ネアンデルタール人の絶滅の理由を探る。
事実
まず、次の事実がある。
「ネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスが誕生したあとでも、長らく共存していた。置き換わったわけではない」
これはつまり、次のようなシナリオは成立しない、ということだ。
「旧種が進化して、だんだん形質が変化して、新種になった」
これはいわゆるダーウィン流の進化論だが、そういうことは成立しなかった。
では、何が起こったか?
普通の進化論で解釈するなら、
「分岐した」
ということになる。
一方、私の進化論で解釈するなら、
「旧種から分岐する形で大進化が起こって新種が誕生した」
ということになる。次の図のように。
原ネアンデルタール人 ━┳━ ネアンデルタール人
┗━ ホモ・サピエンス
いずれにせよ、二つの種は共存した。しかし2万4千年ほど前に、ネアンデルタール人は絶滅した。
では、なぜか?
既知の推論
ネアンデルタール人の絶滅について、既知の推論をいくつか紹介しよう。(出典は後述。)
まず、事実として、気候変動の事実がある。
「5万5千年前には気候変動が大きかった。一世代のうちにも気候が激変して、植物や動物などの自然環境も変化した。草原は森林に変化した」
このことから、次の推論が出た。
(*)「気候変動があまりにも大きかったので、環境の激変について行けずに、ネアンデルタール人は絶滅した。今までの待ち伏せ戦法の狩りができなくなって、どうしようもなくなった。また、ネアンデルタール人の体は寒さには強かったが、気温が上昇するのには慣れていなかった。つまり、気候変動が理由で、ネアンデルタール人は絶滅した」
さらに、次の推論も出た。
(1) 8万年前にホモ・サピエンスが侵入してきたあと、彼らとの相互干渉(特に暴力)のせいで、ネアンデルタール人は絶滅した。
(2) ホモ・サピエンスの数が増えすぎたので、ネアンデルタール人は辺境に押しやられて、結局は絶滅した。
→ サイエンス(転載)
(3) ネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスと交配したので、その遺伝子がホモ・サピエンスの集団に溶け込んで、ホモ・サピエンスに吸収される形で、すべて絶滅した。(ネアンデルタール人はとホモ・サピエンスはたがいに亜種の関係にあった、というわけ。)
→ ナショナルジオグラフィック
(4) 4万年前の火山噴火のせいで、ネアンデルタール人は絶滅した。
→ ナショナルジオグラフィック
以上の話は、主に Wikipedia (英語版)に従った。(ただし(4) は例外。)
なお、この Wikipedia のページから、次の図版も転載しておこう。

ミトコンドリアDNAから推定された現生人類の範囲拡張。
1600世代前から。 薄い灰色はネアンデルタール人領域。
──
次に、上記の説への反論を示す。(私の見解)
(*)気候変動で絶滅した、というのは、ありえそうにない。他の哺乳類だってちゃんと生き延びたのに、ネアンデルタール人ばかりが絶滅する理由がない。しかもネアンデルタール人はその時点で、現生人類に次いで最も知能の高い生物だ。それが、たかが気候変動ぐらいで、絶滅するはずがない。
しかも、寒冷化したのではなく、温暖化したのだ。植物などはずっと豊かに実るようになったのだ。「気候が悪化したから絶滅した」というのならわかるが、「季候があまりにも良くなったので、良くなりすぎるのに適応できませんでした」なんてのは、理屈にならない。詭弁に近い。
さらに言えば、5万5千年前の気候変動は、2万4千年前の絶滅とは関係ない。
(1) ホモ・サピエンスが侵入したせいで絶滅した、というのもありえそうにない。同じ領域に双方の人類が共存したといっても、当時は人口がものすごく少ない。場所はいくらでもあまっている。しかも、気候が温暖化したりして、森林が増えたりすれば、植物も動物も増えたから、食糧はたっぷりとあったはずだ。とすれば、特に闘争する必要もない。そばにいくらでも動物や植物があって、容易に捕獲できるのに、あえて危険な「異質人類」と闘争するのは馬鹿げている。
