2012年10月21日

◆ 対マラリアの農薬蚊帳

 熱帯地方で蔓延するマラリアの対策で、農薬をしみこませた蚊帳(オリセットネット)が普及している。ところが、この農薬への耐性がある蚊が生じている。 ──
 
 熱帯地方で蔓延するマラリアの対策で、農薬をしみこませた蚊帳が普及している。「オリセットネット」というものだ。
 読売・朝刊 2012-10-23 で「素晴らしい効果がある」というので、ネットを検索してみたところ、次のページが見つかった。。
 オリセットネットは、従来のマラリア対策の蚊帳とは異なり、繊維に薬剤を浸すのではなく、繊維にペルメトリン製剤を練り込むことで、薬剤が内側から徐々に染み出すので、繰り返し洗濯しても5年間防虫効果が持続します。この画期的な発明により、蚊帳を繰り返し薬剤に浸す手間が省けます。そしてポリエチレンという繊維を使用することで、丈夫で破れにくい蚊帳を作ることができました。また、マラリアが多く発生している熱帯地方では、日本のように目の細かい蚊帳では通気性が悪く、寝苦しく感じてしまい、かえって蚊帳を使用しなくなる可能性もあります。そこで、蚊が入ってくることができず、通気性にも適した大きさを検討した結果、4mm×4mmの目の大きさを採用するなど、使用する人の立場に立って作られています。
( → マラリアを撲滅するために
 読売の記事によれば、当初は 2000円だったのだが、技術を無償供与したりして、現地生産することにしたら、5ドルで生産できるようになったという。400円で5年も持つのだから、すばらしくコストパフォーマンスが高い。
 「これは素晴らしい」と思って、紹介しようと思って、ネットを検索してみたら、たしかに称賛する記事があふれている。(最後の二つは、当の会社による自画自賛。)
  → 住友化学のソーシャル・ビジネス「オリセットネット」
  → 蚊帳に触れたら、即死オリセットの破壊力
  → 住友化学のアフリカ支援|オリセットネットとは
  → 住友化学のアフリカ支援 |ナイジェリア計画

 ──

 ところが、よく調べると、「蚊に耐性が生じている」という話もある。
 そこで、「耐性」を付けて検索すると、次の結果が得られる。
  → 「マラリア オリセットネット 耐性」 - Google 検索

 いくつかを抜き出すと、次の情報が見つかる。
 《 普通蚊帳に切り替える要望及び質問書 》
 1.農薬ペルメトリンへの耐性蚊発生でオリセットの効果が揺らいでいる
 2.農薬ペルメトリンは子どもの脳の発達に悪影響を与える疑いがあることが指摘されている
 3.農薬ペルメトリンはヒトへの影響だけではなく魚類や水生生物に対して強い毒性があり、生態系への影響が懸念される
 4.マラリアは普通蚊帳で十分予防ができることが昔からの実績で立証されてきた (コストは農薬蚊帳の3分の1。)
( → 農薬蚊帳について外務省への要望書

 《 マラリア予防用の蚊帳に殺虫農薬練り込みは危険だ 》
 筆者は1970年頃から熱帯地区の約30ヵ国と関わるようなって蚊帳との縁は現在まで約40年間続いているが、まだ一度もマラリアにはかかっていない。蚊帳の効果は絶大である。もちろん、これは無農薬蚊帳である。
     (別表:普通蚊帳の効果の統計表)
 元来蚊帳には蚊を入れない機能が備わっている。わざわざ蚊帳に農薬を使用することは、住宅に設置されている網戸に農薬を塗ることに等しい。愚かなことで、税金の無駄遣いとなる。農薬代に充てるお金があるなら普通蚊帳の数量増に繋げた方が、マラリア予防にはずっと貢献することは明らかである。
( → 「農薬蚊帳」配布反対キャンペーン> )

 《 オリセット・ネット 》
 「殺虫剤処理した蚊帳は逆効果?蚊に耐性か」。アフリカではマラリア予防のための殺虫剤入りの蚊帳が普及している。だがセネガルで、その蚊帳を2008年に導入した所、2年間は導入前の8%未満にまで劇的に減少。だが以後は急増し導入前の84%に。殺虫剤ピレスロイドへの耐性を持つ蚊も48%に。
( → 山本ブログ
 ──

 調べてみると、話はそう簡単ではないことがわかる。
 考えてみれば、「この薬でたちまち解決!」と謳われたあとで、耐性をもつ病原菌やウイルスが出現する、というのは、何度も経験してきた道だ。

 読売の記事は、「すばらしい」と思わせたが、ネットで調べると、いろいろと別の情報もわかる。なのに、読売はそれを調べることなく、一方的なメーカー称賛の記事を書いた。

 「売り込んだ人の言葉を一方的に信じて、裏付けの調査をしなかったせいで、誤報」という iPS 誤報事件で失敗したばかりだというのに、ちっとも反省していないようだ。
 せめて記事を書く前にネットで調べればいいのに。そうすれば、検索候補の1番目に「耐性」を示す反対論が出る、とわかる。
  → 「マラリア オリセットネット」 - Google 検索

 読売に、ひとつの言葉を贈ろう。こうだ。── 「ググレカス」
 
  ※ 意味がわからなければ、ググれ。
posted by 管理人 at 20:36| Comment(0) | 科学トピック | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

過去ログ