デニソワ人との共通遺伝子が見出されたメラネシアというのは、メラネシアやその東方にある島々のことではなくて、ニューギニアおよびオーストラリア北部だ、という指摘を得ました。
→ 出典 ( 原論文 PDF )
そうだとすると、その領域は、オーストラロイドが住んでいることになります。それにともなって、これまでの記述を書き換えました。(該当箇所のみ。)
ただ、このことで、理論が破綻することはなく、かえって補強されます。実際、「オーストロネシア人だけに共通遺伝子がある」というのは少し不自然でしたが、「ごく初期に出アフリカをした人々だけ」というふうに考えれば、自然に説明ができるからです。
[ 付記 ]
なお、どっちが正しいのかは、今のところは断言できません。ちなみに Wikipedia には、次の記述があります。
デニソワ人類は、ネアンデルタール人類の兄弟種にあたり、現生人類のポリネシア人やメラニシア人にはその遺伝子の一部が混入していることが2010年12月に発表された。この記述を見ると、オーストラロイドというよりは、オーストロネシア人であるように見受けられます。だから私もその記述を信じていた。
( → Wikipedia )
しかし、私の理論からすると、オーストロネシア人に共通遺伝子があるというのは、いくらか不自然さがある。それに比べると、オーストラロイドに共通遺伝子があるというのは、とても自然だ。だから私としては、後者を支持したい。その意味で、これまでの記述を書き換えることにした。その方が理論としては自然なので。
( ※ 具体的な説明は → ここ。)
──
なお、多少とも修正したページの一覧は、下記です。
・ デニソワ人・ネアンデルタール人との混血 2
・ デニソワ人・ネアンデルタール人との混血 3
・ デニソワ人・ネアンデルタール人との混血 4
・ 人類の祖先は黒人か?
・ 出アフリカは2回か?
・ 人類の進化(総集編) 2
修正箇所を知るには、「メラネシア」という語で検索してみてください。その語(メラネシア)の前後です。
ただ、いちいちその箇所を読み直さなくても、本項で記述したこと(上記)を頭に入れておけば、それによって頭の中の情報を変更するだけで済みます。たいした話題じゃないので。
( ※ 実際には、あちこち文章をいじったのですが、細かな作業があるばかりで、いちいちチェックするほどの内容変更はありません。すぐ上に述べたことを頭に入れておけば十分。)

> これまでの話で、メラネシア人というのを、古モンゴロイド(オーストロネシア人)
>から、オーストラロイドに修正しました。また、それにともなって、オーストロネシア
>人と書いた記述を、あちこちで修正しました。
> デニソワ人との共通遺伝子が見出されたメラネシアというのは、メラネシアやその
>東方にある島々のことではなくて、ニューギニアおよびオーストラリア北部だ、という
>指摘を得ました。
> → 出典
これまで自信満々に「オーストロネシア人の拡散」で説明してたのはどうしてですか?
そもそも,shinok30の指摘は別に新しい情報でもなんでもありません
論文自体は2011年10月に出たもので
Reich D. et al.(2011): Denisova Admixture and the First Modern Human Dispersals into Southeast Asia and Oceania. The American Journal of Human Genetics, 89, 4, 516-528.
