2012年09月28日

◆ 火力発電所を建て替えるな

 東京電力が火力発電所をどんどん建て替える予定。だが、既存の発電所を廃棄せず、そのまま残すべきだ。 ──
 
 東京電力が火力発電所をどんどん建て替える予定だ。
 15箇所の火力発電所のうち、袖ヶ浦など8箇所が運転開始から35年以上が経過した設備だ。
 老朽化した火力発電は発電効率が悪く、トラブルによる停止も頻発するため、電力供給に影響が出る危険性をかかえている。
 燃料費の負担を緩和するためにも、最新鋭の設備に更新する必要がある。
( → 読売新聞・朝刊・経済面 2012-09-28 )
 記事では、建て替え費用が捻出できないので、東京ガスとの共同事業になる……と話が続くが、それは本項の話題ではない。

 本項で主張したいのは、次のことだ。
 「建て替えるというが、既存の発電所を廃棄する必要はない。既存の発電所は、夏のピーク電力の対策のために、そのまま残しておけばいい。そして、年に数日間だけ、稼働させればいい。これによって電力危機の恐れがなくなる」


 仮にこのことを否定するなら、新規発電所の建設が必要となる。次のように。
 「新設する発電所の量2倍にする。そのうち1倍の分(全体の半分)については、年に数日間だけ稼働させる。つまり、残りの 350日程度は、稼働させずに遊休させておく」

 これは、巨額の投資をした設備が眠ってしまうということだから、途方もない無駄になる。

 だから、そんな馬鹿げたことをしないで済むように、既存の発電所はそのまま残して、年に数日間だけ稼働させればいいのだ。
 
 コスト的には、次の四者からの択一となる。
  ・ 何もしないで、大停電を引き起こす。
  ・ 新規発電所を建設することによる、巨額の投資。
  ・ ピーク電力対策の需給調整契約の、収入源。
  ・ 既存の発電所を残して使うことの、コスト上昇。


 私がお勧めするのは、もちろん最後の「既存の発電所を残して使うこと」だ。
 東電がめざしているのは、二番目の「新規発電所の建設」だ。この場合は、巨額の投資がほとんど無駄になる。で、その場合は、消費者にツケが回る。 (^^);
 こういうツケ回しを許すべきではない、というのが、本項の趣旨。

 ま、東電が狙っているのは、次のことだろう。
 「古い発電所なんか残すと、保守点検が必要で、めんどくさい。それよりは、新規の発電所を建設する方が、カッコいいもんね。どうせ費用は消費者にツケ回しすればいいんだし」
 で、東電は、新しい発電設備のカタログを見ながら、「どれがいいかなあ。高くてもカッコいいのがいいなあ」と夢見ているわけだ。
  →  米GEや三菱重工など、火力設備受注激化 (日経)
 で、東電の高価なお遊びを許すと、電気代がどんどん上昇していく、というわけ。困ったことだ。
( ※ どうも新聞社は、コスト意識が足りないので、消費者は値上げを一方的にのまされてしまいがちだ。だまされるようなものだ。)
posted by 管理人 at 20:38| Comment(10) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
年に数日しか起動しない火力プラントなら、廃棄すべき。
その費用でメンテ済みの小型ガスタービンプラント
を複数維持した方が遙かに安いです。
既存設備を有効利用するならば、GTCC化して発電機更新、変電送電設備のみ流用するのが合理的です。
どうせタービンも発電機も更新しないとならないですから、残すのは膨大な無駄にすぎない。
Posted by 大山椒魚 at 2012年09月29日 09:53
> 残すのは膨大な無駄にすぎない。

 全部残すのは無駄でしょうけど、不足分は全体の1割程度ですから、その分だけを残せばいい。

> メンテ済みの小型ガスタービンプラント
> を複数維持した方が遙かに安いです。

 「維持」ならば、それはもともとある分で、定数扱いです。今回の話とは関係ない。
 「新設」ならば、膨大なコストがかかります。小型ガスタービンプラントは、大型よりは、コストアップ要因になります。(自家発電ならばともかく電力会社ならば。)しかも、それを年に数日しか稼働させないのでは、それこそ無駄。

 ただし、小型ガスタービンプラントを自家発電として多数配備するというのは「あり」です。この件は別項で述べました。
 → http://openblog.meblog.biz/article/5976565.html

 これが普及した場合には、電力会社の発電所が遊休することになるので、コストアップ要因となる。やはり、ピーク時の変動の分は、本項の趣旨が妥当です。
Posted by 管理人 at 2012年09月29日 10:19
誤解があるようなので説明しておきます。
 ──
 年に数日しか稼働させない設備を維持することは、一見、無駄に見える。だから「そんなものはなくしてしまえ」という発想が生じるかもしれない。
 しかし、ピーク電力(需要)というものは、もともと年に数日しかない。だから、年に数日しか稼働しない設備が生じることは、どうしても避けがたい。(その設備をなくしたら、ピーク時には大停電が起こる。)
 だから、問題は、次の二者択一だ。
  ・ 年に数日しか稼働させない設備は、古い設備にする。
  ・ 年に数日しか稼働させない設備は、新しい設備にする。
 前者は、維持費がいくらかかかる。
 後者は、巨額の設備投資費 プラス 維持費 がかかる。
 というわけで、「後者よりも前者にすべき」というのが、本項の趣旨だ。
  
