2012年09月09日

◆ 睡眠は何のため?

 睡眠は何のためにあるのか? 睡眠の役割は何か? ──

 睡眠は何のためにあるのか? ── この問題をネットで検索しても、正解らしい見解は見つからない。どうも「よくわかっていない」というのが実状らしい。
 
 一応回答らしい話を示すと、
 「疲労回復のため」
 という話があるが、
 「では疲労回復とは何か?」
 となると、話が行き詰まってしまう。つまり、言葉を言い換えただけにすぎないようだ。

 ──

 ここで参考となるのが、魚の例だ。魚は一日中、水中を泳いでいる。もし眠ってしまったら、溺れて死んでしまう。鳥は空を飛ぶのをやめて、地上で休むことができるが、魚は水中から逃れることはできない。では、魚は、溺れ死なないために、どうしているか? 
 魚は、脳の半分ずつを交替で眠らせているのだ。これを「半球睡眠」という。
 また、長時間飛び続ける渡り鳥も、同様のことをしているそうだ。
 水中や空中で長時間過ごす動物たちは、実は左右の脳を交互に休ませることによって、活動を続けているのです。渡り鳥の中には片目だけつぶって飛びながら眠る鳥がいます。つまり、人間のように寝るときに活動を停止するのではなく、泳ぐ、飛ぶといった活動を行いながら、眠ることができるのです。この脳の半分だけを眠らせる睡眠法を半球睡眠といいます。
 人間の場合はレム睡眠とノンレム睡眠が繰り返し起こりますが、おもしろいことに、これらの眠らない動物たちの眠りにはレム睡眠がありません。レム睡眠は筋肉が弛緩してしまい、肉体を動かすことができなくなってしまうためだと考えられています。睡眠中も飛んだり泳いだりしなくてはならないので、レム睡眠は都合が悪いわけです。
 これらの動物たちは、眠るときはノンレム睡眠を半分の脳だけで行って、体のほうが動かし続けるという驚異的なことをしています。カモメの場合は、長時間の飛行移動の時には半球睡眠を行い、安全が確保された地上で眠る場合は、人間と同じように左右の脳を休ませて、しっかりとレム睡眠をとるといったように、非常にフレキシブルな睡眠術を使いこなしていることがわかっています。
( → 眠らない動物
 ここからわかることがある。次のことだ。
 「動物が眠るのは、脳を休憩させるためだ。手足や内臓などの肉体を休憩させるためではない」


 これは非常に重要なことだ。
 単に「疲労回復」と言うと、「休んでいると筋肉の疲れが治る」というふうに感じるが、そういう話とはまったく異なるのだ。何しろ、脳には筋肉がないのだから。
 では、脳を休憩させるとは、どういうことか? 

 ──

 この件について示したのが、前々項だ。
 → 統合失調症は自己免疫?
 ここには次の文章がある。
 それで思うのは、睡眠不足との関連だ。ちょっとした睡眠不足ならば問題ないだろうが、それが慢性的に継続して、脳の機能に問題を起こすほどになると、実際にどこかがおかしくなる。その症状が、統合失調症の症状にそっくりだ。
( ※ 数十年前、アメリカの放送番組で「不眠の実験」をして、数十日間の不眠を続けた人がいるが、彼は脳がおかしくなり、人格の崩壊を起こして、二度と元の人間には戻らなかった。その症状や顔つきが、統合失調症にそっくりだった。)
 このことから、睡眠不足と統合失調症の関連が強く疑われる。
  ……
 上のことから逆算して、次の推論を得ることもできそうだ。
 「睡眠の役割は、ただの肉体的な休憩ではない。脳が異常を起こさないように、脳の非遺伝子的な部分のエラーを補修しているのだ。睡眠不足が重なると、この補修ができなくなり、エラーが蓄積する。そのせいで統合失調症のような疾患が発症することもある。
 着色部の話が重要だ。つまり、睡眠の役割は、「脳の非遺伝子的な部分のエラーを補修すること」である。そして、それがないと、脳が壊れてしまうのだ。壊れるとどうなるかというと、統合失調症になるのだ。

 だから、睡眠の役割は、「脳を壊さないため」あるいは「統合失調症にならないため」と言える。
 脳というのはデリケートなものなのだ。筋肉ならば、使いすぎて疲労が蓄積すると、機能低下ぐらいで済む。最悪の場合でも、筋肉の断裂(肉離れ)で済む。しかし脳の場合には、それほど甘くはない。脳を使いすぎて疲労が蓄積すると、頭がおかしくなる。最悪の場合には、統合失調症となり、不可逆的に壊れてしまう。いったんそうなったら、もはや元には戻らない。
 だからこそ、睡眠は大切なのだ。

 結論。

 睡眠の役割は、「脳が壊れないようにするため」である。つまり、気違いにならないため。



 [ 付記 ]
 上の結論が正しいことは、すでに証明されている。つまり、
 「睡眠不足のせいで脳が破壊された(発狂した・人格が崩壊した)」
 という実例がすでにある。ひどい人体実験だが、本人が自発的にやったものだ。(その当時はそれが非人間的な実験だとは気づかなかった。)
 これについての説明は、下記項目に示した。
  → 統合失調症は自己免疫?
 数十年前、アメリカの放送番組で「不眠の実験」をして、数十日間の不眠を続けた人がいるが、彼は脳がおかしくなり、人格の崩壊を起こして、二度と元の人間には戻らなかった。その症状や顔つきが、統合失調症にそっくりだった。
 また、同じ話を、下記項目でも示した。
  → 人が眠らないとどうなるか
 これは非常にショッキングな話が書いてある。残酷な話だ。閲覧注意。(心臓の弱い人は読まない方がいい。)

 ともあれ、先の結論(睡眠の役割は、「脳が壊れないようにするため」、つまり、気違いにならないため)ということは、こうして実験的に証明済みである。
posted by 管理人 at 21:19| Comment(1) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私自身、短時間睡眠法を教えていますが、記事を読みながら深く納得しました。また、ここまで睡眠のことを深く考察したこともなかったため、とても参考になりました。ありがとうございました。
Posted by 短時間睡眠法に挑戦中 at 2013年01月24日 18:05
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