ3以下。弾道弾は、マッハ 20〜30。今回のロケット弾を迎撃できたからといって、弾道だを迎撃できることにはならない。PAC3 などの命中率は、今回の例よりもはるかに低い。相手が速すぎるから。
[ 付記2 ]
結局、北朝鮮のミサイルに対する最高の方策は、「何もしないこと」である。そして、被害が出たあとで、被害者に補償金を払えばいい。それだけのことだ。
「人が死ぬのが問題だ」
と思うかもしれないが、それだったら、戦うべき相手は、別にいる。北朝鮮じゃない。日本の政府だ。こいつによる死者数の方が圧倒的だ。
→ 2009年自殺者数は3万2845人、「経済・生活問題」原因の自殺が大幅増加
原因が「経済・生活問題」だった自殺者は 8377人だ。これが 20年間続くと、15万人ぐらいが死んだ計算になる。テポドンの死者がいくら多くても、この数にはなるまい。ひどいものだ。
ついでだが、日本で迎撃ミサイルの配備費を削って、これらの自殺者に配ったら、これらの自殺者の大半は死なずに済んだはずだ。
今日もまた、あなたのそばで、人が死ぬ。
「**線**駅で人身事故があったので、ダイヤが乱れております」
自殺者が出たということです。(自殺でなくて事故ならば大ニュースとなるが、そんな大ニュースはない。つまり自殺。 → 「自殺」を「事故」と虚偽報告しているわけ。嘘つきだらけ。)
【 関連サイト 】
参考情報となる情報源を示す。
→ 245発を迎撃したイスラエルの「アイアンドーム」
→ オンラインゲームで腕を磨いた、イスラエル国防軍のエース
→ 個人ブログ
→ ミリタリー掲示板
→ アイアンドームの迎撃範囲は半径7kmの円
→ 発射の動画
→ Iron Dome - Wikipedia 英語版
→ Iron Dome: How Israel’s anti-rocket system works
→ The Cost Of Iron Dome ( Google 翻訳 )
→ Israel’s Iron Dome Passes 1st Major Test, Despite Some Weaknesses
>>発射数が 1160発という大量になると、「撃墜した数」よりも「撃墜しそこなった数」が問題となる。
>>それは決して無視できる数ではない。「十分な効果があった」とは言えない。
あなた自身が「ハマスのロケット弾」と書いていますが、
ロケット弾の性能はご存知ですか?
ロケット弾は基本的に無誘導の兵器のことを指す(ほぼ同じ構造で誘導付ならミサイルと呼ぶ)ので、
ハマスが使用したロケット弾が、必ずしもイスラエルの市街地へ落ちるとは限りません。
よってアイアンドームは人的被害が出る範囲を優先的に防衛し、
破壊されても問題のない無人エリアへ着弾するロケットは無視しているため、
イスラエルはハマスの使用したロケット弾の数よりも少ない迎撃数であっても迎撃率9割を主張しています。
イスラエルは守るべきものを守ろうとした結果が9割守られたということなので、
これはなんら矛盾することではないと思いますが。
私が「9割」の件で言っているのは、イスラエルの批判じゃなくて、読売の記事のタイトルの批判です。誤読しないでね。
弾道ミサイルは1発数億円〜高いものでは4〜50億円します
決して激安ではありませんし、ましてや北朝鮮のような経済規模が小さい国家では、その負担はさらに増えます
また、北朝鮮が保有してる日本に届く弾道ミサイル(ノドン・射程約1300km)は多く見積もっても300発程度といわれています
ハマスの撃つ射程数十キロ程度のロケット弾と違って、全長16m・重量16トンのノドンは在庫が無くなったらすぐ購入・製造なんてできません
>弾道弾は、マッハ 20〜30。
日本にとって脅威であるノドンは準中距離弾道ミサイルであり、そんなに速くありません
マッハ10前後です
>日本で迎撃ミサイルの配備費を削って、これらの自殺者に配ったら、これらの自殺者の大半は死なずに済んだはずだ。
ミサイル防衛予算はだいたい年1100億円くらいです
生活保護費は年3兆7千億円
年1100億円で、自殺者の悩みが解決し、大半が死なずに済むのなら喜ばしいことではありますが
アイアンドームが本来迎撃する予定だったハマスのロケット弾はあなたの計算通りです。
ですから、あなたが54発の心配をするのは当然かもしれません。
ですが、イスラエル側の死者が3人で済んだことに対しての考え方が短絡的過ぎると言えます。
まず、アイアンドーム稼動時は空襲警報が発令されます。
よって市民は比較的安全な場所へ避難するため、人員的な被害は最小限に抑えられます。
これもあなたの指摘通りです。
ですが建築物はどうなるでしょうか?
