量子コンピュータの原理は、どのようなものか? ──
量子コンピュータの原理は、通常、次のように説明される。
「二つの重ね合わせの状態で、同時に計算する。二つの重ね合わせなら、一度に2通り。それがn個あれば、2のn乗となる。そうして莫大な計算を同時になし遂げることができる」
これは、間違いとは言わないが、かなり不正確な説明だ。
量子コンピュータは、何通りもの状態を同時に実現するわけではない。何通りもの可能性の状態を同時に実現するだけだ。それは確率的なものだ。したがって、そこから得られる数値も、あくまで確率的なものであるにすぎない。
ただし、その確率が、非常に 100%に近くなるようにすることができる。結果的に、「正解である確率が 99.99%」というような形で、結論としての数値を得ることができるようになる。それだけのことだ。
したがって、量子コンピュータは、絶対的に厳密な正解を取り出すのには適していない。「きっと正確だろう」という数値を実用水準で出すだけだ。(それだけでもかなり有益だが。)
ただ、量子コンピュータは、適用できる範囲が非常に限られている。簡単に言えば、次のようなことができるだけだ。
「あからじめ正解の条件というものが部分的にわかっていて、その条件に合致するものを、莫大な数の事例から見出す」
具体的に言えば、次の二つが見出されている。
・ 検索
・ 暗号の解読
(1) 検索では、「検索語」というものがあらかじめわかっている。それがどこにあるかを、莫大な調査対象から見出すことができる。……したがって、Google の検索を、量子コンピュータでやれば、ものすごく高速になる。(といっても、すでに十分に高速だから、あまり意味はないが。)
(2) 暗号の解読では、RSA暗号などが量子コンピュータで破られるだろう、と予想されている。これは確かに実用的な意味があるだろう。(もし実現できれば、の話だが。現状では、量子コンピュータは亀の歩みなので、実現は不可能だが。)
量子コンピュータが役立ちそうなのは、今のところ、上の二つの用途しか見つかっていない。一方、普通のパソコンのCPUのような働きは、量子コンピュータでは実行できない。ノイマン型の論理演算は、量子コンピュータでは実行できないのだ。それは、「ソロバンには四則演算の計算能力しかない」というのと同様である。量子コンピュータは、コンピュータの一種というよりは、「ソロバンの一種」と思った方がいいだろう。「コンピュータが高速化されるのではなく、「ソロバンが高速化される」と思った方がいい。
( ※ この比喩はかなり不正確だが、ま、当たらずと言えども遠からず。)
【 関連項目 】
似た話は、前にも書いたことがある。そちらも参照。
→ 量子コンピュータの嘘
2012年10月11日
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