2012年08月31日

◆ 福島で全ゲノム解析

 「放射能地域の人とは結婚するな」という発言が出た。そのあとで政府が「福島で遺伝子異常を調べるため全ゲノム解析をする」という尻馬の方針を決めた。(ひどいね。) ──

 「放射能地域の人とは結婚するな」という発言が出た。
 公益財団法人・日本生態系協会の池谷奉文会長(以下略)
 池谷会長は講演で「福島の人とは結婚しない方がいい」「福島では発がん率が上がり、奇形児が生まれる懸念がある」と述べたという。
 協会側の説明や記者が確認した録音によると、池谷会長は、福島のほか原発事故で一定の放射能汚染を受けた関東地方の県名をあげ、地域の地図を示しながら「放射能雲の通った地域にいた方々は極力結婚しない方がいいだろう」と発言。「結婚して子どもを産むと、奇形発生率がドーンと上がる」などと話した。
 池谷会長は朝日新聞の取材に、「被曝(ひばく)で遺伝子損傷と奇形児出産のリスクが高まることを訴えた」と説明。
( → 朝日新聞 2012-08-29
 お馬鹿な主婦が発言するなら仕方ないが、日本生態系協会の会長ともあろう人間が、こういうトンデモ発言をするのは、まったく容認されないことだ。
 とはいえ、「頭がボケてきている」と見なせば、情状酌量の余地はある。(自分自身の頭が奇形になってしまったようだ。年のせいで。 (^^); )

 ──

 一方、もっとひどい方針が出た。政府の細野環境相の方針だ。ボケているわけではないのだろうが。(天然か。)
 《福島で「全ゲノム解析」 被曝調査で環境相表明 》
 細野豪志環境相は30日、東京電力福島第1原発事故の被曝による遺伝子への影響を調べるため、来年度から福島県民を対象に「全ゲノム(遺伝情報)解析調査」に着手する考えを明らかにした。
 「遺伝子の調査はすぐに不安の解消にはつながらないかもしれないが、人間の根源的な遺伝子を調べることで将来への予防になる」と語った。環境省は子どもを中心に調べる方針。
( → MSN産経 2012-08-31
 まったく馬鹿げたことだ。そもそも遺伝子の異常は、普通の状態でも発生する。とすれば、比較調査をするためには、福島だけでなく多くの地域で同時に調査をする必要がある。なのに、福島だけで調査しても、それは放射線のせいかどうか、区別できない。
 また、仮に区別できるとしても、そもそもこの程度の低レベルの放射線では、遺伝子の異常は起こらない、ということは、とっくに調査で判明している。つまり、「無意味」とすでにわかっている調査をすることになる。
( ※ 生物学ではとっくに判明しているが、DNA に影響をもたらすような放射線レベルは、福島の数千倍ぐらいのレベルだ。現状のレベルでは、遺伝子に異常を起こさないことはすでに判明している。ごく稀に起こる分はあるかもしれないが、それは統計誤差に埋もれてしまうレベルだ。要するに、無視できる。……というわけで、政府の調査はまったく無意味。)

 一方、全ゲノム調査というのは、ものすごくコストがかかる。
 ちなみに、国内企業に任せると、次のような価格が表示される。
 → 170万円〜 (全ゲノム解析)

 また、似た例で、23andMe というものがある。
  → 該当サイト (英文)
  → 体験記
 これは299ドルだから格安だが、全ゲノム解析ではなく、一塩基変異の解析だけで、それも、全体の10分の1だけらしい。
 というわけで、常識的に考えれば、全ゲノム解析は1人あたり 100万円以上がかかる。そんなに莫大な金を無意味なことに投じるのは、馬鹿らしい。
 今回、福島の対象地域の人々は、何十万という数になるだろう。仮に 10万人だとすれば、それに 100万円をかけて、1000億円もの金がかかる。これだけの金を、まったく無意味な調査のために投じようというのだ! 
 いや、無意味なだけなら、まだいい。こういう馬鹿げた調査をすることで、「福島の人には遺伝子異常が起こっている」という風評被害をばらまいて、「福島の人とは結婚するな」というデマをまき散らすことになる。
 これはまあ、国民の金を使った、テロ活動だ。北朝鮮よりも、まだひどい。北朝鮮ならば、テポドンを飛ばして来ても、そのテポドンの費用は北朝鮮が払う。しかるに、細野大臣は、日本人の血税を使って、日本を破壊しようとするのだ。……こいつ、北朝鮮のスパイだとしたら、史上最高の大業績を上げることになるな。日本を、自分自身の金で自殺するように仕向けるなんて、たいしたスパイだ。(……冗談ですけど、笑い事じゃない!)

