2012年07月27日

◆ ハイブリッドとディーゼル

 日本ではハイブリッド車が優勢だが、欧州ではディーゼル車が優勢だ。では、ディーゼルがいいのか? いや、省エネとは別に、大気汚染の問題がある。 ──
 
 省エネの自動車として、日本ではハイブリッドが優勢だが、欧州ではディーゼルが優勢だ。
  → 【ハイブリッドカー】日本以外ではあまり売れていない
  → 欧州発ディーゼル車の逆襲 日本のハイブリッドの脅威に
 ここには、次の一文もある。
 コモンレールは蓄圧式と呼ばれる噴射方式で燃焼効率を劇的に改善し、NOxやPMをほとんど出さないクリーンディーゼルを実現した。
 この話はしばしば出ている。では本当に、コモンレール式ディーゼルはクリーンなのか? 欧州の自動車メーカーは「イエス」と答えるが、それを信じていいのか?

 ──

 上記の日経の記事には、次の話がある。
 1997年に登場した「アルファロメオ156JTD」と「メルセデス・ベンツC220CDI」。この2つのディーゼル車は画期的なシステムを搭載していた。独自動車部品メーカー、ボッシュが開発した「コモンレールシステム」である。
 欧州のディーゼル比率はぐんぐん高まり、11年には54.9%に達した。
 コモンレールを搭載したディーゼル車は97年から07年までの10年間に世界で3000万台以上売れた。
 これほどまでにコモンレール式が普及したのであれば、欧州の空気はすっかりきれいになったはずだ。
 では、本当にそうか? 「欧州 大気汚染」で検索すると、次のようなページがヒットする。(一部抜粋しよう。)
 報告書によると、2005年は、欧州市民の4人に1人が、EU基準を超える高濃度の粒子状物質(PM10)に数日以上さらされたとしている。さらに、東欧の大部分、イタリア北部、バルカン諸国、ベルギー、ギリシャ、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル及びスペインの一部では、日常的に基準を超過していたとしており、オゾンの地上レベル濃度については、欧州市民の3分の1以上が、EUの目標値を超えた汚染にさらされていたとしている。これにより、2005年にEU全体で、粒子状物質が約3万7300人の早期死亡の原因になったと推測されている。
( → EU 大気汚染に関する報告書 2009年04月01日

 微粒子の大部分はディーゼルエンジン搭載の車や船舶、火力発電所から排出されている。EEBによると、EU域内では毎年45万5000人がこの微粒子が原因で早死にしているという。
( → ロイター 2011年01月20日

 報告は、空気中の微粒子やオゾンなどによる汚染でEU域内とその周辺諸国では、年間50万人が早死にし、生物多様性も打撃を受ける恐れがあるとしている。
 EEA報告によると、EUの全般的な大気汚染は減少しているが、一部での汚染濃度は高いという。EUの都市部の住民の95%以上はWHOの指針を超える地表濃度のオゾンにさらされており、80〜90%の人は空気中の浮遊粒子状物質に過度にさらされている。いずれも心臓血管や肺の疾患と関連がある。
( → ロイター 2011年11月10日
 というわけで、欧州の大気汚染はひどい。特に、ディーゼルの影響が強い。「コモンレール式だから大丈夫だ」という説は成立しないのだ。

 ──

 ここには矛盾がある。
 理屈 「コモンレール式ならば、微粒子はない」
 現実 「コモンレール式でも、微粒子の被害は生じる」

 では、どうしてこういう矛盾が起こるのか?
 実は、それは、4年前に説明した。一部抜粋(孫引き)すると、次の通り。
 高圧で燃料を噴射することで燃焼効率を向上させた。PM(ディーゼル粒子)は霧状になり黒鉛は出なくなったが、かわりに目に見えない粒子径 0.1マイクロメートル以下の微小(ナノ)粒子の数が数万倍以上に増えている。粒子が目に見えなくなっただけなのだ。
 数マイクロメートルのPMは呼吸器に入り、ぜんそくなどを引き起こすことが知られていたが、ナノ粒子は呼吸器を介して血管の中に入り込み、心臓を初めとする循環器系、脳・神経系や生殖器にまで侵入することが、最近の動物実験で証明されてきた。
 詳しい説明は、下記項目にある。そちらを参照。
  → ディーゼルの環境汚染 ( 2008年10月17日 )

 要するに、「コモンレール式ならば環境汚染はない」というのは、真っ赤な嘘(もしくは論理ペテン)なのである。たしかに黒煙はなくなったが、微粒子が皆無になったのではない。微粒子が見えなくなった(微細化した)だけなのだ。見えないまま、微粒子は確かに存在しているのである。そして、微細化した微粒子は、肺を悪化させるかわりに、血液に溶け込んで、心臓を初めとする循環器系、脳・神経系や生殖器にまで影響するようになったのだ。

 比喩的に言えば、「青酸カリを除去したので安全です」と言っておきながら、かわりにフグ毒を混入するようなものだ。こんな論理ペテンを信じて、「コモンレール式のディーゼルは安全だ」なんて思ってはならない。
  


 [ 付記 ]
 他に問題もある。ディーゼルは、脱税のために、軽油でなく灯油を使う不届き者がいる。(違法行為)
 こいつらのせいで、不完全燃焼を起こして、白煙や黒煙を出すディーゼル車がけっこうある。もちろん、排ガスはひどいレベルだ。
  → Google 検索
   


 【 関連項目 】

 大気汚染による被害者数(寿命短縮者数)がかなりの数になる、という点については、下記項目を参照。
  → 火力発電による死者数

 ディーゼル微量子の被害については、下記を参照。
  → ディーゼルの環境汚染

 ──

 環境問題とは別に、省エネの観点からは、次の項目もある。
  → 最大の省エネ

  ※ ディーゼル車の運行を減らすことで省エネが可能。
posted by 管理人 at 19:39| Comment(1) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Posted by 管理人 at 2013年01月18日 07:16
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