「デニソワ人と混血?(2010年12月23日)」のエントリーよりも2ヶ月も前のものです
shinok30は「デニソワ人と混血?」のコメント欄にも
内容を紹介した日本語のブログとともに,
論文のリンク先(http://dx.doi.org/10.1016/j.ajhg.2011.09.005)も張っています
http://openblog.meblog.biz/article/3794684.html
↓
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>その情報は、「交雑の証拠」ではなく、「交雑がなかったことの証拠」です。
>私の示す原理がますます強固に裏付けられます。説明をお待ちください。
説明をお待ちしています
>なお、予習として、「銃・病原菌・鉄」の第19章を読んでおいてください。
「銃・病原菌・鉄」は既読です
南堂さんの理論とどう関係するのかは分かりませんが……
オーストラリア先住民のゲノムにもデニソワ人との交雑の痕跡が見いだされています
これまでデニソワ人との交雑の証拠とされてきた核DNAのなかに
共通祖先から継承したものがある可能性はもちろんゼロとは言えませんが,
その多くは交雑の結果と解釈した方が自然だと思いますよ
>オーストラリア先住民のゲノム解読とデニソワ人との交雑
> オーストラリア先住民のゲノム解読についての研究(Rasmussen et al., 2011)
>と、オーストラリア先住民も含むオセアニアやアジアの現代人の祖先と、デニソワ人と
>の交雑の可能性を示した研究(Reich et al., 2011)が報道(Callaway et al.,
> 2011)されました。いずれの研究も、オンライン版での先行公開となります。オース
>トラリア先住民のゲノム解読についての研究(Rasmussen et al., 2011)では、
>1920年代にオーストラリア南西部の先住民だった若い男性より寄贈された毛髪から、
>オーストラリア先住民のゲノムが解析されました。
>
> このゲノム解析の結果、オーストラリア先住民の先祖は、75000〜62000年前にアジ
>ア東部へと拡散したのではないか、と推定されています。一方、大陸部を中心とした
>多くの現代アジア人の祖先は、38000〜25000年前にアジア東部へと拡散したのではな
>いか、と推定されています。さらに、多くの現代アジア人の祖先とアメリカ先住民の
>祖先とが分岐する前に、アジア東部に異なる時期に進出してきた二つの現生人類(ホモ=
>サピエンス)集団間に、交雑があったのではないか、とも推定されています。こうした
>ことから、オーストラリア先住民は、アフリカ外の最古の継続的集団の一つではないだ
>ろうか、とこの研究では指摘されています。
>
> オーストラリア先住民も含むオセアニアやアジアの現代人の祖先と、デニソワ人との
>交雑の可能性を示した研究(Reich et al., 2011)では、これまで一部の現代人
>集団のみに検出されていたデニソワ人との交雑の証拠(関連記事)が、さらに多くの
>集団にも見出された、と指摘されています。この研究では、現代のアジア東部とオセア
>ニアの33の地域集団に、デニソワ人との交雑の証拠が見出されるか、検証されました。
>その結果、日本人も含む現代のアジア東部の北部(おおむね一般的な意味合いでの東
>アジア)の地域集団には、デニソワ人との交雑の証拠が検出されませんでした。
>
> 一方、アジア東部の南部(一部は南アジアで、他の多くは東南アジア)とオセアニア
>については、オーストラリア先住民も含む東方の地域集団でデニソワ人との交雑の証拠
>が検出されたのにたいして、西方の地域集団ではデニソワ人との交雑の証拠が検出され
>ませんでした。こうしたことなどから、ニューギニア人・オーストラリア先住民などの
>祖先と、東アジアを中心とする多くの現代アジア人の祖先とでは、アジア東部への進出
>時期が異なっており(前者が後者より早くなります)、アジア東部(そのさらに東方に
>オーストラリアや、寒冷期には陸続きだったオーストラリアとニューギニアを含む
>サフルランドがあります)への現生人類の進出は、複数回の波があったのではないか、
>とこの研究では推測されています。
>
>参考文献:
>Callaway E.(2011B): First Aboriginal genome sequenced. Nature.
>http://dx.doi.org/10.1038/news.2011.551
>
>Rasmussen M. et al.(2011): An Aboriginal Australian Genome Reveals Separate Human Dispersals into Asia.
>Science, 334, 6052, 94-98.
>http://dx.doi.org/10.1126/science.1211177
>
>Reich D. et al.(2011): Denisova Admixture and the First Modern Human Dispersals into Southeast Asia and Oceania.
>The American Journal of Human Genetics, 89, 4, 516-528.
