「倒産させないために倒産させる」
というのは、逆説的だが、ここでは真理である。その意味はこうだ。
「シャープが完全に衰弱して老衰死をする前に、会社更生法による清算処理をすることで、再建するべきだ」
つまり、法的には会社更生法によって「倒産」の処理をするのだが、実質的には「再建」をするわけだ。
一方、これができない場合には、次の経路をたどるだろう。
「シャープはどんどん赤字を溜め込んでいき、自力再建の能力をなくす。最終的には解体されて、バラ売りされる。技術や特許については、台湾の会社かサムスンに買収される」
これは最悪だろう。何としても避けたい。しかしながら、現実には、ここに至る道をたどっている。なぜなら、「現状の先にはこれがある」ということを、経営者は理解していないからだ。彼らはこう思っている。
「どこかから資金援助を受ければ、シャープはこのまま存続できる」
しかし、それはありえない。過去の赤字は資金投入で一時しのぎができるだろうが、これからどんどん発生する赤字はまかなえないからだ。そして、いつか、どうにもまかなえなくなるときが来る。そのとき、シャープは完全破綻する。そして、その時期は、もうすぐだ。
──
では、完全破綻を避けるには、どうすればいいか? それは、私が前に述べた。
シャープがまずなすべきことは、経営者の首を切ることだ。ところが冒頭記事によれば、経営者が生き延びて、労働者が解雇(希望退職)となるようだ。シャープを再建するには、何よりもまず、無能な経営者をクビにするしかない。ところが現状では、無能な経営者が居座っている。そのせいで、赤字がどんどん垂れ流しになる。
これでは反対でしょう。まるで東電だ。経営者ばかりが甘い蜜を吸って、責任を取らず、一般社員にばかり責任を取らせる。
( → シャープの経営悪化 )
今回、台湾の巨大メーカー(シャープの十倍ぐらいの規模)が来日したが、呆れて、すぐに帰ってしまった。なぜか? 短期間ですぐに決断できると思ったら、シャープは鳩首協議するばかりで、いつまでたっても決断できないからだ。経営判断の遅さに呆れてしまったようだ。
こういうふうに、自社の存亡のときになってさえ、自社を救うことの経営判断ができずにいる。あまりにも無能な老人集団。こういう無能な人々を一掃するしか、シャープが生き残るすべはない。そして、それは、シャープは自力ではできないし、労働組合が要求することもできない。とすれば、残る方法はただ一つ。会社更生法によって経営者を一掃することだ。
ま、シャープの経営者も、それがわかっている。だからシャープの経営者は、台湾の会社の持株比率にとことんこだわった。「10%は超えないように」と。なぜなら、10%になると、会社整理の要求ができるからだ。そして、要求ができたら、実際に会社整理はなされる可能性が高い。なぜなら、それがベストだからだ。
ここでは、「会社整理 = シャープの消滅」ではなくて、「会社整理 = 経営者の一掃」なのである。そして、それこそが、経営者の最も恐れることだ。
つまり、今の経営者が狙っているのは、シャープという会社を守ることではなく、自分たちの椅子を守ることなのだ。そして、あと1年か2年ぐらい、自分たちの椅子を守れば、そのあとは退職するつもりなので、「そのときはシャープが台湾の会社やサムスンに技術もろとも買収されたって構わないさ」というわけだ。ほとんど焦土作戦。
以前、東電の経営者は、東電を食い物にして、自分たちだけが利益を上げた。
以前、東電の経営者は、原発事故のときに、「少しでも原発運転の利益を減らしたくない」とこだわって、海水注入をためらったあげく、最終的には原発のメルトダウンをもたらした。
いずれにせよ、目先の小さな利益にこだわったあげく、最悪の破滅的な事態をもたらした。
そして、それと同じ道をたどっているのが、シャープの経営者だ。
今や、その最悪の道を回避するすべは、「会社更生法の適用」以外にはないのだ。
[ 付記1 ]
本項からもわかるように、「倒産」という言葉には、二通りの意味がある。
