前項を記したあとで、読者コメントで次の提案があった。
「原発の最終処分場は釧路のコールマイン跡地がいい」
という提案。ここは炭鉱の跡地なので、処分場として最適だ、という趣旨。
それで思い出したが、私も前に似た案を出したことがある。
「被災地のゴミ焼却にともなって生じる焼却灰は、放射線濃度が高い。これを、どう処分するか? 地下で採掘したあとの空洞に埋めるといい。
(1) 地盤陥没をする地域で、地下の空洞を埋める。そのために、焼却灰を使う。
(2) 大深度には放射線の高い焼却灰を。浅深度には放射線の低い残土を。」

坑道の図
→ 焼却灰をどう処分するか
ここで埋めるものは、被災地の焼却灰だった。放射線の線量は、いくらかは高いが、特別に高いわけではない。数メートルの土があれば簡単に遮蔽できる。だから「住宅地の地下の空洞に」という提案をしたわけだ。
──
それに似ているのが、今回の提案(釧路)だ。こちらの場所は、住宅地の地下の空洞ではなく、海の下の空洞だという。
会社のホームページから画像を拝借しよう。( → 釧路コールマイン株式会社 )
場所は釧路の沿岸部だ。

ここで、陸上から海の地下へと、坑道が伸びている。

これなら、海洋部であれ、陸上部であれ、人家はない。上下方向も水平方向も、人間から隔てられている。しかも、万一の場合にも、地下だから大丈夫だ。
というわけで、なかなかの名案だ。現段階では最も有望に思える。
[ 付記 ]
私も前に似た案を出したことがある。釧路ではなく、人形峠だ。人形峠には、「ウランの採掘をしたあとの跡地」があるからだ。詳しくは下記。
→ 放射性汚泥の廃棄場所は?
※ これは、放射性汚泥の場合。
【 関連サイト 】
さらに詳しい情報は、上記の図を掲載しているページにある。(下記)
→ http://www.k-coal.co.jp/work1.html
また、下記のサイトもある。
→ 『釧路コールマイン』 高レベル核廃棄物の保管場所に関する考察
本項で紹介した提案と同じことを、詳しく考察している。
地図は、Google の地図で。
→ 釧路コールマイン
【 後日記 】
本項のアイデアは、(コメント欄に寄せられた)地元民などの反対が強いので、実現性は小さいと見てください。
……と思ったのだが、あとで調べると、事実は逆らしい。
2015-03-11の報道ステーション(テレ朝)によると、放射性廃棄物を置く場として、釧路が有力になっているそうだ。(ネット上で3箇所の書き込みで確認した。)
一方、地元民では反対の声が上がっているが、十分な補償金が得られるなら構わないという声もある。ただし、陸上でなく海底に置くのが前提。
本項では、とりあえずアイデアを提示しておいただけだが、いつのまにか、実現性が高くなっているらしい。
ただし私は、これを推進する立場ではありません。推進するかどうかは、政府が決めることであり、私は関与しません。私に文句を言っても無意味ですよ。文句を言うなら、政府へどうぞ。
Kuriです。先日は乱文乱筆を失礼致しました。
早速の掲載、それも、このように評価していただけるとは、恐縮すぎて何と申し上げればよいか分かりません。
それにしても、小生と同じコトを考えている方もいたのですね。
そちらにもビックリしました^^
核廃棄物の保管は息の長い話ですが、コールマイン跡地であれば、鉛などで遮蔽する施設を作るなどの条件を設けた上であれば、地元産業界からは、さほど大きな反対派ないでしょう。
もっとも、漁業者や酪農家は、風評被害が心配なので反対があるかも知れませんが、衰退しつつある漁業と酪農に対する補助を条件にすれば、これもクリアできるはずです。
実際、地下のものすごく深い穴の奥に、ゴミを捨てるだけなのですから。
いずれにせよ、他に稼動している海底炭鉱はなく、そもそも、現状でも、技術維持と研修のための採炭しかしていないとのことですので、いずれ近い将来、コールマインは、採炭事業そのものを廃止せざる得ないときが来るでしょう。
今、福島県で中間処理場が造られるということで、地元で問題になっていますが、釧路に最終処分場を設けるというのは、たぶん、現時点では、南堂さんの言うとおり、わが国でもっとも優れた解決策なのだと思う次第です。
という見解があったので、解説しておく。
第1に、漏れるということはない。放射性物質は液体や気体ではなく、ガラス固化による固体であるからだ。
第2に、地震のことは私も考えたが、それでも万一の場合でさえ、坑道がつぶれるだけだ。地上ならば建物倒壊によって飛散の可能性もあるが、地下ならばそういうことがない。……それが地下埋没の利点だ。
第3に、風評被害の可能性はあるが、それは、そういう嘘を振りまく人がいるからいけない。自分で嘘を振りまいて、「嘘の被害があるかも」というのは、滅茶苦茶でしょう。それはいわば,殺人をした人が、「殺人の恐れがあるかも」というようなものだ。
第4に、それでも「心配だ」という人はいるだろうから、地元にはいくらか援助金を出してもいい。(といっても、公民館なんかを建ててもらってもちっとも嬉しくないだろう。そこで私の案は「電気代の半額免除」である。電気代が月2万円ならば1万円になる。基本料金は全額免除してもいい。……これならうれしいでしょう。政府としても、そのくらいの費用なら、簡単に出せる。30万人=10万世帯に、月1万円でも、月10億円。年120億円。これで日本中の処理問題が解決するなら安いものだ。ちなみに、最終処理のかわりの核燃料再利用の研究のためには2兆円もかかったが、成果はゼロだ。)
となると、やはり、前項で述べたように、「歯舞」もしくは「他の無人島」という案しかないのかもね。
地震の多い地域ですが、静岡県民の一人として他県にゴミを押し付けるような事はしたくないです
最終処分場の議論の一助にいい本
『放射性廃棄物の憂鬱』処分場の実際
『官邸から見た原発事故の真実』
原発事故を政府と国民との信頼関係から論じています webでの動画もあります
場所でなく、アイデアだけ検討してみてください。