2012年08月12日

◆ 人類の進化(総集編) 1

 人類の進化の全体像を眺めよう。猿人から現生人類まで。
 (シリーズの 第1回) ──

 ここまで現生人類の進化について述べてきたが、それ以前に書いた話も回顧しながら、猿人から現代人まで、人類の進化の全体像を眺めよう。
 ※ 過去記事については、下記カテゴリを参照。
   → カテゴリ「生物・進化」

 猿人


 類人猿から、中間的なサヘラントロプス(トゥーマイ)を経由して、猿人が生じた。
 猿人は、時間順に並べると、こうだ。

   440万年前    …… ラミダス猿人
   400〜200万年前 …… アウストラロピテクス
   230〜140万年前 …… ホモ・ハビリス
   190万年前    …… セディバ猿人

   190万年前 〜  …… ホモ・エレクトス  (原人)


 (1) ラミダス猿人

 最古の猿人は、ラミダス猿人だ。これについては、詳しく述べた。
  → ラミダス猿人
 ラミダス猿人は、足指の骨格からして、樹上生活と直立二足歩行をがどちらもできたらしい。
 これによって、「草原への進出で二足歩行」という従来の説(草原説)は否定されたことになる。草原に出る前から(森林にいるうちから)、半分ぐらいは直立歩行をしていたことになるからだ。

 なお、猿人というと、人類の一種のように思えるが、これは類人猿の一種である。脳容量は 400cc で、チンパンジーの 300cc 〜 500cc と同程度である。チンパンジーとの違いは、直立二足歩行がいくらか可能であったことだけだ。その意味で、ラミダス猿人は、「足が発達して、地上で直立二足歩行がいくらか可能になった類人猿」と見なせる。
 ※ 熊も、レッサーパンダも、トカゲも、直立二足歩行するのだから、
   直立二足歩行は人類の特質ではない。( → 詳細

( ※ 580万年前の「カダバ猿人」というのも、新たに発見された。時期的には、こちらの方が古い。ただし、ラミダス猿人の仲間だと考えられている。いちいち分けて考えるのが面倒だから、ラミダス猿人にひっくるめて考えたとしても、間違いではあるまい。……通常は、よく研究されているラミダス猿人のことだけ考えれば十分だろうし、ラミダス猿人を「最古の人類」と見なしていいだろう。)

 
 (2) アウストラロピテクス

 その後、アウストラロピテクスの時代が長く続く。さらに、セディバ猿人が登場した。しかしこれらはいずれも、「人類」とは言いがたいところがある。確かに直立二足歩行をしていたが、脳容量は小さく、文化的な活動もしていなかったようだ。
 ただ、道具の使用なら、現在のチンパンジーですらやっている( → 検索 )。 だから、道具の使用ぐらいなら、アウストラロピテクスもやっていただろう。(チンパンジーと同程度か少しマシなくらいに。)

 (3) ホモ・ハビリス

 その後に、最初のホモ族であるホモ・ハビリスが登場した。ホモ・ハビリスは、石器の使用や、精巧な道具の作成もあった。( → 検索 ) その意味では、人間に近い段階だし、人間の一種とも見なせる。
 とはいえ、火を使ったことはないようなので、私としては「人間」とは見なさない。
 一般的には、類人猿と人間の中間段階と見なせるだろう。(直立二足歩行と道具の使用を人間の定義とするならば、人間と見なされるが。)

 原人


 こうして少しずつ脳容量を拡大したいったあとで、ついにホモ・エレクトスが出現した。これは明らかに人間の仲間だった。火も使ったらしいし、原始的な言語も使ったらしい。(音声言語ではなく身ぶり言語だったろう、という推定もある。)

 しかし、犬でさえ、音声による意思表示が可能なのだ[ → バウリンガルボイス
: 右図 ]。
 だから、ある程度の音声言語は使用可能だったろう、と私は推定する。たとえ発声器官が未熟だったとしても、犬よりはマシに表現できたろう。)
 ホモ・エレクトスは、道具も上手に使ったし、火も使ったので、十分に知性的だった。また、脳容量も十分だった。初期には 900cc ぐらいだったが、晩期には 1100cc ぐらいにまで増えた。

 その後、ホモ・ハイデルベルゲンシスが登場する。これは、晩期のホモ・エレクトスとも見なされるし、ネアンデルタール人やホモ・サピエンスの祖先種とも見なされることがある。(直接の祖先かどうかははっきりしない。)

 ネアンデルタール人とホモ・サピエンス


 そしてついに、ネアンデルタール人が出現する。そのあとで、ホモ・サピエンスが出現する。
 さて。ネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスの祖先であるのか? これについては、「ネアンデルタール人はホモ・サピエンスの直接の祖先ではない」ということがわかっている。
 では、両者はまったく無関係なのか? ホモ・サピエンスは、ネアンデルタール人を跳び越して、ホモ・ハイデルベルゲンシスから、巨大な進化を一挙になし遂げたのか? しかしそれはあまりにも不自然だ。

