2012年09月05日

◆ EV のあるべき姿

 EV(電気自動車)は、たいてい商業的に失敗している。では、どうすれば「売れるEV」を作れるか? ──
 
 EV(電気自動車)は、たいてい商業的に失敗している。日産リーフも、三菱 i-MiEV も、ホンダ・フィットEV も商業的に失敗している。「売れない」わけだが、それは「普及しない」ということでもある。では、どうすればいいのか? 

 まず、次のニュースがある。
  → ホンダ「フィットEV」発売
 2年間で約200台の受注を目指し、法人リース限定で、個人販売は見送るそうだ。戦う前から敗北を決めている。
 では、なぜか? 売れるはずがないからだ。ではなぜ、売れないのか? 私なりに言えば、こうだ。
 「フィットというのは、もともと金のない人向けの、格安で低品質にした廉価製品だ。なのに廉価製品を高額で売るのでは、誰も買うわけがない」
 つまり、次の矛盾がある。
  ・ 品質は貧乏人向けの低レベル
  ・ 価格は金持ち向けの高価格

 こんなものを買う阿呆がいるわけがない。いるとしたら、他人の金を使う、政府や自治体だけだろう。一般企業だって、こんなものを買うとは思えない。(自分の金を使うからだ。)
 で、誰も買わないとわかっているから、「リース」という形でゴマ化そうとしているわけだが、それでゴマ化される阿呆がたくさんいるとも思えない。

 ──

 以上のことからすると、逆に、売れる条件は次のことだとわかる。
  ・ 価格は高価格なのは仕方ない。
  ・ ならば品質も低品質にはしない。
  ・ 何らかの付加価値を付ける。特にデザイン。


 これらの条件をすべて満たした例として、(EVではないが)ハイブリッドのプリウスがある。プリウスは決してカローラやヴィッツの車体を使わなかった。それよりクラスを上にして、それなりに十分な満足感を得られる品質にした。また、デザインも良かった。オマケに静粛性は最上だった。だから爆発的に売れた。……高価格なのに。
 これに比べると、フィットEVはすべてが駄目だった。日産リーフは、クラスは悪くなかったが、とてもプリウスとは比べられる水準ではなかった。特に前部デザインは最悪だった。

 ここで私なりに提案すると、次のものがある。
 「ホンダ・フリードのEV」
 これならば、上記の条件をかなり満たす。さらに、次のようにするといい。
 「ホンダ・フリードのEV(5人乗り)」
 フリードは 7/8人乗りが標準で、5人乗りは単に荷室が広いだけだ。しかし、そうではなくて、後席の足元がとても長くて、実質4人乗りのタイプがあるといい。非常時には5人乗りとする。これならば、豪華な居住性があるので、他にはない利点となる。また、EVならば静粛性も高い。

 ──

 一般に、EV は電池を床のあたりに置くので、重心が低くなる。それを利用して、なるべく背の高いボディにして、居住空間を広げることが好ましい。ハイブリッドは空気抵抗を下げるために車高が低いことが多いが、EV は市街地利用が主体なのだから空気抵抗のことを考える必要がない。むしろ重心の低さを利用して、車高を高めたい。
 その点、リーフの車高 1545mm や、フィットEV の車高 1580mm や、i-MiEV の車高 1610mm は、悪くはない。ただ、もうちょっと高くしても良さそうだ。
 ちなみに、立体駐車場の制限は、
 「自走してスロープを上りおりする場所は210cm。ゴンドラに乗せる場合は150-155cm」とのことだ。
  → 出典
 ゴンドラタイプの駐車場を避けることにしておけば、155cmを超える車高であっても差し支えない。実際、背の高いミニバンに乗っている人は多いが、特に困っているわけでもないようだ。
 
 私としては、日産エスカルゴみたいなデザインだといいな、と思うのだが。
( ※ そのまんまだとやりすぎだが、ちょっとそういうテイストのある感じがいい、と思う。)

