2012年06月09日

◆ 白熱電球を販売停止へ

 政府は白熱電球を販売停止に追い込むそうだ。「自粛」という名目の強制。ただし、その理由は、嘘八百だ。 ──

 政府は白熱電球を販売停止に追い込むそうだ。「自粛」という名目で。
 《 夏の節電対策、白熱電球の販売自粛を…政府方針 》
 今夏の節電対策のため、政府は家電量販店やメーカーに対し、電力消費の多い白熱電球の販売・生産の自粛を求める方針を固めた。
 近く枝野経済産業相と細野環境相名の要請文を業界団体に出す。業界側も受け入れる意向を示している。電力消費の少ない発光ダイオード(LED)照明などへの切り替えを促し、電力需要を減らす狙いだ。
 国が具体的な製品の販売・生産自粛を求めるのは極めて異例。大手の家電量販店やメーカーなどでつくる業界団体「省エネあかりフォーラム」に、両大臣が来週中にも自粛を要請する。
 LED電球の消費電力は白熱電球の約2割で、寿命は約40倍。価格は高いが長期的には割安になる。
 日本エネルギー経済研究所は、現在使用されている白熱電球と蛍光灯をすべてLEDに替えた場合、日本の年間総消費電力量の9%が節電でき、原発13基分に相当するとの試算をまとめている。
( → 2012年6月9日 読売新聞
 問題は、最後の一文だ。
 「現在使用されている白熱電球と蛍光灯をすべてLEDに替えた場合、日本の年間総消費電力量の9%が節電でき、原発13基分に相当する」
 
 これは全然、理屈になっていないでしょう。
 仮にそれが理屈であるなら、結論はこうであるはずだ。
 「蛍光灯の販売を禁止して、すべて LED に置き換える」

 つまり、禁止するべきは、白熱電球ではなく、蛍光灯である。なぜなら、もともと日本の照明の大半は蛍光灯であるからだ。
 白熱電球の占める割合は、もともと小さい。店舗や事業所で言えば、昨年の節電騒ぎのときに、白熱球はほとんど LED に置き換わってしまった。今さら白熱球を禁止しても、効果はほとんどない。また、家庭で言うなら、その用途はトイレや玄関だから、もともと消費電力量は小さい。(利用時間が短いので。)

 ──

 だから、禁止するなら、白熱電球ではなく、蛍光灯にするべきだ。それなら、日本中で大量に使われている蛍光灯の消費電力が半減するから、かなり大きな効果が見込める。
 一方、白熱電球を禁止するなんて、ほとんど効果はない。なのに、「蛍光灯を禁止すると効果があるから」という理屈で、「白熱電球を禁止する」というのは、支離滅裂だ。「江戸の敵を長崎で取る」みたいだ。ひどすぎる。頭が錯乱。

 ──

 ただし、蛍光灯に替わる LED は、とても高額だ。


  → LED蛍光灯形 20W形 スターター式

 これほど高額なので、「強制する」なんて方針を取ったら、暴動が起こるだろう。家庭ごとに一挙に数万円〜十数万円の出費となる。とんでもないことだ。
 で、寿命が 40年あるとか言っているが、馬鹿げている。それは毎日8時間ぐらい点けっぱなしにした場合の計算だが、照明は同じ部屋でずっと点けっぱなしにすることはないのだから、使用時間はおおよそ半減する。となると、寿命は 40年の倍の 80年。今の大人がそんなに長生きするはずはないし、たとえ長生きしたとしても、80年もたつ前に、電気器具が壊れたり、家が立て直しになる。つまり、あまり長寿命なのは無意味なのだ。寿命が 40年だから割安だ、と記事にはあるが、元を取る前に人は死んでいる。
 
 ──

 計算のインチキは、まだある。元の出典を調べてみるといい。
  → 資料1 (PDF)
  → 資料2 (PDF)

