「省エネを!」「エコを!」
という風潮が強い。そのせいで、次のような運動がなされている。
・ レジ袋有料化
・ 白熱電球の廃止
・ エコキャップ
しかしこのような運動をいくら推進しても、それによって節約できる量は微々たる量である。たとえば、レジ袋は全部合わせても日本の石油使用量の 0.15% だ。レジ袋有料化によって3分の2を削減したとしても、たったの 0.1% にすぎない。これは統計誤差の範囲に埋もれてしまう量だ。要するに、無意味。
白熱電球の廃止に至っては、さらに少ない。トイレのときにつかう電気の量なんて、微々たる量だからだ。
( ※ リビングの白熱電球をやめるのならば意味があるが、トイレの白熱電球の仕様を止めるために発売禁止にするのは、まったくの無意味。)
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一方、莫大なエネルギーの浪費がなされている分野があるのだが、それはまったくの手つかずだ。
その分野は? 食品廃棄だ。まだ食べられる食品が大量に廃棄されている。そのせいで、製造や運搬のためのエネルギーが莫大に浪費されている。のみならず、コストも莫大に無駄になっている。
では、どうしてか? 「3分の1」ルールという、日本特有の奇妙な慣習があるせいだ。あまりにもひどいので、少しだけルールを緩和することにしたそうだ。
《 賞味期限前に廃棄なんて…食品鮮度ルール緩和へ 》上記はネットの記事の一部抜粋だ。読売新聞の紙の新聞には、さらに情報がある。
賞味期限が切れていない加工食品の返品や大量廃棄の要因とされる流通業界の商慣習「3分の1ルール」について、大手スーパーや卸、メーカー約40社でつくる協議会が緩和する方針を決めた。
3分の1ルールは消費者の「鮮度志向」に応えるとして、スーパーなどの主導で普及した。賞味期限が6か月の加工食品の場合、製造から2か月以内に卸業者から小売業者に納品しなければならない。「納品期限」を過ぎた商品は賞味期限前でもメーカーなどに返品され、多くが廃棄される。
( → 読売新聞 2012年9月29日 )
卸業者からメーカーへの加工食品の返品は、2010年度で1139億円分に上る。このほかに、メーカーから未出荷のまま納品期限を迎え廃棄される在庫も多い。……(欧米と違って)日本の厳しさが際立つ。3分の1ルールについての情報は、ネット上にもある。
( → 読売新聞・夕刊 2012年9月29日 )
→ 賞味期限3分の1ルール
→ 返品生む"3分の1ルール"
→ 農林水産省
最後のページから画像を転載しよう。下記。

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さて。記事によると、「3分の1ルールが緩和される」とのことだから、これで問題は解決するだろうか?
否! これで問題は縮小するだろうが、解決することはない。大量の無駄が何割かは減ることになるだろうが、残りの大半の無駄は残り続ける。なぜなら、「返品と廃棄」という原則は残っているからだ。
では、どうすればいいか? もちろん、「返品と廃棄」という原則をやめればいい。それには、次のようにすればいい。
「食品は買い取り制として、返品を認めない。仮に返品を認める場合には、料金は返却しない。むしろ、産業廃棄物として、廃棄物の処理料を請求する」
たとえば、カップラーメンを 100円で卸したとする。商店の側はそれを返品することで、いったん払った 100円を返してもらうことになっている。
しかし今後はそれをやめる。いったん売ったものは返品を受けつけない。どうしても返品したいという商店に対しては、「タダでなら受けつけます」と言って、金を返却しない。さらには、「ゴミ処理量として 10円を請求します」と言う。
これでは商店の側は踏んだり蹴ったりだ。だから、マイナス 10円の価格で売る代わりに、20円でも 30円でも、激安の価格で販売することになる。あるいは、バッタ商品の取扱業者に、一括して安価で売却することになる。
バッタ商品の取扱業者は、それを売ることもできる。実際、そういうことはある。
→ 1本10円の缶コーヒー
→ 1本10円ドリンクを買った
また、ネット上でも、その手の激安品が入手できることもある。
→ 賞味期限の近い激安商品の販売
以上は賞味期限が直前だが、直前でなければ、そこそこの割引で済む。
実際、そういう例は、スーパーの夜間の値引き販売に見られる。
なお、スーパーは夜間の値引き販売をするから、食品の廃棄ロスが少ない。一方、コンビニは夜間の値引き販売をしないことが多いから、食品の廃棄ロスが多い。
──
以上からわかるだろう。
「賞味期限間近の商品は、廃棄しないで、値引き販売する」