・ 破綻処理による完全消滅
・ 会社更生法( or 民事再生法)による再建
というわけで、
「シャープの倒産を防ぐために、シャープを倒産させよ」
という表現は、別に矛盾しているわけではないのだ。
「前者の倒産を防ぐために、後者の倒産をせよ」
という意味なのだから。
[ 付記2 ]
日産自動車の場合は、経営者が自発的に退陣して、ゴーン社長を受け入れた。おかげで会社は黒字化したし、外国資本は過半数割れで済んだ。
一方、エルピーダはかなり少額でマイクロンに完全買収され、ルネサスもたったの千億円程度で外資に買収される。シャープがたどっているのは、この道だ。赤字を大幅に溜め込んだあげく、かなり低い額で買収されるだろう。
[ 付記3 ]
エルピーダにせよ、ルネサスにせよ、まだ健全なうちに会社再建をすれば、被害は生じなかったはずだ。
現実には、大幅な赤字がたまったあとで、会社の処理をすることになった。そのせいで、「債権放棄」(借金の踏み倒し)という形で、他人への損失が莫大に発生した。
→ エルピーダ 債権放棄 - Google 検索
→ ルネサス 債権放棄 - Google 検索
シャープもいずれはこうなるはずだ。「莫大な赤字に耐えかねて、債権放棄を要請」というふうに。
だから、そうなる前に、さっさと再建策を練るべきだし、そのためには赤字を溜め込むばかりの経営者を一掃するべきだ。……それが本項の趣旨だ。
簡単に言えば、「船が沈没してから引き上げるより、船が沈没する前に穴をふさげ。そのためには無能な船長を交代させよ」ということだ。
で、現実には、そうならない。巨艦は沈没して、そこに積んでいた宝を、台湾や韓国の会社に奪われる。
[ 付記4 ]
債権放棄は、シャープでも将来的には起こるだろう。今のところはまだシャープは資金の返済が可能だが、一年もたてば資金が枯渇して返済は不可能になる。そのころ、銀行などは大幅な債権放棄を迫られるだろう。
だから、債権放棄を嫌う銀行は、今すぐシャープに全額返済を迫るべきだ。今のうちであれば、利子カットぐらいで済むはずだからだ。(利子カットよりももっと多くのカットになれば、実質倒産であるからだ。)
というわけで、銀行は今すぐシャープに融資の返済を迫るべきだ。その場合、最初に迫った銀行は、返済してもらえる。あとのころで申し込んだ銀行は、たぶん大幅な債権放棄を迫られるだろう。早い者勝ち。
しかも、そのせいでシャープが今すぐ倒産すれば、そのことで最終的な損失額は少なくて済む。銀行がシャープを倒産させることは、ここでは善なのだ。なぜなら、銀行がシャープを倒産させるからではなく、シャープはすでに実質的に倒産しているからだ。
「おまえはすでに死んでいる」
これがシャープの現状だ。
ゾンビみたいなシャープを無理に生きながらえさせても、無意味な終末医療をして出血量を増やすだけのことだ。死者はそれにふさわしい棺桶に入れてあげた方がいい。無理やりゾンビのように生かすべきではない。ゾンビを無理に生かすと、まわりの生者が巻き込まれて死んでしまうからだ。
ゾンビ映画
【 関連サイト 】
(1)
→ 「もう何も期待できない…受注がゼロに」 取引企業、シャープ失速に悲鳴
シャープはもう死んでいる。
(2)
→ 次期iPhone用画面、シャープの生産に遅れ
→ シャープだけが量産体制にはいれない?
→ シャープ、iPhone5向け液晶生産に遅れか
起死回生を目論んだ渾身の一作、新型の液晶パネルだが、開発が不調で、歩留まりが悪く、大幅赤字になりそうだという。
【 関連項目 】
→ シャープの経営悪化
→ シャープの赤字はなぜ?
→ IT企業の衰退の理由
→ 家電各社が総崩れ
→ シャープを分割売却せよ 【 本項の続編 】
→ シャープを部分倒産させよ 【 本項の続編 】
→ シャープは倒産するか?(大儲けする方法)
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どうせ液晶も外国にシェアを奪われているし、取り柄なしってとこですね。