 読むと、「試算ではものすごく節電できる」という意味のことが書いてあるが、その試算の根拠となる数式は示していない。記事から読み取れる範囲では、次のことらしい。
 「家庭には5個の白熱があって、その5個を漏れなく、毎日8時間ずつ点灯する」
 「その5個をすべて LED に交換すると、多大な節電効果がある」
 こういうインチキな試算をしているようだ。(ちなみに、わが家では、6個の白熱電球があるが、使用時間はそれぞれ5分間ぐらいだ。これを LED に置き換えた場合、元を取るには、1000年ぐらいかかりそうだ。 (^^); )

 結論。

 政府は「白熱電球を禁止する」という方針を立てるようだが、それはインチキ計算とインチキ論理に基づいている。



 [ 付記1 ]
 参考資料。
 そもそも、家庭における電力消費で、照明が占める割合は、たったの 16.1%にすぎない。
  → グラフ
 その大半は蛍光灯であり、一部を LED と白熱電球で占めているだけだ。
 なるほど、LEDの消費電力は、蛍光灯の半分で、白熱灯の 10分の1だが、もともと白熱電球が占める割合が小さいから、白熱電球を LED に置き換えても、たいした効果はない。

 [ 付記2 ]
 どうせなら、冷蔵庫で節電する方がいい。
  ・ 最新型の冷蔵庫は、10年前に比べて、電気代が半分。
  ・ スマート家電タイプならば、「午前中に作動を強めて、 
   午後3時〜4時には電力消費を減らす」というタイプ
   にすることができる。(ピーク電力対策)
 
 特に、後者が大切だ。こういうタイプの冷蔵庫をメーカーが開発すればいい。その商品に対しては補助金を付けてもいい。
 頭を使えば、いくらでも節電の知恵は浮かぶのに、目に見える照明のことばかりを考えるのは、アホすぎる。
 
          ひらめき  
 
 [ 付記3 ]
 もう一つ問題が見つかった。枕元などに使う「調光型」の照明装置には、蛍光灯や LED は使えないのだ。
 これは困った問題だ。となると、やっぱり、白熱球を買いだめしておくしかないようだ。
 
( ※ それ以外の分[玄関やトイレなど]については、百円ショップで電球形の蛍光灯を買うといいようだ。昔は千円近くしていたが、今では百円ショップで買える。)

  調光型の LED というのも、一部には存在するようだ。高価らしいが。……ただし、白熱灯用の調光器がそのまま使えるのかどうかは不明。もしかしたら専用の装置が必要なのかも。
posted by 管理人 at 19:52| Comment(10) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
純粋に電力の心配をしていて、そのためになら採算度外視してでも電力消費量をおさえたいということなら、LED電球に助成金をつけて、廃止する白熱電球と同じぐらいの金額で買えるようにするべきでしょう。つまり、一個100円程度に。

これじゃ、原発のコストのツケを電球購入者が払わされているだけで馬鹿を見ることになってしまいます。

寿命はLED発光モジュールの蛍光体の寿命の理論値でしかないので、電子回路に熱がこもって特にコンデンサが真っ先に死亡します。ので、死ぬまで使える一生物のLED電球は登場しないでしょうね。というか、千円程度で何十年も使えたら、メーカーは商売上がったりですから。

あと、今話題のブルーライト光がLEDでは白熱電球より盛大にでているので、きっと体には悪いでしょうね(笑)あの眼医者さんたちが作った研究会の説では。
Posted by きみたか at 2012年06月10日 03:48
[ 付記3 ] を加筆しました。百円ショップで買える商品。
Posted by 管理人 at 2012年06月10日 10:56
寿命について。点燈時間はカタログ値より短くなるという理屈で行けば、点燈回数はカタログ値より多くなりませんか?となると、その部分の寿命はかえって短くなると思います。すると全体の寿命は短くなるのではないでしょうか?
と、思ったものの、構成部品ごとの寿命なんて公表されるわけもないので推測すらできませんよね。となると、ここでされている寿命に関する意見もいい加減なものに見えてきた。
重箱の隅をつついてすみません。
Posted by 鉄分過多 at 2012年06月10日 12:12
参考情報
「本当にエコなの? LEDの誤解を考える」
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0803/05/news062.html