そもそも、土地の取り合いというのは、はるか先の封建時代になって、集団のシステムができたあとで、「他人の富を収奪する領主」という強欲な人の登場を必要とする。原始時代には封建制はできていないのだから、集団による闘争はありえない。まして、個人間での闘争もありえない。(やたらと喧嘩好きの個人は何度か喧嘩して、さっさと死ぬだけだ。)
《 参考 》
下記ページには、次の文章がある。
「当時はあたりを見わたしても、人影はほとんどなかった」
つまり人口は非常に少なかった。
→ ナショナルジオグラフィック
(2) ホモ・サピエンスのせいで辺境に追いやられたせいで絶滅した、というのもありえそうにない。闘争しようが闘争しまいが、「辺境に押しやられる」というようなことはないはずだ。当時は人口がものすごく少ない。ホモ・サピエンスがいくら増えたとしても、各地にテリトリーを持つような形で、「棲み分け」をすることは十分に可能だったはずだ。「どちらか一方だけ」ということはなく、「共存共栄」が十分に可能だったはずだ。それを否定する根拠はない。とすれば、「辺境に押しやられる」というような仮説は、論拠不足だ。
( ※ そもそも、闘争がなければ、一方が他方を押しやることはできない。「ホモ・サピエンスの人口増」があったとしても、「同じ領域内での人口増」で十分であり、他地域に出る理由にはならない。一般的には、領域が先に決まり、その領域内で人口の増加が制限される。人口に応じて領域が決まるわけではない。「人口が増えたから領域を増やす」というのは、一種の帝国主義的な領土拡張主義だが、それは戦争をもたらす。しかし、いまだ国家の形成されていない状態では、戦争は不可能だ。農民同士は戦争などしない。ゆえに、(1) が不成立であることから、(2) も不成立となる。)
(3) ネアンデルタール人とホモ・サピエンスがたがいに亜種で、混血のせいで遺伝子が吸収された……なんてのは、もはやトンデモ説に近い。そういうことがあるなら、もともと別の種になるわけがない。「交雑可能な二つの種のうち、一方が他方に吸収される」ということは、なくもないが、それがあるとしたら、ごく初期に起こっていたはずなのだ。なのに、そうはならなかった。二つの種は、初期(分岐直後)には同じ領域にいたのに、たがいに交雑せず、別々の種になった。とすれば、この時点で、「交雑しない」というふうになる原理があったはずなのだ。
また、遺伝子レベルでも、遺伝子が違いすぎる。特に、脳の骨格が違いすぎる。これほどにも脳が違えば、混血した場合、胎児は流産してしまうはずだ。

出典:Wikipedia
混血は、私としては「ただの1例でさえもありえない」と推定する。まして、「非常に大量に異種間の交雑があった」とは思えない。さらに言えば、「もしあったとしても、その遺伝子が有利な遺伝子として種に拡大することはありえない」と判断する。
というわけで、大規模な混血など、ありえない。仮にあったとしたら、混血種の化石がたくさん残っているはずだが、絶滅直前の時期の化石でさえ、混血を伺わせない。遺伝子レベルでも同様だ。
《 参考 》
下記ページには、次の文章がある。
「混血があったとしても、それほど頻繁ではなく、はっきりした痕跡を残すにはいたらなかったと、ほかの研究者はみている。」
→ ナショナルジオグラフィック
(4) 火山噴火のせいで絶滅した、というのは論理的におかしい。火山の噴火は、時期が4万年前だから、2万4千年前の絶滅とは関係ない。
というわけで、以上のいずれの仮説も、駄目だ。従来の説では、ネアンデルタールの絶滅を説明できない。
私の説
画像の出典
このあと、私の説を示す。話の全体は仮説となる。まず、次のことを想像する。
「今から3万年前に、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスが共存した。そのとき、どうなっただろうか?」
このとき、両者の違いは、次のようになるだろう。
「ネアンデルタール人は、小脳が発達して、動作が敏捷だ。また、骨が太く、筋肉が発達していて、体力が高い。ただし大脳が未発達で、知力は低い」
「ホモ・サピエンスは、小脳が縮小して、動作が緩慢だ。また、骨が細く、筋肉が発達せず、体力が低い。ただし大脳が発達して、知力が高い」
イメージ的に言えば、次の対決だ。
「ガッツ石松 v.s. ビル・ゲイツ」
この両者が戦ったら、どちらが勝つか?
