「先端産業を振興するために補助金を出そう」という補助金がある。その例を二つあげよう。いずれもひどい失敗に終わっている。
(1) 太陽光発電
「太陽光発電を補助金で推進しよう」という補助金政策がある。ドイツやスペインや米国などでその政策が取られ、日本では今年から取られるようになった。しかし、ドイツでもスペインでも米国でも大失敗に終わっている。
ドイツやスペインの例は、前にも何度か述べた。
→ サイト内検索
米国の例は、前項で述べた。
→ 米国の太陽発電の事情
シャープの堺工場についても、述べたことがある。
→ 太陽電池産業の育成
その補助金については、下記サイトにある。
→ シャープに府244億円(補助金)・堺市240億円(税金)巨額援助
いかにひどい状況になっているかは、それぞれの項目を見てほしい。
(2) 液晶
液晶への補助金も、ひどいことになっている。
シャープの堺工場は、液晶と太陽光パネルの双方があるので、ここでも補助金が出された。その結果、シャープは液晶生産の大工場を作ったあげく、その大工場で稼働率低下が起こり、倒産寸前となった。
→ シャープの経営悪化
家電各社の液晶テレビも同様だ。地デジへの変更の際に、液晶テレビにエコポイントで莫大な補助金を出したが、そのせいで、一時的に需要が集中した。各社は莫大な投資をしたが、そのあと、需要がなくなってしまうと、工場と人員が遊休して、大幅な経営悪化を招いた。
→ 日本の電器産業の没落
ここでも、補助金のせいで、産業そのものが没落してしまった。
──
以上の (1)(2) を見ればわかるだろう。
「先端産業を振興するために補助金を出そう」
という方針は、逆効果である。
「補助金によって先端産業が振興される」
ということはなく、
「補助金によって実力不相応に過剰に成長したあとで、補助金というドーピングがなくなると、ものすごい禁断症状が出る」
となる。
この禁断症状のあとで、死んでしまいそうになっているのが、ドイツ・スペイン・米国の太陽光産業だ。また、日本の液晶産業や液晶テレビ産業も似たり寄ったりだ。
結論。
補助金というのは、経済の自然な原理に逆らう、歪んだドーピング政策である。やっているときは、一時的には成果が出るが、やがてドーピングがなくなったころに、ものすごい禁断症状や副作用が出る。
だから、「先端産業を振興するために補助金を出す」というのは、一見素晴らしいことに見えるが、やってはならないことなのだ。それは、金を食うくせに、良い効果がないどころか、とても悪い効果があるからだ。
[ 付記 ]
ただし、補助金が何もかも悪いわけではない。産業として成立しない黎明期には、「ヨチヨチ歩きの赤ん坊を立たせる補助用の歩行器」みたいなものは、それなりに役立つ。
具体的な例としては、ごく初期のハイブリッド車への補助金だ。これはハイブリッド車の自立を補助することで、ハイブリッド車の産業を成功させた。電気自動車への補助金も、同様だろう。また、太陽光発電への、ごく初期の補助金も同様だ。
とはいえ、今ではもはや、太陽光発電は産業として自立している。こういう状態では、「補助金を出すことで産業を成長させよう」という政策は、もはやドーピング政策でしかない。それは、技術開発のための政策ではなく、市場原理を歪める無理な経済政策にすぎない。そして、そのような経済政策をどれほど推進しても、技術発展が促進されることはない。(技術発展はそれとは別の理由によってもたらされる。)
というわけで、ごく初期は別として、いったん産業として成立したあとでは、補助金によって無理に普及率を上げるという政策は、ドーピング同然であり、有害なのである。
再生エネ促進法は、まさにその典型だ。
【 関連サイト 】
→ フローレンス・ジョイナー (Wikipedia)
※ ドーピングにより驚異的な世界記録を樹立したが、
38歳の若さで死亡。
→ その画像