cf.
http://ja.wikipedia.org/wiki/LED%E7%85%A7%E6%98%8E
Posted by 管理人 at 2012年06月10日 13:24
全く同感ですね。そもそも蛍光灯やLEDは家庭で使うには色合い(演色評価数=Ra)が悪すぎる。おまけに調光もできないから、これは要するに国民は煌々とした蛍光灯の下で刺身を食えという政策にほかなりません。

暮らしの基本である食卓やリビングの灯りは本来最も優先して美しいものを使うべきなのに順序がまるで逆。その上ご指摘のように省エネ効果は微々たるものだしバカ高い。目に見えてわかりやすいものだけしか考えられないから、こんなとんでもない方針が出るのでしょう。

ま、今に始まったことじゃないし読売は前もこんなおかしな記事を書いたこともある。だからまさかとは思うのですが、こんな世相じゃ間違って通る恐れもある。仕方ないので私も白熱球を少し買いだめしておきます(^^);

  ↓
【省エネ電球狂想曲】2009.10.10
http://blogs.yahoo.co.jp/hikaritokagefukami/22160017.html
Posted by 深海 誠 at 2012年06月10日 22:38
「白熱電球をやめさせるぐらいなら、電気自動車をやめさせろ」
 と言っている人がいた。

 ごもっとも。一方では「電気を使うな」と言って、一方では「電気を使え」というのでは、矛盾ですね。
 とりあえずは、電気自動車の補助金をやめさせるべきかも。   (^^);
Posted by 管理人 at 2012年06月10日 23:43
安いから問題はないですが、
100円ショップの電球型蛍光灯は、
一般的ブランド商品に比べると寿命がおおよそ半分になっています。
Posted by KM at 2012年06月11日 13:16
以下、引用。
 ──
 節電効果の高い発光ダイオード(LED)を使った照明への早期切り替えを家庭や企業に呼び掛けるキャンペーン「あかり未来計画」を展開すると発表した。
 → http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012061200252
 ──
 
 だけど、馬鹿げているね。普通の蛍光灯を高額な LED に変える家庭は、ほとんどないはずだ。また、白熱球ならば、「電球形蛍光灯に変えよ」と促す方が実行率は高いはずだ。また、たとえ白熱球がなくなっても、もともと白熱球の占める割合はごく小さいから、全体の1%にも満たない量しか節電できないはずだ。
 どうせなら、需給調整契約を大規模に推進する方がいいのだが。……「ピーク時電力を下げる」という発想がないから、無駄な努力ばかりするハメになる。必死に努力して、効果はわずか。頭悪すぎ。
Posted by 管理人 at 2012年06月12日 20:11
正式発表があった。以下、引用。

 ──
 細野豪志環境相は12日、家電量販店やスーパー、メーカーなどに対し、この夏の節電対策として、消費電力の大きい白熱電球の製造・販売を控えるよう、政府として要請する方針を明らかにした。節電効果の高いLED(発光ダイオード)や電球型蛍光灯への切り替えを促すのが狙いだ。
 環境省と経産省が13日、照明機器メーカーや販売業者、消費者団体など84社・団体でつくる「省エネあかりフォーラム」に対し、両大臣名で要請する。業界側も基本的に受け入れる見通しだ。
 http://www.asahi.com/business/update/0612/TKY201206120232.html
 ──
 本当に販売停止になっちゃった。
Posted by 管理人 at 2012年06月13日 09:10
簡単なブラックライトが入手できなくなりますね。低圧水銀灯や近紫外LEDでもいいんですが高いのが難点です。
Posted by 京都の人 at 2012年06月13日 18:21
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