再生可能エネルギーの推進では、バイオマス発電が有力だ。実際、太陽光発電が推進されているドイツでは、太陽光発電よりもバイオマス発電が多い。
ドイツのエネルギー全体に占める再生可能エネルギーの割合は2010年で、11.0%。その内訳は、木質バイオマスの熱利用が半分を占め、バイオ燃料が13.0%、水力発電が7.2%、風力発電が13.3%、太陽光発電が4.4%となっている。太陽光発電に比べて、バイオマス発電と風力発電は3倍程度の量となってる。さらに、バイオマスの熱利用は太陽光発電の十倍以上となっている。
( → 農林水産政策研究所/セミナー
ところが、日本の再生エネ法案では、太陽光がやたらと優遇されるほか、バイオマス発電も優遇されている。その一方で、バイオマスの熱利用は優遇されない。
ところが、熱効率が最もいいのは、バイオマスの熱利用だ。この場合はカロリーの 80〜90%が熱利用される。一方、バイオマスを燃やして発電すると、カロリーの 10〜20%しか熱利用されない。
→ 読売新聞・朝刊 2012-10-01(泊みゆき)
このように、バイオマスは直接燃やして(暖房などに)熱利用することが好ましく、発電に使うのは不適切だ。なのに、政府の再生エネ法案では、バイオマス発電が優遇されている。これは問題だ。
ネットで調べると、同趣旨の話が見つかる。下記。
→ 「林地残材でバイオマス発電」は邪道
結論。
政府は再生エネ法案で、再生エネ推進のために多額の補助金を支出しようとしている。(電気代への上乗せの形で消費者負担となる。)
しかしながら、バイオマス発電を推進すれば推進するほど、かえって熱利用が低下してしまうので、省エネに反する。エコ推進をしているつもりで、逆にエコを阻害しているのだ。金をかけて善を推進しているのではなく、金をかけて悪を推進している。愚の骨頂。
では、どうするべきか? バイオマスは直接燃やして(暖房などに)熱利用するべきだ。家庭はともかく、大手の工場や事務所などでは、それでいいだろう。特に暖房の利用の多い北海道や東北では、そうするといい。(人口密度が低いので、大気汚染の問題も少ない。)
【 関連項目 】
再生エネ法案によってかえって逆効果になっている、という問題は、太陽光発電にも当てはまる。それについては、別項で示した。
→ 補助金政策の愚
【 関連サイト 】
ニュースの引用。
(1)
→ 買取制度施行後初、バイオマス発電で設備認定を取得
(2)
《 バイオマスで消費電力の5%創出 政府が戦略 》
政府は6日、バイオマス活用推進会議を開き、間伐材などバイオマス(生物資源)を電気や熱などに変えて、2020年に全世帯の消費電力の約5%に相当するエネルギー創出を目標にした「バイオマス事業化戦略」を決めた。
( → 中国新聞 9月 )