  → 日産エスカルゴの写真
 
 ま、これではないにせよ、何らかの形で、優れたデザインを持つことが必要だ。
 「高価な価格の車は、実用的な性能よりは、趣味的なデザインで、卓抜である必要がある」
 という原則がある。フェラーリであれ、BMWであれ、アストンマーチンであれ、この原則に従っている。しかし、リーフはあまりにもカッコ悪いし、i-MiEV はガソリンの軽自動車と同じデザインだ。いずれも条件を満たしていない。独自デザインでカッコいいスタイルを採用したことでプレミアム性を高めたプリウスとはまったく異なる。
 商売下手。売れないのは当然か。(倒産寸前のシャープに似ている。)
 


 【 関連情報 】
 電気自動車用の充電スタンドで、定額サービスをする、という事業がスタートするらしい。
  → 月額基本料金1050円を払えば無料で充電
 しかしこれは眉唾だ。定額制ならば、自宅で充電するより、外で充電する方が安い。そうなったら多くの人が(無料)充電スタンドに殺到するから、充電スタンドが満杯になってしまう。充電したいときに充電できなくなる。それじゃ、意味がない。
 充電スタンドは、現在でも、休日などには「待ち時間」が問題となっている。先客が何人かいるので、順番を待つのが大変だ、というわけ。
 上記の事業は、最初はいいだろうが、そのうち事業モデルとしては破綻するに決まっている。
 なんか、ソフトバンクのケータイみたいだ。「無料定額」であっても、「いつも混雑してつながらないケータイ」みたいな。
 ほとんど詐欺的。
posted by 管理人 at 23:23| Comment(4) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
プリウスもそうですが、EVの低燃費という利点は、消費する希少資源や製造コストを考慮すると、普通の自動車と大差ないのではないでしょうか。

プリウスは低燃費だから売れたんではなく、「なんとなく先進的」というイメージで売れたにすぎない。

とすると、EVが普及したからって、社会がより豊かになるかいうことはないと思う。

騒音が減るとか、排気ガスによる大気汚染が軽減するということはあるかもしれないが、それらの発生源の大半は、貨物自動車によるものです。乗用車がEVに代替されても、大差ない。
Posted by 井上晃宏 at 2012年09月06日 22:08
私も昔は似たことを考えましたが、今では次のように結論しています。

 (1) コスト的には HV や EV は現状ではガソリン車に勝てない。優れているどころか劣る。その差額はだいたい補助金の額。/だけど、石油エネルギーの面に限っては、省エネになっている。全体的な省エネは、もっと大幅に減りそうだが、それでも石油資源に限っては,いくらか省エネになっている。(軽自動車と大差ないけど。)
 また、大型車ならば軽自動車より大幅に悪い。(この件は別項で述べたとおり。)

 (2) EV も太陽光もそうですが、社会を豊かにするのではなく、「エコのために社会が貧しくなる」という方向です。エコロジーのためにエコノミクスが犠牲になる。

 (3) 騒音や大気汚染はディーゼルの貨物車が原因なので、確かにその通り。こっちは天然ガスにすると良さそうだし、そういう政策もあってしかるべきだが。
 → http://openblog.meblog.biz/article/7965156.html
Posted by 管理人 at 2012年09月06日 22:35
省エネ、省資源性能に照らすと、EVは普及しても、しなくても、どうでもいいものだと思います。
家庭用太陽電池パネルと同じでしょう。金持ちの贅沢アクセサリ。
Posted by 井上晃宏 at 2012年09月07日 06:44
長期的には中国・インド・ブラジルなどで自動車の需要が急増するので、現状の石油生産ではガソリンをまかなえなくなります。ガソリン価格は今後急騰しそうなので、そうなったらどうするか。あるとき急に「電気自動車」と言っても、それは無理なので、今のうちに準備しておくことは有意義です。
Posted by 管理人 at 2012年09月07日 07:01
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