2012年10月01日

◆ 補助金政策の愚

 「先端産業を振興するために補助金を出そう」という補助金政策は、ひどい愚である。その例を二つ示す。 ──

 「先端産業を振興するために補助金を出そう」という補助金がある。その例を二つあげよう。いずれもひどい失敗に終わっている。

 (1) 太陽光発電

 「太陽光発電を補助金で推進しよう」という補助金政策がある。ドイツやスペインや米国などでその政策が取られ、日本では今年から取られるようになった。しかし、ドイツでもスペインでも米国でも大失敗に終わっている。
 ドイツやスペインの例は、前にも何度か述べた。
  → サイト内検索
 米国の例は、前項で述べた。
  → 米国の太陽発電の事情
 シャープの堺工場についても、述べたことがある。
  → 太陽電池産業の育成
 その補助金については、下記サイトにある。
  → シャープに府244億円(補助金)・堺市240億円(税金)巨額援助

 いかにひどい状況になっているかは、それぞれの項目を見てほしい。

 (2) 液晶

 液晶への補助金も、ひどいことになっている。
 シャープの堺工場は、液晶と太陽光パネルの双方があるので、ここでも補助金が出された。その結果、シャープは液晶生産の大工場を作ったあげく、その大工場で稼働率低下が起こり、倒産寸前となった。
  → シャープの経営悪化
 家電各社の液晶テレビも同様だ。地デジへの変更の際に、液晶テレビにエコポイントで莫大な補助金を出したが、そのせいで、一時的に需要が集中した。各社は莫大な投資をしたが、そのあと、需要がなくなってしまうと、工場と人員が遊休して、大幅な経営悪化を招いた。
  → 日本の電器産業の没落
 ここでも、補助金のせいで、産業そのものが没落してしまった。

 ──

 以上の (1)(2) を見ればわかるだろう。
 「先端産業を振興するために補助金を出そう」
 という方針は、逆効果である。
 「補助金によって先端産業が振興される」
 ということはなく、
 「補助金によって実力不相応に過剰に成長したあとで、補助金というドーピングがなくなると、ものすごい禁断症状が出る」
 となる。
 
 この禁断症状のあとで、死んでしまいそうになっているのが、ドイツ・スペイン・米国の太陽光産業だ。また、日本の液晶産業や液晶テレビ産業も似たり寄ったりだ。

 結論。

 補助金というのは、経済の自然な原理に逆らう、歪んだドーピング政策である。やっているときは、一時的には成果が出るが、やがてドーピングがなくなったころに、ものすごい禁断症状や副作用が出る。
 だから、「先端産業を振興するために補助金を出す」というのは、一見素晴らしいことに見えるが、やってはならないことなのだ。それは、金を食うくせに、良い効果がないどころか、とても悪い効果があるからだ。
 


 [ 付記 ]
 ただし、補助金が何もかも悪いわけではない。産業として成立しない黎明期には、「ヨチヨチ歩きの赤ん坊を立たせる補助用の歩行器」みたいなものは、それなりに役立つ。



 具体的な例としては、ごく初期のハイブリッド車への補助金だ。これはハイブリッド車の自立を補助することで、ハイブリッド車の産業を成功させた。電気自動車への補助金も、同様だろう。また、太陽光発電への、ごく初期の補助金も同様だ。
 とはいえ、今ではもはや、太陽光発電は産業として自立している。こういう状態では、「補助金を出すことで産業を成長させよう」という政策は、もはやドーピング政策でしかない。それは、技術開発のための政策ではなく、市場原理を歪める無理な経済政策にすぎない。そして、そのような経済政策をどれほど推進しても、技術発展が促進されることはない。(技術発展はそれとは別の理由によってもたらされる。)
 というわけで、ごく初期は別として、いったん産業として成立したあとでは、補助金によって無理に普及率を上げるという政策は、ドーピング同然であり、有害なのである。
 再生エネ促進法は、まさにその典型だ。
   


 【 関連サイト 】

 → フローレンス・ジョイナー (Wikipedia)
  ※ ドーピングにより驚異的な世界記録を樹立したが、
    38歳の若さで死亡。
 
 → その画像
posted by 管理人 at 18:47 | Comment(0) | コンピュータ_03 | 更新情報をチェックする
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