もちろん、1対1で喧嘩をすれば、ガッツ石松が圧勝する。しかし現実には、1対1で喧嘩をすることはない。どちらも集団で暮らしているからだ。集団でも喧嘩(というより戦争)をすることはないだろう。(前述の通り。人間同士で戦うより、動物の狩りをする方がマシ。)
というわけで、両者は争わずに、単に共存するだけだ。
さて。この両者が共存しているとき、生存率に最も影響するものは、何だろうか? 体力か? 武器か? 環境への適応力か? いや、医学的に考えるなら、最も影響するのは感染症だ。
3万年前というと、ホモ・サピエンスはかなり発達していたので、すでに家畜や家禽を育てていたと推定される。哺乳類としての家畜はともかく、鶏のような家禽ならば育てることができただろう。その場合、家禽から人間へ、病原菌の感染が起こる。このことは、「銃・病原菌・鉄」に記してある。要旨を引用しよう。
病原菌は家畜由来のものが多いが、牧畜で家畜に接すると、多くの病気をもらうようになり、同時に、免疫も受けるようになった。ホモ・サピエンスが家禽を飼っていたという証拠はない。しかし、3万年前というのは、すでに言語を獲得しているし、十分に発達した段階だ。となれば、家禽を飼うぐらいのことはしていた、と推定していいだろう。
( → 「銃・病原菌・鉄」要旨・第4章 )
では、家禽を飼うと、どうなるか?
第1に、普段から家禽に接していれば、家禽に対する免疫が付く。だから、ホモ・サピエンスは免疫が付く。(ネアンデルタール人はそうではない。)
第2に、ホモ・サピエンスは、火を日常的に使っていたはずだ。食事には常に火を使っていたはずだ。(火打ち石や、火おこし器具を使って調理していたはずだ。その場合、衛生状態はいい。(ネアンデルタール人はそうではない。)
第3に、ホモ・サピエンスは知力があったので、「手を洗う」とか「食物を洗う」とかいう衛生観念を持っていただろう。(ネアンデルタール人はそうではない。)
その結果、次のようになっただろう。
「家禽経由で、鳥インフルエンザ(など)のウイルスが、ホモ・サピエンスに感染した。しかし、ホモ・サピエンスには、あまり影響がなかった。もともと免疫があったし、火や水洗いや手洗いなどで集団感染を防ぐこともできた。同様に、食中毒のウイルスについても、火や水洗いや手洗いなどで集団感染を防ぐことができた。一方、ネアンデルタール人はそうではなかった。鳥インフルエンザのウイルスへの免疫もなかったし、食中毒のウイルスから身を守るすべもなかった。そのせいで、ネアンデルタール人は、次々と感染症にかかって、絶滅してしまった」
こう聞いても信じがたいかもしれないが、スペイン風邪みたいなものだと思えばいい。
スペインかぜは、記録にある限り、人類が遭遇した最初のインフルエンザの大流行(パンデミック)である。あるいは、ペストを想像してもいい。
感染者は6億人、死者は5,000万人(諸説あり)[8]に及び、当時の世界人口は約18億人〜20億人であると推定されているため、全人類の約3割がスペインかぜに感染したことになる。
( → Wikipedia )
ペストは元々齧歯類(特にクマネズミ)に流行する病気で、人間に先立ってネズミなどの間に流行が見られることが多い。このように疫病というものは生物に圧倒的な影響を及ぼす。現代では医学の発展により病気による死者は少なくなってきたので、想像しがたいのだろうが、歴史的には、人々に対して非常に多くの死をもたらしたのだ。
14世紀のヨーロッパではペストの大流行により、全人口の三割が命を落とした。
( → Wikipedia )
痘瘡(天然痘)・麻疹(はしか)・赤痢・コレラ・インフルエンザ・癩・結核・梅毒などがあげられる。こうした病気は元々特定の地域の風土病であったが、文明・文化・社会の発展と異世界との交流拡大による人や文物の往来に伴い、これまで同種の病が存在しなかった地域にも伝播し、中には世界的に流行するようになったと考えられている。例えば、コレラは日本では19世紀に初めて発症したとされ、それ以前には存在しなかったとされている。オーストラリアの場合は、もっと徹底的だった。
( → Wikipedia )
ヨーロッパ人たちは、(銃で殺すほかに)アボリジニが免疫や抵抗力を持っていない病原菌を使う方法によっても、彼らの人口を減少させた。シドニーに最初のヨーロッパ人の移住者がやって来た次の 1788年には、感染症で亡くなったアボリジニの死体が町のあちこちにころがっていた。これはオーストラリアの例だが、インカ帝国でも似たようなことが起こった。新たな未知の種族が到来したとき、旧来の種族はほとんど滅亡してしまったのだ。主として、病原菌に感染したせいで。
