シャープの経営悪化がひどい。
ここまで来ると、ほとんど[倒産寸前」と言える。
《 シャープ、赤字1000億円 希望退職含め数千人削減 》
シャープは液晶パネル事業などの不振が響き、2012年4〜6月期の連結最終損益が1000億円前後の赤字になったもようだ。
同社は12年3月期に過去最大となる3760億円の連結最終赤字を計上した。今期も4〜6月期はテレビ用液晶パネルをつくる堺工場(堺市)の稼働率低迷が続いた。さらに液晶パネルのカルテルを巡る和解金約160億円を特別損失に計上する。このため最終赤字は前年同期(492億円)の約2倍に膨らんだ。
13年3月期は300億円の最終赤字を見込んでいたが、リストラ費用計上のため下方修正する公算が大きい。
国内の社員数は5月末で約2万1000人。削減幅は今後詰めるが、数千人とする案が有力だ。
太陽電池事業ではパネル原料のシリコンを生産する富山事業所(富山市)をこのほど停止した。葛城工場(奈良県葛城市)や堺工場では、値下がりの激しい「薄膜系」と呼ぶ太陽電池の生産をやめた。
シャープが検討する主なリストラ策
・ 約2万1000人いる社員を早期退職などで大幅削減
・ 堺工場の土地や東京支社のビルなど固定資産を売却
・ 商品別に分かれている国内の販売会社を集約
・ 価格下落が激しい「薄膜系」太陽電池の生産を大幅縮小
( → 日経 2012-07-24 )
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さて。私の講評は? すでに十分に述べてきたが、あらためて示すことにしよう。次の通り。
(1) 太陽光
シャープの赤字はなぜ?(2012年03月16日)という項目で、次のように述べた。
こんなデタラメなことを信じて、太陽光事業に突っ走れば、将来的には倒産するだろう……と私は予言した。それも、何度も。「倒産するだろう」という予言通りになった、ということを、3月16日の時点で述べている。それがいよいよはっきりと形になりつつある、ということだ。3月に比べて、赤字は大規模化している。このまますれば、シャープという会社はすっかり消滅しそうだ。
→ サイト内検索
結局、私の予言通りになっただけだ。文字通りに倒産したわけではないが、大幅な業績悪化になったのだから、言っている内容としては予言通りになったと見なしていいだろう。
(2) 液晶
液晶が駄目だ、ということも、上記項目で述べた。
「液晶一本足打法が駄目だ」というよりは、「液晶生産そのものが、日本ではもはや時代遅れになった」と言う方がいい。
液晶は、かつては画質が悪かった。そのころには、最先端の技術を必要としたので、優秀な技術を持つ会社が差別化できた。
しかし今ではどの液晶も十分な画質を備えている。あとは価格だけだ。とすれば、台湾や韓国メーカーが技術的に追いついた時点で、もはや技術的に差別化できなくなって、人件費のデメリットが残るだけとなる。……こうしてもはや「液晶生産」は、日本企業の役割ではなくなったのだ。(かつての衣料品生産みたいなものだ。途上国のための産業になった。)
シャープがどうしても液晶生産をしたいのならば、海外生産するしかなかった。脱日本。空洞化。それしかなかった。そして、そうすれば、海外に工場を持つ多国籍企業として生き残れただろう。(海外に工場をもつサムスンと同様だ。)
ところがシャープはその逆だった。(以下略)
この問題について、詳しい話は、nando ブログに記してある。
→ 検索「空洞化」(nando ブログ)
特に、次のことが重要だ。
「IT化にともなって、海外の企業に国内市場を食われてしまうが、その分、海外の需要が増えていく(所得増加に伴う需要増加がある)。だから、その海外で増えた需要に応じれば、国内の需要不足を補える」このような方針を取れば、円高だろうが何だろうが、企業は海外市場を食って成長できる。たとえば、日産自動車がそうだ。国内需要は縮小しているが、新興国の市場を食うことで、生産量は大幅に増えている。
具体的に言おう。ある種の部品の生産を考える。これまでは熟練労働者のいる国内企業が有利だったのに、IT化の進展によって、海外の初級技術者の作る製品でも、ほぼ同等の品質で安価に生産できるようになった。そのせいで、国内企業のシェアは奪われてしまい、熟練労働者も国内企業も、倒産の危機に瀕した。では、どうするか?