ようにすればいいのだ。そうすれば、無駄を根絶できる。
なお、値引きしてもまだ売れ残った場合には、社員向けに超激安販売すればいい。何だったら、タダで配ればいい。さすがにただというわけには行かないが、似たことは西友がやっている。
→ 食品廃棄量が半減! 西友
というわけで、いろいろと工夫することで、食品排気量を減らすことができる。
レジ袋有料化なんていう下らないことをやっている暇があったら、食品廃棄の無駄をなくすために努力してもらいたいものだ。
特に西友は、レジ袋有料化をやって顧客をどんどん失うよりは、食品廃棄量を半減するだけでなく、残りの半分も激減させてほしいものだ。
また、「3分の1ルール」なんていう、日本特有の馬鹿げたルールも、さっさと廃絶してほしいものだ。
百貨店では、衣料品について、「返品を認めずに買い取り制にしたらコストダウンになった」という事例が話題になっている。食品もまた同様にするといい。「返品を認めずに買い取り制」にすれば、仕入れ価格は大幅に下がるはずだ。
そのことで、スーパーなどは利益率を上げることが可能になるはずだ。
[ 付記 ]
「返品を認める」という制度が、有効である場合もある。それは、「売上げがどのくらいになるかわからない場合」つまり「新製品の場合」である。この場合には、返品を認めるのも仕方ない。
しかし、それ以外は、どのくらい売れるかはすでにわかっているのだから、返品を認めず、買い取り制にするべきだろう。そのことで、食品廃棄は激減するはずだ。
こうして、日本全体における無駄がなくなる。
【 追記 】
(1)
賞味期限切れの食品でも、十分に食べることができる。「嘘だろ」と思うかもしれないが、本当だ。なぜか? 日本では賞味期限を、欧米よりも短く設定しているからだ。
→ 廃棄食品と省エネ
(2)
「消費期限」と「賞味期限」を混同しないように。
「消費期限」は、肉や魚などの生ものに当てはまるもので、期限までは数日程度。この期限を越えると、食中毒の恐れがあるので、期限後にはなるべく食べない方がいい。(加熱すれば大丈夫なこともあるが。)
「賞味期限」は、即席ラーメンやレトルト食品や缶詰などの加工食品に当てはまるもので、期限までは数カ月〜2年ぐらいまで。この期限を越えると、品質が劣化して、味が落ちる。ただし、食べられないわけではないし、食べて食中毒になるわけでもない。
本項は「賞味期限」について論じたものだ。ただしコメントでは「賞味期限」を「消費期限」と混同している人もいるようだ。混同しないようにしてほしい。
【 関連項目 】
→ 西友のレジ袋有料化の評判
※ 現在でも、西友の顧客の評判はとても悪い。
「西友 レジ袋」で twitter 検索するとわかる。
無意味( or 有害)なことにばかりに努力する西友。
【 関連サイト 】
→ 日本は数兆円分もの食糧を捨てている!小売業界の「3分の1ルール」
ご提案を採用するには,消費者の意識改革も必要でしょうね.
店から買った食品で食中毒になれば,店の責任を追及する意識ですね.
私が子どもの頃には,親から「買ったものを食べる際には,まず匂いを嗅いで,次に少しだけ食べてみて,『おかしい』ことがないことを確認しなさい.それから食べなさい」と言われたのですが(私は四十歳台前半),現代ではこれは通用しなさそうですからねぇ.
「事故を起こすよりも,廃棄したほうが有利」
という業界の意向が
「石橋を叩いて渡る」
てきな考えがあるからではないかしら.
日本の流通システム(何段階かの問屋さん)と日本人の意識とを考えると,2ヶ月前廃棄は,業者にしてみればある程度仕方なかったのではないかしら.
中小スーパーならできるんです。大手がやらないのはメンツだけ。
まあ、賞味期限ぎりぎりまで売ると確信犯的にクレームを言う人も出てくるのでしょうけど。
とりあえず、エコ以前に捨てるのは食べ物に申し訳ないです。
→ http://labaq.com/archives/51762992.html
タイムスタンプは 下記 ↓
タイムスタンプは 下記 ↓
90年代にさんざん騒がれたRFIDはどうなったんでしょうね。
ネットスーパーで食材のタイムサービスをしてくれると面白いんですけどね。
ところで、エコキャップ関連の記事。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2704L_X20C12A8CC1000/
携帯電話を3,500台契約して、うち2,000台を知人らに譲渡、あげく強盗犯に600台が渡り、さらに詐欺・密売に100台が使用されたとの事。すごい経費の使い方です...
→ http://rocketnews24.com/2012/09/06/245388/