アボリジニの独立社会は、ヨーロッパ人の持ち込んだ銃と病原菌によって、ヨーロッパ人が食料生産をしやすい地域からことごとく排除されてしまった。どうにか無傷で残ったのは、ヨーロッパ人には無用の土地で暮らしていたアボリジニたちの社会だけだった。ヨーロッパ人たちは、1世紀の植民地化の間に、四万年続いていたアボリジニの伝統をほぼ一掃してしまったのである。
( → 「銃・病原菌・鉄」(下)第15章、 206頁 )
以上のように、疫病は人類に圧倒的な死をもたらした。しかも、それは、人々が孤立していた時代には影響が少なかったが、広範な領域の人々が相互に交流するようになると、あちこちで遭遇した新しい病原菌が広範な範囲の人々に拡散していくようになった。こうして疫病は、人類の領域拡張や交流につれて、どんどん被害を増やしていった。
そして、その病原菌に、ネアンデルタール人も感染してしまったのだ。なぜならば、ネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスとほぼ同じ遺伝子構成を持つがゆえに、同じ病原菌に感染する可能性がとても高いからだ。
( ※ この原理で、よく似た種の一方だけが絶滅することがある、ということが説明される。)
──
この説によれば、他の種(チンパンジーやゴリラなど)は、種がまったく違うので、ホモ・サピエンスのかかる感染症にはかからない。一方、ネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスに近いので、ホモ・サピエンスのかかった感染症に同様にかかってしまう。
しかも、ホモ・サピエンスの方は、(家禽に接することで)免疫がある。また、手を洗うとか、火を使うとかの、衛生観念もあるので、身を守ることができる。だが、ネアンデルタール人の方は、免疫もないし、衛生観念もないので、病原菌(やウイルス)をまともに浴びてしまい、絶滅することになる。
──
このように病気や免疫や衛生観念を重視することは、不自然だろうか? いや、むしろ、王道だ。
そもそも、当時の人口に影響するのは、(人口増加を可能とする)食糧の総量よりは、(衛生観念による)致死率だっただろう。特に、乳児や児童の致死率だっただろう。
つい先日も、大腸菌 O157 の食中毒で4歳の児童が死んでしまった、という報道があった。このように病原菌やウイルスなどの威力はすごく大きいのだ。とすれば、知力不足ゆえに衛生観念のないネアンデルタール人がどんどん減っていくのは仕方ない。
Wikipedia によれば、ネアンデルタール人の死者数は3万年前にピークになったらしい。これは時期的に言って、侵入してきたホモ・サピエンスの影響だろう。
ただし、直接的に闘争などがあったわけではなく、見えないウイルスや病原菌によって感染症にかかったせいだろう。ネアンデルタール人にしてみれば、新たにやって来た人類は、(エイズやスペイン風邪みたいに)恐ろしい致死的な病原菌を運んでくる厄災だったはずだ。しかも、そこに病原菌があることもわからないままだった。なぜなら、病原菌やウイルスは目に見えないからだ。そしてまた、ホモ・サピエンスと直接的に接することがなくても、同じ領域にいるというだけで、糞便などを通じて病原菌に感染したはずだ。
学者たちは「人口増加の原因である食糧」や、「人口減少の原因である闘争・殺害」を、やたらと重視する。しかし人類の歴史において、最も人間の生死を左右したのは、病原菌である。そして、人類の場合は、知識を得て家禽や家畜を育てるようになった段階で、感染症にかかる危険性は飛躍的に増した。ホモ・サピエンス自身は、それへの対策として、火や水洗いなどの衛生措置を取れただろうが、ネアンデルタール人はそうではなかった。そのことが、両者の存亡を分けたのだろう。
それが私の推定だ。
──
結論。
ネアンデルタールの絶滅の理由は、次のことだ。
(1) ホモ・サピエンスとネアンデルタール人は、病気を共有する。
(2) ホモ・サピエンスには対抗する手段(免疫・火・衛生観念)があったが、ネアンデルタール人にはなかった。
( ※ ネアンデルタール人は、火を使えたようだが、誰もが日常的に常用していたとは思えない。火を使うには、火をおこすための道具が必要だが、その道具は簡単には入手できないからだ。一方、3万年前の人類ならば、たぶん火を常用していただろう。さもなくば、寒い欧州に進出できるはずがないからだ。)
[ 付記 ]
ただし、「銃・病原菌・鉄」の著者が、病原菌を重視していることには、ネタ本がある。それが、右記の本だ。
だから私は間接的に、右記の本の影響を受けていることになる。
疫病と世界史(Amazon)