 ──

 最後に一言。
 仮にこれが「一つの提案」というのなら、まだわかる。いろいろと考えて、発想の試行錯誤するのは、別に悪いことじゃない。一般に、発想というものは、大多数がゴミであり、生き残るのはごくわずかだからだ。
 しかし、「一つの提案」として国民の声を聞くのならともかく、「一つの方針」として既定事項として天下り的にゴリ押しするというのは、ただの独裁でしかない。なぜ彼は、
 「こうしようと思うのですが、国民の皆さんはどう思いますか?」
 と問わないのか? 橋下の独裁主義に毒されて、あれこそが正しい政治の方針だと思い込んでいるのか?
 ならば、言おう。細野さん、あなたはもはや政治家としては失格だ。潔く、政界から立ち去りなさい。少なくとも、政府からは立ち去りなさい。あなたがいればいるだけ、国民にとっては巨大な有害物となる。あなた自身が、放射能よりも一万倍も危険だよ。



 
 




hosono.png

  
 参考: モナ元過ぎれば 謙虚忘れる

 ※ この人は結局、武雄市の市長と同じで、自分を
   偉く見せたがっているだけなんですね。




 【 関連サイト 】

  → 福島の男性が風評被害で結婚できない
 
  → 結婚できないかもと思う女性(福島)

  → 福島県民です。関西の彼に婚約解消を申し込まれました

  → 結婚しないことを決めた福島の子供と大人の反省 (動画)



 [ 余談 ]
 どうせ金を使うなら、もっと金の使い道があるだろう。たとえば、これだ。
  → 水俣病救済策、6万5千人申請
 水俣病の被災者は、過失が一切、ない。あるとき突然、公害の垂れ流しという被害に遭った。しかも、それが原因だろうと疑われていたのに、政府は「いや、チッソは安全ですよ」と嘘をついて、被害者の拡大に関与した。責任は企業と政府にある
 なのに、大半の人々は救済の対象からはずれた。(というのは、政府が対象地域を勝手に限定したからだ。被害の有無を、原因によって決めるのではなく、地域によって決めるという、滅茶苦茶な方針。……犯罪者たる政府が、自分の支払額を減らすために、勝手に方針を決めたわけ。ひどいね。)
 
 これに比べれば、福島の被災者は、自己責任がかなりある。第1に、津波は、昔から危険視されていたのに、あえて自分で済んだ。第2に、原発のそばは危険だとわかっていたのに、あえて原発のそばに住んだ。
 これらの意味で、福島の人々の被害には、自己責任も少しはある。(少しだけね。)その点では、責任がまったくない水俣病の被災者とは違う。
 なのに、福島の人ばかりについて、「ありもしない被害を調査するために 100万円という無駄な金を投じる」ことになる。一方で、水俣病の被害者は、長年にわたって放置されてきた。何たる格差!
 日本に正義はないのか!



 【 関連サイト 】

  → 細野環境相の「福島でゲノム解析」発言に対する生命科学クラスタのツッコミ
 
 ここでは次の発言がある。優れた指摘だ。




posted by 管理人 at 20:47 | Comment(4) |  放射線・原発 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご無沙汰しております。
ゲノムの中身…ってのは、究極の「個人情報」じゃないですか。また、放射線の影響でなくても「ガンになりやすい」「糖尿になりやすい」という、身体情報が渡ってしまうわけです。それらが漏れて不利益を受けるような方も居るわけですが、どう責任をとるつもりなんでしょうか?
Posted by あるみさん at 2012年08月31日 23:53
ツイッターのコメントが、非常に的確ですね。
全細胞を検査する訳ではないので、ほぼ100%が正常という検査結果になるだけ。それをもって安全宣言とする、問題のすり替えをやるのでは。

何かの記事によると、セシウムが体内に300ベクレル以上蓄積している人が0.1%程度だったらしい。そういう人について、骨ガンの検査を定期的に行うとか。放射性ヨウ素が甲状腺に蓄積していないかチェック等、少しは役立ちそうな検査が他に有る様に思えます。
Posted by MSどす at 2012年09月01日 10:45
以下、政府(文科省・厚労省)からの通達。
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/hisaichi/dl/jimurenraku.pdf
 ──

              文部科学省研究振興局ライフサイエンス課
              厚生労働省大臣官房厚生科学課
     被災地で実施される調査・研究について

 被災地における被災者を対象とした健康調査・研究を実施する場合には、下記について遵守されるよう留意されたい。

            記
 1 「疫学研究に関する倫理指針(以下、疫学指針)」が適用される疫学研究を実施する場合等においては、疫学指針等にのっとり、当該研究計画について、倫理審査委員会の審査を受け、研究機関の長による許可を得るなど、適切な対応を行うこと。
 2 被災者を対象とする調査・研究は、当該被災地の自治体と十分調整した上で実施すること。また、調査・研究の結果、必要と考えられる被災者には、適切な保健医療福祉サービスが提供される体制を整備する等配慮すること。
 3 対象となる被災者に過度な負担とならないよう、対象地域において行われている調査・研究の状況を十分に把握した上で、重複を避け、必要以上に詳細な調査・研究が行われることのないように配慮すること。

 ──

 環境省の方針は、上記に反している。
Posted by 管理人 at 2012年09月07日 06:10
本日の読売・朝刊によると、この「遺伝子調査」の方針は、取りやめになったそうだ。専門家から「調べても無意味(わかりっこない)」という批判が出て、12億円の予算請求を引っ込めたという。

 しかし環境省は懲りもしないで、方針の継続を狙っているそうだ。「別の地域と比較するなどで、何とかして事実の明らかになる方針を探りたい」と狙っているという。

 呆れたね。科学というものを理解できないようだ。非科学的な馬鹿が専門家に批判されても、まだ自分の誤りを理解できない。どうしたら馬鹿が直るだろう?
Posted by 管理人 at 2013年03月10日 18:42
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