( ※ 本項の実際の掲載日は 2012-09-18 です。)
抗ガン剤を使うべきか否か? この問題には正解を出しにくい。それは前出項目で述べたとおり。
→ 抗ガン剤は有効か?
つまり、一般的に「使うべき」「使わないべき」というふうに一律の回答を出しにくい。個別に異なるのだ。
しかも、もっと困ったことに、同じ患者であっても、医師ごとに回答が異なる。「ぶつかった医者しだい」と言えるのだ。
そこで、このことを逆用して、「他の医師の見解を聞く」というセカンドオピニオンの発想が生じる。その結果は? 下記の記事に実例がある。(朝日新聞 2012-09-18 )
→ 「第2の意見」聞いてみた (有料記事。紙の新聞にもある)
実例は次の二つ。
(1) 甲状腺癌の腫瘍ができて、「全部削除」と言われたが、甲状腺を全部切ると甲状腺ホルモンの薬を一生のみ続けなければならない。医師から「セカンドオピニオンを受けてみますか」と言われて、紹介状を書いてもらい、大学病院から細胞の写真を借り受けるなど情報を提供してもらった。そして受けてみると、「半分削除」という案をもらった。その案をもらって元の病院に戻り、半分削除の手術を受けた。再発なし。
(2) 乳癌ができて、抗ガン剤を使ってから手術した。そのあと、どうするか? 抗ガン剤を使えと言われたが、抗ガン剤を使うと、体がしんどくて、仕事ができないくらいだ。仕事をしながら治療できないか。そこでセカンドオピニオンを受けたいと告げると、「なんで?」と聞き返され、きちんと診療情報提供書を請求できなかった。やむなく、検査データの記録やメモをファイルにして持参した。そこで聞くと、「抗ガン剤は不要。ホルモン剤のみでいい」という回答。それを主治医に持ち帰ると、「また聞いてきて」と言われて、サードオピニオンを聞くことになった。そこに行くと、「基本はホルモン剤だが1回だけ抗ガン剤を使う」という回答。そのあと主治医と相談して、「ホルモン剤で治療して様子を見る」という方針で意見が一致した。
──
いずれにしても、複数の意見を聞いて、主治医と相談して、いくつかの意見から最適の方針というものを探り当てている。
一般に、安全第一の医者は「長生きが優先」「再発防止」を重視するが、生活の質を大事にする患者は、「重い副作用は困る」と考える。
だからリスクと副作用をよく勘案した上で、患者にとっての最適の案を見出す必要がある。それにはセカンドオピニオンを聞いて相談することが最善であるようだ。
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ところが、である。セカンドオピニオンを聞く人はあまり多くない。
《 入院患者の3割、セカンドオピニオン「必要」 》つまり、実際にセカンドオピニオンを聞こうとする人は3割しかいない。それも、主治医への遠慮などがある。
セカンドオピニオンについて、「必要」と思っているのは、入院患者で34.6%、外来患者で23.4%。ただ、必要と答えた人のうち、実際に受けたことがあるのは、入院、外来とも3割程度にとどまった。
受けたことがない入院患者に理由を尋ねたところ、「どうすれば受けられるのか分からない」(33.4%)、「受けた方がいいのか判断できない」(31.9%)、「主治医に受けたいと言いづらい」(20.4%)などが挙がった。
( → 朝日新聞 2012年9月12日 )
そこで、本項では、「セカンドオピニオンが重要だ」ということを説明している。
念のため、ネットで検索してみたが、セカンドオピニオンの重要性について(指摘でなく)解説しているページはあまりないようだ。そこで本項の重要性がある。
抗ガン剤を使うべきかどうか迷っているような場合には、このページ(本項)を印刷して、医師に持っていくといいだろう。
──
特に医師は、次のことを理解してほしい。
「お医者様へ。抗ガン剤についてセカンドオピニオンを聞くということは、主治医への不信を意味しているわけではありません。多様な情報を得るという、患者にとって当り前のことをしているだけです。そもそも抗ガン剤を使う治療については、正解などというものはなく、医師ごとに多様な見解があります。どの見解を取るかは、レストランでどの料理を取るかというのと同様に、患者の自由です。患者の満足度を高めるために、セカンドオピニオンを聞きたいという患者の立場を尊重してください。その上で、必要な医療情報を提供してください」
[ 付記 ]
本項では、抗ガン剤についての正解を示すのではなく、正解を得る方法を示している。
何が正解かは、患者が決めることだが、いくつかの案から満足できる案が見つかったなら、それが正解だ。
[ 余談 ]
セカンドオピニオンを聞くのはいいが、国立がんセンターはやめた方がいいらしい。あそこは、患者を治療するための場所ではなく、患者をモルモットにして抗ガン剤のテストをする場所であるようだ。その恐ろしい実態は、下記に記してある。
→ セカンドオピニオンを受けるなら出て行け!
他の医者の意見を聞いて照合すると、自分の意見のデタラメさがバレてしまう……と思う医者は、セカンドオピニオンを絶対に許容しないで怒り狂う。
そういう病院にだけは行ってはならない。彼らの目的は、患者を治療することではなく、患者の犠牲の上に自分たちの論文を書くことだ。
最先端の実験的な治療を受けるというのは、そういうことなのである。
【 添付文書 】
本項の印刷用文書をダウンロードするには、下記。
ダウンロードする (右クリックして保存する)
家族は藁にもすがりたくなりますが、基本詐欺師です。これがまた似せ名刺持ってたり、偽名を使ったりなかなかです。
入院中のQOLは看護師次第ですが、何とも判断できない様です。
最初の受診先でも、複数の選択肢を示して、「どれにしますか?」ぐらいのことは言ったと思います。しかし、大半の患者は、「わからないから先生にお任せします」になるんです。それが納得いかないと、別の先生に意見を求める。
つまり、「複数の選択肢から自分に納得いくものを選ぶ」んじゃなくて、「複数の医師のうち、信じられる医師を選ぶ」のが実態じゃないかと思います。
──
僕が関わっているNPO法人では、抗がん剤を試してみて、効果がなかったら、 治療の途中でも投与を中止しようと主張している。 「そんなことは当り前だろう」と思うかもしれない。 けれど、現在の日本では違うのだ。 「効く」「効かない」にかかわらず、一度、抗がん剤を投与し始めたら、 予定した量をすべて投与し終えなければならない。 当然ながら、効かなかったときの患者のダメージは大きい。 はたして、このNPO法人はこのような主張をしたため、厚労省から補助金を 打ち切られてしまったのだ。 とにかくたくさんの抗がん剤を売りたいという製薬業界の思惑が、その背景に あるとしか僕には思えない。 抗がん剤は一定の量を投与しないと効果がわからない、というのが、厚労省、 そして製薬会社の主張である。 しかし、一定量を投与しなくても「効く」「効かない」はわかるはずだというのが、 このNPOの主張なのだ。
→ http://www.taharasoichiro.com/cms/?p=907
→ http://www3.tokai.or.jp/midori/toubyouki.htm
効果がなくて副作用が大きければ中止する、という例はあるようだ。田原総一朗の見解とは矛盾する。
事情に詳しい医師の話があるといいのだが。
p.s.
ここにちょっと情報がある。
→ http://b.hatena.ne.jp/entry/www.taharasoichiro.com/cms/?p=907