川島の腕が4本ある、という合成画像がフランスのテレビで放映された。司会者であるコメディアンは、それを「福島の影響では」とジョークでコメントした。
→ 川島4本腕写真「福島の影響か」仏TVが悪ノリ
これに対して、フランスの外相やテレビ局の社長が謝罪した。ところが、司会者であるコメディアンは、「謝罪する必要なんかない」と述べた。
司会者のローラン・リュキエ氏は16日、日本側が抗議しフランス側が謝罪したことについて「ばかげた議論だ」と語った。これに対しては、欧州でも批判が上がっている。
リュキエ氏は同紙に「私の冗談の対象は2つ。日本に負けたフランス代表と、原子力災害が引き起こす結果だ」と述べ「私は福島の被災者に敬意を持っており、被災者については何も言っていない」と主張した。
( → 日刊スポーツ )
リュキエ氏は沈黙していましたが、17日になってツイッター上で「この騒ぎを恥と思わず、フランスが、コメディアンが自由な表現を出来る国であることを誇りに思うべきだ」とコメントしました。
リュキエ氏は「日本のことや、ましてやフクシマの被害者を揶揄する気持ちは無かった」とする一方、「ゴールキーパーがチェルノブイリの近くに住むウクライナ人だろうと、フェッセンハイム原発の近くに住むフランス人だろうと、同じジョークを飛ばしただろう」と述べ、謝罪の言葉は記していません。
( → TBSテレビの転載 )
川島が所属するベルギーのネットでは、「こいつ完全にバカ」「ジョークじゃすまない。謝罪させて解雇しろ」と猛反発。フランス国内では、街の声は「夜の番組だし。ユーモアさ」「人の死を笑うのと同じ」と分かれたが、新聞は 「このジョークは聞き流せない」「福島の事故を軽々しく扱うもんじゃない」と批判的だ。もちろん、問題なのだが、では、どこがどう問題なのか? その核心を考えよう。
( → J-CAST )
──
本人は、「揶揄する気持ちは無かった」と釈明している。つまり、「悪気はなかった」ということだ。では、悪気がなければ、構わないのか?
たとえば、次のことはどうか?
・ 悪気がないのに人を殺してしまった。
・ 悪気がないのに人の物を傷つけてしまった。
・ 悪気がないのに人の体を傷つけてしまった。
・ 悪気がないのに人の心を傷つけてしまった。
これらの例では、悪気があったかどうかは関係ない。相手を傷つけたかどうか、ということだけが問題だ。
つまり、本人の心がどうかではなく、本人の行動だけが問題だ。法律用語で言えば、「過失は悪だ」ということだ。過失をしたならば、その責任を取らなくてはならない。たとえ傷つける意思がなかったとしても。
( ※ 大人ならばわかるはずだ。子供ならば「僕はそんなことするつもりはなかったんだよ」と釈明すれば、物を壊しても許されると思うだろうが。……司会者は、子供じゃないんだから、子供じみた釈明をしないでほしいものだ。)
──
では、相手をどう傷つけたか? それは、本サイトでも何度か指摘した。
→ 「福島 結婚」(サイト内検索)
つまり、「福島の人は放射線を被曝したから、結婚しない方がいい」という風評が出回っている。そのせいで福島の人は婚約解消や見合い拒否のような被害に遭っている。
→ 福島 婚約解消 - Google 検索
→ 婚活にも風評被害!?“福島県の男性”というだけで
ただでさえ、福島産の野菜の価格下落という被害が起こっている。
→ 福島の野菜、価格低迷
これは「野菜が放射線で危険だ」という風評によるものだが、さらには「人間が放射線の影響がある(ゆえに奇形だ)」という風評もある。その被害が結婚などで問題を生じている。
そして、こういう被害を起こす原因が、「放射線の影響が人間に出る」という風評なのだ。その風評をばらまいたのが、先の司会者・コメディアンなのだ。
だから、彼に悪意があったかどうかは、関係ない。彼には、悪意ではなくて、誤解があったのだ。そして、その誤解を振りまくことで、誤解の被害者を生むという悪があったのだ。
簡単に言えば、「嘘をついてはいけない」ということだ。その嘘を、「自分では真実だと信じていた」というのは、理由にはならない。それは「自分は愚かだったから」というだけのことだ。愚かであることは、嘘をついたことの免責にはならない。愚かであろうとなかろうと、嘘をついたことで被害者を生じさせたなら、そのことは悪なのである。
特に、国営テレビの司会者となれば、なおさらだ。彼は自分がコメディアンだということで、コメディのつもりで語ったのかもしれないが、番組は虚構のコメディではなく、現実の(リアルな)社会問題だったのだ。そこにおいては、言葉には慎重さが求められる。
現実社会で言葉を使うときには、慎重さを求められるが、特に、国営テレビの司会者となればなおさらだ。彼は自分の責任を理解していなかったと言える。
彼にとってなすべきことは、謝罪ではなくて、辞任だろう。いや、愚かな人物を司会者に据えた会社社長が辞任するべきであって、司会者は辞任する必要はない。司会者は、解職されるべきだ。つまり、懲戒免職。それが妥当である。(自発的な辞任は甘すぎる。)
[ 付記1 ]
仮に、ユダヤ人のホロコーストのことを、ジョークのタネにでもしたら、ものすごい批判を浴びるはずだ。そういう問題だと理解するべきだ。
そう思って、似た例を探そうとしたら、うまく見つかった。
→ フランス核施設でまたウラン溶液漏れ
→ Google 検索 「フランス 廃液 漏れ」
つまり、フランス国内で、放射性廃液が漏れるという事故が起こった。だったら、司会者は、こう述べれば良かった。
「川島はフランスに来て、フランスの水を飲んだから、腕が四本になったんだな。どこの原発だっけ? アヴィニョンのそばか。じゃ、アヴィニョンの水をたまたま飲んだせいだろう」
こう述べれば、たちまちアヴィニョンの人々の猛反発を食らうだろう。だから、彼は「悪気がない」という理由で、「アヴィニョンの水のせいだ」と述べればいいのだ。
そのあとで、アヴィニョンの人々にボコボコにされてしまえ。最後に頭から水をかぶるといい。冷たくて、気持ちいいですよ。
[ 付記2 ]
参考画像。ピカソの有名な「アヴィニョンの娘たち」

これについて、「アヴィニョンの娘たちは、フランスの原発の放射性廃液のせいで奇形になったんだ」なんてジョーク(?)を言ったりしたら、とてもジョークにはならず、現地の人々の猛反発を浴びるだろう。そういうことだ。
ついでだが、この司会者の脳味噌は、フランス原発の放射性廃液のせいで〓〓になっているのかも……というジョークも成立するかもしれないが、危険なので、やめておきます。 (^^);

仏司会者また暴言“川島問題”は「コップの中の津波」
→ http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121020-00000026-spnannex-socc
やはり、テレビ局に解任を要求するべきだろう。
局や外相が「外圧」に屈したのをこの人は悔しがっている。「フランスの放送局がなにを言うかは日本が決める事じゃない」というのは一理あります。しかし発言が無神経だったということを感情で分からせないといけない。単なる不謹慎な軽口が公憤と公憤の衝突に替わってる。
このコメディアンを解任させるのは簡単ですが、感情の問題は感情に訴えれば良いのです。本来本当に「コップの中の嵐」で済むべき話です。