何もしなければロケット弾によって破壊されてしまい、これでは都市機能が下がってしまいます。
いくら防空壕へ逃げて全員が無事だったところで、
ただの荒地と化した都市では人は生きてはいけないので死活問題ですよね。
また、経済的打撃を受け続ければ国家の維持にも支障をきたします。
よってあなたの言う軍事的な効果は小さいロケット弾攻撃であっても、
都市にとっては十分過ぎる脅威です。
また、迎撃ミサイルが高過ぎると書いていますが、被害を最小限に抑えられたのだから、
それに越したことはないでしょう。
例えるなら、掛捨て型の保険のようなもので、出費は痛いかもしれませんが、
金で簡単には代えられない大事なもの、都市と市民は守られます。
そして都市と市民が健全で生き残れば、例え国が戦争で借金を抱えたとしても返済能力は維持されます。
また、アイアンドームはあくまで防衛兵器、つまり盾なので、
イスラエル軍が別のところでハマス攻撃を行いロケット弾発射の阻止を行っていることもお忘れなく。
ところで迎撃ミサイルの命中率ですが、なんでほぼ垂直で撃ち上げる迎撃ミサイルに迎撃方向がそんなに関係あるんですか?
まったく無関係とは言いませんが、レーダーは360度を警戒し、迎撃ミサイルは空中で方向転換が可能です。
またイタチゴッコの理論ではありますが、迎撃ミサイルを撃って消費したのならば、
イスラエルは消費した分を生産し補填すればいいのでは?
ハマスは確かに大量の安いロケット弾を所有していますが、
アイアンドームの防衛力およびイスラエルの迎撃ミサイル生産能力を超えた飽和攻撃が行えるようには思えません。
もしもハマスにそれが可能なのならば、既に行っているのでは?
それにハマス側は130人の死者だけではなく、
130人が死ぬ範囲の街が破壊され、機能を失ったこをお忘れなく。
またこれは確か、イスラエル軍の行った爆撃による被害でしたよね。
今度はイスラエル陸軍が動く気配があるですが、本格的な戦争を行う前に、
まずは話で決着が付くかどうか確認するのは、一部の捻くれた国家を除き万国共通でしょう。
無駄な戦闘を回避するのは外交上の選択の一つですし。
※最後に
例え同じ15万人でも自殺者は一度の統計で20年かかりますが、テポドンは一瞬、しかも何度でもありえます。
そして自殺は日本政府が手を打てば助けられるかもしれませんが、
テポドンの発射はいくら日本政府が対策を取ったところで全ては北朝鮮当局の判断に委ねられ、
現在の日本は否応なく受身で対応せざるえないことをお忘れなく。
北は撃てません。撃てば反撃で壊滅です。
アイアンドームが優れた専守防衛システムであっても弾切れの危惧がある。よって絶賛せずに全体を見て総合的な被害と悲劇を最小化するべきでしょう。
弾道ミサイルへの対策は、アイアン・ドームでは無理でしょう。遅すぎて。
アイアン・ドームが高い命中率を誇れるのは、あくまでロケット弾対策の場合だけです。弾道ミサイルへの対策は、はるかに高度なシステムが必要なので、コストもかかるし、命中率も下がります。
北朝鮮のミサイルについての対策費用や被害総額などの計算は、別項でやっています。
( ※ ごくおおざっぱな見積もり。数値なし。)
→ http://openblog.meblog.biz/article/8626413.html
> ですが建築物はどうなるでしょうか?
引用した英文記事で示していますが、被害額は、アイアン・ドームのコストよりも低いと見積もられています。核ミサイルじゃなくて、ただのロケット弾なら、あまり大きな被害を出せません。また、命中精度も高くないので、大半は道路や庭などに落ちて、平均的な被害額は少なくて済みます。
庭に落ちて大きな穴をあける被害(100万円)を防ぐために、アイアンドーム(500万円)を使うんじゃ、割に合いません。
> ただの荒地と化した都市
ロケット弾の効果は大きくありません。そのことはV2ロケットでも証明されました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/V2%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88
爆撃は都市を荒地にすることが可能ですが、ロケット弾では無理です。弾道ミサイルでも無理です。都市を荒地にしてしまえるのは、核ミサイルの場合だけです。
※ だから私は「今すぐ北朝鮮の核開発拠点を爆撃せよ」という主義なんですけどね。あなたが軍事マニアなら、そっちの心配をした方がいいんじゃないの? 下手をするとそのうち日本に核ミサイルが降ってきますよ。それでも「迎撃ミサイルがあるから大丈夫だよ」なんて言うんでしょうけどね。自衛隊みたいに。
> なんでほぼ垂直で撃ち上げる迎撃ミサイルに迎撃方向がそんなに関係あるんですか?