 そこで、私としては、次の関係を提案する。あらゆる進化における原理として。


   旧種(古) ━┳━ 旧種(新)
          ┗━ 新種


 つまり、新種は、旧種から進化したのではないが、旧種の祖先から分岐する形で進化したのだ。
 より詳しく言うと、次のようになる。
  ・ 旧種(古)と、旧種(新)とは、同一種である。
  ・ 旧種(古)から、旧種(新)へは、小進化だけがある。
  ・ 新種は、旧種(古)から、大進化による分岐で誕生した。

 この図式をホモ・サピエンスに当てはめると、次のようになる。


   原ネアンデルタール人 ━┳━ ネアンデルタール人
               ┗━ ホモ・サピエンス


 
 つまり、ホモ・ハイデルベルゲンシスから、ネアンデルタール人を跳び越して、一挙にホモ・サピエンスが誕生したのではない。その途中で、原ネアンデルタール人というものを経由した。
 その後、原ネアンデルタール人の直系の子孫はネアンデルタール人となり、原ネアンデルタール人から分岐して進化する形でホモ・サピエンスが出現した。
( ※ この場合、ネアンデルタール人の子孫がホモ・サピエンスであるのではない。)
( ※ ネアンデルタール人の初期のものは、「早期ネアンデルタール人」と呼ばれる。これはホモ・サピエンスに似た形質を持っている。 → Wikipedia
( ※ 原ネアンデルタール人は、早期ネアンデルタール人よりもずっと前のもの、化石は残っていない。)

 なお、同様にして、ネアンデルタール人の姉妹群とされるデニソワ人の分岐図を書くこともできる。ホモ・サピエンスの分もいっしょに書くと、次のようになる。

            35万年前

           ┏━━━━  デニソワ人
   共通祖先 ━┳━┻━━━━  ネアンデルタール人
         ┗━━━━━━━ 現生人類

          50万年前


( ※ ここで、共通祖先というのは、はっきりとしていないが、ホモ・ハイデルベルゲンシスか、その姉妹群だろう。)
( ※ デニソワ人の分岐した 35万年前という数値については → この項目 (6)

 なお、デニソワ人とネアンデルタール人の関係については、次の説明がある。
概略のところは、40万〜30万年前にアフリカを出、中東を経てヨーロッパに拡がった集団がネアンデルタール人に、中東を経てアジア内陸部に移動した集団がデニソワ人になった。
( → Wikipedia

 これはおおむね妥当だろう。そして、この立場を取るならば、「ネアンデルタール人とデニソワ人は、別種というよりは、亜種レベルの違いでしかない」という認識もできそうだ。
( ※ 「分岐してから 35万年もたてば、分岐した種は変化してしまうだろう」という推測もあるが、「何万年たとうと、さらに分岐が起こらなければ、種の同一性は保たれる」というのが、私の認識だ。例。ホモ・エレクトスは、ほんの数万年前まで、ホモ・エレクトスでありつづけた。ホモ・エレクトスが何十万年間のうちに別種になることはなかった。種の同一性は保たれた。) 



 [ 付記 ]
 水生説(アクア説)はどうだろうか? 
 「人類は水辺で誕生した」

 という説は、「人類」を「猿人」のレベルでとらえる限りは、成立しない。なぜなら、そのころ水中に適した形質を獲得しても、その形質は、種の分岐とともに、容易に失われるからだ。(水生説で示した形質は、いずれも種レベルのものであり、種が変われば容易に失われる形質である。)
 
 とはいえ、種が変わらなければ、その形質は失われない。とすれば、現生人類の誕生期にその形質を獲得したのだとすれば、特に矛盾は生じない。その意味で、
 「ホモ・サピエンスは、水辺で誕生した」

 という説ならば、成立しそうだ。

 では、その論拠は? 最初の提唱者の主張は、かなり胡散臭いところがあるので、私としては別の論拠を示した。これは「半分だけの水生説」と言えるものだ。そのポイントは、「水辺で魚介類の採集生活をすること」だ。
  → 人類進化の水辺説(半・水生説)
 上記項目では、種について「ホモ・ハビリスか、ホモ・エレクトス」というふうに述べたが、今にして思うと、この説は変だ。(理由は上記。)そこで、種について「ホモ・サピエンスは〜」というふうに変えた上で、「半・水生説」を私は主張したい。
 なお、その場所は、エチオピアのトゥルカナ湖だ。
  → トゥルカナ湖 ( Wikipedia )
  ※ 地図は次項で示す。
 


 【 関連項目 】

 次項に続きます。ホモ・サピエンスの歴史。
posted by 管理人 at 19:35| Comment(1) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
人類の歴史は興味深いです。ロマンたっぷりですね。
Posted by 広告研究@吉田 at 2012年09月04日 14:15
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