蓄電池に関係する情報をいくつか示す。 ──
「太陽光発電と蓄電池」という形のスマートハウスが話題になっているが、それとともに「蓄電池」が話題になっている。
私としては蓄電池には否定的なのだが、世間の騒ぎを紹介する形で、いくつか列挙しよう。
→ 蓄電池、住宅用に活路 震災後に注文が急増 (朝日・有料記事)
→ 蓄電池・自家発電に税優遇 環境配慮の投資後押し (日経)
→ EVと据え置き型蓄電池、2つの蓄電池を活用するシステム
→ 住友林業、EVからのエネルギー供給システムを備えた戸建住宅
で、それで、元が取れるのか?
→ 朝日新聞デジタル:エコハウス、元を取るには 環境学者のお宅を訪ねました
この記事を見ると、前半では「元が取れる」と書いてあるが、それは、「太陽光発電を補助金付きで購入した場合」の損得だ。つまり、蓄電池なしで、「余剰電力を売電」した場合である。
蓄電池を使った場合は、「余剰電力を売電」という、最大のうまみが消えてしまう。いわば補助金をもらえなくなるようなものだ。もちろん、損する。
この記事の後半では、蓄電池を利用した場合の考察もあるが、「補助金がもらえる」と書いてあるだけで、損得計算は書いてない。ま、当然だろう。「売電できなくなる損失」と「蓄電池のコスト」を合わせると、大損になるからだ。
要するに、蓄電池はまったく採算に乗らない。「蓄電池を使うスマートハウス」というのを、マスコミは持ち上げるが、全然、駄目なのだ。
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蓄電池の価格は、次の記事でもわかる。
→ ソニー、家庭用の大容量充電池「CP-S300」
→ ソニーの大容量蓄電池「CP-S300」で乗り切る節電の夏
記事によると、出力は 300Wh だ。「 LED照明に約10時間分の電力」ということだが、あまりにも少ない。900W の電力を使ったら、たったの 20分で空っぽになってしまう。20分しかもたない電池に、15万円! あまりにも馬鹿げている。
それより、小型の発電機の方がずっといい。前から何度も述べてきたとおり。
→ 家庭用の蓄電池
発電機を回すのに、石油燃料が使いにくいというのであれば、都市ガスを使う方式もある。
→ スマートグリッドという幻想
このページの最後に「エコウィル」というものが紹介されている。(都市ガスを使う発電機)
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さらに、もっと使いやすさを狙って、LPガスを使う発電機が新たに開発された。(最新ニュース)
→ 世界初 LPガス燃料の屋外発電機の実力
これは、地震などで都市ガスが止まっても、LPガスが比較的早期に復旧できるということから、災害対策になる。また、震災当初の数日間は、手持ちのLPガスを使える。(点デンしても、都市ガスが切れても、大丈夫。)
能力は、「100時間の運転が可能。発電出力は約900ワット」とのことだから、単純に考えて、90000Wh もあることなる。300Wh のソニー製蓄電池に比べて、300倍もの性能がある。このLPガスによる発電機が1台あれば、ソニー製蓄電池を 300台も買うのと同等の効果がある。しかも、設置のスペースも節約できる。
で、価格はいくらか? ソニー製の 15万円の 300倍ぐらいの価格か? いや、たったの 23万円だ。(工事費別)
結論。
蓄電池というのは、馬鹿げている。あまりにもコストが高く、性能は貧弱だ。そんなものを買うくらいなら、小型の発電機を買う方がいい。(屋内には設置できないので、屋外設置に限るが。)
なお、蓄電池を購入するとしたら、発電機を屋外設置できない場合に限られる。たとえば、次のような。
「高層ビルの一室なので、発電機を設置できない。それでもパソコン用のバックアップ電力が必要だ」
こういう場合ならば、蓄電池の購入をするしかないだろう。しかし、それ以外は、屋外に発電機を置いて、そこから電灯線で屋内に電気を引き込むだけでいい。(災害などの停電のときに。)
では、災害以外では? 太陽光発電に電力を蓄電池に溜めるといいか? いや、太陽光発電ならば、電力の蓄電は必要ない。かわりに、電力会社に売電すればいい。そうすればコストの倍ぐらいの価格で売ることができるので、大幅な利益を得て、「太陽光発電への補助金」を受け取ることになる。それを捨てて蓄電池を買うとしたら、金をドブに捨てるのと同じことだ。ありえなーい。
※ 「太陽光発電の売電価格を上げよ」と主張する人が、「蓄電池を購入しよう」と言うとしたら、自己矛盾を起こしていることになる。愚の骨頂。……それに気づかないで、そういう主張をしている人がいる。(朝日新聞や読売新聞など。)
[ 付記1 ]
「電力のピークシフトのためには、太陽光発電と蓄電池の組み合わせが有利だ」
という説もある。しかし、それは正しくない。原発ならともかく、火力発電ならば、発電量を可変的にできる。だから、火力発電さえ十分にあれば、蓄電池は不要である。
これは、家庭用の発電機を全部ひっくるめて、火力発電にするのと同等だ。そういう方法があれば十分なので、蓄電池は不要だ。
→ 太陽光に蓄電池は不要
[ 付記2 ]
太陽光発電や風力発電の電力は不安定だ。それを火力発電だけでまかなおうとすると、火力発電の設備が過大になりすぎる。そのせいでコストがアップしてしまう。その問題を、どう解決するか?
それには、供給の側ではなく、需要の側で、ピークをずらせばいい。急激に供給が減少したときには、一時的に需要を急減させればいい。それは、「スマート家電」という原理で説明される。
→ スマート家電 > 蓄電池
というわけで、この点でも、蓄電池は不要だ。というか、蓄電池では実現できない。仮に蓄電池でその電力をまかなうとしたら、途方もない莫大な金額がかかる。
はっきり言って、蓄電池というものは、現時点では、実用段階に達していない。そのことは、電気自動車のリチウム電池が馬鹿高いことからもわかる。こんなに馬鹿高いものを、日常用途に使うとしたら、たちまち破産する。
2012年07月31日
過去ログ
しかしノートPCなら充電して使う様にすれば関係ないと伺います。
精密機器用の蓄電池(って無停電源装置UPSですが)が必要かもしれません。
あと、プロパン発電機はランニングコストが気になります。ガソリン発電機はガソリン税に辟易し、灯油や軽油の発電機を調べると大きすぎるなど、なかなか難しい問題です。
ま、原発稼動したので発電機を買うのをやめましたが、非常用に持っておきたいですね。
一日の電力ピークのムラ程度ならならせそうにも見えますけど。
デスクトップも交流をいったん12Vぐらいの直流に落としてから使うので、あまり関係ないでしょう。
しかし少しぐらいは影響するかもしれないので、その場合には、蓄電池を使ってもいい。
発電機 → 蓄電池
という形。蓄電池の商品は
→ http://books.meblog.biz/article/9550175.html
> ピークカットに役立つという論法
次項で扱います。(予定)
余剰エネルギーを圧縮空気にして巨大なタンクに保存する
→ http://wired.jp/2012/07/05/danielle-fong/
ただ、私の考えでは、断熱構造を取らないと、熱が出たり入ったりするので、効率が下がる。そこをどうするつもりなのかを知りたいところ。