読売新聞が社説で、シャープについて論じている。
《 シャープ再建策 「液晶の雄」挫折は重い教訓だ 》円高やライバル企業などの外部環境をシャープの経営危機の根源と見なしているようだが、違う。実は、シャープの経営危機の根源は、(文中でも述べられているように)「大型液晶パネルを製造する最新鋭の大阪・堺工場を巨費で建設した」ことである。そして、その意味は、「過剰な設備投資」である。
最先端技術やブランド力があっても、事業の選択と集中を誤ると行き詰まる。「液晶の雄」の挫折は、日本の産業界に警鐘を鳴らしている。
シャープは、三重県の亀山工場で製造する液晶テレビが「亀山モデル」と呼ばれて人気を集め、数年前まで業績は絶好調だった。
ところが、超円高やウォン安が続く中、競争力をつけた韓国企業などに主力の液晶パネルやテレビで市場を奪われ、パネルなどの価格急落も打撃となった。
約3年前、大型液晶パネルを製造する最新鋭の大阪・堺工場を巨費で建設したが、販売が伸びずに業績悪化に拍車をかけた。
( → 読売新聞 2012年9月30日 )
一般に、ライバルとの競争力で負けしまうことは、倒産の原因となることは少ない。そのような変化は、あるとしても、なめらかな変化であり、徐々に業績が悪化するにすぎない。
一方、「巨額の設備投資」は、たちまちにして、企業の存在基盤を揺るがす。なぜならば、稼働率低下によって、「巨額の設備投資」がたちまちにして「ゴミの山」になってしまうからだ。それは数千億円の損失に等しい。それが1〜3年のうちに襲いかかるのだから、ほとんど大地震に見舞われるようなものだ。
だから、通常は、このような(リスクのある・成否の見通し不明な)巨額な投資は、自己資本によってまかなう。つまり、時価発行増資だ。シャープの場合、当時の株価は 2000円ぐらいだったから、十分に増資ができたはずだし、自己資本で投資することもできたはずだ。
ところが、シャープは自己資本でまかなう代わりに、外部資金(借金)に頼った。具体的には、銀行融資の代わりに、社債でそれをまかなった。「ゼロ金利の時代だから金利ゼロ同然で金を借りることができる。おれって頭いい! うひひ!」と思って、社債で巨額の設備投資をした。そのあとで、その設備投資が、たちまちにしてゴミの山になってしまったわけだ。
「宝の山」になると見込んで作ったのだが……

シャープの堺工場
なお、次の項目を参照。
→ 太陽電池はゴミになる (2008年08月07日)
この項目には、次の文章(予言)がある。
シャープあたりが莫大な金をかけて、シリコン系の太陽電池の工場を建設するとしても、ただのゴミを建設しているにすぎないのだ。……将来的には、たぶんそうなるだろう。予言は当たった。 (^^);
【 関連項目 】
シャープがこのように経営判断を誤ったことの根源的な理由は、「自惚れ」である。「自社は世界最優秀なんだ」という自惚れ。この件は、下記で述べた。
→ シャープの衰退の理由
→ シャープの赤字はなぜ?
もう一つ、別の理由もある。「補助金」だ。大阪府はシャープを境に招くために、補助金を出した。その補助金に釣られて、シャープは堺市に巨大工場を建設した。
→ 太陽光発電の問題
→ 太陽電池産業の育成
→ シャープの衰退の理由
ここでも、前項 で述べたように、「補助金は企業を衰退させる悪しき効果がある」という結果になっている。

問題は、多くの場合でそれが一定の効果をあげるが、それ故に自制をかけづらいということ。「どこまでかけることができるか」を考えない。
日銀にお金を刷らせればいいという考えと同じ。今はよくても、暴走の果てのハイパーインフレ。やるなら厳格なルール作りが必要。
単に中国に工場をたてずに日産みたいにタイなどに工場を立てていればすぐに会社が傾かずにすんだかもしれないですね。