( ※ ついでだが、ナイチンゲールは戦地病院で死亡率を劇的に下げることに成功した。その方法は? 特別な治療法や治療薬を使ったのか? 違う。看護婦によって病院を清潔にしたのだ。衛生を保ったのだ。このことで、感染症が減り、死亡率は劇的に下がった。……人々はやたらと「医療」というものを重視するが、医療よりは「衛生」の方が圧倒的に効果が上がることが多い。例の「豚インフルエンザ」もそうだ。ワクチン接種なんかよりも、十分な手洗いの方が、ずっと効果があったようだ。)
【 関連サイト 】
(1)
「家禽とは何か?」
という質問がありそうだ。それには、
「鳥ならば何でもいい。鳥籠に飼って、人間の残飯を与えるだけでいい」
と答えたい。たとえば、カモを捕獲して飼育した。それがのちにアヒルになった……というわけだ。
( ※ アフリカでならばダチョウもいいが、今回の話は欧州なので、ダチョウはちょっと無理だ。)
(2)
→ 火おこしの方法
火おこしの方法を習得しておくといいだろう。山で遭難したときや、海で無人島に漂着したときに、役立つはずだ。
【 関連項目 】
→ ネアンデルタール人の滅亡
※ 同じ話題についての古い論考です。ただし、
内容が古いので、「取り消し」扱いです。
→ 《 余談 》 火と人類
※ 火と人類についての話題。
→ 人類の移動 (まとめ)
※ 過去 10万年ほどの人類の歴史。言語の獲得など。
──
本項の執筆後に書かれた続編。
→ ネアンデルタール人の絶滅 2
→ ネアンデルタール人の絶滅 3

「当時はあたりを見わたしても、人影はほとんどなかった」
他人に感染させる前に感染者が死ぬか完治するかするのでは?
現代人はほとんど病気を意識しないで暮らせるが、古代人は毎日が疫病の恐怖にさらされていたはずです。江戸時代だって、現在の途上国だって、子供をたくさん産んでも、無事に育つ数は少なかった。40歳ぐらいで死ねば運がいい方だった。たいていは成年前に死んでいた。
古代の世界は、疫病だらけだったんです。その証拠は、平均寿命。数百年前でさえ、平均寿命がずっと短かったことは、文献で明らかになっています。
なお、感染源は人間だとは限りません。「銃・病原菌・鉄」では、家畜が重要な感染源だと示されています。また、ペストはネズミで、コレラは家畜と糞尿です。
恐らくいろいろな要因が絡み合って絶滅していったのではないかと思います
気候が温暖化しクロマニヨン人が殖えたのもあって彼らが主食としていた大型動物が減っていって絶滅していったのではないでしょうか
ネアン人は敏捷な小型動物を狩るのは苦手だったようです
森林が減って隠れるところもなくなって長距離走が苦手なネアン人は狩りが難しくなってしまったのかもしれません
彼らは殆ど動物の肉に依存していて現生人類のようなバラエティーに富んだ採餌行動ができなかったようです
大型動物が減ってもクロマニヨン人は他の食物に切り替えることができ生き延びれたのではないでしょうか
最終的には数を殖やしたクロマニヨン人がネアン人を敵視し忌み嫌って好戦的に殺していった可能性もあると思います
(2) 5000年の共存といいますが、5000年間をかけてネアンデルタール人の生息範囲が徐々に範囲が縮小していった、と考えるといいでしょう。「帝国の衰退」というような感じ。
(3) 共存というのは、同じところに住んでいたという意味ではなくて、同じ時代に生きていたというだけです。たとえば、イタリアとスペインに、同時期に住んでいた。それぞれの間に感染する機会はありません。領域が共通している場合にのみ、感染する機会が生じる。その機会は、少しはあるが、多くはない。
> 森林が減って隠れるところもなくなって
そんなことはありません。欧州のほとんどすべては森林か草原でした。人類の総数は、非常に少なくて、同じ部族以外の人類と出会うことは稀だったでしょう。
> 大型動物が減っていって
仮にそうだとしても、魚介類や果実がたっぷりありますから、飢え死にする可能性はほとんどないはずです。他の動物だって十分に生きていけたのに、火と道具を使えるネアンデルタール人が食糧不足になるはずがない。「生きるすべがなくなった」と考えるよりは、「死ぬ要因が増えた」と考える方が自然です。
> クロマニヨン人がネアン人を敵視し忌み嫌って好戦的に殺していった可能性もあると思います
そんな好戦的な種族は、無意味な戦いで遺伝子を減らしていくので、絶滅するでしょう。「殺す」ことには「殺されること」が伴います。そんなアホなことをする生物は、絶滅しやすい。
※ 人類の場合にそれが可能になったのは、食物の貯蔵が可能になって富の不平等が生じたあとです。これは原始社会から封建制へ移行したあと。