>http://dx.doi.org/10.1016/j.ajhg.2011.09.005
http://sicambre.at.webry.info/201109/article_24.html
Posted by shinok30 at 2012年08月02日 21:30
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「デニソワ人・ネアンデルタール人との混血 1(2012年08月05日)」のエントリーで
その内容を論文のリンク先とともに書いて「以上は、既知の情報だ」と記しています
http://openblog.meblog.biz/article/10807944.html
↓
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オーストラリア先住民のゲノム解読とデニソワ人との交雑の研究。
“ 現代のアジア東部とオセアニアの33の地域集団に、デニソワ人との交雑の証拠が見出
されるか、検証されました。その結果、日本人も含む現代のアジア東部の北部(おおむね
一般的な意味合いでの東アジア)の地域集団には、デニソワ人との交雑の証拠が検出され
ませんでした。 一方、アジア東部の南部(一部は南アジアで、他の多くは東南アジア)
とオセアニアについては、オーストラリア先住民も含む東方の地域集団でデニソワ人との
交雑の証拠が検出されたのにたいして、西方の地域集団ではデニソワ人との交雑の証拠が
検出されませんでした。”
→ http://dx.doi.org/10.1038/news.2011.551
→ http://dx.doi.org/10.1126/science.1211177
→ http://dx.doi.org/10.1016/j.ajhg.2011.09.005
→ http://sicambre.at.webry.info/201109/article_24.html
以上は、既知の情報だ。このあと、私なりの考えを述べる。
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論文のリンク先(http://dx.doi.org/10.1016/j.ajhg.2011.09.005)に飛んで,
右側のArticle Informationのボックスの一番上にある
PDF (704 kb)をクリックすれば論文の全文が無料で読めます
shinok30が貼った図と同じものも見ることができたハズですよ
要するに,南堂さんはこちらが紹介した論文の内容を全然読んでいないということですよね
修正箇所については……
まあね。私もオーストロネシア人のところだけは自信がなかったんですよ。「変だなあ」と思っていたけど、とりあえずつじつまを合わせたわけ。それでも自信はなかった。
だけど、Wikipedia には「メラネシアとポリネシア」と書いてあるから、とりあえずはそっちを信じたんです。あと、別のところでも、ポリネシアという記事があったし。
つじつまが合わないというのなら、実は、ここだけじゃなくて、あちこちにもある。「HLA-B*73は現代アフリカ人に見つかることはまれな一方、西アジアでは一般的だ」という記述もそうだ。これがオーストラリアでもメラネシアでもなく西アジアに見つかった、というのは、つじつまが合わない。特に、混血説だと、全然ダメだ。
──
あとね。
ちょっとミスを見つけたからといって、鬼の首を取ったように喜ばないでください。このミスは、私の論理ミスじゃなくて、私の入手した情報が不足していたというだけです。
まあね。私の入手した情報が全然不足していたというのは、認めます。だけど私は進化論の専門家じゃない。進化論のことを考えるのは、一年のうちの5%ぐらいの期間でしかない。情報入手不足を批判するのは、お門違い。私はプロじゃないんだから。
ま、情報を与えてくださったことには、素直に感謝します。お礼申し上げます。
ただ、それはそれとして、知らなかったことに、いちいち難癖を付けないでください。
私が得意なのは、推理力であって、情報入手力じゃない。探偵小説で言えば、私は警察じゃなくて、名探偵の方です。情報集めは、私の得意技ではない。(だいたい、そんなことをやっている時間はない。やっていたら、ものすごく時間を食いすぎる。)
そちらはよほど暇人らしくて、せっせと重箱の隅を突ついているけれど、私は疲れてきたので、そろそろまともに返事を書くのはやめます。労多くして、益少なし。(無ではないが。)
>ミスは、私の論理ミスじゃなくて、私の入手した情報が不足していたというだけです。
> まあね。私の入手した情報が全然不足していたというのは、認めます。だけど私は進化
>論の専門家じゃない。進化論のことを考えるのは、一年のうちの5%ぐらいの期間でしか
>ない。情報入手不足を批判するのは、お門違い。私はプロじゃないんだから。
情報入手スキルの低さを責めているのではありません
こちらが紹介した論文を読んでいないことを批判しているんです
ましてや,南堂さん自身が「以上は、既知の情報だ。このあと、私なりの考えを述べる」
と書いている以上,当然その内容も読んで論じているものだと思うでしょう?
あと,Wikiのせいにしてますけど,
おかしいと思ったらちゃんと元情報をたどるぐらいの慎重さがなくて
「名探偵」が聞いてあきれますよ
ちなみに,wiki記述の参照(ヨミウリ・オンライン記事)はリンク切れになっているのですが,
>デニソワ人類は、ネアンデルタール人類の兄弟種にあたり、現生人類のポリネシア人や
>メラニシア人にはその遺伝子の一部が混入していることが2010年12月に発表された。
2010年12月とあるので,元ネタはおそらくこの論文で
>Genetic history of an archaic hominin group from Denisova Cave in Siberia
>Nature 468, 1053–1060
http://www.nature.com/nature/journal/v468/n7327/full/nature09710.html
wikiの記述はその後更新されていないということなのでしょう
あなたがそれを読んでほしいのなら、その旨を記せばいい。単に文献を引用しただけで、その文献のすべてを読んでほしいと思うのは、虫のいい話。
しかも、「読まなかった」からといってネチネチと批判するのは筋違い。そんなに読んでほしかったのなら、そう書けばいいのに、そうもしないで批判するのはお門違い。
無理筋の難癖(科学的真実とは何の関係もないこと)を続けるようであれば、以後は書き込み禁止にします。