 なお、古い設備の維持費は、たいしたことはない。実際、すでにそういう態勢が取られている。だからこそ、原発が全部停止したあとでも、古い火力発電所を稼働させることで、夏場をしのげた。もし古い火力発電所がなかったら(維持していなかったら)、原発停止のあとで、日本中で大停電が起こっただろう。……いや、それは、実際に起こった。2011年の三月には、各地で計画停電という形で「順番の大停電」が起こった。その後、計画停電がなくなったのは、古い火力発電所がしっかりよみがえったからだ。
 その意味でも、古い火力発電所を維持することは、とても大切なことなのだ。たとえ若干のコストがかかるとしても。
( ※ このコストは、原発停止のコストに比べれば、スズメの涙にすぎない。どうせ騒ぐならば、原発停止のコストを騒ぐ方がいい。)
Posted by 管理人 at 2012年09月29日 12:35
この問題は、停電の社会費用を内部化すれば解決するでしょう。

現状だと、年間で数十時間停電したからといって、電力会社は大して損しない。社会的に指弾されることはあるが、経営が危うくなるほどの制裁はない。つまり、停電コストは外部不経済でしかない。

どのくらいが適切なのかわかりませんが、停電に対して、莫大な罰金を科すことにすれば、老朽火力発電所ぐらいは残します。
Posted by 井上晃宏 at 2012年09月29日 16:17
それはそうですけど、それは本項の問題とは違って、別の問題です。また、その問題は、もともと存在していません。老朽火力発電所をもともと残していますから。
 
 本項の問題は、過剰な新設を認めるか否か、ということ。今の方針だと、古いのを廃棄して、そのかわりに、新しいのを余剰に建設するはずです。その場合、費用負担は消費者に。
 一方、この場合は停電は起こりませんから、停電で罰金という方針はあまり意味を持ちません。
 
 くりかえしますが、本項の問題は、過剰な新設を認めるか否か、ということです。停電を認めるか否かではありません。
Posted by 管理人 at 2012年09月29日 16:36
>その意味でも、古い火力発電所を維持すること
>は、とても大切なことなのだ。たとえ若干の
>コストがかかるとしても。
>( ※ このコストは、原発停止のコストに比べれ
>ば、スズメの涙にすぎない。
>どうせ騒ぐならば、原発停止のコストを騒ぐ方がいい。)
途中経過は違うのですが、結論には同意します。
但し、現場を見ている側にとって、非WSS、非DSS大型火力プラント維持費よりは
小型ガスタービンプラント維持費の方が遙かに安いので、その点ををご確認願います。
Posted by 大山椒魚 at 2012年09月29日 16:56
大気汚染防止法関連で、環境アセス取得上の課題があり、新規建設は時間がかかり過ぎます。
既存設備の更新は、新しい設備に置き換えることで、
より多量の燃料を燃やす事が出来、発電量を上げる事が出来るメリットが有ります。
しかも設備単位の認可なので、使わなければ他の設備
で使っても良いと言う訳にはいかないのです。
Posted by ちゃちゃ at 2012年09月29日 17:43
> 小型ガスタービンプラント維持費の方が遙かに安い

 自家発電のコジェネならばそうですが、東電みたいに百万キロワット級になると、お湯の使い道もないし、敷地内にたくさん設置できるかどうかも問題。電力会社がよく考えたすえに、大型にすると決めているんだから、勝手にそうさせればいい。
 私としては、どっちでも電力会社のお好きなように、というしかない。

 ──

> 新規建設は時間がかかり過ぎます。

 時間はかかっても大丈夫。急がなくても余裕はあります。別に今すぐ建設する必要はない。
 あと、これまでも、古い発電設備を休止させて、新しい発電所を次々と増設してきました。これまでもやって来たことななんだから、今後もできないはずがない。
 あと、環境アセスなら、たいていは敷地内の増設ですから、特に問題ない。古い設備を休止させて、新しい設備を稼働させれば、発電量は同じままで、環境汚染はかえって減ります。
 新規増設したからといって燃料が余計に使われるわけじゃありません。発電量は需要によって決まるのであり、供給設備によって決まるのではありません。
Posted by 管理人 at 2012年09月29日 17:59
議論を吹っかける方法論としてはありかとも思うけど

ところで、現状で一年間で数日しか稼動しない火力発電所というのは存在するのでしょうか?
これがまったく無いということになると、議論が成り立ちませんよ
Posted by DSS at 2012年10月20日 23:57
下記で回答しました。
  → http://openblog.meblog.biz/article/11994932.html
Posted by 管理人 at 2012年10月21日 06:14
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