シャープの液晶部門は、分社して生き残れそうだ。というのは、鴻海がそれを要求しているからだ。
シャープに対し、鴻海が、シャープの収益源である中小型液晶事業を分社化して両者の合弁事業にするよう求めていることがわかった。鴻海は、役員受け入れも要求している。シャープとしては悩みどころだ。虎の子の技術は渡したくない。しかし、渡さなければ、提携を打ち切られ、堺工場の稼働率低下で、大幅赤字となり、本体がつぶれかねない。では、どうすればいいか?
シャープは難色を示している。「とても受け入れることはできない」というのがシャープの立場だ。
中小型液晶事業は、同社の再建に向けて「虎の子」と言える収益の柱だ。
亀山工場で製造する最先端パネル「IGZO」……(略)
同社内には「亀山工場は生命線だ。切り離してシャープに何が残るのか」(奥田社長)との反発が強い。
ただ、鴻海からの提案を拒否すれば、同社との関係が大きく損なわれる可能性がある。
シャープは堺工場を鴻海との共同運営に切り替え、大型液晶事業の収益悪化をひとまず食い止めた。一時、3割程度にまで落ち込んだ工場の稼働率は約8割まで回復した。
( → 読売新聞・朝刊 2012-10-06 )
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私の提案は、こうだ。
「経済の自然な原理に従え。液晶部門は、何とか生きながらえるだけの能力があるなら、生きながらえてもいい。一方、それ以外の部門(特に太陽光発電部門)は、赤字を垂れ流す病巣なのから、この病巣を切り離せ」
つまり、「太陽光発電部門の分社」である。それによって損切りすればいい。
この部門は、それ自体では収益を上げられず、存在価値がない。資産価値としては、プラスどころかマイナスだろう。で、この部門を、単に切り離して、それだけを単独倒産させることができればいいが、そんなことをすれば「偽装倒産」扱いされて、違法行為となる。(刑務所にぶち込まれる。)
そこで、太陽光部門に現金などの資産を積み増しして、資産価値が黒字になるようにしてから、分離すればいい。
例。現金 500億円を資本金とする。一方、太陽光発電部門は赤字体質なので、資産価値がマイナス 500億円である。両者会わせて、プラスマイナスゼロとなり、価値はゼロとなる。これをどこかの会社に売却する。 「 for sale 」だ。で、100億円ぐらいで売れたら、それをシャープ本体の収益とする。一方。売れなかったら、投入する現金を 500億円からさらに200億円ぐらい積み増しして、ふたたび売り出す。「 for sale 」だ。
これによって、シャープの「不良債権」である太陽光発電部門は、「不良債権処理」の形で、切り捨てられる。残った部門は、たぶん単独で生きながらえることができるだろうから、その状況で、鴻海と交渉すればいい。「単独でも生き残れますけど、おたくと協調してもいいですよ」というふうに。この場合は、立場が強いので、足元を見られることはない。
一方、現状は、最悪だ。鴻海は足元を見て、こう言う。
「おれの要求を呑め。呑まなければ引き上げるぞ。そうなったら、おまえは倒産だろ? だから、おれの要求を呑むしかないんだよ。わかったか? わかったら、ひざまずいて足をお舐め」
シャープは今、こういう状況にある。だから、その状況を脱するために、病巣である太陽光発電部門を切り離すべきなのだ。(本質的には、ここだけを部分倒産させることに等しい。ただし、詐欺的なインチキにならないように、前述の処理を施す必要がある。)
本項で述べた提案は、「太陽光発電部門だけの部分倒産」(または部分的な会社清算)だが、これは決して、小手先だけのテクニックではない。「太陽光発電部門は実質的に倒産している」という本質がある。この本質に即しているだけだ。

シャープ 堺工場
シャープは何か勘違いしているのかもしれないが、少なくとも太陽光発電部門に関する限り、ここはすでに(実質的に)倒産状態にある。「おまえはもう死んでいる」という状況だ。ここを無理に生きながらえさせるために、毎月毎月、余計な金が投げれて、出血している。(赤字垂れ流し。)
だから、この部門は、さっさと清算してしまうべきなのだ。実際、世界中で、太陽光発電会社は次々と倒産しているからだ。
→ 米国の太陽発電の事情
このことを考えると、「 for sale 」にしても、売り手はまったく付かないかもしれない。その場合には、工場を解体して、設備と土地だけを売却すればいいだろう。従業員は全員解雇となる。(退職金を多めに払うしかない。)
ま、どういう形であれ、太陽光発電部門は、さっさと清算するべきだ。そもそも、太陽光発電部門はダメだということは、私が数年前からずっと予告しておいたことだ。
→ 過去記事
そして、予想された倒産の時期(死刑宣告の時期)が、いよいよ差し迫った、ということだ。それだけのことだ。
あとはさっさと死者を棺桶に入れるだけでいい。そうすれば、余分な費用はかからない。一方、死者を無理に生きながえさせとして、無意味な治療をし続ければ、余計なコストがどんどんかかるばかりだ。ただの無駄。
棺桶は Amazon で
【 関連項目 】
→ シャープを倒産させよ
シャープ全体を倒産させる案。
→ シャープを分割売却せよ
液晶部門と太陽光部門と家電部門に分離する案。
→ シャープ再建の妙案
太陽光部門を、再生エネ法案の補助金で救う案。
そういう思い入れ(沿革?)が会社を傾かせたんですかね?。
そういうのは企業ではありがちです。
弊社の不動産開発でも亡誰々の植えた木がどうので建設計画がストップしたりしますしね(苦笑)。
別項でも述べたように、最大の張本人は朝日です。日本を滅ぼす新聞社。
なお、朝日のキャンペーンに警鐘を鳴らした人は、三年ぐらい前までは、私だけでした。その後、池田信夫が参加してきて、かなり広く太陽光の問題が知られるようになった。それまでは私が孤軍奮闘していました。で、そのころ、シャープは堺工場を建設したんです。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD2900V_R31C12A2TJC000/
南堂さんの言うとおりになってますね。