放射線を恐れて福島から避難している母子が多い。父親は現地に残って仕事をしているが、母子は放射線を恐れて、関東の都会部などに移転している例が多い。
《 福島からの母子避難、重い経済負担 》
福島県から子どもを連れて県外に避難している母親たちに、経済的、精神的負担が重くのしかかっている。こうした「母子避難」は避難指示区域外からがほとんどで、避難に伴う費用は基本的に東電による賠償の対象外。
福島県では、多くの親と子どもが地元にとどまっている。その一方で、放射能が健康に与える影響を心配し、仕事の関係などで残る夫らと離れ、県外に母子避難している人も少なくない。
避難した理由は、219人(同)が「放射能による子どもの健康被害への不安」を挙げ、「子どもを外で遊ばせられない」も183人。「自分の精神的ストレス」と答えた人が「子どもの精神的ストレス」の2倍近い。
( → 朝日新聞 2012-07-22 )
ここで避難している例では、子供が赤ん坊や幼児なので、母親が過敏になっている例が多いようだ。だが、赤ん坊や幼児であっても、避難指示区域外ならば、放射線の量は少ない。もともと量が少なかったのに、1年以上たった今では大幅に低下している。
→ 福島県放射線マップ
ここでは「マイクロシーベルト/時」の値が出ているが、この数字を9倍すると、「ミリシーベルト/年」になる。で、「ミリシーベルト/年」に換算すると、最大値でも次のようになる。
・ 郡山市 …… 5ミリシーベルト/年
・ 福島市 …… 12ミリシーベルト/年
郡山市と福島市の数値は、人間(子供を含む)が住むのに何ら差し支えない水準だ。一日中、屋外に出ているわけではないし、最高の値のところばかりにいるわけでもない。とすれば、実際の被曝は、高くても 3〜8(ミリシーベルト/年)という値だろう。この程度ならば、まったく問題ない。
この程度の数値を問題にするなら、むしろ、都会の大気汚染の方がはるかに有害だ。福島から避難して、都会の道路のそばで排気ガスの影響を受けるとしたら、かえって健康を大幅に悪化させる。赤ん坊や幼児ならば、アトピーになる危険も高まる。避難したことでかえって赤ん坊や幼児を傷つけることになる。放射線ではなく、親の放射脳が子供を傷つけるわけだ。子供が可哀想だ。
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そもそも、福島というのは、周囲を山々に囲まれた、自然の豊かな土地である。
→ 20090201福島市中心市街空撮 (写真)
ここでは、空気も比較的きれいだし、緑も多い。なのに、何を好きこのんで、大気汚染のひどい都会へ移るのか? 福島に放射線があるから? しかし、この程度の放射線は、まったく影響がないと考えていい。
→ 微量放射線の影響
→ LNT 仮説に基づく死者数の計算について
この原理に基づいて、「年 10 mSv 以下ならば、避難する必要はない」とすでに述べた。
→ 微量放射線と子供
→ 微量放射線と乳幼児
なるほど、福島の放射線は少しは危険だろう。しかし危険なものは、世の中に山のようにあふれている。次の図のように。

こういうふうに、たくさんの危険がある。その中の特定の小さな危険ばかりに目を奪われると、かえって大きな危険にぶつかってしまうのだ。
「危険をゼロにしよう」と思うのは、「病原菌が怖いから無菌室に生きよう」とするようなものだ。あまりにも現実離れした発想だ。
そして、そういう愚かな発想に基づいて、「インフルエンザのウイルスが危険だから、別のところへ行こう」と思ったあげく、コレラの蔓延しているところへ移転する……というような愚かなことをしているのが、母子避難の家庭だ。
はっきり言って、福島県で年 10 mSv 以下の土地ならば、東京や埼玉の普通の場所よりも、はるかに安全である。そこを逃げ出して、東京や埼玉に移るなんて、あまりにも馬鹿げている。
ま、人は、馬鹿げたことをやる権利はあるが、だとしても、その馬鹿げたことのために「金を寄越せ」と要求するのは、とんだ見当違いだ。
どうせなら、東京や埼玉で道路のそばに住んでいる人を移転させる方が、ずっと優先する。道路のそばに住むことは、かなり健康に悪影響を与えるからだ。
どうせ騒ぐならば、「道路のそばに住んでいる人の健康を守れ」と騒ぐ方が、よほど道理が通っている。
[ 付記1 ]
福島県は、もはやどこでも安全か? いや、そうではない。
・ 福島原発の近辺
・ 飯舘村
これらの地域では、まだかなり数値が高いので、避難する意義はある。
ただし、上記のマップの測定値によると、飯舘村の北西部では、23(ミリシーベルト/年)ぐらいの値になっている。このくらいならば、乳幼児は別として、大人が住むのには問題ない。大人に限っては、帰還を認めるべきだ。
また、高齢者に限れば、50(ミリシーベルト/年)ぐらいの値でも、帰還を認めるべきだ。
現状では、高齢者が、住み慣れた土地から離れたことのストレスで、次々と死んでいる。放射線による死者はゼロだが、避難による死者は莫大な数に上っている。
→ 避難による死者が 1618人
放射線よりもはるかに危険なのが、「避難」つまり「自宅から離れることのストレス増加」である。この影響は、高齢者にとっては非常に高い。
このことを理解できずに、「放射線は怖い。避難は当然だ」と叫んでいる人々は、大量殺人をしているのも同然だ。特に、大騒ぎしている朝日新聞の罪は大きい。こいつのせいでどれほど大量の高齢者が命を落としたことか。
[ 付記2 ]
本項と似た話は、前に述べた。
→ PTSD と放射脳
仙台から逃げ出して石垣島に移住した母子の話。
こういう母子を救うには、夫の愛が大切だ、という話もある。
【 関連項目 】
大気汚染による被害者数(寿命短縮者数)がかなりの数になる、という点については、下記項目を参照。
→ 火力発電による死者数
ディーゼル微量子の被害については、下記を参照。
→ ディーゼルの環境汚染
※ ディーゼルの件は、明日の項目でも、あらためて論じる。
確かに放射線量から見ればたいした数字では無いと思うのですが、放射性物質が体内、特に肺の場合は排出されにくいので蓄積された場合はわからないと言うのが現状なのではないでしょうか?