垂直方向の角度じゃなくて、水平方向の角度が問題だからです。垂直方向ならば、推進薬のエネルギーを調整して、高さをうまくそろえることが可能であり、角度をそろえるのは簡単です。水平方向ならば、相手の軌道の正面に回り込む必要がありますが、それは無理。
なお、水平方向で角度だけそろえても、無意味です。下図のようになる。
→
←
つまり、行き違い。角度だけそろえても、軌道が交叉しません。
逆に、軌道を交叉させれば、角度がそろいません。
それゆえ、迎撃ミサイルには「有効範囲」というものがあるんです。リンク先を参照。
http://obiekt.seesaa.net/article/302452104.html
> イスラエルは消費した分を生産し補填すればいいのでは?
その話は本文中にあります。額の問題。金がなくなる。
> 迎撃ミサイル生産能力を超えた飽和攻撃が行えるようには思えません。
その話は本文中にあります。最後の箇所。停戦の理由。
ガザの一人辺りGDPは?
イスラエルの経済性云々以前に、一発500ドルもするロケットを1160発もぶっぱなしてるからガザ市民が困窮してるんだよ。
そのロケット分の経済支援や資本投資をすればどれだけ豊かになるのかねぇ〜
抜け落ちてないでしょ。ちゃんと数字を示してある。計算できないの? 割り算もいちいち計算してもらわないと理解できない小学1年生ですか?
> 一発500ドルもするロケットを1160発もぶっぱなしてるからガザ市民が困窮してるんだよ。
見当違いですね。ガザ市民が困窮しているのはイスラエルが経済封鎖しているからです。
また、ハマスの資金源は、アラブの産油国です。ろくに食えない貧乏人がロケット弾の費用を払えるはずがない。もうちょっと社会科を勉強したら?
固体燃料のロケットモーターではそんなことは出来ない筈です。
有効範囲は角度がどうのこうのというよりレーダーと推力の偏向できる時間の関係で決まるといったほうが正確かと
言いたいことがさっぱりわからん
最終的にパレスチナ人のすべてを虐殺可能なら
途中経過がどうであろうとあまり関係ないのでは
>>また、命中精度も高くないので、大半は道路や庭などに落ちて、平均的な被害額は少なくて済みます。
命中精度?
庭や道路よりも上へ飛び出している建築物の方が被弾率が高いのは当然では。
しかも都市部は背の高い建物も多く、テレビで紹介されていた被弾した建物もマンションでしたよ。
それに破壊された場所を修復する費用よりも、破壊されたことにより阻害された生活や仕事、
そして時間のロスはどうするつもりですか?
これらは金だけでどうにかなるような問題ではありません。
それならば金だけでどうにかできるようになるアイアンドームの方がよっぽど取り返しが付くでしょう。
ところで、アイアンドームはイスラエルとアメリカの共同開発によって生まれたものであることはご存知ですか?
アメリカ側での名前はアイアンキャップです。
それ故にイスラエルはアメリカからアイアンドームに関する支援を受けることができています。
なのでイスラエルはあなたの心配している「弾切れ」を心配する必要がありません。
>>垂直方向の角度じゃなくて、水平方向の角度が問題だからです。
>>垂直方向ならば、推進薬のエネルギーを調整して、(ry
意味不明です。
迎撃ミサイルがロケット弾を迎撃するのに、進行方向の角度なんて関係あるんですか?
迎撃側にとって一番大事なのは、迎撃対象の軌道と自身の軌道の交点とそこへの到達時間では。
それもまた損害費用に含めればいいでしょう。金額の大小の問題にすぎない。
> 金だけでどうにかできるようになるアイアンドーム
できませんよ。弾切れになるんだから。
> イスラエルはアメリカからアイアンドームに関する支援を受けることができています。
それはわかっています。約半額の支援を受けています。しかし支援といってもタダで全額を与えるわけではありません。実際、アイアンドームの総数は、2000発程度と見込まれています。ハマスの数万発には足りません。アメリカがいくら支援するといっても、数万発も支援できるわけではありません。
あなたが「金で済む」といっても、アメリカは打ち出の小槌じゃありません。限度があります。
> 迎撃ミサイルがロケット弾を迎撃するのに、進行方向の角度なんて関係あるんですか?