大丈夫だ。そんなこともあろうかと。その優秀な技術でしか作れないような、新たな需要部門を見つけておいた。それは、国内では需要は小さいが、世界全体を見渡せば、需要は大きい。特に、近年では、インドや中国などの新興国で、その需要が伸びている。新興国に日本の需要を食われたら、こちらが逆に新興国の需要を食ってしまえばいいのだ。新興国が伸びれば伸びるほど、その市場もまた急速に延びていく。その市場を食っていけば、国内のシェアを奪われたことの影響は帳消しにできる。いや、それどころか、いっそう伸びていくことができる。災い転じて福となす、だ。
( → 空洞化とIT化 )
家電産業の各社も、そうすればよかった。しかるに、ソニーもパナソニックもシャープも、そうしなかった。「高品質」ばかりを重視する国内市場だけを狙って、製品がガラパゴス化していった。
一方、世界市場は、「廉価な普及品」の市場が急速に拡大した。その市場をうまく食えば成長できたのに、その市場をすべてサムスンに食われてしまった。サムスンは世界各地に社員を送って、マーケッティング(市場調査)をして、現地化のためのカスタマイズをした。「インド市場にはインド向け製品を」「ブラジル市場にはブラジル向け製品を」という具合に。こうして各地で現地文化に即した家電製品を提供して、大幅なシェアを得ていった。
一方、その間、日本の会社は日本国内に引きこもりながら、「最高品質の日本仕様」というガラパゴス仕様を提供するだけで、世界各地を無視してきた。
簡単に言えば、グローバル化の時代にあって、サムスンは自らをグローバル化して世界に進出したのだが、日本の会社は逆に日本に引きこもって、ガラパゴス化していたのだ。
そしてガラパゴス化することを得意になって吹聴していたのがシャープだ。こういうふうに宣伝していた。

進化するガラパゴス
こんなことをやっているんだから、呆れる。「独自の進化をしても、そんな進化は井の中の蛙にすぎない」というのが、ダーウィンの示したところなのだが、そこから教訓を得ることもできずにいる。これでは、独自の進化をしたあげく、絶滅するのは当然だ。
→ シャープ「ガラパゴス」の顛末、わずか10カ月で軌道修正
→ シャープは専用端末撤退
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結論。
シャープが倒産するのは、当然である。それは自らが選んだ道だからだ。グローバル化の時代に、あえてガラパゴス化したこと。世界に進出するべきときに、あえて「引きこもり」の道を選んだこと。
対策。
このような会社が生き延びる道は、たった一つしかない。完全に倒産する前に、世界進出することだ。しかし現在のシャープには、その能力がない。とすれば、その能力のある会社に、買収してもらうしかない。たとえば、台湾の会社に。
こうすれば、「経営者が変わる」ということを通じて、シャープは世界進出することで、生き延びることもできるかもしれない。ちょうど、倒産寸前だった日産自動車が、ゴーン社長のおかげで生き延びることができたように。
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とすれば、シャープがまずなすべきことは、経営者の首を切ることだ。ところが冒頭記事によれば、経営者が生き延びて、労働者が解雇(希望退職)となるようだ。
これでは反対でしょう。まるで東電だ。経営者ばかりが甘い蜜を吸って、責任を取らず、一般社員にばかり責任を取らせる。
こういう無責任な経営者を弾劾することこそ、社員や社会がなすべきことだ。少なくとも労組は、「経営者の辞任」を要求するべきだ。……そして、それができないとしたら、労組もまた責任があるわけだし、一般社員もまた責任があることになる。(経営者の辞任を求めるストさえできないからだ。)
同様のことは、ソニーやパナソニックやNECにも当てはまる。これらの会社で社員がひどい目に遭うとしたら、経営者のせいだが、それを指弾できない社員もまた同様の責任がある。
これらの社員がひどい目に遭うとしたら、「自分たちが間抜けで、ふぬけであるからだ」と自覚した方がいい。1世代前の人々は、しょっちゅうストをやっていたものだが、今の人々は、ちっともストができない。そういうふぬけだから、今のありさまになったのだ、と思う方がいい。
自業自得。
【 関連項目 】
→ IT企業の衰退の理由
→ 家電各社が総崩れ
第一項目では、本項と同様に、次のように述べている。
簡単に言えば、
「経営者がアホだから企業が衰退する」
ということだ。比喩的に言えば、
「ベンチがアホやから野球がでけへん」
ということだ。
だから、シャープの幹部が何かを反省するとしたら、
「自分が馬鹿だったから負けたのだ」
というふうに認識するべきだ。そして、そういう認識ができないところに、馬鹿の馬鹿たるゆえんがある。

人間、自己保身が第一です。
シャープが倒産するとしてももう少し先の話ですから、今の経営者は逃げ切れます。
社員を切り捨てることで自分が生き延びることができるのなら誰でもそうします。
ま、そういうことじゃないんですか。
経営者は絶対君主なので排除できません。
→ http://diamond.jp/articles/-/23854