今話題になっているのは、外部被曝の方です。これは検出可能なレベル。(そのうえで健康被害は無視できると判定。)
内部被曝については、昨年の事故直後には、私も「危険かも」「注意せよ」というふうに指摘しましたが、その後、どのくらいのレベルか判明したら、「飯舘村以外では問題なし」と判定しています。
私は事故直後には「飯舘村の住民は避難せよ」と警告しました。その意味で、危険性は十分配慮しています。また、数年前から、「原発の安全性は問題なので、事故の危険への対処をせよ」とも警告していました。
それほどにも安全性に留意している私が、「現時点での福島市や郡山市は問題ない」と判定しています。はっきり言って、東京都内に住むより、はるかに安全です。
ついでに言うと、「原発は危険だ」と大騒ぎしている青プリン(早川由紀夫)や安冨歩でさえ、「ものすごい死者が出る」と言いながら、その死者数は、数字単位では統計誤差レベルよりも少ない数値を出しています。詳しくは
→ http://togetter.com/li/251336
また、その他の関連情報は
→ http://urx.nu/1DQt
A.吸入されたものは肺の中で体液に溶け吸収されあるいは飲み込まれて消化管から吸収され経口摂取と同じ。肺に30年間留まることはない。
↓↓↓
http://radi-info.com/q-401/
【参考】野尻先生と早野先生によるセシウム体内蓄積の講義
↓↓↓
http://togetter.com/li/281205
>現状では、高齢者が、住み慣れた土地から離れたことのストレスで、次々と死んでいる。
ストレスが原因だなんて、なぜ断定できるのでしょうか。何の根拠もなく避難したのが悪いことにするなんて無責任ですよ。
×内部被曝は
○放射性物資への暴露は
内部被曝も外部被曝も、すでにコメント欄に記述済み
> ストレスが原因だなんて、なぜ断定できるのでしょうか
断定じゃなくて、医者による推定です。医学というものは死因や病因の推定をします。断定はしません。人間を実験動物にするわけには行かないので。
> 何の根拠もなく
根拠は十分にありますよ。あなたはストレスというものを甘く見過ぎています。ストレスによる体調悪化や円形脱毛症などの例はすごく大きい。いじめによる自殺だってストレスが直接の原因です。
高齢者が転居をすると、それまでの生活習慣がまったく変わるので、非常にストレスが溜まります。それについての理解ができないとしたら、あなたは人の苦しみを理解できないだけです。他人への思いやりや共感の能力が決定的に欠けている。
「何だ、転居ぐらい、どうってことないだろ。おれはいくらだって転居できる。だからおまえだって転居しろ。それで死んだら、おまえが悪い」
そう言って強引に転居させて死なせようとするわけ。
もっとも、あなただけでなく、日本の多くの人々がそうですけどね。政府の悪魔政策を支持している人が大半だ。殺人鬼だらけ。
たくさんの種類の病気の原因のように誰もが口にするから陳腐に見えます。
東洋医学では、体全体の活性の度合いを見ます。「健康度」と言ってもいい。「健康度」が下がると、あらゆる病気にかかりやすくなりますが、「健康度の低下」があらゆる病気の原因であるわけではありません。
たとえば免疫力が低下すると、さまざまな病気にかかりやすくなりますが、病気の直接の原因は、それぞれのウイルスや細菌や、または内臓疾患などです。
「原因−結果」というような単純な関係では医学は測れません。人間の体には「体調」とか「状態」とかの、いっそう重要なものが関与します。だからこそ同じ条件でも、個人差が生じます。
物理化学的な(単純な)発想を取ると、生体の複雑さは理解できません。
ストレスも放射線・放射性物質への暴露も大気環境も要因ということでは同じで、影響度合いの大小を比べて総じて判断すると。
ストレスの影響度や感受性を数値で表現する方法があれば、ストレス以外の要因との比較が出来ますね。
たいていの確率論などは「他の条件が同じであるとすれば」という仮定の上で成立するし、また、「個体差はないとすれば」という仮定の上で成立する。
個体差が大きいと、個体の影響なのか、要因の影響なのか、わかりにくい。
厳密な数値化は困難で、おおまかな傾向がわかるぐらいでしょう。
それでも、差が大きいときには、何らかの結論が出せる。たとえば、自宅を離れて避難した高齢者の死亡率が極端に高くなっている、ということからは、ストレス要因が強く推定できる。
一方、放射線の影響の増減は、ほとんど誤差レベル。