関係ないんだったら、有効半径というものも存在しないでしょう。文句を言いたければ、有効半径を設定した専門家に言えば? 私に言うのはお門違い。
──
最後に一言。
ここは軍事オタクの掲示板じゃない。議論を交わしたければ、Object あたりで議論してください。オタクがいっぱいいるでしょ。
本サイトはあくまで情報提供が目的であり、議論が目的ではありません。情報に不満ならば、読まなければいい。それだけ。
でなければ、「情報を一切書くな」と言うべし。ただし、そう言う前に、鏡と対面するべし。
ともあれ、オタクはどこかの掲示板に行ってください。
ですがハマスはその数万発を撃ったとしても、その半分もアイアンドームの防衛範囲内へは到達していませんよ?
それにハマスがその数万発を全て撃ち終えるまでイスラエルが何もしないとでも思いますか?
既出ですが既にイスラエル空軍の空爆が始まってますし、陸軍も侵攻の用意をしています。
ハマスがロケット弾の所有数を使い切るのは無理でしょう。
>>関係ないんだったら、有効半径というものも存在しないでしょう。
有効射程は迎撃ミサイルの航続距離と速度、レーダーの探知能力、
そして探知後から発射までの時間で決まります。
進行方向の角度なんて大して関係ないでしょう。
イスラエルのガザ攻撃で見える「アラブの春」後の中東
http://astand.asahi.com/magazine/middleeast/watch/2012112000005.html?iref=chumoku
>ネタニヤフ首相とバラク国防相が選挙を控えて、大規模な軍事作戦を立案して、仕掛けたということだろう
だから、空軍や陸軍は有効なんですよ。空軍や陸軍の有効性をいくら示したって、それは弾切れになったアイアンドームの有効性を示すことにはなりません。むしろ逆です。自分のいっていることがわかっているの?
本項はイスラエルとハマスの対立を論じているのではありません。
> 進行方向の角度なんて大して関係ないでしょう。
わかりやすく示します。野球でピッチャーのボールを打つとき、次のどちらが容易か?
(1) あらかじめバットをホームプレートの上に置いておく。あとはバットを少しだけ動かして、バントする。
(2) ピッチャーが投げると同時に、三塁付近からボールを投げて、ピッチャーの投げたボールに当てる。
あなたの理屈に従えば、三塁付近から投げたボールの速度が十分に速ければ、ピッチャーの投げたボールに追いつきます。ピッチャーのボールが時速40キロで、三塁付近から投げたボールの速度が 150キロならば、十分に追いつきます。だから簡単にボールにボールを当てることが可能ですか? バントするよりも簡単ですか?
追いつくことと、実際に当てることとは、同じじゃないんです。迎撃ミサイルの側は、まずは自分の軌道を安定させることが先決です。そのためにはかなり長い時間がかかります。(上の例で言えば、まずはホームプレート付近で停止する必要があります。)
実を言うと、時速 40キロの戦車(横に移動している)に、大砲の弾を当てるのは、至難のことです。戦車の数秒後の位置をきちんと予測する必要があるからです。
一方、こちらに向かってくる戦車に大砲の弾を当てるのは、ずっと容易です。照準を合わせれば、まず、はずれません。
戦車ですら、このくらいの差が付きます。いわんや、ミサイルをや。
>わかりやすく示します。野球でピッチャーのボールを打つとき、次のどちらが容易か?
制御理論においてはどちらも大差ないです。
そもそも先に示したとおり固体ロケットモーターには出力の制御なんてありません。(友人のロケット屋は花火と変わらんのたまっていた)
”つまり垂直方向も水平方向も制御内容に本質的な大差はありません。” 変わるのは気圧とか重力の項ぐらいですかね。
>至難のことです
その例題では、いまどきの先進国の砲であれば至難というほどでもないと思いますがね。
終端誘導の無い高射砲、戦車砲でも予測射撃は行われますが、制御理論自体が大戦中の高射砲の開発に伴って体系付けられたものですし。
まあ、理論は現実無視ですからね。マッハ3なんて想定していないし。タイミングが 0.01秒ズレただけで位置が大幅に狂うなんてことも想定外だし。
制御理論の通りになるんだったら、迎撃ミサイルはみんな命中率 100%ですよ。1970年代には迎撃ミサイルは百発百中になっていたでしょう。そのころには制御理論だけはできていましたからね。現実は別として。
> 至難というほどでもないと思いますがね。
じゃ、「困難」にしておきましょう。もっとも、もともと正面からとの比較論にすぎないんだが。
ところでこれは私の見解ではなくて、数日前にどこかで読んだ軍事記事からの話です。文句を言うなら、実際に砲を撃っている軍人に「おまえは砲について何も知っていない」と文句を言うといいでしょう。